機動戦士ガンダムSEEDクロニクル   作:ガトー

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前回のあらすじ....
「明けの砂漠」の拠点であるタッシルが燃やされてしまい、レジスタンスの男たちとカガリ一同は激昂し、バルトフェルドの跡を追いかけていった。
彼らを見殺しにしないべくアーサーとシルヴァ、キラの三名がバルトフェルド隊のバクゥとライデンの駆るフェンリルと戦闘を繰り広げ、シルヴァが駆るフィアースは覚醒の片鱗を見せた。
戦闘が終わり、シルヴァがカガリの前に立ちはだかると、口論になり初めて怒りをあらわにしたのであった。
そんな彼らの裏で特殊部隊「タクスフォース・デルタ」は新たな力をブルーコスモスの盟主から与えられ、月面基地である提案を出し実戦テストを行うことになった。


第十八話 ブラックハスター

-連合軍side-

月面基地プトレマイオス基地にて

地球連合軍特殊部隊タクスフォース・デルタ旗艦「タナトス」のモビルスーツ格納庫にてアーカードがある情報を耳にし、メカニックの胸ぐらをつかんでいた。

 

「何だって!?あのプロトタイプの三機を壊すのか!?」

 

「お、落ち着いてくださいよ、隊長!まだ決定じゃありませんから....」

 

「落ち着いていられるか!くそ、あの女王様に話をつけてやらぁ!」

 

「ヤバイ、ヤバイ!皆で隊長を止めて!!!!」

 

「アルトリアさんも呼んできてくれ!」

 

激昂したアーカードを止めるべく、メカニックマンとチームメンバーの部下が必死に止めようとするが抵抗虚しく吹っ飛ばされてしまった。アーカードは手すりに掴まった瞬間、目の前にはあの「女王様」が三人を引き連れて歩いていた所だった。

アーカードはすぐに視認するとアズラエルは激昂したアーカードの様子を見て呆れていた。

 

「何をそんなに怒ってるんですか、アーカードさん?貴方は一個の部隊長なのにその様では勤まりませんよ?」

 

「余計なお世話ですよ。それより理事に聞きたいんだが」

 

「プロトタイプの三機の事なら大丈夫ですよ。せっかくのモビルスーツを解体させるものですか。ちなみに後ろの三人の専用機『レイダー・カラミティ・フォビドゥン』が生産されたのであげますよ?そのプロトタイプ」

 

「は?。ほ、本気ですか?」

 

とっさのアズラエルの発言により怒りが急激に静まったアーカードは開いた口が塞がらなかった。無論その後ろにいたチームメンバーとメカニックマン達も動揺であった。そんな彼らの驚いた顔を見たアズラエルとその後ろにいる三人「シャニ・オルガ・クロト」はクスッと笑った。

 

「上の方達と話したので大丈夫ですよ。だから貴方の部隊に入れてくださいね?名前も変えてね」

 

「な、なんだか調子狂うな....。了解ですよ」

 

「聞いたかお前ら!プロトタイプ三機は俺たちの部隊に入るぞ!メカニック、整備を怠るなよ!」

 

「了解です、隊長!」

 

「では私は艦長に会いに行くので。ファイル渡しますので目を通して下さいね、アーカードさん?」

 

「はいよ、アズラエル理事」

 

「また後でな、シャニ」

 

「うん、またね兄さん」

 

アズラエル理事はプロトタイプの三機のデータが記されているファイルをアーカードに渡すと、レナト艦長の元へと歩き始め、アーカードはシャニと目が合うと互いに一言いいながらその場を後にした。

 

アーカードは例の「純白」のプロトタイプの三機の目の前に立ちファイルを広げながらメカニックマン達と意見を交換しながら機体調整の指示を出していた。

それからチームメンバーから連携が取れる「三人」を選び出し各々のモビルスーツの前に立たせた。

 

「よし、レイヴン・アイザック・マギ。今からお前らはプロトタイプの三機のパイロットだ。お前らの連携行動ならその機体を使いこなせるだろうがな。期待するぜ?」

 

