ウマ娘の世界に転生出来たのに人間だった。だけど親ガチャ勝利した。   作:庭顔宅

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サバイバル入門 卒業編

本日二度目の大ログハウス。

 

小川と畑と一軒家以下のサイズ家があって、桶は変わらず干されていた。すでに乾ききっているようだ。

 

「ここにもログハウスがあるんですね。」

 

「ああ、まだまだあるぞ。」

 

「たくさんあるんですか?」

 

「たくさん作ったからな。」

 

「なるほど…作ったんですか。…作った?」

 

「まぁ細かいことは気にするな。」

 

これ以上広げる話でもないと、切り上げて桶を掴む。そしてその桶をエイシンフラッシュに持って行かれた。

 

桶に向けていた視線をエイシンフラッシュの目に向ける。・・・と念を込めた視線を向けると、ムスンと不満そうに睨まれた。だがここは譲れないと声をあげる。

 

「なぜ取る?」

 

「なぜ持ったんですか?」

 

行動から否定された…だが終れねぇ。ここで引いたら男が廃るというやつだろう。

ムフンッとわがままな子供のようにそっぽ向きながら言う。

若干心で負けている気がするが気のせいだ。ちょっと気まずいからあらぬ方向を見ているだけだ。

 

「俺は介護が必要な老人では無い。」

 

「あなたは介護が必要なけが人です!」

 

「けが人であっても介護は必要では無い!たかが片腕と片足が使えないだけだ!」

 

「本当なら病院に行って、今頃ベッドの上で休んでいるはずです!」

 

「いいや松葉杖を貰って退院してるね!」

 

「あなたの場合は抜け出しているんじゃないんですか!?」

 

「そりゃそうだろ。大人しくする訳がない。」

 

自信を持ってうなずいた。

そもそも病院には何があっても行ったことは無い。だが、もし気絶して目覚めたのが病室の上だったとしよう。俺は容赦なく逃げる。料金を払わずに逃げる。俺は救急を頼んだ覚えは無い。そして財布はない。だから逃げる。たとえじいちゃんに怒られても、俺は逃げる。それどころかじいちゃんからも逃げるね。逃走能力はじいちゃんより俺の方が高い。老人相手であろうと容赦しないね。てかじいちゃんを普通の老人と判断したらけが人がでる。例えば俺とか俺とかじいちゃんとか。負け越しだろうと噛みつく精神を忘れてはならないと思っています。

 

「そうでしょうね…」

 

エイシンフラッシュが残念な人を見るような目で見てくる。なんで当たり前の事をしただけでそんな目で見られないといけないのだ?…何の話だっけ?

 

桶を片付けようとしていたんだった。

 

だがその桶は彼女が持っているわけで…

 

「その桶を中に納めてくれないか?ベッドの下に適当に置いておいてくれ、もう一つここに置いてくれ。それが嫌らならその手を離して地面に落としてくれ。」

 

「あ、はい。わかりました。納めてきます。」

 

先ほど大声で言い争ったとは思えない反応に肩透かしを食らったようで、高ぶった感情も収まったようだ。

エイシンフラッシュは今さっき奪い取ってきた桶を地面に置き、もう一つを持って中ログハウス内に入っていった。

俺は地面に置かれた桶を持って、畑に向かう。

 

「勝った……計画通り。」

 

これで本来の目的を達成することができた。彼女はいなくなり、桶は元の場所に戻った。空気は一度リセットされ、俺は行動が邪魔されなかったことによる高揚感を深く味わった。

彼女にはたった数日にも満たない時間で嫌な思いをさせられた。これはいままで一人で生きてきた障害だろう。理解はしている…はず…憎いとは思っていないから大丈夫だろう。嫌いという感情を抱くくらいは許されて欲しいものだ。例えば上司とか上司とか社長とか。なんで関わってくるかな?真面目に仕事やってるだろうが。

 

小言でそんなことを呟きながら社会不適合者ってまさに俺の事じゃね?と思いながら桶を畑の土壌と地面の境の地面側に叩き付ける。

 

気持ち高く振りかぶっただけなので桶は壊れはしないが、怒りは収まらない。

前世の記憶持ちって案外大変なのね。

 

