転生TS娘ちゃんは転移系ハーレム親友勇者の気を引きたい 作:布団から出られない
勇者パーティに入ってから三ヶ月ほどの月日が経った。最初は慎二以外のパーティメンバーから白い目で見られたり、勝手にライバル認定されたりして中々馴染めなかったオレことミコトだったが、三ヶ月も一緒にパーティとして働いていると、パーティメンバーとの交流の機会もかなり多くあって、今ではこうして女子会を開くほどに仲が良くなったのだ。
オレことミコトと他の女性のパーティメンバーが仲良くなった理由なんだけど、これ、実はある意味ダースくんのおかげだったりするんだよね。あいつ、何故かオレが勇者パーティに入るって決まってから、取り巻きの2人を連れてずっと勇者パーティの後を付けてきてるんだよ。もしかしたら、未だに勇者パーティに加入することを諦めていないのかもしれない。
ただ、勇者パーティなんかに入るなよ、みたいなことを遠回しにオレに言いにきてたりもしたから、勇者パーティに自分が入りたいってわけでもないのかもしれない。どっちかというと、勇者パーティに入ったっていうオレのことが気に食わなかっただけなのかもしれない。まあ、ダースくんの動機なんてどうでも良い。
それで、何でダースくんがオレと勇者パーティの仲を良くさせた原因になったのかって言うと、ダースくん、オレへの当たりがやたら強かったんだよね。『やーい貧乳』だとか『男女〜!』だとか『ブス〜!』だとか、会う度に悪口をぶつけられた。もちろん、全部幼稚で、取るに足りないものではあったんだけど、毎日言われると心に来るもので……。
そんなオレを見た勇者パーティの女性陣が、ダースくんに対して敵対意識を持ち始めて……。
結果として、ダースという共通の敵を得たことで、オレと勇者パーティの女性陣の仲が深まることになったわけだ。
ある意味でダースくんには感謝しないといけないかもしれない。オレがダースくんからの悪口で凹んでいる時に、心優しき勇者パーティの女性陣はその豊満な胸でオレをハグし、慰めてくれたのだから。
ただ、ちょっと子供扱いされているなって感じることもあるから、複雑な気持ちだ。
いや、そりゃ子供なんだけどさ、前世と合わせればオレ、立派な成人だぜ?
まあ、そんなことは置いておくとして。
今オレ達が行っているのは、さっきも言った通り女子会だ。
最近は魔物がかなり多く、一匹一匹の個体も強目な部類のものが多いため、勇者パーティは多忙だった。だが、最近ようやくこうやって休める時間が取れるようになってきたのだ。
「シンジってほんっとカッコいいよね〜」
「ミリアちゃん、また勇者様のこと呼び捨てにして………」
「別にいいんじゃない? 魔王討伐に成功したら、私らには報酬として勇者様と結婚する権利が与えられるわけだし」
そう話すのは、オレと同じく勇者パーティメンバーの3人。
今この場にいるのは、オレの大親友、友田 慎二のことを『シンジ』と呼び捨てにし、長い金髪をツインテールにした
あと、おまけ感覚でひっついてるオレことミコト。胸はまあ……うん。他3人とは比べ物にならないくらい…………うん。
くそ………
ふざけやがって………。
それだけじゃない。なんと、あの
おかしい………。浮気じゃん。だめだよそんなの。慎二、お前の兎馬さんへの愛はどこへ行ったんだよ……?