「「「はっ!」」」

 

「あの、隊長。この三機には何かしらコードネームはないのでありますか?」

 

「安心しろ。まずプロトレイダーは『ガンダムコルニクス』。そんでプロトカラミティは『ガンダムクリーク』、最後のプロトフォビドゥンは『ガンダムラモール』だ。異論はあるか?」

 

「めちゃくちゃ格好いいですね!」

 

「ラモール....。私のは死神って訳ね。なら白じゃなくてカラーリングも変えないと」

 

「クリークか、いかにも戦いが好きそうな機体名だな。」

 

「ああ、お前ら三人の好きにしろ。無論、武装もなにもかもな。終わったら特別に実戦テストをするぞ。いいな?」

 

「了解です。隊長と一戦交えるのは心が踊りますね」

 

「ハッ!大口叩くのはいいがなレイヴン。三人に言っとくが俺を殺す気で来い。」

 

三人は自分専用のモビルスーツを与えられると、アーカードは実戦テストを彼らに提案した。三人はその提案をすぐに聞くと、目付きが代わり無言のまま頷いた。彼らにとって隊長であるアーカードと戦える事が喜びであったからである。

アーカードは三人が頷く事を確認すると自身のモビルスーツを改造させるために情報を得るためモビルスーツドックを後にした。

 

数分たった頃、アーカードはアズラエル理事の部屋に入室しておりそこではプロトタイプを相手をするため、ランサーの強化案について話をしていた。

 

「アズラエル理事。俺のランサーはあなたが見せてくれたファイルに強化案があったんですが、すぐに取り付けることはできますか?」

 

「ランサーのですか?たしかにパーツはありますが。貴方の体がどうなるか分かりませんよ?」

 

「ぶっ壊れてもいいさ。何せ俺たちは『モルモット部隊』と言われているんだからな。」

 

「それほど自信があるんですね?わかりました。すぐにランサーを強化させます。ただし乗る前にあの三人と同じようなパイロットスーツを着てくださいね?」

 

「ほう。珍しいことを言いますね。」

 

「勘違いしないで下さいね?私にはアーサー君がいますから。貴方がどうなろうと知った所ではありませんけど....。あの子には必ず人一声かけてくださいね?」

 

「シャニの事か、任せてくれ。随分と優しいんだなアズラエル理事」

 

「一言多いですよ、アーカードさん。さ、私も忙しいのではやくいってくださいな」

 

「失礼します。」

 

部屋から出たアーカードはアズラエル理事の前で対等に会話し、ランサーの強化が出来ることを喜んでいた。しかし、あのアズラエル理事が何やら優しかったり、心配している姿を思い出していると、何か変な冷や汗が出たのは言うまでもない。

モビルスーツドックの所まで足を運んでいると、前方から副隊長のアルトリアが現れて少しだけ今回の「実戦テスト」について話をし始めた。

 

「隊長!何を考えてるんですか、行きなりあの三人の実戦テストを行うなんて。しかも殺す気で来いとか言って馬鹿じゃないですか?」

 

「アルトリア。俺はいつだって真面目だぜ?むしろあの三人がプロトタイプを扱えないようじゃ、女王様から貰った意味がないからな。だから実戦テストを行うんだよ。」

 

「でも隊長!。あの三人は『戦闘用コーディネーター』ですよ!いくら何でも隊長でも....」

 

「なんだ、それで止めようとしてるのか?安心しろ、あの三人は俺の事を信頼してるし、俺もアイツらを信頼してる。」

 

「隊長....。この際言いますけど貴女は戦う事が好きなんですか?」

 

アルトリアの変な質問に対し、アーカードは声を高らかにして笑い始めた。先程までは隊長の身を案じていたが、次第に疑心暗鬼となりアルトリアは心の奥底にしまってあった質問をした。

アーカードは笑いを押さえると、アルトリアの目を見ながら返答をした。

 

「俺は戦士でもあり兵士だ。戦いでこそ生きている実感が得られる。こう言ってしまえば納得するか?」

 

「つまり隊長にとってこの実戦テストというのは....?」

 