腹は減ったとピーマンをむしり取り食べる。種が邪魔、味が嫌い、食感はわるくないなと何とも言えない感情を抱きながら無心でピーマンを食べる。ピーマンは嫌いなのでこういう時でしか食べる機会がない。なのでいくら食べてもいいのだ。無くなるまで食べてしまえ。

 

「あ!」

 

「げっ」

 

あ!と声が聞こえてしまい、反射てきにげっと言ってしまった。背後から大声が聞こえたことにでは無く、見つかったことに強く拒絶を示したのだ。

別に隠せるとは思っていなが嫌いなものは嫌いだし嫌なものは嫌だ。これが逃れられぬカルマってやつなのか?わかっていても出してしまう。だって人間だもの。

 

「なんでここに桶があるんですか?」

 

まさに怒っていますと腰に手を当てながらそう言った。

ばあさんの幻が一瞬見えた気がする。そんな訳はないと、記憶の奥底へしまった。

 

「もちろん、今使うためだ。」

 

「じゃなんでさっき言ってくれなかったんですか?」

 

「聞かなかったじゃないか?」

 

「むっ!?……聞いたら答えてくれるんですか?」

 

俺はピーマンをかじりながら目を背ける。

言質さえ取られなければ俺が不利な方へ進むことは無いはずだ。なぜなら彼女はそういった口約束などを律儀に守る系の優しい少女だと思っている。

つまり俺は今だんまりをさえ決めれば何とかなる…はずだ。

 

「答えてください。」

 

だめだった……だが答えない。そしてピーマンをかじる。最後まで諦めないのが俺クオリティ。視界に入らなければ恐るるに足らず。さぁ次のピーマンを…

 

とピーマンへ伸ばしていた手は彼女に止められた。そして肩も掴まれ、次の瞬間にはエイシンフラッシュの顔が目の前にあった。

 

「教えてください。」

 

彼女は真剣そのもので見ているこっちまで感化されるようだ。

 

どうしても諦めたくない俺は顔を背けながらも言った。認めはする。だが不満は隠さない。相手のために嘘をつくつもりはないぞ。

 

「聞かれたらな。後、手を離せ。」

 

今度は頬を掴まれ、背けた顔を無理矢理正面へ向けさせられた。目の前に彼女の顔がある。

 

「もう一つ教えてください。私のこと嫌いですか?」

 

「ああ嫌いだ。」

 

「……」

 

エイシンフラッシュはまさか言われるとは思っていなかったようで言葉を失っていた。

 

さすがに申し訳なさが出て来てしまった俺は補正をする。

 

「別に君が個人が嫌いじゃない。君という存在が嫌いなんだ。」

 

「………?」

 

エイシンフラッシュはとても悩んだがわからないと頭を傾げた。さすがに今のは抽象的すぎると言い直す。

 

「君が嫌いではない。俺の行動を邪魔する人が嫌いなんだ。」

 

「行動を邪魔する人が嫌い?」

 

「そう。例えば自分で出来ることを他人に邪魔されたりすることは大っ嫌いだよ。」

 

意味を含めたジト目でエイシンフラッシュの目を見る。エイシンフラッシュは気まずそうに顔を背けて上目遣いで

 

「で、でもあなたは怪我をしていますし…」

 

と言ってきた。かわいい。だがここは譲れない。こんなメンタルじゃ押しの強いキャッチセールスを断ることは出来ないぞ。NOと言える勇気をそして、思いを伝える刃を。

 

「俺は問題無く動けているだろう。何が問題なんだ?」

 

このまま、介護生活のようにやること全てが彼女にやられたらたまったもんじゃない。誰かが何かをやっているのに自分だけのうのうと暇そうにしているのは気に入らない。共同生活をする上で妙な上下関係はいらないんだ。共同なのだからお互いに助け合っていかないといけないんだ。辺にこじられても困る。

 

「ですが、もし怪我が酷くなったらどうするんですか?」

 

「ならその時に助けてくれ。」

 

反射的に答えたが自分でも実に良い答えだと思った。これで彼女にも理由ができるし、俺は邪魔されない。両方がうぃんうぃんという関係だろう。

 

「……わかりました。」

 

エイシンフラッシュは気に入らないという顔をしながらも納得はした様子だった。心配になった俺は再度問い合わせる。

 

「本当にか?」

 

「はい。わかりました。」

 

