機動戦士ガンダムSEEDクロニクル   作:ガトー

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前回のあらすじ....
レジスタンスの拠点に合流したシルヴァ達はしばらくの間そこでとどまることになった。レジスタンスの「勝利の女神」と言われているカガリはキラとシルヴァと接触して彼らのことを知ろうとする。
フレイは、自分の役割を見つけるためにマリアと本心で語り合い新型の支援機「コマンドグラスパー」のパイロットに志願する。
ザフトでは夕べの「お仕置き」としてバルドフェルドはタッシルを焼くことを目標にし、ライデンもそれに従って町を降り立った。
タッシルの住民はフェンリルを見るや「悪魔」と叫び続けた....
それではお楽しみくださいませ


第十七話 燃えるタッシル

夜になりアークエンジェル一行と明けの砂漠達は、交流を通して食事をしていた。

そんな中、シルヴァを探している少女カガリが「ブルーコスモスの死神」アーサーに居場所を来ていていた。

 

「あ、あの!えっと、アーサーさん」

 

「ん?君は確かカガリだったね。どうかしたのか?なにやら誰かを探しているようにも見えるが」

 

「あの、シルヴァ....!じゃなくてシルヴァさんはどこにいるかわかるかな?」

 

「アイツか?今は止めといた方がいいぞ。」

 

「え?な、なんでさ!」

 

「今は恋人と月を見ながら語ってる。まさかそこに行くんじゃないんだろうね?」

 

「え、え!?あ、いや。わたしは別に邪魔するつもりは....」

 

「人の恋路を邪魔する者は、馬に蹴られて地獄に落ちるぞ~....」

 

「な、なんで私が馬に蹴られるのさ....」

 

「クッ、アハハハ!君はまだ初心(うぶ)だな」

 

アーサーは顔を赤らめているカガリを見てると、反応が面白いのか声をあげて笑っていた。その様子を見たレジスタンスとクルーは何事かと肝を冷やしていた。ただ一人を除いては。

笑いが収まった彼はカガリに近づくと、後ろにいたキサカが不安な顔で構えていたが、アーサーはニコッと笑みを浮かべてカガリの頭を撫でた。

咄嗟の出来事でカガリは思考停止し、キサカはというと鳩が豆鉄砲くらったような表情を浮かべていた。カガリはすぐに現実に戻り、アーサーの手を払い除けると顔を赤く染めながら怒り始めた。

 

「な、なにいきなり頭を撫でてるんだおまえ!!」

 

「いやいやすまない。君がまるで妹分のように思えてしまってね。つい頭を撫でてしまった。」

 

「わ、私をバカにしてるのかよ!」

 

「短気はよくないぞ?」

 

「うるさい!この!」

 

カガリはとうとう顔がトマトのように赤くなり、ビンタをしようとしたがアーサーは一歩下がり、彼女の額にシルヴァと同じように凸ピンをくらわした。

 

当然、カガリは「アウ!?」と女の子らしい声をあげて怯み、額を手を当てながらアーサーを睨んでいた。アーサーはそんなことは気にせず、再び笑ってアークエンジェルの方へと向かっていった。キサカはどこか肝を冷やしつつあの「ブルーコスモスの死神」がカガリと子供のように遊んでいる姿を見て、彼の印象が少しずつ変わっていた。

 

 

一方のシルヴァはマリアと共に、フィアースの右手のマニュピレーターの上で月を見上げてコーヒーを飲んでいた。

 

マリアはプラントで生まれた為、初めての地球で月を見れることが新鮮で目を輝かせていた。シルヴァはそんな彼女を見ると微笑ましくなり、軽く右頬に口づけをした。

 

「不意打ちはずるいわよ、シルヴァ」

 

「ごめんなマリア。あまりにも君が愛おしく見えてしまってね。」

 

「初めて地球に降りて月を見上げてる事なんて初めての経験者よ。それに恋人と一緒に見れてることにもね」

 

