機動戦士ガンダムSEEDクロニクル   作:ガトー

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第五十話 天帝降臨

 

ヤキン・ドゥーエの後方より、ミラージュコロイドを解除しその姿を露わにしたジェネシスが超巨大のレーザーを発射していった。

 

その射線上にいた地球連合艦隊及び展開されていたモビルスーツてモビルアーマーのメビウスは、瞬時に光の玉となりいくつもの閃光が現れては消えていった。

 

マリュー達はその光景を目の当たりにし、言葉すら発することなく開いた口が塞がらなかった。

そして偶然にも射線上から逃れていたドミニオン隊とハルバートン閣下、そしてブルーコスモスのサザーランド大佐は生き残っており、ドミニオンの艦長であるナタルはすぐさま撤退命令を出す。

 

「取舵いっぱい!ドルトク左35!全速宙域を離脱!」

 

すぐさま向きを変えたドミニオンに続き、生き残った者たちも彼女の後を追っていき、アーサーも三馬鹿を連れて宙域を離脱していった。

だがジェネシスの攻撃を目の当たりにし、言葉が出ていなかったのはザフトも同じで、エザリア·ジュールも副官らと共にただ閃光が広がっている戦場を見つめることしかなかった。

 

 

そしてパイロット達も同様、ジェネシスの攻撃を目の当たりにしたキラ達も冷や汗をかき、レバーを握っていた両手は力が抜けてしまっていた。

だが、その存在を知っている「四名」はレバーを握ったまま、ジェネシスが撃たれた方向を見つめていた。

 

シ「あれが…ジェネシス…!」

 

ラ「ザラ議長…。撃つとは分かっていたがよもやこんな感じになるのか…」

 

アーカード「ふざけやがって!あいつらが死んだらどうしてくれんだ!」

 

アーサー「ドミニオンは無事だが、シルヴァ…生きていてくれ!」

 

四人はそう思う中、ただ一人アーサーはデブリ帯に止まっているドミニオンにたどり着くと、周りにはボロボロの味方の艦隊や、それぞれ片足や片腕がないモビルスーツが、味方に支えられながら緊急着陸も行っていた。

そして、少しの時間の間で各将校たちは情報収集を行っており、アガメムノン級メネラオスの艦長ハルバートン閣下も、参戦していた。

 

『クラウゼヴィッツ、ペンドルトン応答せよ!』

 

『LSSがやられているんだ!緊急着艦許可を!』

 

「バジルール少佐、これは!?」

 

「浮き足立つな。残存艦の把握を急げ!旗艦ワシントンはどうなっているか?」

 

「旗艦ワシントンの識別コード消滅しています!クルックと及びグラントもありません…」

 

「ナタル、ここは一時撤退し戦力を集めなければなるまい。そしてアークエンジェルもだが…」

 

「閣下、アークエンジェルは今は敵前逃亡艦です。今味方になってくれるなら心強いかもしれませんが。とにかく撤退を急ぎましょう」

 

「うむ分かった。こちらもドミニオンについていく」

 

「はっ!信号弾撃て、残存艦隊をまとめてこの宙域を離脱する!このドミニオンを目標に集結せよ!」

 

ナタルはすぐさま号令を出すと、ローエングリンを起動させ一度攻撃を仕掛けると同時に、残存艦隊もミサイルや主砲を放ちドミニオンの後を追っていく。

 

彼らが撤退するとザフト軍はその背後から攻撃を開始していた。突然地球連合軍のパイロット達は応戦することなく、ただ撤退することしか考えておらず、背後から迫り来る彼らの攻撃に逃げることしかなかった。

 

核ミサイルをプラントに向けて放ったことで怒りが頂点に達しているザフト軍のパイロット達は、撤退する彼らを躊躇することなく撃破していくが、シルヴァとキラ達が間に割って入り彼らの武装を破壊し撤退させてる。

 

それから一次的に三陣営は膠着状態に陥ると、すぐに補給を済ませるようにしていると、アークエンジェルの方ではシルヴァがフィアにマルドゥークに隠された武装について問い出した。