言葉なんていくらでも嘘はつける。疑い深い俺は再度問いかける。

 

「本当にわかった?」

 

「そんなに確認したくても大丈夫ですよ?」

 

最終確認として約束の内容をまとめることにした。

 

「よし、君はもし俺が怪我をした時のためにいる。でいいな?わざわざトレーニング環境と時間を俺のために浪費し、たった一回受けた恩を返すためにここいいると。」

 

「そんな風に言わないでくださいよ。たった一回でも恩は恩です。ちゃんと返します。」

 

そこは譲らないと、口をたこにしながらふてぶてしい顔でそう言った。

 

「なら指切りだ。」

 

「指切り?」

 

「ただの指切りではないぞ。先祖代々伝わる契約の行為だ。」

 

じいちゃんとよくやった。約束の時はやはり指切りだ。じいちゃんはばあちゃんとひいじいちゃんとよくやったって言ってた。

 

彼は右手の小指を差し出す。

 

「……普通の指切りと違うんですか?」

 

「違わないな。」

 

台詞はちょっと違うがじいちゃんが言っていた内容だ。じいちゃんが言ってたから先祖代々の方法で間違いないと思う。違っても知らないしわからないなぁ……

 

「はぁ……」

 

戸惑いを見せた。まぁ気持ちがわからない訳では無いが。だが頑固と言われようとやる。もう決めた。

 

「さぁ指切りだ。」

 

「わかりましたよ。」

 

エイシンフラッシュも小指を突き返してくる。俺は小指を交わせ

 

「指切りげんまん、約束を破ると拳骨ビンタ腹抜根。指切った。」

 

そう言って小指を離す。

 

「普通じゃ無いじゃないですか。」

 

「指切りは指切りだろ?」

 

「そうですけども……」

 

なんとも言い表せない感情が渦巻いているようで歯がゆそうなだな。

そんな事を考えているといきなりピッと顔が真顔になっていた。

 

「どうしたんだ?」

 

つい気になってしまい言った。

 

「どうしてそんなに嬉しそう何ですか?」

 

指摘されて確認するように自分の頬に触れた。確かに頬が上がっていた。

 

「嬉しいからだろうな。」

 

「答えになってませんよ。」

 

「感情に理由が必要なのか?嬉しいから笑う。悲しいから泣く。別に理由なんて無くていいじゃん。」

 

やっぱり難しく考える文化はどこでも変わらないようだ。単純で悪いのか?いいじゃんわかりやすくて。みんな馬鹿になれば幸せになれる。そう思わないか?

 

「……そうですね。」

 

妙な間があった後、肯定の言葉帰ってきた。

 

「そういう君はなんで笑ったのさ?」

 

これは単純な疑問。納得したのはわかった。だけど笑う理由がわからなかったのだ。だから聞いた。そして帰ってきた言葉は

 

「もう…嬉しいから笑っているんですよ。」

 

なんとも単純な事だった。ほら。やっぱり感情に意味なんて必要ないよね。

 

笑い声こそはしないが楽しそうな雰囲気が二人の周りを包む。だが腹は減るとピーマンを掴見ながら言った。

 

「野菜炒めと生。どちらがいい?」

 

「えっと、どういう意味ですか?」

 

「そのまま食べるか、簡単に炒めようかのどっちがいいかなーって思ったから聞いた。今夜は晩飯はこの野菜だけだからね。」

 

後はビスケットがあるだけだ。山菜を採りにいくのは時間がかかるし、間違いなく採れる場所は今のところ覚えていないので候補から外した。残念ながら肉の備蓄はない。計画性が無いと罵ってくれ。

 

「生でも食べれるんですか?」

 

「うん。薬が使われず自然の環境で育った野菜達だ。害虫の駆除もばっちぐー、だから問題無い。だが枝豆の皮は硬い部分があるから気をつけろよ。」

 

畑にはトマト、じゃがいも、ピーマン、にんじん、ナス、枝豆、サツマイモの7種類。じゃがいも以外は余すところもなんてない。草の部分はたき火に使える。よく燃えるから落ち葉やらなんやらを探さなくてもいい。便利だ。

 

「え?皮も食べれるんですか?」

 

「ああ。食べれるぞ。じゃがいもの皮以外は全部食べれるぞ。」

 