「ねぇねぇ、ミコトちゃんはシンジのどこが好きなの?」
「はぁ!? す、好きって、別にそういうのじゃないし? いや、まあ、客観的に見れば? そりゃかっこいいんだろうなって思うけどさ」
「素直じゃないなぁ〜」
ミリアちゃん、自分が好きだからって、他の人もそうだとは限らないんだよ? まったく……。勝手にオレもハーレムの一員としてカウントしないで欲しいものだね。
大体、オレはあいつの好みを全部把握してるんだ。慎二が好きなのは、巨乳で、包容力があって、あと、たまにデレるお姉さんっぽいタイプの人で……………。
「オレ、全部当てはまらないじゃん………」
「当てはまらないとは?」
アレイシアさんがオレにそう尋ねてくる。
「慎二の好みにオレは当てはまらないなってだけ」
「あぁ! だから残念そうな顔をされてらっしゃったんですね!」
「は? してないが」
本当、色ボケばっかだな、この勇者パーティは。全部そういうことに当てはめないと物事を考えられないのだろうか? 学校で習わなかったのかな、パーティ内恋愛は禁止だって。不純異性交遊は良くないよ。大体、勇者パーティっていうのは魔王を討伐するためのものであって、間違っても勇者のお嫁さん候補になるためのものではないんだからね。
まあでも、仕方ないのかもしれない。ミリアちゃんはあの年齢だから、恋バナが大好きなお年頃だ。きっと、好きな人で盛り上がってキャーキャー騒ぎたいんだろう。アレイシアさんだって、見た目通り清楚で可憐な女性だ。きっと、今まで男と恋愛をしてきたことがなかったのだろう。キスどころか、手も繋いだことがないに違いない!
「まあ、安心しろよ。国王様に保証されてるから、私達は4人揃って慎二の妻になれる。皆一緒に家族になれるわけだしさ」
…………どうやらここにも色ボケが1人いたようだ。
言っておくが、オレはハーレムの一員になるつもりはないぞ?
背中を預ける気はあるが、自分の身を奴に捧げる気はないのだ。
「ところで、シンジの好みの女性ってどんなのなの?」
ミリアちゃんがオレに尋ねてくる。まあ、好きな男の好みが聞きたいのは、乙女として当然の反応だろう。よし、いいだろう。オレが慎二の攻略法をコーチングしてやる!
「まず、巨乳だ。あいつはでっかいおっぱいに弱い。とりあえずおっぱい揉ませれば、なんとかブベッ!!」
急にミリアちゃんが顔を真っ赤にしながらオレの頭を叩いてくる。いや、ごめんて、正直に慎二の好みを伝えてあげようとしただけで………、て待って待って! 武器取り出さないで!? それ魔物用の!!!!
「み、ミリアちゃん? そこまでにしておいた方が……」
「もう少し言葉選んでよ…‥」
アレイシアさんのおかげで、ミリアちゃんも落ち着いたみたいだ。にしても、ミリアちゃんかなりウブなんだなぁ……。女子会とかって、かなりエグい内容でも臆せず言ったりするって聞いたことあるから、これくらいなんてことないと思ってたんだけど、そうでもなかったらしい。
「それで、続きは?」
カレンさんが、オレに話の続きをするように促してくる。やっぱカレンさんも慎二のことが好きなんだな。
親友がモテるのはいいことだが、どうせならオレも男に転生してモテモテハーレムを築きたかったという思いがないわけでもない。まあ、叶わない夢を見続けていても仕方がないが。
「そうだな、巨乳に加えて、お姉さんっぽくて包容力のある、所謂大人の魅力って奴にあいつは弱い。あとは、知的そうな女性が好きだったりする。それに加えて、知的って部分とも被るんだけど、大人の余裕みたいなのがあるとより良いかな」
実際、前世でのクラスのマドンナで、慎二が好きだった兎馬さんは学年1位を常にキープしていて、全国的に有名な名門大学への受験を考えていたらしい。オレは死んでしまったので、結局彼女が名門大学に受かったのかどうかはオレには知るよしもないが、それでも兎馬さんが知的であったことは確かだ。慎二はそんな兎馬さんを見て、頭の良い人っていうのは憧れるなとか何とか言っていた。ちなみにその時奴の頬は赤色に染まっていた。つまりそういうことだ。
ちなみに、兎馬さんはクラスの委員長も務めていて、クラスメイト1人1人の面倒も見ていた。その姿は凛々しく、本当に高校生なのか疑うくらいに大人びていた。完璧超人って言葉がここまで似合う人物は、オレの知る限り彼女しかいないんじゃないかと思う。
あ、でも意外と兎馬さんの胸はミリアちゃんやアレイシアさんほど大きくはなかったかも。まあ、貧乳か巨乳かで言えば、巨乳なんだけど。
「うっ、大人の魅力、私にはないや……」
「私も、大人の余裕と言われると………」
「知的そうな女性、か………。勉強、始めるべきか……」
3人は、それぞれ悩み出す。ミリアちゃんは大人の魅力がないことで。アレイシアさんは大人としての余裕さがないことで。カレンさんは、知的さが足りないことで。
でも、一つ言わせてもらってもいい?
