機動戦士ガンダムSEEDクロニクル   作:ガトー

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前回のあらすじ.....
オーブ領海にたどり着いたシルヴァ達は束の間の休息を得ることになり、キラとシルヴァはオーブのモビルスーツ「M1アストレイ」の開発を手伝うために技術協力をすることになる。
そしてその出来事のうらではオーブに、ブルーコスモスの女王アズラエルがパートナーであるアーサーと、再び会うことができ、ロンド・ミナ・サハクと対談することになる。
それではお楽しみくださいませ


第二十九話 それぞれの思い

シルヴァはアーサーから生体ユニットになった「フィア」について教えてもらった。フォアは自ら望んで生体ユニットになったわけではない。

当時、研究所のクズな所長から子供達を守るために、あえて自己犠牲をするように生体ユニットになったのだと。

それを聞いたシルヴァは、身体中から怒りが爆発しそうになったが、それをフォアが望むわけないと。すぐに冷静になりアーサーと話を続けた。

 

「それでその研究所は?」

 

「俺が破壊したよ。」

 

「な、なんだと!?」

 

「それが唯一、フィアの傍にいてやれなかった罪として、贖罪として破壊した。なにもかも」

 

「そうだったんだな」

 

「だから俺はブルーコスモスを許さない!幼馴染みをあんな目にあわせたやつらを!」

 

「お、落ち着けアーサー。でも現にお前はブルーコスモスに手綱を握られてるんだぞ。」

 

「わかってる。だからこそ俺はアズラエル理事の下、この馬鹿げた戦争を終わらせて、二度とフィアのような子供達を作らせないためにも!」

 

「アーサー.....」

 

「大丈夫だよ、シルヴァ。俺は無茶なんかしないさ。」

 

「わかった。久しぶりにここまで本心で語ってくれるなんてな」

 

「当たり前だろ?俺とお前は親友であり、オーブまで共に戦った戦友だからな。」

 

「そうだな、戦友」

 

シルヴァはアーサーの隠された思いを聞くと、自分も同じようにこの戦争を早く終わらせ、平和な世界を取り戻すと。

だがその前に一つだけ思ったのは、考えることは無限に出来るが現実はそう上手く簡単に行くわけがない。ならば戦って戦い続けて、その先に平和が訪れるのではないか。

そう心の中で思い、シルヴァはアーサーの前に立ち上がった。

 

「なら俺は俺の信念で戦う。力で全てをねじ伏せるつもりはない。守るべき者のために戦う」

 

「それがお前らしいよ。けど怒らせた途端、その牙は全てを噛み砕くだろうな。」

 

「それはそうかもしれない。大切な物を守るためだ。」

 

「お互い志は持っているな。道のりは長いが頑張ろうシルヴァ」

 

「勿論だ。だけど死ぬなよ、アーサー」

 

「こちらの台詞さ」

 

二人はお互いの信念を尊重し、アーサーは立ち上がりシルヴァと硬く握手を交わした。それからアーサーはアークエンジェルの方に戻っていき、シルヴァはモルゲンレーテ本社に戻ろうとした時、アレスがドリンクを片手に持ちながら現れた。

シルヴァは気づくと、アレスからドリンクを投げ渡されるが見事にキャッチし、一口飲んだ。

 

「気分は良くなったかな?シルヴァ」

 

「ああ、なんとか。親友から色々聞いてもらったし、気分は悪くない。」

 

「そうか。君はまだオーブに滞在するだろう?良ければ私が店をやっていたカフェに、誰かと一緒にいくといい。」

 

「ありがとう。でも艦長に許可をださないと」

 

「ぜひそうしてくれ。」

 

「勿論さ。一度アークエンジェルに戻るよ」

 

「また会おう」

 

シルヴァはアレスからカフェのチラシを渡されると、内容を読み一緒につれていく人、「マリア」をぜひ誘う事を決心しアークエンジェルに戻っていった。

アレスは少しでも立ち直ったシルヴァを見たのか、心から安堵し自身がやっていたカフェのチラシを渡したことを嬉しく思った。

それからモルゲンレーテ本社に戻ろうとしたとき、サハク邸からやって来たレイと顔合わせ、M1アストレイが大量においてあるモビルスーツ格納庫へと歩み始めた。

するとアレスはレイに一体どこに行っていたのか質問を始めた。

 