「マリア、それは....」

 

「ありがとう、シルヴァ。あの時私は死を覚悟していたのに、貴方を見たときまだ死にたくないと思ったの。アークエンジェルに捕虜になる際もどうして庇ってくれたの?」

 

「それは君がかつての俺の友達と瓜二つだったんだ。それにこんなに可愛い子が、あそこで死ぬには惜しいとそう感じたんだ。」

 

「誰かに似ていたの?」

 

シルヴァはふとマリアの質問に少し言葉が出なかったものの、すぐに彼女の質問に答えた。

 

「俺には『フィア』っていう友達がいてな。その子は誰にでも優しい子でメカニックの大天才で、親友のアーサーとアーカードとその四人でいつも行動してたんだ。」

 

「そうなのね。私がそのフィアって子に瓜二つだったの?」

 

「性格は違うし、髪色も違うけど君の顔を見たときその面影が重なったんだ。」

 

「ねえシルヴァ」

 

「ん?なんだマリ....ッ!?」

 

シルヴァはマリアに声をかけられ左を見ると、彼女の唇によって声を遮られた。数秒のキスを終わると、シルヴァは突然の出来事で左手で口を隠し、マリアは「フフフっ」と笑っていた。

そしてマリアはかなり動揺しているシルヴァの胸元に右手人差し指を突きつけてこういった。

 

「今は他の女の人の話は許してあげる。私はこう見えて独占欲が強いから。今日から私が塗り替えてあげるから、覚悟してねシルヴァ?」

 

「あ、ああ!わ、分かったよ。(とんでもない魔女を起こしてしまった!)」

 

シルヴァは目の前のマリアに対してそう思い、ふと空に目をそらすと、何やら「赤く」染まっていた。

シルヴァはすぐさまマリアとフィアースのコクピットに乗り込み、アークエンジェルの方へと向かうとアーサーが走っているのを見かけて、声をかける。

 

「アーサー!いったい何があったんだ!」

 

「どうやらレジスタンスの拠点、『タッシル』がザフトの攻撃を受けている!無論、レジスタンスのカガリやサイーブもそこへ向かった!」

 

「なんだって!?」

 

「シルヴァとマリアさんは、各々モビルスーツで待機しておけ!俺はナイトメアで彼らを追う!」

 

「分かった!アーサー、気を付けてな!」

 

「フッ、当然だ。」

 

「大丈夫なの?シルヴァ。アーサーさん一人で」

 

「アイツなら大丈夫だ。何せアイツは俺と同等の力を持っている。」

 

「なら良いのだけれど」

 

マリアはシルヴァにキスしてフィアースから降りると、すぐにパイロットスーツに着替えにいった。シルヴァは軍服のままでコクピットに待機していると、隣のナイトメアのコクピットが空きそこにアーサーが入っていった。

だが、アーサーは強化パイロットスーツを着けておらずすぐにレバーを握ってナイトメアと共にカタパルトに運ばれていった。

 

「ナイトメア、アーサー大尉発進どうぞ!」

 

「了解。アーサー・グレイ、ナイトメア出す!」

 

アーサーの声に共鳴するかのように、ナイトメアは赤い瞳を光らせタッシルに向けてロケットブースターを展開し、すぐにその姿は消えていった。

 

 

 

 

 

 

それからというもの、アーサーはあとからついてきたムウさん似合わせて速度を落とし、燃え盛るタッシルを上空から様子を見ていた。

 

「なんてこった、街がこんなにも燃やされてるなんてな....」

 

「ええ。しかしフラガ少佐、街から離れた所に住民達の姿が見えますよ。」

 

「な、嘘だろ?一旦降りて様子を見るか。いくぞ、アーサー!」

 

「了解」

 

ムウさんとアーサーは避難している住民たちに降りると、そこにはサイーブとカガリ、キサカや明けの砂漠の男達が妻と子供達が無事と確認すると抱き合っていた。数分後にナタル副艦長も到着し、街の惨劇を見た。