……この人達、全員胸の条件はクリアしてるんだよね。
慎二って、結局胸があれば誰でも好きになるからな? 中学生の頃も、そんなに関わってない子に胸だけで一目惚れしてたくらいだし。あいつ、ムッツリスケベだからな。
それに比べてオレは……。
「胸もない……大人の魅力も、余裕もない………周りからは、よくバカって言われるし………ぶつぶつ」
「み、ミコト? どうしたの、急にそんな暗い顔し出して………」
「ミコトちゃん、だ、大丈夫よ! きっと勇者様なら、ミコトちゃんのことだって……」
「そっとしといてやれ。私らが言っても嫌味になるだけだ」
慎二の奴、オレのことよくちんちくりんって言ってからかってくるしな……。ミリアちゃんに対しては、頭撫でたりとか、戦闘で上手く行ったりすると褒めたりとかしてる癖に、オレにはそんなの全然しないしな。いや、別にオレは親友だから? そういう関係性じゃないし、問題はないんだ。うん。問題はない。
いや、でも、あいつがアレイシアさんを目の前にしてちょっと胸見ながら赤面してるのは見ててイライラする。下心ありまくりじゃんって。それに、アレイシアさん一筋とかならまだしも、カレンさんにもドギマギしてることもあるくらいだ。本人はアレでハーレム作る気がないって言ってるとか嘘だろ。もういっそのこと吹っ切れてハーレム作ればいいのに。国王公認なんだから誰も文句は言えないだろうしな。
あーイライラする。何であいつが……。
「ミコトの奴、多分今慎二のこと考えてるぞ」
「あー。やっぱりこれ、嫉妬してますよね〜」
「うん。みたいだね」
3人が何か話しているが、オレは会話には参加できない。オレの脳内は今、親友への怒りで頭がいっぱいだからだ。
大体、オレは死んだのにあいつは何で転移で異世界にこれてるんだ? 不公平だろ。オレも男のまま異世界転移したかった。そんでもって、ハーレム作りたかった……。
大体、慎二の奴、ミリアちゃんともアレイシアさんともカレンさんとも仲が良くて、本当にオレの立場がない。
親友のオレというものがありながら、あいつは………。
昔は、異世界に来る前のあいつは、女になんてモテなかったし、何するにしてもいつもオレと一緒だったのに。
異世界に転生して、勇者になって、ハーレムができた途端にコレかよ。オレとあいつの友情はその程度だったってことか。
寂しい。
寂しいなぁ………。
「隠すにしても、分かりやすすぎるよね、ミコトって」
「ふふっ、照れ屋さんなんですかね?」
「ツンデレってやつなんじゃねーの? 私はあまり詳しくないけどさ」
ち、違う………。
オレが、慎二に女として好かれたいなんて、そう思うはずがない。
そう、これは、構ってもらえなくて、寂しいって思ってるだけだ。
オレの親友が、女にかまけてオレに構ってくれないのが、寂しいだけだ。寂しくて構ってもらって欲しいとか、口に出すのは恥ずかしいが、今のオレのこの気持ちを表現するならば、きっとそれが最も適切だろうな。
ただ、一つだけ確定事項があるとすれば。
オレが慎二に惚れてるわけじゃない。これは断言できる。
違うったら、違う。
そうだ、オレはただ。
そうと決まれば……。
「オレ、慎二にちょっかい出してくるわ」
思い付いたら即実行!
待ってろよ慎二…!
オレが絶対、お前のことドギマギさせてやるからな!
5ヶ月ぶりくらい……? ひぇ…