第8艦隊との合流前にクルーゼ隊の一人、ライデンによって奇襲を受けてしまったアークエンジェル。
そんな中、フィアースはとうとう「狂戦士」の牙を向き、キラは頭がクリアとなって、取りついていたブリッツを蹴り飛ばしイザークが駆るデュエルに致命的ダメージを与えた。
タイムリミットが来ていたライデン隊は撤退をすると、フィアースは機能を停止した。
だが、フィアースの覚醒には代償がついていた。
そして、大西洋連邦第17独立特殊部隊「タクスフォース・デルタ」もまた第8艦隊に近付きつつあるのであった。
-ザフト軍side-
ライデンはガモフの医務室の前に腕を組みながら、イザークの容態を気にしていた。ニコルとディアッカはモビルスーツ格納庫で、メカニックのメンバーと共に整備していた。
それから医務室の扉が開くと、ドクターが敬礼をしてライデンに挨拶するとライデンも敬礼を返した。そして本題に入る。
「ドクター、イザークの具合はどうなんだ?」
「そうですね。コクピット付近を狙われたのにも関わらず、生きていたのは驚きですよ。なんとか処置は終わりましたが、顔に傷がつきまして....」
「そうか。しばらくの間は前線から離脱させた方がいいな。」
「ええ、こちらも彼の容態を見ておきますので」
「ああ、頼むよ。俺は部屋に戻るから何かあればすぐに教えてくれ。」
「了解しました、ライデン副隊長」
ライデンは医務室から自室に向けて移動していると、ニコル・ディアッカと鉢合わせた。そして、イザークの容態を伝えると二人は安心していた。
それから自室に戻ると、机においてある資料に目を向けていた。そこに書いてあったものは、「フライングアーマー」と書かれていたサブフライトシステムだった。
ライデンはその資料を手に取りつつ、コーヒーを左手に抱えて飲みながら見ていた。
「このサブフライトシステム、確かヴェサリウスが持っていると聞いたな。無事に合流出来たら渡してもらうとするか。」
「それにしても。シルヴァが乗っていたモビルスーツ、あれは危険すぎる。まるで『バーサーカー』だな」
そう思いつつライデンは疲れを癒すために、私物のアロマキャンドルに火をつき、換気扇も起動させてクルーゼに先程の戦闘の情報をまとめてから眠りについた。
-ザフト軍side....end-
-アークエンジェルside-
医務室の一つのベッドに、首もとに包帯が巻かれているシルヴァが治療を受けて横たわっていた。それはそのはず、先の戦闘でキラが心配になりコクピットを開けると、彼は右目と鼻から赤い液体が流れていた。それを見た一同がすぐにシルヴァを運びだし、治療を受けさせていたのである。
当然、マードック軍曹もフィアースのコクピットがまた血だらけにたいして、「このモビルスーツ、何かあるんじゃねぇのか?」と疑問に思いつつ、メンバーと共に清掃し整備を行っていた。
「う、ウーーーン。ここは....?」
「シルヴァ!目が覚めた?」
「マリア、俺はどうして医務室に?」
「覚えてないの?あなた戦闘から帰ってきたと思ったら血を流してまた気絶していたのよ」
「まじかよ....。冗談じゃないぜ」
「動ける?まだ無理なら手伝うわよ」
「いや、動ける分には変わりはない。キラたちの元へと向かうよ。」
「そうね、行きましょうか」
シルヴァはベッドからゆっくりと立ち上がり、マリアに支えられつつキラたちの元へと向かっていった。そして、その道中シルヴァは外を見ると大量の艦隊が陣形を保っており、その中央に第8艦隊の旗艦「アガメムノン級メネラオス」がアークエンジェルを待ち構えていた。
「まさか第8艦隊に合流できたのか!」
「ええ、そうよ。私から見たら怖いけど」
「大丈夫だマリア。俺と一緒に行こう」
「ええ、シルヴァと一緒なら怖くはないわ」
マリアは不安になったものの、シルヴァの一言により心が和らいだ。そして、アークエンジェルはメネラオスの側に停止するとキラ達と合流した。そしてメンバー一同はアークエンジェルの右側のリニアカタパルトに集合していた。そう、メネラオスからはハルバートン閣下がやって来るのである。
マリューさんはシルヴァの容態を心配していたが、彼がサムズアップすると彼女は微笑んだ。無論、ムウさんもシルヴァの側に近づいて、肩を軽く叩いて喜んでいた。
そして、小型船からハルバートン閣下が現れるとマリューさん一同を敬礼をして迎え入れた。その後ろにはシルヴァとマリアも敬礼をしていた。マリアは事前にシルヴァから連合軍の敬礼の仕方を教わっていたので、なんとかなった。そして、ハルバートン提督はマリューさんと再会を喜んでいると、シルヴァとマリアに気づいた。