「そういえば何処に行っていたんだ?」

 

「私はミナ様の傍にいたよ。ブルーコスモスの女王かやって来て心底驚いたよ。」

 

「何だと.....?用件は何だったんだ」

 

「パートナーを連れ戻すためにだそうだ。ブルーコスモスの死神『アーサー・グレイ大尉』を」

 

「馬鹿な。アークエンジェルにナイトメアがあったのはその為か?」

 

「そうらしい。ミナ様と対談が始まり、途中でミナ様がそのアーサー・グレイを『ブルーコスモスの猟犬』とからかった時」

 

「どうしたんだ?」

 

「あのブルーコスモスの女王はそれを訂正しろと、真っ向からきて驚いたさ」

 

「フフ、ミナ様もお人が悪いな。しかしアズラエルも女だな」

 

「さ、これからどう世界が動くのか楽しみだ。」

 

「そうだな。」

 

「「全てはオーブの為に」」

 

レイはサハク邸で起きたことを話すと、アレスは鼻で笑い事の一部始終を楽しんでいた。自分達の主に意外な一面を感じれたことを喜んだ。そして、これから先のオーブの未来を、世界の行く末がどのように進むのか、()()()と同じことを呟きながら.....。

 

 

 

 

オーブに密入国したライデン・アスラン・ニコルのコンビは、活気盛んなオーブの町並みを見て驚愕していた。

それはそのはず、ついさっきまで国外でザフトと連合が戦いを繰り広げて騒然としていたのに、国内はまるでそれを感じてないかのように平穏に過ごしていた。

 

「ここがオーブか。」

 

「本当に平穏ですね、ライデンさん」

 

「中立国だからなんだとおもいますよ。」

 

「『平和の国』.....か。よく言えたものだ。」

 

(そうなれば『あの子』もこの国にいるんだもんな.....)

 

ライデン達は町並みを進みながら、海沿いまでいくとベンチにて休憩をとっていたイザークとディアッカが待っていた。

それからどのように足付きを特定するのか、五人は話し合っていた。

 

「当たり前のように、軍港にあったりしないもんな」

 

「あのクラスの船だ。そうやすやすと隠せないだろう」

 

「まさか本当に隠せれたりして。どうします隊長?」

 

「そうだな。ほしいのは確証だけだ。軍港とモルゲンレーテ本社の警備は驚くほどに硬い。なんとか潜入して特定するしかないだうな。」

 

「たしかに厄介な国のようですね、ここは」

 

「また歩くことになるが、探るとしよう。」

 

ライデンはそう意見を交流すると、ベンチから立ち上がり再び足を運び始めた。

一方、アークエンジェル船内ではマリュー・ラミアスの計らいのもと、軍本部から短時間ながら家族との面会ができることを許可された。

それを聞いたトール達は大喜びしているものの、家族がいないフレイは黙っていた。しかしサイはそんな彼女の肩に手を乗せて、一緒にいこうと誘い、フレイはサイのご家族に顔を出すことにした。

マリアは元々ザフト軍人で、家族はあの『血のバレンタイン』で亡くなっているため、そもそも面会はできない。そんなマリアにはマリューは短時間ながら休暇を出すことを許可し、シルヴァも同様に休暇を出してもらった。

シルヴァはアレスから貰った、カフェの地図を頼りにマリアを誘って行くことにした。場所はモルゲンレーテ本社から数km離れた海沿いにあり外見はオレンジで、テラスにも座席があり海を眺めながらカフェを楽しめる所だった。

 

「楽しみね、シルヴァ」

 

「そ、そうだな。緊張してしまって.....」

 

「フフフ、私もよ。さぁいこう!」

 

「あ、ああ!」

 