「へぇーー……」

 

「さ、自分で食べる量だけ採ってくれ。」

 

「わかりました。」

 

そう言うと1直線ににんじんのゾーンへ行った。

やはりウマ娘だな。と思いながらピーマンをかじる。このピーマンを最後にしようと意気込んでいると質問が飛んできた。

 

「なんでピーマンを食べているんですか?」

 

「腹減ったから。俺は食べたいときに食べるタイプだからな。」

 

「へー…それで夜ご飯も食べれるんですか?」

 

「食べれなかったら食べないだけだよ。」

 

言ってからそういえば彼女が同居人になるだなーと思った。はやり実感がないというか…何というか…まぁどうでもいいや。

 

「なるほど……やっぱりこういう隠居?生活をしていると一日に3食食べなくなるんですか?」

 

「そうだね。俺は食べたいときに食べるからなーー。3食食べることはほぼ無いかな?一日0食の時もあるね。」

 

「0食…ちゃんと食べないといけませんよ?」

 

「大丈夫だよ。俺はいたって健康的。筋肉見る?」

 

「み、見ませんよ!」

 

彼女は顔を真っ赤にしてにんじんに向きあう。

 

筋肉に自信はあったんだがな……そういえば傷だらけだった。横腹と腕と足が酷い。頭と胸と背中は無事だ。傷一つ無い。傷の理由で一番多いのは枝による切り傷だ。ターザンごっこの時によく怪我したね。理由の二番目は熊だ。やはり熊。強い……他の野生生物たちは臆病だから問題無い。カラスはこの森には寄りつかない。どうやら先祖が狩りすぎて知能が高いカラスは寄りつかないらしい。カラスは末代まで呪ってやるが実行できるヤバい奴らだ。

 

「そう。さて採取の続きだね。」

 

じゃがいもは料理しようか。いやポテイトサラダにするか?

 

「ねえポテトサラダ好き?」

 

「ポテトサラダですか?好きです。」

 

「じゃ晩飯はポテトサラダと生ね。」

 

「あの…生って他の表現あったりしませんか?直、とか野菜スティックとか。」

 

「野菜スティック?それって何?」

 

「えっと…野菜を長方形にカットしてドレッシングに付けて食べる料理です。」

 

「あっ家にドレッシングはないよ。」

 

「え!?ないんですか?」

 

「うん。いつもは直だからね。」

 

「ドレッシングは嫌いなんですか?」

 

「いや金の無駄だから。」

 

「無駄って……」

 

はぁとエイシンフラッシュはため息をついた。心の中でまったくこの人は……とか考えていそうだ。

 

俺はいそいそとポテトを掘り返す。エイシンフラッシュの方もにんじんを引き抜き初めていた。収穫はあっという間に終わり、二人は桶のそばに集まっていた。

 

「少なくない?朝の方が食べてなかった?」

 

桶の中には俺が持ってきた野菜を省いたら、前回彼女が食したにんじん26個より合計で言ったら少なかった。

 

「ポテトサラダもありますし、これぐらいだと思ったんですが?」

 

「まぁ少なかったらビスケットを食べたらいいか。さぁ野菜洗うか。」

 

「桶持ちます。」

 

エイシンフラッシュはそういってすかさず桶を軽々と持ち上げる。

 

「ありがとう。」

 

「エッ!?」

 

変な声と共に持ち上げた桶が落ち、中に入っていた野菜が少し外に出る。そしてエイシンフラッシュは信じられないとまるで犯罪者を見るような目で俺を見た。

 

「ぁあ野菜が……」

 

しゃがみ込んで落ちた野菜を桶に戻す。

 

「ご、ごめんなさい。」

 

エイシンフラッシュは焦った様子で謝りながら、急いで野菜を桶に戻した。

運がいいらしく潰れてしまったり傷ついてしまった野菜は無かった。

 

「どうしたの?急に変な声だして。」

 

「だってあなたが急にお礼なんて言うから…」

 

未だに信じられないと目を丸くしている。

 

「失礼な、感謝と謝罪を伝える事は普通だろう。人里から離れているが最低限の人としての尊厳は持っているぞ?」

 

「で、でもさっきも自分で行動を邪魔する人が嫌いって言ったじゃ無いですか?きっといい顔はしないって思ったのに、お礼なんて言うから。」

 

「まず確認しよう。俺は普通の人間だよ?ウマ娘じゃないんだよ?」

 

「普通…?…はい人間です。」

 

君は俺をいったい何にしたいんだよ。

 

「片手で野菜がたっぷりと入った桶を軽々と持てると思う?」

 

「…もてそう。」

 

いや俺強靭な肉体を受けただけの一般人だし。ちょっとじいちゃんが最強な人種で最強の弁護士さんが専属でいてくれるただの一般人だよ?