「む?マリューよ、あの二人は何者かね?」
「ああ、あの二人は一人は民間人で彼女は元ザフトレッドの捕虜です。」
「なんだと!?それは本当か!」
それを聞いたハルバートン提督は、その二人に部下のホフマンと共にシルヴァとマリアに近づいていった。マリアは不安そうな顔をするがシルヴァが彼女の右手を軽く握り、緊張を解していた。そしてハルバートン閣下はあることを聞いた。
「あー、君ら二人はモビルスーツパイロットかね?」
「はいそうです。自分は元ザフト軍ザフトレッドのマリア・ピースクラフトです。」
「自分はフィアースのモビルスーツパイロット、シルヴァ・ファウストです。彼女はルアルのパイロットとして、何回か共にアークエンジェルを守ってきました。」
「何!二人はフィアースとルアルのパイロットなのかね!?」
「はい、そうです。ハルバートン閣下」
「そうか。色々と話したいものだが。まずはアークエンジェルを守ってきたことに礼を言わせてくれ。そして、マリアさん。君に関しては複雑な心情ではあるが、この船を守ってくれて感謝する。」
「いえ、色々とありましたが。そう言われると心が救われます。」
「うむ、ではまたな」
「「はっ!!」」
それからハルバートン閣下は、マリューさんとともにこれまでの戦闘記録、モビルスーツパイロットの詳細を語っていた。シルヴァとマリアはというと、フィアースとルアルの調整を行っていた。そしてそこに私服のキラが現れたことを気づくと、シルヴァはキラに声をかけた。
「よぉキラ。どうしたんだ?何やら悩んでるな」
「あ、シルヴァさん。その話したいことがあって」
「ん?なんだよ。改まって」
「僕、この船から降りようと悩んでて。でも降りたところで元の日常に戻れるのかどうか分からなくて....」
「そういうことか。俺はこのアークエンジェルから降りるつもりはないぜ?」
「え!?ど、どうしてなんですか?」
「そりゃキラ、このフィアースを動かせれるのは俺しかいないし。それにこのアークエンジェルは人手不足だからな。少しでも戦力がいるだろうからな。だから俺は残る。」
「そうなんですか....」
「私も同じよ。降りた所でザフトに戻れるかどうか分からないから。なら私は出来ることをするだけよ。このアークエンジェルを守ることがね」
「マリアさん....」
二人の返答を聞いたキラは深く悩んだ。果たしてこのアークエンジェルから降りても良いのだろうか。自分が兄のように慕っているシルヴァが軍に残ると聞き、自分はどうすればいいのか分からなくなっていた。そんなキラを見ていたシルヴァは、彼の頭を撫でた。
いきなり頭を撫でられたキラは気恥ずかしくなり、シルヴァを見上げていた。
「まぁ、キラ。何が正解かは分からないけどよ。今のお前には守るべきものがいるんじゃないのか?」
「守るべきもの....ですか?」
「ええ、そうよ。キラ君にはトール達がいるじゃない。」
「あ....」
「なら、今すぐに答えを出さなくてもいいからゆっくりと考えればいいさ。」
「ありがとうございます。シルヴァさん、マリアさん」
キラは二人に言われ元気付けられると、モビルスーツ格納庫から離れていった。そんな後ろ姿を見た二人は肩を寄せ合いながら見守っていた。
(キラ。俺もアークエンジェルのクルーやマリア、トールたちを見放す事なんて出来ないからな。お前も焦る必要はない、俺はお前らと共にあるからな)
シルヴァは心の中で、自分なりの決意を見いだしてマリアと共にモビルスーツ格納庫から離れていった。それからというもの、アークエンジェルから離れていったハルバートン閣下は、旗艦のメネラオスに戻ると通信士から、ザフトの部隊が近づいていることを知らされると、すぐさまアークエンジェルを守るように陣形を変更し、クルーゼ隊を迎え撃つ体制に入った。
これが第8艦隊とアークエンジェル、クルーゼ隊との死闘が繰り広げられるのであった....
いかがでしょうか。
これから盛り上がってくるので、心からお待ちください!
次回
突如と第8艦隊とアークエンジェル、クルーゼ隊が青い星ををバックに死闘を繰り広げることになる。アークエンジェルを守りながら戦う第8艦隊に思わぬ援軍が来るのである。果たして第8艦隊の命運はいかに....
「メネラオスとアークエンジェルをやらせるわけにはいかん」
「舐めんじゃねぇ!俺の方が上なんだよ!」
「逃げ出した腰抜け兵がぁ!」
「よせ、イザーク!」
それでは次もお楽しみに、チャオ!