 

「どのくらいやられた?」

 

「死んだものはおらん。」

 

「何だと!?」

 

「最初に警告があった。『街を焼く、逃げろ』とな」

 

「死んだものはおらんが、これでは生きていけぬ」

 

「ふざけた真似を、どういうつもりだ虎め!」

 

サイーブは長老から被害がないと聞き驚いたものの、バルドフェルドのやり方に対して拳を握り、怒りを露にした。するとムウさんが口を挟む。

 

「だが手だてはあるだろ、生きていればさ?」

 

「何!」

 

「どうやら虎はあんたらとは本気でやり合うつもりはないらしいな」

 

「どういうことだ?」

 

「こいつは夕べの単なるお仕置きだろ、こんなことで済ませてくれるなんて随分と優しいんじゃないの?」

 

「何だと!」

 

ムウさんのその言葉を聞いたカガリは詰めより、感情的になって殴りかかろうとした。

 

「こんなこと?街を焼かれたことがこんなことなのか!」

 

「こんなことをする奴のどこが優しい!」

 

「あ、ごめんな。でもなあっちは正規軍だぜ?本気だったらこんなことじゃすまない事はわかるだろ?」

 

「アイツは卑怯な臆病者だ!我々が留守の街を焼いて、それで勝ったつもりか!我々はいつだって勇敢に戦ってきた!」

 

「この間だってバクゥを倒したんだ。だから臆病者で卑怯な事しか出来ないんだ。何が砂漠の虎だ!」

 

カガリは砂漠の虎を感情的に否定し反論すると、ムウさんは困って声が出せなくなっていると、その後ろで黙って聞いていたアーサーがとうとう口を開いた。

 

「『勇敢に戦ってきた!』だと?無謀の間違いじゃないのかカガリ?」

 

「な、何だと。我々の戦いが無謀だといいたいのか!」

 

「ああそうだ。フラガ少佐もいった通りあっちは正規軍だ。なおさら本気でやるとしたら、今ここにいる女・子どもはとっくに死んでる。」

 

「バクゥを倒したのはたまたま「フィアース・ストライク」がいたから倒せた、違うか?。でなければ今頃お前達はあの砂漠でとっくに埋もれている。おまえ達がやっているのは只の『戦争ごっこ』だ」

 

「ッ!!!キサマァ!」

 

「よせ、カガリ!!」

 

アーサーは言うことはあながち間違いではない。あちらは正規軍なので本気で戦うとなると、とっくに明けの砂漠団は全滅している。

カガリはその本心を射貫かれてなお激昂し、アーサーに向かって右こぶしに力を振り絞って殴ろうとしたとき、キサカは焦り止めようとした。だがその時カガリはすぐに顔を青ざめた。

アーサーは右腰に装備してあるリボルバーを引き抜いてカガリに突きつけていた。

 

「銃を突きつけられては手は出せまい、小娘」

 

「あっ....」

 

「お、おいおいアーサー!そんなもんしまえよ。ここで喧嘩したとろで何があるんだ」

 

「落ち着いてください、アーサー大尉!」

 

「....すみません。フラガ少佐にバジルール大尉」

 

「もうなにも言うまい。だが、覚えておけカガリ。今の君は気持ちだけで戦っているに過ぎない。それでも守れぬ物もある、そこは肝に銘じておくといい。いいな?」

 

「わ、私はそんなつもりは....」

 

アーサーは二人の上官に止められリボルバーをしまうと、涙目になっているカガリに一言言うと、殺気を押さえてカガリの頭をゆくりと撫でた。

カガリは先ほどのアーサーがよほど怖かったのか、頭を撫でられるとポロポロと涙が零れ出していた。ムウさんは安堵の息をもらしてアーサーの顔を見ると、彼の顔はどこか「哀しい」表情をしていることに気づいた。

 

(アーサー....お前さん本当は『優しい奴』じゃないのか???)