 

「無理だよ。それどころか持ち上げてから移動なんて出来るとは思えないよ?それを手伝って貰えたのにお礼をいっちゃダメなのか?」

 

「持ち上げることは……ごめんなさい。あなたの事を少し誤解していたようで……」

 

「別にどうでも……いや言っておく。思ったことは素直に言ってくれ。俺は察しが悪いから言って貰わないとわからないんだ。OK?」

 

「わかりました。一つ聞いても良いですか?」

 

「うん。どうぞ。」

 

「ずっと一人でここにいるんですか?」

 

おっと、そこが気になるのか。

 

「ここ数年は一人だね…もうなれたなーー新しいことにも挑戦出来るようになったし。」

 

「レースってよく見るんですか?」

 

「ここ数ヶ月レベルだけどよく見るね。」

 

「そうなんですね…」

 

そう言って何かを考えるように言葉を濁した。

 

彼は気にも止めずに言った。

 

「他に質問ある?」

 

「いえ今はありません。」

 

「よし。野菜を洗おうか。」

 

「はい。」

 

二人ですぐ側の川に行き、野菜を洗った。その間も細かい質問をいろいろ聞かれていた。

そして中ログハウスへ戻った。

 

日は俺基準で沈みかけ。3時くらいだろう。ポテトサラダは冷めてもうまい。さくっと作ってしまおうとそのままキッチンへ向かう。

 

「桶をそこ置いちゃって。」

 

「はい。」

 

流し台の横のスペースに置いて貰った。この中ログハウスは無駄に広い。キッチンも例外では無く流し台は1mを越える大家族用だし、横のスペースは4mほどある。過去の栄光が見えますね。ひいじいちゃん達…

 

まずはじゃがいもをゆでる所から始まる。持ってきたじゃがいも達を入れる用の鍋に水だけを入れ電気コンロのれに置く。IHコンロ君に変えようかと思ったが辞めた。やっぱり手軽に火を起こせるってのは便利だ。じいちゃんがしっかり火災対策をしてくれているのでヘマをしない限り火災は起こるはずが無い。

一応ガスコンロも常備しているので。わざわざたき火をしなくてはという呪縛からも逃れられていい。これが文明の力。

 

そして俺は木製のまな板を置いて、その上にじゃがいもを置き、台の下の棚から包丁を取り出す。

 

「私も手伝いますよ。」

 

そう言ってさっそうとじゃがいもを一つ手に持った。両手で抱えていて、まるで花を持っているように思えた。

 

「料理できるの?」

 

「はい。実家はケーキ屋をやっていて、お手伝いをした事があります。」

 

ケーキ屋…千切りとかできるのか?いや包丁の扱いに心得があるから大丈夫かな?まぁじゃがいもは余裕か。皮剥きはリンゴと同じ要領でやれば怪我することは無いはずだし、ゆでたら潰すだけだし。

 

「じゃあじゃがいもお願い。皮剥き終わったら、洗って鍋の中いれっちゃって。」

 

こえで皮剥きをしなくても済む。じゃがいもは他に比べて大変だから良かった。

 

「はい。任されました。」

 

場所を入れ替わってエイシンフラッシュが流し台のそばにあるまな板を使うことになった。俺はもう一セットまな板と包丁を持って、桶の向こう側に行く。

場所的には流し台、彼女、桶、俺だ。

 

さてナス、さつまいも、枝豆、にんじんか。

 

ポテトサラダに入れるとすればそのライラップ。ピーマンとトマトは収穫していない。トマトは個人用として収穫してくれば良かった。

 

枝豆とにんじんは確定。彩りとすればそれだけ充分だが、追加したいと囁くのがサバイバルクオリティ。さつまいももナスもポテトサラダに合う。

 

