機動戦士ガンダムSEEDクロニクル   作:ガトー

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前回のあらすじ.....
パナマ基地防衛戦を開始した連合軍は、切り札と言うべき「タクスフォース・デルタ」と「ホワイトファング」を宇宙と地上で分散し、ザフト軍を迎え撃った。
宇宙に展開したタクスフォース・デルタのモビルスーツ、「バイアラン・セラフ」・「ブラックハスター」と、ホワイトファング隊の「クリーク・ラモーヌ・コルニクス」は陸海空でザフト攻撃軍を打ち負かした。
そして彼らも新しく船を受領し、次はオーブへと旅立っていった。
一方のオーブでは、マリュー達はオーブへたどり着きそこでも補給・修理を受けるが、そこで思わぬ人物と鉢合わせる事になる。

それではお楽しみくださいませ!


第三十六話 オーブに集う者達

パナマ基地攻略が開始される数日前、マリュー達はオーブへたどり着き、秘密ドッグへと格納され補給と修理を受けていた。

アークエンジェルの格納庫から「ルアル」・「バスター」が運び出されエリカ・シモンズの指導のもと、整備が開始されると同時にクルー達は降りて、休息をとっていた。

 

だが、マリアだけは体調が優れずアークエンジェルの医務室にて

治療を受けていた。治療が終わった彼女はアークエンジェルの外に出ると、キラとカガリが歩いておりふたりはマリアは見かけると声をかけた。

 

「あ、マリアさん。こんにちは」

 

「大丈夫なんですかマリアさん!?」

 

「ええ、なんとか大丈夫よ。問題はないのだけれど.....」

 

「本当なんですか?無理しないでくださいね」

 

「ありがとうね、カガリ。これからどこ行くの?」

 

「エリカさんから何か僕たちを呼んでて、マリアさんもいきます?」

 

「勿論。何があるのか気になるしね」

 

「よしいくぞ!」

 

マリアはカガリとキラに挟まれながら、エリカが待機しているモビルスーツ格納庫へと向かうと、エリカとマリューに、ムウが先に待っていおり、三人は合流するとエリカは説明を始め、キラ達の前に見えたのは戦闘でボロボロになっていた「ストライク」か修復された姿で彼らを待ち構えていた。

 

「戻られたのならお返しした方がいい思って」

 

「あ.....ストライク.....」

 

「改修の際はキラ君のOSをのせてあるけど、今度は別のパイロットが乗るのかなって思ったものだから」

 

「えっと例のナチュラル用の?」

 

「私が乗る!あ、もちろんそっちがよければの話だけど」

 

「いいや、ダメだ。」

 

「なんで!?」

 

「俺が乗る」

 

「えぇ.....」

 

ストライクに誰が乗るのかカガリが立候補したが、ムウさんの一声により、新たなパイロットはムウに決定した。

カガリはモビルスーツに乗れないことに落ち込んでいた。そして彼らは模擬戦を始める前に、別の場所へとエリカに連れられ格納庫にライトが照らされると、そこには「フィアース」が立っていた。一目散に反応したのはマリアだった。

 

「え、な、どうしてフィアースが!?」

 

「ストライクを回収した際に、別の場所で大破していたフィアースも回収して修復もしたのよ。でも直したのは私じゃないけど」

 

「エリカ主任じゃないのか?一体誰が.....」

 

「フィアースとストライクを直したのはこの私よ」

 

「え?!」

 

キラ達は声をした方向に視線を向けると、そこにいたのは金髪でメガネをかけた白衣の女性が立っていた。

彼女は軽くキラ達に会釈をし近づいていき、マリアとキラを見つめた。

 

「初めまして、私はフィア・ローズマリー。ルアルのパイロットとストライクはそこの二人なの?」

 

「ええ、そうです」

 

「まぁ、僕は元ストライクのパイロットですけど」

 

「そうなんだ、フィアースのパイロットはシルヴァってところかな」

 

「な、どうしてシルヴァさんの事を知ってるんですか!?」

 

「知ってるもなにも、彼の事は士官学校の頃から知ってるし、モビルスーツの中にいた時でも分かってたよ」

 

「モビルスーツの中.....???」

 

「ちょっとまってちょうだい。貴方はもしかしてシルヴァ君が時折声がすると言ってたけどまさか」

 