 

そうムウさんは心の中で想っていると、明けの砂漠のメンバーがバルドフェルド達のモビルスーツ及び車両の足跡を見つけると、すぐにサイーブを呼び出した。

 

「奴らはまだ街を出てそうたっていない。今なら間に合う!」

 

「街を襲ったあとなら弾薬も尽きている、俺たちは追うぞ!」

 

「馬鹿なことを言うな!そんな暇があるなら怪我人の手当てをしろ!女房や子供の傍にいてやれ!」

 

「それでどうなる、タッシルは終わりさ!家も焼かれ食料もない、女房や子供と一緒に泣いてろと言うのか!」

 

「まさか俺たちに虎の飼い犬になれと言うんじゃあるまいな?サイーブ!」

 

「う....」

 

「行くぞ!」

 

男達はサイーブに怒りを露にして口論を激しく広げていった。当然、タッシルには食料のほかにも弾薬もあり彼らの戦う準備がいつでも出来るように置いてあった。だが今は焼かれてしまい灰とかしている。

ならば自分達はその報いを受けさせるために砂漠の虎を足跡を追うことにした。

呆然としているサイーブの後ろにはカガリが近づいていた。

 

「行くのか?サイーブ」

 

「放っておけん。」

 

「サ、サイーブ!私も」

 

「ダメだ、残れ!」

 

サイーブの車両にのろうとしたカガリを押し倒し、残そうとしたがその後ろからアフメド・キサカの乗るバギーが現れて、カガリも搭乗し彼らを追っていった。

取り残されたムウさん達は彼らを見て呆然としていた。

 

「なんとまぁ。風も人も暑いお土地柄なのね」

 

「全滅しますよ!彼らの装備ではバクゥに立ち向かえる訳がない!」

 

「だよねぇ。どうするよ?」

 

「わ、私に聞かれても....」

 

「私が彼らの跡を追います。それとアークエンジェルに待機しているシルヴァに援護に来るようにしたらどうでしょう?」

 

「な、大尉自らですか。ですが....」

 

「まぁまぁ。俺たちはここの住民たちのサポートに回ってアーサーとシルヴァに行ってもらおうじゃないの」

 

「わかりました....。」

 

「アーサー、頼んだぜ?」

 

「任せてください」

 

アーサーはすぐにナイトメアのマニピュレーターに乗り込み、コクピットに入ると、AIのインテグラが彼に話しかけた。

 

「大丈夫ですか、アーサー?かなり感情が入り乱れてましたよ」

 

「別にいつも通りの事だ。それよりも彼らを追う。システムは問題ないな?」

 

「抜かりありません。いつでも使用できます。」

 

「わかった。上空に飛んだらすぐに『オーバーブースト』を起動させろ。タムリミットは一分だ。それだけあればバルドフェルドの本隊にたどり着く。」

 

「わかりました。」

 

アーサーはナイトメアのブースターを展開し上空に飛び上がる。そしてインテグラはすぐに『オーバーブースト』を起動させると、背面のブースターがもう一段階展開しあっという間にサイーブ達の跡をおっていった。

 

「くっ....!流石に強化スーツ着ていくべきだったか!」

 

「血圧共に心拍数上昇、内蔵にダメージが入っています。すぐにシステムを停止することを提案します。」

 

「構わん!このまま行く!」

 

アーサーの口の中は血の味で広がっていたが、気にもせずにナイトメアのレバーを強く握り彼らを追っていった。

 

 

それからムウさんはアークエンジェルのマリューさんに街の惨状と、明けの砂漠団がバルドフェルド達の跡をおっていった事、そしてアーサー大尉がナイトメアを駆って彼らの援護に向かったことを報告すると、マリューさんは頭を抱えていた。

 

「なぜ止めなかったんですか!それにアーサー大尉まで....」

 