 

「フィア。マルドゥークに搭載されている武装で封印されていたのは何だったんだ?」

 

「ザフト軍の技術で作られた、ドラグーンシステムが搭載されているのよこのマルドゥークには。しかもその武装が背部に搭載されている六連のバラエーナ高エネルギー砲よ。」

 

「な、何だと!?それは俺につかえるか?」

 

「調べてみたけど、シルヴァは空間認識能力は十分にあるわ。素質はあるから使えると思う。でもこの力は強大だし、戦場に再び出れば戦局は変わるかもしれない。」

 

「そうだなフィア。この戦争が終わればこのマルドゥークとエアは封印しよう。有事の時にしか使えないように」

 

「勿論そうさせてもらうわよ。」

 

シルヴァはマルドゥークの力を理解し、フィアと約束してライデンの所へと向った。

マルドゥークのドラグーンシステムを伝えると、彼は静かに頷き話を聞いていた。

そして、シルヴァはライデンにある事を伝える。

 

「ライデン、君に頼むのは酷なことだが聞いてくれるか?」

 

「なんだ?畏まって。」

 

「アーサーから通信を傍受したんだが、ブルーコスモスのウィリアム·サザーランド大佐が搭乗しているヒュプノスを撃破してくれ。識別信号は送る」

 

「難儀なことだな。あの地球連合艦隊の間を潜り抜けるのは危険すぎるが」

 

「無理を承知で頼む」

 

「いいさ。モードレッドのブースターリミットを解除すればやれないことは無い。一撃離脱でやるしかないな」

 

「死ぬなよライデン」

 

「お前もなシルヴァ。そしてクルーゼは必ず出てくるはずだ。あの男が大人しくするはずがないからな。用心してくれ」

 

「勿論だライデン」

 

「共に勝利を」

 

「ああ、祝杯と共に」

 

ライデンとシルヴァは熱く握手を交わし、抱擁をし終えるとそれぞれコクピットに乗り込み待機をしていると、シルヴァの所にマリアが現れ、彼女を優しく抱きしめ二人は出撃前までそばに居続けた。

 

「必ず生きて帰ってきてシルヴァ…」

 

「もちろんだマリア」

 

 

一方、タナトスのモビルスーツデッキでは、ミラージュコロイドで姿を隠しているジェネシスの場所を、正確に特定するためにランヌ少尉が、EWACダガーに後付けのロケットブースターとミラージュコロイドを搭載し、出撃する準備を整えていた。

 

「はぁ…こんなの死にに行くようなものじゃないか。でもやるっきゃないよな…」

 

「ランヌ!お前が出るんだってな?ロケットブースターで近づいたら真っ先にミラージュコロイドを展開させて、デブリの影をうまく利用しろ。いいな?」

 

「アーカード隊長…。了解です。もしものことがあれば後は頼みます」

 

「ばっかやろう!必ず帰ってこい!」

 

「ッ!は、はい!」

 

ランヌはアーカードに鼓舞を打ち付けられ、不安な気持ちが一気に消えコクピットに乗り込み、ロケットブースターを最大稼働させタナトスから飛び立ち、たった一人死地へと向かって行った。

 

それからザフト軍も一次的に編成を変更し、新たに防衛隊が出撃していく。

地球連合艦隊も残存兵力を集めていたが、ドミニオンに搭乗しているムルタが声を荒げて、モニターに映るハルバートンとサザーランド大佐に指示を上げていた。

 

「今援軍を待っている時間はないんですよ!ザフト軍のあの超巨大兵器を野放しにするわけにはいけないんです!あんなものを作らせた貴方達トップの怠慢だ!」

 

「ア、アズラエル理事…」

 

「いいですか?あれが照準を変えたらあそこからでも地球へ攻撃されるんです!援軍を待つのは結構ですが、また撃たせてはいけないんですよ!あれがプラントと地球が撃つ前に!」

 

「全軍!編成を立て直し再度攻撃を再開する!目標はザフト軍、大量破壊兵器ジェネシス!」

 