「そうですよラミアス艦長。私は元フィアースの生体ユニットですよ。そして、フィアース・ルアル・ナイトメアの開発者でもある。」

 

「な、何ですって!?」

 

「おいおい、話が飛びすぎてワケわかんないぜ.....」

 

フィア・ローズマリーと名乗った女性。キラ達は彼女の存在に驚きつつも、元モビルスーツ開発者でもある彼女に対し言葉を失った。

マリアはシルヴァから時折、「女の声が聞こえる」と聞かせれており、その声の主が今自分の目の前にいることに驚きを隠せなかった。

そんな驚いた彼らの様子を見たフィアは笑いつつ、話を続けた。

 

「まぁ本当の事だけどね。とりあえず、ストライクとフィアースは後で模擬戦をしてみてください。性能は前よりふんだんに上がっているから。」

 

「わかりました。でもフィアースは私が乗ります」

 

「マリアさん大丈夫なの?」

 

「フィアースはシルヴァの形見ですから。お願いします艦長」

 

「ええわかったわ。」

 

「貴方が乗ってもいいけど、ベルセルクシステムは改良中だけど発動しないから安心して」

 

「ありがとうございます、フィアさん」

 

「それじゃ頑張ってね。私はまだやることあるから」

 

フィアはそう言うとメガネをかけ直してその場を後にした。残されたキラ達は模擬戦をするために場所を変えていき、フィアースにはマリアがストライクにはムウが搭乗し、模擬戦用のサーベルと互いにストライクのシールドを左手に持ち、互いに睨みあっていた。

 

「ムウさん手加減はしませんからね」

 

「生意気言うんじゃないよ!こっちはモビルスーツ初心者だぜ?行くぞ!」

 

「はい!」

 

「それでは始め!」

 

エリカさんの開始の合図と共に、二人は距離を詰めてサーベルを互いに振り、それぞれシールドで受け止めた。

一方のフィアはM1アストレイの調整と、戦闘で中破したバスターの修理にあたっていた。

フィアはフィアース計画で開発に携わった四機の他に、ハルバートン提督から聞かされた五機の「GAT-Xシリーズ」の三機目を触れることに心から喜んでいた。

そして、整備メンバーのなかにはアレスとレイも顔を出しておりフィアの様子が初めて見たときとは大違いと感心していた。

 

「これがバスターかぁ、データ収集と復元もしないとね。あぁ忙しいな♪」

 

「ア、アレス。フィアさんは初めてあったときはか弱い少女に見えたのだが.....」

 

「アハハハ。今ではメカニック好きな少女に変貌しているな。でもいいじゃないか、ギャップもあるし」

 

「そう言う問題なのか.....」

 

「こら二人とも手が動いてないけど?」

 

「すまないフィアさん。」

 

「おっと無駄話が過ぎたな。すぐに取りかかるよ。」

 

「うん、お願いね?それから私はマリアさんの所に顔を出してくるから。リストは纏めてあるから指示をお願い」

 

「了解だ、任せてくれ」

 

アレスとレイは、復活した頃のフィアを思い出しつつ今の姿を見比べると、明らかに性格も変わっているため、二人はフィアに対しギャップを抱いていた。

 

フィアはアークエンジェルの医務室にて休憩をとっていたマリアの部屋に顔を出すと、お互いに軽く会釈をしフィアは彼女の傍に座って話を始めた。

 

「マリアさん大丈夫?」

 

「えぇ.....。でもたまに調子悪くなったりご飯も食べれないときもあって。」

 

「そうなんだ。もしかしてマリアさんはシルヴァとした?」

 

「はぇ!?い、いきなりなに言ってるの!?」

 

「どうなのよ」

 

「えっと.....その.....はい.....。」

 

フィアは正直に答えたマリアに対し驚愕しつつも、溜め息を吐いて頭を抱えた。だが彼女は怒ろうとはせず、むしろその逆でマリアとシルヴァの間に子供が出来たことを祝福していた。だが、二人は一時的とはいえ連合軍に所属していたのだから、本来ならば厳罰な処置が与えられるのである。

フィアは続けてマリアの顔を見ながら話を続けた。

 

「はぁ。貴女が妊娠してるのバレたら軍法会議物よ?まぁでも今はアークエンジェルは脱走艦だから意味はないけどね。」

 