「いやね止めたらこっちと戦争になりそうでさ、彼らを死なせないためにアーサーが一人でいったけど、あそこには『真紅の稲妻』もいるからやばいし」

 

「とりあえず、そちらにアークエンジェルの物資を送りますのでフラガ少佐対応をお願いいたします。こっちはフィアースを出撃させますので。」

 

「おう、頼むぜラミアス艦長!」

 

ムウさんからの通信が切れるとすぐにマリューさんは、モビルスーツ格納庫にいるシルヴァに出撃命令をだした。待機状態のキラとマリアは自分達には出撃命令が出ないことに驚きを隠せなかった。

 

「フィアースはリニアカタパルトへ。装備はフリューゲルストライカーを!」

 

「まさか俺に出撃命令を出すとはな。それにアーサーが一人で行ったのかよ....。持ちこたえてくれよ」

 

「システムオールグリーン。フィアース発進どうぞ!気を付けてくださいねシルヴァさん」

 

「よし。フィアース、シルヴァ・ファウスト出る!」

 

右のリニアカタパルトから出撃したフィアースは、X状のブースターを展開させて、夜の砂漠へと消えていった。

 

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朝方の砂漠ではバルドフェルド達の本隊がタッシルから戻っているところだった。ただ一人、ライデンはコクピットの中で街を焼き払ったことを思い出していた。

 

「バルドフェルド隊長のやり方に文句は言わないが。おそらくレジスタンスは怒り狂ってくるんだろうな。」

 

「死んだほうがましなのかもしれんな。食料もなければ。奴らは絶対に来るはずだ。あとはアークエンジェルの奴等がどう動くのか。」

 

そう思っていた矢先、レーダーにレジスタンスの反応が出てきたが、それよりも高速で移動する機影があると、モニターに写し出されていた。

バルドフェルドはすぐに応戦体制に入ると、彼の周りにバクゥ機が取り囲み、レジスタンスの攻撃を防いでいく。そしてライデンは高速で接近するモビルスーツに接近し、人形へと変形させて攻撃を仕掛ける。

 

「こいつはナイトメア!まさか『ブルーコスモスの死神』が援護に来たと言うのか!」

 

「その声、真紅の稲妻か!まさかまた戦えるとはな!」

 

「そうかい!だがおまえの相手は俺だ!」

 

アーサーはフェンリルのビームサーベルを避けると、すぐにシールド裏にマウントされてあるビームサーベルを引き抜き、応戦をする。ライデンは瞬時にビームサーベルを戻し、腕部に搭載されているビームブレードでナイトメアのシールドを切りつけていく。

アーサーはガードしつつ、イーゲルシュテルンで牽制し距離を離すとシールドからヒートロッドを伸ばしてフェンリルの左腕に巻き付けて引きちぎる。

 

「くそ、左腕を持っていかれたか!」

 

「貰ったぞ、真紅の稲妻!」

 

ヒートロッドで、フェンリルの左腕を引きちぎられたライデンは、すぐに体制を立て直そうとするも、すぐ目の前にナイトメアが接近し、ビームサーベルを振り下ろそうとしたその時だった。

 

 

SEED-覚醒-

 

 

目の前に迫り来る「死」に対して、ライデンの両目からハイライトが消え、残った右腕のビームブレードで受け止め弾き返し蹴りを入れた。

アーサーは体制をすぐに立て直し応戦しようとしたが、フェンリルの腰から突如と生えた「尻尾」により、手が出せないでいた。

 

「チッ、こうも手が出せないとは....。インテグラ、バーサーカーシステムを使うぞ!」

 

「しかし、強化スーツなしでは体がもちません。使用を拒否します。」

 

「大丈夫だ!タイムリミットをつければいい!五分間だけだ!」

 

「わかりました。システム起動」

 