「ああ、戦いそのものだ。だから俺の事を殺す気で来いと伝えたんだ。そうでもしなければアイツらは本気でやろうとしないからな」

 

「だから戦場に出たら毎回口が悪くなるんですね?。今なら納得しますよ」

 

「クハハハハ!そう言うことだ。まぁタナトスのデッキから見ておけ。俺とアイツらの『戦い』をな」

 

「わかりました。くれぐれも、ボロボロで帰ってこないで下さいね!」

 

「任せておけ、死んだら明日からお前がタクスフォース・デルタの隊長だ。」

 

「そんなブラックジョーク、洒落になりませんから!」

 

アルトリアはアーカードの答えを聞くと、自分なりに納得した。自分達の隊長は戦いが好きだと言うことに驚きはしたが、今は戦争中のため、他にも聞きたいことがあったが後にした。

アーカードはそんなアルトリアの右肩を二回叩き、モビルスーツドックの方へとむかった。そこにはロングダガークライトとデュエルダガーヴぇステートの計5機が並んでおり、その奥には「漆黒」の追加装甲が施されたランサーがたっていた。

 

「こいつはランサーなのか?」

 

「ランサーじゃなくて、ブラックハスターっていうなんだってさ」

 

「シャニ!?いつの間にいたんだ」

 

「さっき着いた所。アーカード兄さんのモビルスーツなんか怖いよ」

 

「怖いのか?」

 

「うん。なんか形がまるで『黒い鳥』みたいでさ」

 

アーカードは自身のモビルスーツを眺めていると、後ろからシャニが現れてランサーの新しい名前を耳にした。

そんな「ブラックハスター」をシャニは黒い鳥と言い表しており、アーカードも自然と納得がいった。アーカードはシャニを自分の傍に抱き寄せて頭を撫でてあげた。シャニは照れながらもアーカードの顔を見つめてキスをした。

 

「アーカード、テスト気をつけてね?」

 

「おう、任せておけ。俺はアイツらの隊長でもあり、お前ら三人のサポーターだからな」

 

「知ってるよ。帰ってきてね」

 

「ああ。それじゃタナトスのデッキに行ってこい。そろそろ始まるからよ」

 

「うん、分かった。またね」

 

アーカードはシャニを強く抱き締めてから更衣室に行き、アズラエル理事が指定した強化スーツを身に纏って、ブラックハスターのコクピットへと乗り込んだ。タナトスは戦闘形態へと変形し、右のカタパルトから「コルニクス・クリーク・ラモール」が出撃していく。

無論左カタパルトからは記録を残すため「EWACダガー」が出撃していき、アーカードの番が来るとレバーを握り直しコクピットハッチに取り付いているメカニックが話しかけてきた。

 

「アーカード隊長!そのブラックハスターの能力は未知数です!絶対に無理しないで下さいね!」

 

「フン、そのつもりではいるぜ。ありがとうな。」

 

「え、あ、はい!」

 

「何で驚いてんだ?」

 

「い、いえ!ではお気をつけて!」

 

「そんじゃ、メカニックどもは離れてな!」

 

「GATX-01BF.ブラックハスターカタパルトへ!」

 

モビルスーツドック内にオペレーターの声が鳴り響くと、ブラックハスターのコクピットが閉じると同時にメカニックマン達も離れていき、巻き込まれないよう退避を始めた。

アーカードはコクピット内で「鼻歌」を歌いながら月面のクレーターを見つめて、気分を切り替える。

 

「ブラックハスター発進どうぞ!隊長、無理しないで下さいね」

 

「おう、ありがとうな。よし、ブラックハスター行くぜぇ!」

 

メインカメラを赤く光らせ、カタパルトから射出された「黒い鳥」は、背中のブースターとサイドアーマーのサブブースターを展開し、三人の所にいる場所まで一気に加速して向かっていった。

 

先に出撃していった三人はコクピットの中で深呼吸を繰り返していた。今から自分達が行うのは模擬戦でもなく、実戦テストを行うのだ。だがこの緊張感はただの実戦テストでは出てくるものではない。