アズラエルが怒髪天を貫いた様を見た彼らは言葉が詰まってしまい、只々聞くことだけしかできなかった。

ナタルはすぐさま号令を出し、月面にあるプトレマイオス基地から援軍を待たず、残存兵力で大量破壊兵器であるジェネシスへと目標を絞り、ドミニオンを先頭に地球連合艦隊も行動を起こした。

 

五隻同盟もまた、同じ目的へ向かっていた。

 

アークエンジェル、エターナル、クサナギ、タナトス、アヴァロン。

それぞれの艦から、モビルスーツが発進していく。

そしてマルドゥークは最後に発進した。

 

「シルヴァ・ファウスト、マルドゥーク出る!」

 

戦場に出た瞬間、シルヴァはドラグーンシステムを起動した。

 

背部のエアから、六連のバラエーナ砲塔が切り離されると、それらはまるで意思を持った翼のように展開し、シルヴァの周囲を旋回した。

 

「行けドラグーン!」

 

そして六つの砲塔が一斉に火を噴いた。

迫り来るゲイツの武装が撃ち抜かれ、ジンの脚部が吹き飛び、メビウスの突撃軌道が寸断される。

その圧倒的な制圧力に、キラ達は思わず息を呑んだ。

 

「すごい……あれが、マルドゥークの本当の力……」

 

「キラ、俺は前線に出る!アークエンジェルと皆を頼む」

 

「任せてくださいシルヴァさん!」

 

シルヴァは振り返りながらキラにそう告げ、ライデンと合流し、二人は連携を駆使しながら戦場を舞うように動く。

やがてライデンも、モードレッドのブースターリミッターを解除する。

 

「行くぞ、モードレッド。今こそ真紅の稲妻の異名、見せてやる!」

 

モードレッドは赤い軌跡を残し、地球連合艦隊の奥へと突き進んでいった。

 

目標は、サザーランドの乗るヒュプノス。

 

その進路を阻むストライクダガーを、ライデンはすり抜けるように回避し、時にコクピットを撃ち抜きながら突き進んでいく。

 

 

 

アークエンジェル達の周囲には、フィアースリペア、パーフェクトダガー、バイアラン・セラフ、ストライクルージュ、アストレイアルバフレーム、アストレイシルバーフレーム、イージスアスルが防衛に入っていた。

 

そのさらに外側を、フリーダム、ジャスティス、カラドリウスが駆け回り、敵機を迎撃していく。

 

ドミニオンからも三馬鹿とアーサーが出撃し、ゲイツやジンを撃破しながら、アークエンジェルへの合流を目指していた。

 

その途中、孤軍奮闘するシルヴァを見つけたアーサーは、ティアマトを強襲モードへ変形させ、一気に距離を詰めた。

 

そして、強襲モードを解除したアーサーが、シルヴァのマルドゥークに触れて回線が開かれる。

 

「シルヴァ!」

 

「アーサー。もう腹をくくったんだな」

 

「ああ。ドミニオンはアークエンジェルについていくことにした。僕はもう迷わない。君ともう一度、共闘したい」

 

「分かった。これからアークエンジェルの座標を送る。それをすぐにドミニオンへ送れ」

 

「了解した」

 

「行くぞアーサー。俺達でこの戦争を終わらせるんだ。」

 

「当然!」

 

シルヴァとアーサーは並び立ち、戦場を切り開いた。

 

マルドゥークのドラグーンが敵の足を止め、ティアマトのビームキャノンがその退路を断つ。

二機の連携攻撃に、ザフト軍のモビルスーツは反撃する暇もなく撃破されていった。

 

だが、その時だった。

 

シルヴァのコクピットに、鋭い警告音が鳴り響いた。

 

「ッ!?」

 

反射的にシールドを構える。

次の瞬間、暗黒の宇宙を切り裂くように、無数の光の線がシルヴァへ向かって飛来した。

 

「これは……!」

 

シルヴァはすぐさまエアからプラネイトディフェンサーを展開し、その全てを受け止める。

 