白いワンピースを着たマリアに手を握られ、店の中に入ると穏やかな音楽が流れ、微かなコーヒーの香りが漂っていた。

二人は店員に案内され、窓際の席に運ばれるとその店のオススメメニューである「イチゴパフェ」とコーヒーを注文し、穏やかな時間を過ごしていった。

そして、二人は砂浜に出てマリアは海を初めて体験するため、子供のようにはしゃいでいた。シルヴァはそんな彼女を見ていると、戦闘でつかれた心が一瞬に癒されていくと感じていた。

するとマリアからシルヴァはあることを言われた。

 

「ねぇ、シルヴァ。」

 

「ん?どうしたんだいマリア」

 

「戦争が終わったら、私この海を眺めながら花を育てたいと思うの。」

 

「花か。俺はいいと思う」

 

「そう?それなら良かった。この戦争がいつ続くかは分からないけど、花を植えてもまた散ってしまう。それでも私は綺麗に咲くことを心から願い、また植え続けるわ」

 

「マリア.....君は」

 

「私の理想だけどね。シルヴァは戦争が終わったらどうする?」

 

「俺は.....」

 

シルヴァはマリアの言葉を聞いたとき、ある人物をよぎった。それはいつしか会うであろう人物の言葉とそっくりだったからだ。シルヴァは夕日に照らされた彼女の顔を、直視することはできなかった。そしてシルヴァはそんな彼女を、大切に守りたいと思い、本心を伝えた。

 

「戦争が終わったら、君とこのオーブで結婚したい」

 

「え.....?け、結婚!?」

 

「そうだ。一緒に平和を願い花を植えていこう、マリア」

 

「シ、シルヴァ.....。」

 

「ごめんな。いきなりとんでもないことを言ってしまって」

 

「ううん!大丈夫よ。嬉しいの貴方から言われたから」

 

「マリア。だから戦争が終わったら俺と結婚しよう」

 

「勿論です。シルヴァ!」

 

マリアは突然のプロポーズに言葉を詰まらせたが、シルヴァから言われたことを大層嬉しく思い、シルヴァの下へ駆けつけハグをした。無論、シルヴァも動揺なんかせず受け止めて強く彼女を抱き締めた。この時間が長く続けばいいことを願って....。

 

オーブ国内アスハ邸にて。

ウズミ・ナラ・アスハはディスクの上にまとめられた資料を取り出し、それに向かって険しい顔をしていた。

その書類にはヤマト夫妻とキラ・ヤマトの写真。そしてもう一枚には()()()()()()()()()、『シルヴァ・ファウスト』の写真も置かれていた。

 

「キラ.....ヤマト。名を聞いてもしやと思ったがまさかこの子が.....」

 

「そしてもう一人、『シルヴァ・ファウスト』。彼が生きていることに驚きを隠せない。まさか.....」

 

それからモルゲンレーテ本社では引き続き、キラ・シルヴァ・アーサーが技術協力し、途中からガンダムルアルも運ばれパイロットであるマリアも、アサギ達と演出をしつつ仲良くなっていった。

無論、アレスとレイの二人組もM1アストレイに搭乗し動作確認とシルヴァとアーサーとの実戦テストも行い、キラと意見交流を重ねてOS開発を早急に進めていった。

 

そして待ちに待った日、トール達はヘリオポリスの崩壊を脱出した家族のとの面会を果たすことができた。それぞれ息子と娘にもう一度生きて会えることに涙を流していた。

サイのご家族に顔を出したフレイは、「生きてて良かった」とこえをかけられ、サイの母親に抱きついて涙を流していったのは言うまでもない。

だが、一人だけ家族との面会に行っていない者がいた。それはキラである。彼は人知れずM1アストレイのOSを完成させるために、パソコンと向き合っていた。するとそこにシルヴァが現れて、面会について話をした。

 

「ん?キラ、お前こんなところにいたのか」

 

「あ、シルヴァさん。そうなんです、色々と皆が手伝ってくれたお掛けでOS開発がとても捗りそうなんです。」

 

「そうか。なぁキラ。家族には会わないのか?」

 

「だって今は僕は.....」

 

「ヤマト夫妻には話してある。俺も一緒に行くから行かないか?」

 

「どうしてですか.....?」

 

「どうして?当たり前だろうが。自分の子供を心配しない親なんて何処にいるんだ?むしろそんな親がいたら俺は許さないがね」

 