それもそのはず、今回の相手はタクスフォース・デルタの最高戦力で自分達の隊長である「アーカード・ワイズマン」が相手なのだから。

 

「前方より高速で接近する機影が来たわよ」

 

「おいおい、どうなってんだ?隊長のランサーって何か特別装備でもあった?」

 

「いや、ランサーには強化プランがあるとは何も聞いてはいない。二人とも気を引き締めろ。『殺す気で来い』とアイツは言ったからな。」

 

「その通りだアイザック。」

 

「な、何!?」

 

マギがモニターにて「ランサー」が接近することを伝えると、レイヴンは軽く受け流し、アイザックは冷静に対応していると、アーカードの声が通信から聞こえ三人はすぐに声の方向へとモビルスーツを向ける。

彼らが見たランサーは「105ダガーのような見た目」と認識していたが、今自分達に向かってきているモビルスーツはそんな面影はなく、まるで「鴉」のように思えた。

それからアーカードはブラックハスターのブースターで姿勢制御をとり、三人の前に立ちはだかった。

 

「遅れた、わりぃな」

 

「た、隊長。その機体は一体....!?」

 

「ラ、ランサーじゃないのかよ!」

 

「まさか、それがランサーにとって『本当の姿』と言うことか?」

 

「二人はやっぱり動揺するじゃねぇか。それとアイザック、その答えは正解だ。ランサーにはあったんだよ。」

 

「なるほど。それで『殺す気で来い』と俺たちに言ったんだな。」

 

「そういうことだ。」

 

三機の白いプロトタイプと漆黒のブラックハスターが合間見えると、両者にタナトスの戦艦ブリッジから艦長である「レナト」から通信が入った。

 

「四人とも持ち場に着いたようだな。ではこれより『コルニクス・クリーク・ラモール』と『ブラックハスター』の実戦テストを行う。火器の使用は制限無し時間は10分。以上だ。」

 

「さて、心の準備はいいか三人とも?」

 

「はい、隊長。大丈夫です」

 

「なら行くぜぇ!」

 

アーカードの言葉の合図により、四機は各自のブースターをフル展開させて距離を保った。

だがアーカードはコクピットにアラートが鳴り響くのを確認すると、自分の目の前に「ビームシザース」を構えたラモールが振りかざすが、アーカードはすぐにペダルを踏み直し、無茶振りな機動で回避をしてラモールのコクピットへと蹴りを入れる。

 

「避けられた!キャアァァァ....!」

 

「いきなりの強襲悪くはないぜ、マギ!」

 

「そこだ、当てる!」

 

「チッ!当たるものかよ!」

 

後方より、変形したコルニクスが「スキュラ」と「ビームライル二丁」をブラックハスターにめがけて発砲する。だがアーカードのとっさの判断によりスキュラを回避し、両腕に装備してあるビームライル「大型ビームアサルトライフル×2」でビームライルを相殺する。

 

「やるじゃねぇか!俺を後ろから撃とうするなんてな!」

 

「へへっ!まだだぜ隊長!」

 

「何!?」

 

「落とす」

 

感心しているうちにコルニクスの後ろから現れたアイザックバックパックに装備されているキャノン砲「シュラーク」二丁をブラックハスターに向けて発砲した。

アーカードはさすがに回避を諦め、ブラックハスターの増加装甲で受け止め体制を崩すが、各所のブースターをこまめに吹かして体制を立て直した。

 

「何、ラミネート装甲をつけているのか?」

 

「あっぶねぇな、アイザック!だがいい連携だ!」

 

「お前ののモビルスーツもなかなか厄介だがな」

 

「それならこっちも本気を出さねぇとな!」

 

「アイザック、レイヴン。そのモビルスーツから距離をとって!」

 

「マギ!?どういうことだよ!」

 

アーカードはパネルで何か操作すると、ブラックハスターの各装甲が開き、そこから「オレンジ色」の排気ダクトが露になり、頭部に追加されたセンサーが真ん中から開閉し、「赤色」の複眼を光らせてアイザック達を驚かせた。

 