光が防壁に弾かれ、火花となって散った。

 

「シルヴァ、今のは何だ!?」

 

「まさか奴が……来るぞアーサー!」

 

同じ攻撃は、シルヴァだけを狙ったものではなかった。無数の光が、アークエンジェル防衛隊へと襲いかかった。

 

「左舷防衛線に高熱源多数!」

 

「回避しろ!」

 

M1アストレイの一機が反応するより早く、背後から飛来したビームにバックパックを撃ち抜かれた。

 

「うわああっ!」

 

機体は制御を失い、クサナギの前方を流れていく。

別のM1がそれを庇おうとした瞬間、別方向から飛来した光に右腕を吹き飛ばされた。

 

「どこから撃ってきてるの!?」

 

「敵影が見えない!」

 

アストレイ三人娘も必死に機体を動かす。

 

アサギがシールドを構え、ジュリが後退し、マユラが援護射撃を行う。だが、ビームはまるで彼女達の死角を知っているかのように、あらゆる方向から襲いかかってきた。

 

「きゃあっ!」

 

「ジュリ!」

 

ジュリ機の左脚が撃ち抜かれ、機体が大きく傾く。

 

その瞬間、アルバフレームが割って入り、ムラマサで飛来するビームの一本を弾いた。

 

「下がれ三人共!ジュリはクサナギに、アサギとマユラはカガリ様の護衛につけ!」

 

アレスがそう叫ぶと、ジュリは二人に支えられながらクサナギに撤退し、アレスはそれを見届けるとクサナギの前に布陣し、その隣にはレイが狙撃用ライフルを構えている。

 

「軌道を読む。発射点さえ分かれば……!」

 

「やれるかレイ!」

 

「やってみせるさ…」

 

レイはセンサーを最大まで広げ、ビームの出どころを探る。

しかし、次の瞬間、シルバーフレームの狙撃ライフルが根元から撃ち抜かれた。

 

「何っ!?」

 

さらに、二発、三発。肩部装甲、右脚、バックパック。

シルバーフレームが次々に被弾し、そしてコクピットを貫かれた

 

「レ、レイーーーーーー!」

 

「アレス、オーブを…ミナ様を…!」

 

レイは一瞬そう呟きながら、シルバーフレームと共に火の玉となって消えていった…。

アレスはコクピットの中で、レバーを強く握り刃を食いしばりながらそれをみることしか出来なかった。

 

タナトスのダガー部隊も混乱していた。

 

105ダガーの一機が、アークエンジェルへ向かうビームをシールドで受け止めた瞬間、別方向からの一撃でコクピットを避けるように胴体を撃ち抜かれ、機体が沈黙する。

 

「アイザック隊長!三番機、戦闘不能!」

 

「ダガー小隊をタナトスへ下がらせろ!」

 

アイザックのクリークがミサイルをばら撒き、敵の射線を塞ごうとする。

しかしそのビームは、その爆炎の隙間を縫うように飛んできた。

 

「馬鹿な……!」

 

その瞬間、アイザックのクリークは無数のビームが、右肩部・頭部・両腕部を直撃し、クリークは大破した。

 

「ぐああああああ!」

 

「た、隊長!」

 

バイアラン・セラフのエイヴァも、回避機動を取りながら大破したアイザックの機体を回収しつつ、コクピットで涙目になりながら叫ぶ。

 

「こんなの、普通の攻撃じゃない!」

 

ワルキューレ隊もアークエンジェルとエターナルから、その迎撃に回った。

十二機のワルキューレがサテライトライフルを構え、散開しながら射線を取る。

 

「ヒルデ、右!」

 

「分かってる!」

 

だが、ドラグーンの光は彼女達の包囲の外側から撃ち込まれた。

 

一機のワルキューレの翼が砕け、もう一機のサテライトライフルが根元から吹き飛ぶ。

 

「お母さん、ごめん!武装をやられた!」

 

「無理に前へ出ないで!防衛線を維持しなさい!」

 