いやナスは好き嫌いがわかれる。今回は素直にさつまいもを入れようか。じゃがいもとさつまいもは案外合うのだ。甘くてうまい。いや勝手に変えるのは悪いな。

 

「甘いポテトサラダ好き?」

 

「甘いポテトサラダ、…気になります。」

 

「よし、わかった。」

 

両方作ろう。作る量は多い。ずっと同じ味だと飽きてしまうだろう。ずっと甘いだと食べる気無くしそうだ。甘い物は少量が一番おいしく感じるからな。

 

にんじんのヘタも硬くて、好き嫌いがわかれれる。今回は俺が食べよう。

 

ヘタの部分をざくざく切って、口の中に入れる。飴玉より硬い。

 

にんじんを3等分してから皮を剥く。左手を持ってきて、ころころと転がしながら皮を剥く。皮は後でゆでておひたしにするのでまとめて置いておく。

 

さて今回は甘いポテトサラダなので、にんじんは0.8mmの超薄切りのいちょう切り…ウマ娘ってにんじん好きだったよな?感触はしっかりとあった方がいいかな?2mmにしようかな。

 

そう思ってエイシンフラッシュの方を、横を見る。そこには丁寧にじゃがいもの皮を剥く彼女がいた。

 

この様子なら怪我することはなさそうだ。邪魔をしないでおこうか。

 

自分の仕事に戻ろうと前を向く。いやにんじんは終わった。

 

すぐ横にある桶から枝豆を取り出し、

 

枝豆は中の実と皮を分ける。中の実はにんじんと一緒に混ぜて、皮はにんじんと皮と軽くゆでて出汁で頂く。まったく、白だしは最高だぜ。

 

さて問題はさつまいも。皮ごといけるポテンシャルを持っているがポテトサラダには合わん。その皮はおひたしにならん。俺が責任とって頂く。

 

さつまいももにんじんのように3等分し、皮を剥く。剥きながら皮を食べる。ほのかな土の匂いと甘みが食欲をそそる。9割ほど甘みで食欲がそそる。もし土が砂糖の甘みがあればがつがつ食べてる。

 

さて……終わった。あとはゆでて、つぶして、混ぜるだけ。

 

さてエイシンフラッシュのほうは……まだ少しかかりそうですね。

 

真剣そうにじゃがいもと包丁とにらめっこしていた。じゃがいもを少しずつ回して綺麗に剥かれている。綺麗にできすぎていて見ているだけでなんか楽しい。

 

ちなみにあと2つでじゃがいもの皮剥きは終わる。そして終わった。

 

「不審者さん!…って何しているんですか?」

 

「何もしてないよ。さぁじゃがいも達をゆでようか。」

 

「じゃがいも達?…え?……なんですか?この具材たち。」

 

そう言ってまな板の上に綺麗に並べられた野菜達を何度も指さす。

 

「ポテトサラダの具材だけど?」

 

「先ほどまでありませんでしたよね?」

 

「先ほど作ったからな。」

 

料理は得意だ。特に捌き系が得意。魚と獣の解体はじいちゃん直伝で頑張った。一週間ぐらい肉だらけで喜んだけど代わりに血のにおいが嫌いになりすぎて敏感になった。自分の血にも過剰に反応してしまうのは辛い。

 

「……私がじゃがいもをやっている間にこれだけ…?」

 

「雑にやったからな。」

 

「……」

 

エイシンフラッシュは自分のまな板の上と俺の机の上を唖然と見比べていた。

 

「さぁ……ゆでなきゃ。」

 

時間が解決してくれはずだ。放置してあげる優しさってあると思うんだ。そして時間が押しているので簡潔に行くぞ。

 

さつまいもを持って鍋の中にいれる。それに続くようにエイシンフラッシュもじゃがいもを入れた。良い感じになるまでゆでて、取り出し、水気を払い、温かい家に潰し、マヨネーズ調味料系を入れ、混ぜ、枝豆とにんじんをいれ、形が崩れないように全体を優しくかき回すように混ぜる。

そして完成。次はおひたし。にんじん、枝豆の皮をゆでる、取り出す、白だしでおひたしにする。

 

皿に盛り付け、食卓用に用意された机の上へ持っていく。二往復。ついでにビスケットも端の方に置き完成。

さらに水を持っていき。完璧。

 