「あの怒らないんですか?」

 

「怒りたくなるけど、折角宿った命だからね。私はむしろ祝福するよ。だからシルヴァとは幸せにね?」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「いいえ。あの人は肝心なときに鈍感な事があるからさ。もしも生きていたらあっと驚かせちゃいなよ。もしかしたら、思いっきり抱き締めるかもよ?」

 

「そ、そうですかね?もしも生きていたらそうします」

 

「うん。それじゃ私は戻るね。とりあえず私が選んだ薬を必ず服用すること。ドクターには話をつけてあるから。」

 

フィアはマリアに軽く会釈を交わし退出していくと、次にフリーダムが待機しているモビルスーツデッキに顔を出すと、マードック曹長とキラがメンテナンスを行っていた。

作業を終えたキラがコクピットから顔を出すと、フィアが顔を覗かせており、突然の出現にキラは声をあげてしまい、フィアはその様子を見て笑っていた。

 

「アハハハ!ごめんね、いきなり脅かしてしまって」

 

「い、いえ大丈夫です。こんな所に来るなんてどうしたんですか?」

 

「うーん、正直に言うとこのモビルスーツに興味があってさ。連合軍にしてはこんな高性能モビルスーツを私以外に作れるわけないし」

 

「そ、そうなんですか?。でもこのモビルスーツのデータを取るのはやめてほしいです。」

 

「そっか、残念ね。でもそれくらいのモビルスーツってことは、キラ君だから託されたんだね、その人にさ」

 

「まぁそんな感じです。」

 

「よし!手は出さないでおくね。その代わり、キラ君にはずっと手伝ってもらってばかりだから、休憩もしてね?」

 

「ありがとうございます、フィアさん。」

 

「うん!それじゃまた」

 

フィアはキラがメンテナンスを行っていたモビルスーツ「フリーダム」の存在を気になり、データを取ろうと思っていたがキラの思いを理解し、取ることをやめにした。

たが彼女の考えは当たっており、今の連合軍にはフリーダムのような高性能モビルスーツは作れる訳がない。

おそらくプラントにて開発されたのだろうと思いつつ、フィアはボロボロのバスターとガンダムルアルのメンテナンス及び、改修を行うためにモルゲンレーテのモビルスーツ工房へと再び歩みを進めた。

 

ストライクのOS調整を確認しつつ、模擬戦を開始していたムウは不馴れながらもその培った経験を活かし、訓練及び模擬戦に励んでいた。

ブザーが鳴り響き、ムウはコクピットから顔を出して整備員からドリンクを受け取り休んだ。

 

「ふぅ。なかなか慣れないものだなぁ。あれだけカッコつけても」

 

「お疲れ様ですフラガ少佐。」

 

「おう!ありがとうなって、何で少佐って知ってんだ??」

 

「エリカ主任から伺っておりますので。ストライクの操縦にも大分慣れてきましたね。」

 

「いやぁまだまださ。俺も頑張らないとさ」

 

「そうですか。あ、次の模擬戦の相手が待ってますよ」

 

「よっしゃいくか!。ありがとうな話を聞いてくれて」

 

「いえいえ、お構い無く!」

 

ムウとその整備員は談笑しつつ、休憩を終えてそれぞれの持ち場に戻り訓練と作業を開始した。

ストライクに乗り込んだムウは、ヘルメットを被りモニターを確認すると次の模擬戦の相手が入場したが、登場したモビルスーツはM1アストレイだが、カラーリングは「赤」と「黒」に施された機体が現れ呆気にとられていた。

それはそのはず、そのカラーリングは自分達と闘ったザフトのトップエース「ジョニー・ライデン」のカラーなのだから。

 

「おいおい誰だ?こんな酔狂な真似をしてんのは」

 

「かなり動揺してますね、フラガ少佐」

 

「ん?その声はさっきの整備員の人か!?な、何故そこに」

 

「当然でしょう、俺はここに呼ばれたからモビルスーツに乗ってるんです」

 

「何者なんだよ、お前さんは」

 

「俺はかつて『真紅の稲妻』と呼ばれていた。と言えば分かりますかね?」

 

「真紅の稲妻.....?ってことはお前!?」

 