アーサーはバーサーカーシステムを起動させると、ナイトメアはフェイスオープンし、「真紅」の排気ダクトがあらわになり各関節からは青い炎が出始めた。

ライデンはその姿に動じず、すぐにビームブレードを最大出力に設定し、腰から生えた「テイルブレード」の先端からビームブレードを展開させその矛先をナイトメアに向ける。

アーサーはナイトメアに右腰に装備してある「ハイパービームソード」を取り出し、お互いのビームソードがぶつかりつばぜり合いが起きた。

 

「やるな....」

 

「奴の動きが変わった。これはシルヴァと同じようだが、なおさら引くわけにはいかない!」

 

そうして両者は、つばぜり合いを終わらせ次で決めようとしたその時、レーダーに高熱源反応が向かってきているのがわかった。

それはナイトメアの方からで、一つはフェンリルにもう一つはレジスタンスに攻撃を仕掛けているバクゥに目掛けて飛んでいった。それはアークエンジェルから出撃したフィアースの攻撃だった。

 

「アーサー、無事か!!」

 

「ッ!?シルヴァ、援護に来てくれたのか助かる!俺の事はいい。それよりレジスタンスの彼らを助けに言ってくれ!」

 

「ああ分かった!」

 

「シルヴァ....?なんでお前が」

 

「よそ見している場合か!真紅の稲妻ぁぁ!!!」

 

アーサーはシルヴァにレジスタンスの援護に向かうように指示を出すと、ナイトメアのロケットブースターを展開させてフェンリルに急接近していく。

ライデンは急接近したアーサーに対して、ハイパービームソードをビームブレードで受け止めてテイルブレードをコクピットに向けて刺しに行った。

だが、アーサーは瞬時にシールドでガードをしテイルブレードを吹き飛ばす。それからアーサーは追撃しようとしたとき、モニターにはバーサーカーシステムのタイムリミットが限界を超えようとしていた。それは無論、パイロットとモビルスーツに危険が迫る合図だった。

 

「アーサー、これ以上は持ちません....!貴方とモビルスーツが」

 

「くそ、俺は止まるわけにはいかないんだ!」

 

「フェンリル、急接近!回避出来ません!」

 

「なッ!?」

 

「終わりだ、ブルーコスモスの死神....!」

 

ライデンはフェンリルのブースターを吹かせてビームブレードでナイトメアのシールドを切り裂いていく。

それからナイトメアの背後に周り、テイルブレードと組み合わせてブースターと「メガランチャー」を装備してある右肩をビームブレードで切った。アーサーはすぐにバックパックを切り離し、アーマーシュナイダーを取り出して距離をとって片ひざをついた。

まさに形勢逆転の構図になった。アーサーは決して侮った訳ではないが、システムのタイムリミットを設定しなければ『コーディネーター』に勝てたはずだった。だが相手は只のコーディネーターではない。ザフト軍のエースパイロット、「ジョニー・ライデン」に敗北したのだ。

 

「く、ガハァ!!ぐぁぁぁぁ!!!」

 

「アーサー!?体温、血圧と共に心拍数が上昇しています。これ以上の戦闘は継続不能です!」

 

「ま、まだ、まだだ!こんなところで止まれるか!」

 

「それ以上は戦えまい。」

 

「システムが使えなくともまだ戦える!」

 

ナイトメアと共にボロボロになったアーサーは吐血をしながらコクピットの中で叫んだ。彼はいつ死んでも覚悟はできているつもりだ。

だがそんな彼の心の中ではあの「四人」の顔が浮かび上がり、まだ死ぬわけにはいかないと再び悟った。

ライデンはアーサーの叫びを聞いたが、何も動じなかった。アーサーが乗っているナイトメアに近寄ろうとしたその時、一筋のビームライフルが二人の間を割いた。

 

「アーサー大尉、無事ですか!」

 

「な、何!?その声はキラ・ヤマト!」

 

「新手か。ストライクだと!?」

 