エイシンフラッシュを意識してみると台所でボーっとしていた。

 

彼女の後を通ってまな板など使った器具を流し台へ押し込む。簡単な片付けは終わったが彼女の意識は空の向こうだ。むしろ陰のエフェクトが見えるような気がした。

 

「お腹空いてる?」

 

確認だ。もし空いていないようなら埃よけを付けて放置だ。冷めてしまうがしょうが無い。

 

「……あれ?」

 

反応が無い。ただの石のようだ。

 

「エイシンフラッシュさん?」

 

「え?あ、はい。どうかされましたか?」

 

「お腹空いてる?」

 

「はい。空いてます。」

 

「じゃ食べようか。」

 

「はい。…はい?え?」

 

今度は食卓の上を見て、唖然としていた。

 

「なんでもう完成しているんですか?さっきまでゆでてませんでした…っけ?」

 

「ささ、食べよう。ほい、箸どうぞ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

そう言って箸を取り出し彼女に渡して素早く食卓に行き席をつく。彼女も席についたことを確認したら、

 

「いただきます。」

 

「いただきます。」

 

気を取り直して食事だ。ポテトサラダ白色と黄色の二種類。そしておひたし。さらにビスケットを2ダーツ。24個。

 

「あまい。」

 

どうやらエイシンフラッシュは最初に黄色のさつまいもポテトサラダに手を付けたようだ。箸を咥えながらそういっていた。

 

「苦手か?」

 

「いえ、おいしいです。」

 

そこからは順調に進んだ。さすがウマ娘というべきか。あっという間にポテトサラダが消えていった。ポテトサラダだけではなく、ビスケットも無くなっている。

 

「さて、俺は寝る。」

 

「え?もう寝るんですか?」

 

「ああ、最近眠気がすごいんだよ。さぁいろいろ案内するからついてきて。いやもう少し後の方が良いか?」

 

「いまで大丈夫です。」

 

立ち上がって、まずは二階へ向かう。そして目の前の部屋の前に行く。

 

「ここが君の部屋だ。最低限の家具は揃っている。確認するか?」

 

「はい。」

 

エイシンフラッシュは遠慮そうに扉を開け中を半身で確認する。少しして戻ってきた。

 

「さぁ次だ。そうそう、俺は2階には上がらないから。俺の部屋はあそこだ。」

 

リビングに一番近い部屋を指さす。

 

「何かあれば来るといい。大きめの声を出せばわかるから。好きにしてくれ。」

 

「はいわかりました。」

 

「そしてあそこがお風呂だ。使ったタオルは籠の中に入れてくれ。」

 

「はい。」

 

次は外に出る。そして少し森を歩いた頃。

 

「あそこがトイレだ。」

 

「トイレ?」

 

信じられない。そう言いたいのだろう。だが

 

「トイレットペーパーはログハウス内にある。玄関すぐ横の棚だ。言っておくがこれがサバイバル生活ということだ。無理なら帰れ。」

 

「わ、わかりました。」

 

エイシンフラッシュはぎこちなく頷く。

 

「水は冷蔵庫にある奴を飲んでくれ。蛇口か出る水はあまりない。風呂は別で保存しているから大丈夫だ。使わない部屋の電気は消してくれ。ぐらいか、何か質問はあるか?」

 

「ない、です…」

 

どちらかというと何となく返事したように感じられたが細かいことは置いておく。俺と生活していくならばしっかりと言うことを覚えて貰う。気になるなら言う。わからないなら聞く。この国は平和の国だがここは安全な環境では無い。実質自給自足生活をあまり甘く見ない方が良い。知識は自分でつけなければ苦しむのは自分だ。

 

「遭難したくなければ森には近づくな。何かあればその都度聞いてくれ。お休み。」

 

「おやすみなさい。」

 

ログハウスまでは一緒に帰っていた。

 

俺はそのまま自分の部屋に戻りすぐさまベットイン。

眠気がすごいというのは事実だ。体力を治療に使っているからだろうか。より一層疲れている。熊と格闘した時より疲れた。魚サバイバルした時くらい疲れた。もうベッドから動きたくない。というかベッドと一体化したい。

 

明日は買い物か……………面倒くさいなぁ………………………

 

 

 

 

 

 




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