「な、何だよあれ!」

 

「分からないわよ、あんなシステム初めて見るわ」

 

「レイヴン、マギ。油断するな!」

 

「「了解!!」」

 

「クハハハハ!いい感じだなこりゃあ!さぁまだ時間はある、楽しませてくれよお前らぁ!!」

 

「おまえはいつもそうだな、アーカード。」

 

アーカードは高らかに笑うと、「覚醒」状態のブラックハスターの全スラスター及びブースターをフルスロットルに展開して距離を取った。

残された三人は連携をとるため、クリークはコルニクスの翼に足を固定させて、ラモールは「高速強襲モード」へ姿を変えて三機は跡を追いかけていった。

 

アーカードはバックパック、脚部及び肩部のミサイルコンテナからマイクロミサイルランチャーを三人に向けて発射した。

迫り来るミサイルの雨をアイザックは瞬時にコルニクスのバックパックから離脱し、レイヴンは「ミョルニル」を鞭のように回転させてミサイルランチャーを全弾防いだ。

 

ミサイルランチャーの爆煙から現れたラモールは、「ビームサイズ」を、「ビームナギナタ」に変形させ腕部から「イーゲルシュテルン」を発砲しながらアーカードにビームナギナタを振り下ろした。

両腕に武器を持っている状態でビームサーベルを持っていないことに目をつけたマギはそう判断した。

 

「とりましたよ、隊長!」

 

「いいや、まだとれてねえぞマギ!」

 

「え....!?」

 

「両腕は塞がれてるが、ビームサーベルは持ってんだよ!」

 

「嘘でしょ!」

 

アーカードはその言葉の通り、左腕部に装着されているビーム発生器「ビームソード」でビームナギナタを受け止めた。

しかし、ブラックハスターのビームソードは出力が最大まで強化されており、ラモールのビームナギナタは威力負けしており、せいぜいつばぜり合いを起こすくらいだけであった。

二、三度つばぜり合いをした後、体制を崩したラモールのコクピットと大型ビームアサルトライフルの銃口を向けた。

すると、ブザーがなりマギのモニターには「撃墜されました」と表記が現れた。

 

「くっ!悔しいけど負けてしまったわ。」

 

「お前にしてはよくやった方だ、マギ、」

 

「ありがとうございます、隊長」

 

「おいおい!まだ俺達二人が残ってるぜ!」

 

「そうだったな!マギ、お前はこの場所から離れて見てろ」

 

「はっ!」

 

マギはそう指示されると、EWAC105ダガーの元へとブースターを吹かせてその場を離れると同時に、レイヴンが突撃しその後ろからアイザックが「シュラーク」で援護していた。

アーカードはアイザックの攻撃を「少し」受けながらも、レイヴンの駆るコルニクスと正面対決に持ち込むと、レイヴンはとっさに口部にあるスキュラを発砲したが、アーカードはそれを事前に避けてキックをいれる。

 

「ぐぁぁ!でも、まだ終わっちゃいないぜ!」

 

「レイヴン、援護するからお前は一気に叩け!」

 

「了解っす、アイザックさん!」

 

「クハハハハ!やるじゃねえか、二人とも!」

 

アーカードは笑いつつ、レイヴンがすぐに体制を整えアイザックの援護と共にブラックハスターへとブースターを吹かせた。

そして、右手にある「ミョルニル」を回しながらアーカードに向けて振りかざすと、その一芸がブラックハスターの左腕部へと直撃しビーム発生器はペットボトルのように破壊され、アーカードは爆発する前に瞬時に切り離した。

 

「いってぇな、レイヴン!だが良いところを突くじゃねぇか!」

 

「へへっ!そりゃどうも、隊長!」

 

「まて、レイヴン!気を緩めるな!」

 

「あ、しまった!?」

 

「これでビームサーベルを使えないと思ったか!」

 

隊長に褒められたレイヴンは「一瞬」動きを止めた事を、モニターで確認したアーカードは、大型ブースターを最大まで吹かしてコルニクスの懐へと突っ込むと、左手に装備されてある大型ビームアサルトライフルの銃身が変形し「ビームサーベル」が展開される。