それはアークエンジェルから出撃したストライクだった。なんとシルヴァはアーサーの援護に向かう前に、キラも出撃させてほしいとマリューさんに頼んだのだ。

 

「シルヴァさんが『俺一人じゃ心ともないからキラも来い』と言われたので、ギリギリ間に合って良かったです。」

 

「そう言うことか....。(シルヴァめ相変わらずお人好しだな)」

 

「キラ・ヤマト?まさか....」

 

ライデンはオープン回線でストライクのパイロットの名前を聞いて動きを止めたとき、ナイトメアが立ち上がりストライクの前に立った。

 

「キラ君、ここは俺に任せてシルヴァの元へ行け。アイツ一人じゃ砂漠の虎には勝てん。」

 

「でも、アーサー大尉!ボロボロなその身体で....」

 

「心配するな。私はこう見えて悪運の強い男だ、早く行け!」

 

「わかりました。後ですぐに戻ります!」

 

キラはアーサーにそうやって説得されると、必ず後で戻ることを宣言してシルヴァの元へと、エールストライカーのブースターを吹かせていった。

アーサーは「フッ」と鼻で笑いつつ、モニターに写る「手負いの獣」を見つめていた。

 

「流石にこれ以上はお互い埒が空かないが仕方ないな。」

 

「どちらかが倒れるまでだ」

 

「なら名前を聞かせてくれないか?ブルーコスモスの死神よ」

 

「俺はアーサー。アーサー・グレイだ」

 

「そうか。私はクルーゼ隊の副隊長、ジョニー・ライデンだ」

 

「あのクルーゼ隊の副隊長か!。ならば行くぞライデン!」

 

「来い、アーサー!」

 

アーサーはナイトメアのツインアイを光らせてナイトメアのスラスターを吹かせてフェンリルに向かっていくと、ライデンはテイルブレードを収納し右腕のビームブレードのみで待ち構えたのだった。

 

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一方のライデンは戦闘の最中、レジスタンスの一人であるカガリをみて歯噛みしていた。それもそのはず、彼らの装備ではバクゥにいやモビルスーツに対抗できる筈がない。そんな彼らに怒りが隠せていなかった。

 

「チッ。こんな所で....無駄死にじゃないか!」

 

そんな風に思っていると、バクゥ「三機」がミサイルを一斉に放ってきた。シルヴァは右腕に装備している複合兵装「シェキナー」をミサイルとガトリングガン、ビームライフルでなんとか対抗する流れ弾を食らってしまう。

コクピットにはアラートが鳴り響き、急接近したバクゥの一機と衝突する。

 

「なっ!しまったぁ!」

 

「落ちろ、犬っころ!」

 

シェキナーで照準を合わせようとしたそのとき、右方向からミサイルが飛んできて怯んでしまう。地上に足をつけたとき、シールドモードになっているツヴァイヘンダーで、残りのミサイルも受けきる。

 

「嘘だろ、確か『三機』までのはずだ!」

 

「フォーメーションデルタだ。ポジョンをとれ!」

 

「隊長!!!」

 

そう最後はバルドフェルド専用のバクゥで彼が乗り込んでおり、部下と共にフィアースに向けて連携をとり体当たりをしていく。するとシルヴァの後方からストライクがやって来たが、「青」と「白」のカラーリングに塗装されたバクゥに行く手を阻まれる。

 

「シルヴァさん!くそ、邪魔をしないでくれ!」

 

「行かせてなるものかよ、ストライク!」

 

「キラ!こっちには来るな!」

 

シルヴァはそう叫び空中に飛び上がったが、バルドフェルドが行く手を阻み蹴られてしまう。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「やれやれ、ストライクまで来るとはねぇ」

 

「通常弾頭でも、76発でフェイズシフトは切れる。それにビームライフルも使えなくなる!」

 

「さぁどうするかね?フィアースのパイロット君!」

 

バルドフェルド達はフィアースが止まったところにミサイルを一斉に発砲した。

するとシルヴァにまたあの声が聞こえてきた。

 