「でも。面会したとき『どうして僕をコーディネーター』にしたのって。言ってしまいそうで嫌なんです。」

 

「だからと言って、面会を拒否する理由にはならない。お前はまだ子供なんだ。ましてや軍人なんかじゃない。OS開発とストライクの設定もアーサーや、アレス達も協力するからさ」

 

「わかりました.....。でもシルヴァさんも一緒に来てください。」

 

「勿論さ」

 

シルヴァはそう言うとキラの頭を撫で始めた、キラは不思議とシルヴァに頭を撫でられることは嫌に感じることなく、むしろ何処か安心感を得られるものだった。

そして、二人は軍服に着替えヤマト夫妻に会いに行くと、キラは両親に深く抱き締められ再開を果たした。キラはシルヴァの諭されていなければ、ずっとあのまま1人で過ごしていたんだと思い、両親に会えたことを心から感謝した。

シルヴァはキラの席に座り、これまであったことを全て伝え、それからキラをこれからも面倒を見ていくことを話した。

 

それから面談を果たした二人は、モルゲンレーテ本社にもどりM1アストレイの最終調整のテストを行い、これまで関わってきたアーサー・マリア・アレス・レイ、そしてマユラとジュリに完成したM1アストレイをみて喜んでいた。

たまたまムウ・ラ・フラガ少佐も立ち会い、キラ達がいるところはますます賑やかになった。

 

「見事なものだな。キラ君」

 

「てことは俺も見せて貰った動きも可能ってことかい?」

 

「勿論ですよ少佐!」

 

「お疲れ様、キラ。」

 

「ありがとうございます。シルヴァさん」

 

「さて、後は私とアレスが対応しよう。」

 

「アーサー大尉も協力感謝します」

 

「いえいえ、自分にできることをしたまでで。」

 

シルヴァ達とエリカさん達も工場から退出すると、キラの方にいた鳥形ロボット「トリィ」が何処かへいってしまう。キラはすぐさま探しにいき、マリアもいこうとしたがシルヴァは「すぐに戻ってくるさ」と声をかけ、先に戻っていった。

それからモルゲンレーテ本社工房前には、ライデン達が策に体を押し付けていた。

 

「かなり厄介ですね隊長」

 

「軍港より警戒が厳しいな。チェックシステムはどうでした?隊長」

 

「何重にもなっていて、結構な時間がかかってしまう。」

 

「まさに羊の皮を被った狼というわけですね?」

 

「フッ。ニコルもうまいこというじゃないか」

 

「そ、そうですかね。えへっ」

 

そうやって会話をしていると、モルゲンレーテ本社から「トリィ」がやってきて、アスランが気づき手をさしのべると、止まりはじめた。

ライデン達はアスランの手に止まったロボットを不思議そうに眺めていた。

 

「なんだこのロボットは?」

 

「おかしな鳴き声じゃん」

 

「へぇ!鳥形のロボットだなんて」

 

「もしかしたら誰か探しているのかもな。」

 

そうライデンが呟いたあと、すぐにその持ち主である「キラ・ヤマト」がやってきた。アスランはトリィを探す声に聞き覚えがあり、ゆっくりと足を運んだ。

イザークが呼ぼうとしたが、ライデンは様子見ることを選択しじっと待つことを決めた。

 

「君、の?」

 

「う、うん。ありがとう.....」

 

「昔、大事な、大事な友達に貰ったんだ。」

 

「そう.....」

 

「時間だ、行くぞ」

 

アスランはライデンの一声により、キラに背中を向けてライデン達の元へと戻っていった。キラはただただその背中を見つめることしかできなかった。

 

-to be continued-




いかがでしょうか?
かなりオリジナル展開をかけれたのかのと思います。
なかなかオリキャラ達と原作キャラ同士の掛け合いが、悩みどころではありますが、伏線も頑張って書いて楽しめるようにしていきたいです!
さてさて、そろそろオーブ編が終わりますので、どのような展開になるのかお楽しみにくださいませ!
いつもいいねとしおりもありがとうございます!読んでくださるだけでも光栄です( ´ー`)
それではまたチャ━(★´∀`)ノ━ォ!!!
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