レイヴンは突っ込んできたブラックハスターに驚いて、スキュラで対抗したがエネルギーの警告が鳴ると同時に、モニター画面に「撃墜されました」と表記が現れ、レイヴンはヘルメットを脱いで悔しがった。

 

「くっそぉ!!!!銃が変形してビームサーベルになるなんてありなのかよ!!」

 

「クハハハハ、油断するんじゃねえよレイヴン。いつ敵がどんな武器を使うか分からねぇからな?」

 

「まぁ確かにそうっすけど!」

 

「ほら、さっさとマギの所へと行ってこい。」

 

「了解っす!」

 

「さて、後は手前だけだアイザック」

 

「最初からそれが目当てじゃないのか?、アーカード。」

 

「バレたか?クハハハハ!」

 

「全く、お前と言う奴は」

 

レイヴンは残り少ないエネルギーを気にしつつ、マギの所へと向かっていくと、残されたアーカードとアイザックは機体を向きあっていた。アイザックは今回のテストが単なる「実戦テスト」ではなく、アーカードが自分と戦うために今回のテストを引き起こしたのだと。

アーカードはアイザックに指摘させると、ヘルメットを脱ぎながら正直に答えると、アイザックは心の中で「バレバレだ」と思いながらため息をついた。

するとEWAC105ダガーから通信が二人に入った。

 

「お二人とも、残り時間一分です!最後まで頑張ってくださいよ!貴重な戦闘データになるので!」

 

「だそうだ、アーカード。あと一分だがどうする?」

 

「んなもん決まってる、最後まで戦いを続けるだけだ!」

 

「だろうな。こちらもエネルギーが少ないがやらせてもらう」

 

「上等だ、お前とは一度ケリをつけなけりゃな!」

 

「フッ。これ以上言葉は不用か?」

 

「いらねぇよ。行くぜぇアイザック!」

 

「了解。目標タクスフォース・デルタ隊長アーカード・ワイズマンを撃破する。」

 

タクスフォース・デルタの最高戦力である、アーカードとアイザックは同時にブースターを吹かせて距離をとり、先にアイザックは右手に装備しているRFW-99 ビームサブマシンガン「ザスタバ・スティグマト」を連射しつつ、左手に装備している実弾の「大口径ガトリングガン」でブラックハスターへと発砲していった。

 

とうとう本気を出したアイザックに、アーカードは内心喜びつつマシンガンとガトリングの猛攻を、稲妻のような軌道で回避しつつこちらも残りのミサイルランチャーで応戦する。

 

「とうとう本気を出したか。この『白い閃光』が!」

 

「どの口が言ってるんだ。この戦闘狂め」

 

「褒め言葉として受けとるぜ、アイザック!」

 

「すぐに終わらせる」

 

「やれるもんなら、やってみるんだな!」

 

アイザックは脚部のスラスターとバックパックのスラスターを同時に起動させて、月面をまるで「ホバー移動」するかように、こまめにブースターとスラスターを吹かせてミサイルランチャーの追撃を避けていくと、背部にある「シュラーク」を切り離して、エネルギーの事を一切気にしていないように、ブースターを最大まで展開し、ブラックハスターへと接近していった。

 

アーカードも同じく、機体を軽くするためすべての装甲をパージし「緑色」のツインアイを光らせて、大型ビームアサルトライフル一丁とサイドアーマーに装備してある「ビームサーベル」を手に持ち、待ち構えた。

 

アイザックはブラックハスターがパージしたことを確認すると、ガトリングガンを捨てて、フロントアーマーに予備として装備されたビームサーベルを手に取り振りかざすが、アーカードも同時に振り上げるとつばぜり合いになり両者は睨み合った。

アイザックは「ランサー」のビームサーベルを振り払い、コクピットへとキックを入れて怯ませる、ビームサーベルをコクピットに近づけた瞬間、ブザーが鳴り響き実戦テストの終わりを告げた。

 

「終わりだ、アーカード」

 