貴方は死なない。私が守るから

 

「俺は....、俺は。俺は死なない!」

 

シルヴァはその声と共に『SEED』を発動させると、フィアースはそれに応じてゴーグルを格納し、フェイスを開閉させて「黄金」の排気ダクトを露にしてブースターを減速させてすべて避けきる。

レバーを前に押し倒しブースターを最大稼働させて、連携を続けているバルドフェルド立ちに突っ込むと同時に、シェキナーを切り離してバクゥの一体に当てて連携を崩す。

 

「な、何だと!?」

 

バルドフェルドは反転ししつつ、フィアースを見るとダクトは黄金に変わり、「青色」の炎をちらつかせて部下のバクゥのスラスターをツヴァイベンダーで切り落とす。

そしてバルドフェルドがミサイルを発砲すると、シルヴァはなんとフィアースを一回転させて砂を撒き散らしてミサイルを防ぎきる。爆煙に巻き込まれないよう部下のバクゥが飛び上がると、煙の中から左腕を「キャノンアーム」に変形させたフィアースが現れて、バクゥはビームキャノンによって打ち落とされた。

 

「このぉ!」

 

「ッ!?」

 

バルドフェルドは決死の思いでタックルを仕掛けたが、フィアースのツヴァイベンダーに右前足を切られてしまう。

 

「後退する。ダコスタ、ライデン君にも伝えろ!」

 

「あ、はい!」

 

「フッ、とんでもないやつだ。久しぶりに面白い」

 

バルドフェルドはそうやって感心し撤退していった。ダコスタから通信が入ったライデンはアーサーとの死闘を終らせてフェンリルを変形させて撤退していった。

 

「また会おう、アーサー」

 

「次は決着をつけてやる、ジョニー・ライデン」

 

アーサーは追撃をせず、次は必決着をつけることを胸に刻みその背中を見送った。そこにキラが駆るストライクが駆けつけて、アーサーはキラと共にシルヴァ達レジスタンスのいる場所へ向かっていった。

アーサーとキラはシルヴァ達に合流すると、コクピットからワイヤーを使って地上に降りていく。それからフィアースの前にカガリ達が集まって、フィアースのコクピットからヘルメットを脱いだシルヴァがカガリの前に立った。

 

「死にたいのかおまえ達は」

 

「ッ!?」

 

「こんな砂漠のど真ん中で何の意味もないだろ」

 

「貴様、見ろ!」

 

シルヴァの言葉に激情したカガリが襟首をつかみ、右人差し指で戦友のアフメドに指を指し、言葉を続けた。

 

「皆必死で戦った!戦ってるんだ!大事な物や大事な人を守るためにな!」

 

「いい加減にしろ、このバカやろう!」

 

「アッ!」

 

シルヴァはとうとう我慢ができなくなり、カガリに左頬にビンタを食らわした。キラとは驚きを隠せておらず、サイーブも開いた口が塞がらなかった。だがアーサーは今のシルヴァを久しぶりに見て冷や汗をかいた。

 

「気持ちだけで一体何が守れると言うんだ!」

 

「ッ........」

 

カガリの目は今にでも泣きそうな顔をしていたが、シルヴァは気に止めずしばらくにらみ続けたのだった。




どもお久しぶりです。ガトーでございます。このところ仕事が忙しく投稿が遅れました、すみません( ;´・ω・`)
いかがでしょうか?かなりオリジナル展開を広げていけたと自分では思っています。特に戦闘ではまさかのフェンリルとナイトメア。バルドフェルド専用バクゥとフィアースという異色のコンビとなりました。(ジージェネ要素かな?
これからどんどん書いていきますので、感想やいいねお待ちしております!
次回は各陣営のオリジナルモビルスーツの解説をしていこうと思います。でも解説だけでは物足りないので、何かしらストーリーを書こうと思います!
それではまたチャオ!
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