「そうですよ、その本人です。」

 

ストライクのコクピットモニターに写し出されたパイロット。

それはかつてアークエンジェルの後を追い、自分達と死闘を繰り広げた好敵手のリーダーの「ジョニー・ライデン」がムウに向かって話を進めていた。

突然の大物に驚いたムウは、気を引きしめてレバーを握り直し正面のモビルスーツに対し覚悟を決めた。

 

「全く冗談じゃないぜ!まさかここで俺を倒そってか!」

 

「そんなつもりはありませんよ。俺も今はザフトではお尋ね者なんでね。」

 

「そ、そうなのか。」

 

「それじゃ行きますよ!」

 

「ええい、当たって砕けろだ!」

 

両者は模擬戦用のサーベルを互いに振りかざすものの、シールドでガードをしつつ狭い空間ながらも、二人は問題なく戦闘を開始していった。

観測所ではエリカ主任がこれほどにもない、二人の戦闘シーンを喜びデータ採取に取りかかっていた。

互いに牽制と回避を繰り返し、ブザーが鳴り響くまで模擬戦を繰り広げた二人は互いに意気投合し、飯を一緒に食うまで仲良くなった。

 

 

 

場所は変わりプラントにて.....。

白髪の青年は鋼鉄で出来た左腕をメンテナンスしつつ、自身に与えられたモビルスーツ「マルドゥーク」の足元に立っていた。

彼はザフト軍のパイロットスーツに着替え、見送りに来ていた桃色の髪をもった少女「ラクス・クライン」が、バルドフェルドとアイシャと共に彼との別れを惜しんだ。

 

「もう行かれるのですねシルヴァ様」

 

「ああ。もう左腕とマルドゥークも最終調整できたから、地球に戻らないと。もはや銃を手に取った俺だから、守るべき者のために戦ってくる。」

 

「それがシルヴァ様の答えなんですね。長い旅になるとは思いますが、どうかお気をつけて。」

 

「ありがとうラクス。キラに再会できたら伝えておくよ」

 

「ありがとうございます。」

 

「バルドフェルドさん、アイシャさん。今までお世話になりありがとうございました。このご恩は一生忘れません。」

 

「いいってことさシルヴァくん。気を付けてな」

 

「あの男の子にもよろしくね!」

 

「はい!任せてください。それじゃまた」

 

シルヴァは三人と握手を交わして、マルドゥークのコクピットに乗り込み各種センサー、レバーを上げて稼働させる。

マルドゥークはゴーグルの奥にあるツインアイを発光させ、フェイズシフトを展開すると、「白」・「金」・「黒」のカラーリングがあらわになり、背中に搭載された独立ユニット「エア」のブースターを最大稼働させ、エアロックが解除されると同時にとびたっていった。

 

「オーブか.....。俺の故郷に皆がいるはずだ。それに『あの日』までに間に合ってくれればいいが.....」

 

シルヴァは複雑に頭を抱えながらも、レバーを握り直し自身の故郷であるオーブを目指して旅立っていった。

 

オーブのマスドライバーとモルゲンレーテの力を手にしようと、軍を派遣した大西洋連邦。

一方、オーブに辿り着き道をどちらに選ぶべきか悩んでいるラミアス一行。

かたやプラントから、新たな剣を手にして地球を目指しているシルヴァ。

 

それぞれの胸にある秘めた思いを宿しつつ、彼らはオーブにて一代決戦を迎えることになる。

 




いかがでしょうか?
オーブ解放作戦の前日譚として書かせて頂きました。
今回は連合軍サイドは出ておりませんが、元フィアース計画の開発者であり、ブーステッドマンの研究者でもあるフィアが復活したので、オーブ軍の戦力が増えましたね。(・・;)
そして復活したフィアースは名前を変えて、「フィアースルプス」と新たに名付けられ、マリアの登場機となりました。
ルアルのパイロットは誰になるかは、次回にて明らかになりますのでお楽しみに!
そしてやっとオリキャラ主人公のシルヴァが完全復活して、プラントから旅立ちましたね。この時は警備隊も出撃していますが、キラと同様に手足を狙って戦闘不能にさせています。
長くはなりましたが、次回はとうとうすべてのサイドを巻き込んだオーブ解放作戦です!
それではまた、チャオ!
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