「アイザック、よく見てみな。今回は引き分けだぜ」

 

「何?」

 

アイザックは引き分けと言われモニターをよく見ると、自身のコクピットへ大型ビームアサルトライフルの銃口が向けられていた。すぐに引き分けと言われたことを理解し、アイザックは冷や汗をかきながらもアーカードを称賛した。

 

「流石だな、アーカード。」

 

「当たり前だ。けどな殺す気で来いとは言ったが本気で俺の事を殺しに来やがって!」

 

「俺は言われただけの事をしただけだ。問題はあるまい」

 

「ケッ!まぁそこはお前らしいぜ。そんじゃ帰るか俺達の家に」

 

「そうだな。」

 

アイザックとアーカードはお互いの機体で握手をすると、レイヴンとマギのいる場所へと向かっていると、アーカードはアイザックに、たいしてある提案を持ちかけた。

 

「アイザック、その機体とあの二人は任せるぜ。俺は例の三人を奴の代わりに見ないといけねぇからな。」

 

「分かった。あの二人は俺が鍛えるとしてたまにはお前も手伝えよ?」

 

「手伝うに決まってるだろうが!」

 

「なら、安心だ。」

 

「レイヴン、マギ。さぁ帰るぞ、タナトスへ」

 

「「了解です!」」

 

「あ、おい。ダガーのパイロットもな」

 

「え、あ、はい隊長!後で戦闘データ送りますね」

 

「んなもん後にしてくれ。今は疲れた」

 

アイザックの呼び掛けにレイヴンとマギは元気に返事すると、ボロボロになった機体を動かしてアイザックの後ろを付いていった。

勿論アーカードはすべての戦闘データを収集していたEWAC105ダガーの女性パイロットも呼び出しタナトスへと全員戻っていった。

 

タナトスに戻った彼らはチームメンバーから称賛の声と応援のメッセージを受けており、モビルスーツ格納庫は賑やかになっていた。無論、そこには副隊長のアルトリアと「三馬鹿」の一人であるオルガがその場におり隊長と激闘を繰り広げた三人を労った。

 

アーカードはというと、ランサーから直ぐに降りてメカニックにブラックハスターの問題点と戦闘データを渡して自室のシャワーを浴びてベッドに寝転がっていた。

するとそこにシャニが乱入し、動揺したがハグするような形で抱きしめて一緒に就寝することにした。

 

「お疲れ、アーカード。」

 

「ああ、疲れちまったシャニ。」

 

「ゆっくり休んで?」

 

「そう....させ....てもらう....」

 

「兄さんの寝顔可愛いね。」

 

子供のように疲れはてたのか、アーカードは言葉が途切れて寝落ちする。その顔をみたシャニは愛しく思ったのか、唇に優しく接吻して自身も眠りについた。

 

タナトスの艦長であるレナトはダガーの女性パイロットから今回の戦闘データの報告を受けて、書類をまとめてアズラエル理事に提出しにいくと、晩酌をしていた理事がそこにおり、珍しい光景で驚きつつも、すぐに退出したまたま鉢合わせたクロトと共にゲームをしていった。




いかがでしょうか?
色々と誤字脱字があると思いますが、すぐに直します(・・;)
今回はかなりオリジナル回が、書けたと自分では思っております。しかしブラックハスターとプロトタイプの「ラモール・コルニクス・クリーク」の機体がSEED本編に絡むと、強すぎるのでは?と思いつつ書きましたが、どうなることやら....(全滅はさせたくない....)
また時間が空き次第ではありますが、今回出てきた四機の機体解説もやっていこうと思いますので、よろしくお願いいたします!

追記:お気に入りが109件もいったことに驚いております!まだまだ未熟者ではありますが、読者の皆様方に楽しんでもらえるよう努力していきますので、感想と評価よろしくお願いいたします!

最近FromSoftwareさんが出した最新作の「ARMORED CORE」ですが気になってYouTubeで各シリーズ見たんですけど、ロボットもカッコいいし、かつストーリーも面白ったので是非ともARMORED COREやりたいものですね!(誰得

それではチャオ!
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