ルアルに搭乗するフィアが叫ぶ。フィアにも感じていた。そのドラグーンを操る主のどす黒い気配を。

それを感じ取ったのか、その声にも、焦りが滲んでいた。

 

そして、光の雨の中心に、その機体は現れた。

 

白と灰の装甲。

背に浮かぶ無数の砲塔。

異様な威圧感を放つ、この時代の最強のモビルスーツの一体。

 

ZGMF-X13Aプロヴィデンス。

 

その姿を確認した瞬間、シルヴァの背筋に冷たいものが走った。

 

「……来たか、クルーゼ」

 

プロヴィデンスのコクピットで、ラウ・ル・クルーゼは仮面の下で笑っていた。

 

「フフフ……よく防いだな、シルヴァ・ファウスト。だが、守るものが多い者ほど、戦場では脆い」

 

通信が開かれる。

 

その声に、シルヴァは奥歯を噛み締めた。

 

「クルーゼ!」

 

「さあ、見せてもらおうか。君が守ると誓った未来とやらを」

 

プロヴィデンスのドラグーンが、再び展開する。

その銃口は、アークエンジェル防衛隊へ向けられていた。 

 

「やらせるものか!やるぞアーサー!」

 

「了解!」

 

シルヴァは先に六つのドラグーンを起動させ、プロヴィデンスに放つと、クルーゼもドラグーンをアークエンジェルからシルヴァへと向けると、その周囲に無数の光が迸る。

 

アーサーは強襲モードを維持しながら、シルヴァの援護をしつつ大型ビームキャノンやミサイルランチャーを放つ。

しかし、クルーゼはイーゲルシュテルンやビームライフルで応戦しながら、ドラグーンをシルヴァに集中させ、左腕部に搭載されている複合防楯システムから、大型ビームサーベルを形成しアーサーのティアマトに接近する。

 

アーサーはすぐさま強襲モードを解除するが、先にその凶刃によって左腕部を切飛ばされてしまう。

 

「くっ!は、はやい!」

 

「アーサー・グレイ。君もまた道化の一人だったな。ここで退場してもらおう」

 

「貴様にやられる私ではない!」

 

アーサーはすぐにテールスタビライザーからビームサーベルを展開し、機体をバク転させて一撃を食らわせようとしたが、プロヴィデンスはいとも簡単によけ、アーサーはイーゲルシュテルンとビームライフルを撃ち込まれ、最後にビームサーベルの一撃を食らった。

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

「あっけないものだな」

 

「いやまだだ!」

 

「何!?」

 

閃光の中から現れたのは、追加武装であるエルキドゥをパージし元の姿となった「ナイトメア」が現れた。

しかし、先ほどの追撃により武装はほとんど失われ、残されたのはアルミューレ・リュミエールだけだった。

 

クルーゼは、ナイトメアを視認した瞬間すぐにトドメを刺そうとしたが、そこにマルドゥークのドラグーンの一機が割って入り、代わりに斬撃を受け止め小爆発を起こした。

 

続いて、シルヴァが救援に駆けつけナイトメアの前に立ちながらビームライフルを発砲する。

クルーゼはすぐに離脱し、複合防楯システムで受け止め両者は睨み合いなった。

 

シルヴァは中破状態のナイトメアに触れて、アーサーに声をかける。

 

「アーサー。ここは俺に任せてお前はドミニオンに行け。その状態では狙われるのがオチだ」

 

「し、しかし僕は!」

 

「ドミニオンにアズラエルがいるんだろ?守るべき者を守れ。」

 

「ッ!!。分かったシルヴァ…。死ぬなよ!」

 

「お前もな。さぁ行け!」

 

アーサーは歯噛みしたものの、シルヴァの言うことに間違いはなく、ナイトメアをドミニオンの方向へと反転させ向かっていった。

そして友の背を見届けたシルヴァは、目の前の天帝と睨み合いしながら、操作レバーを握り直し、残されたドラグーンを再度自機の周りに展開させてプロヴィデンスに突撃していった。

 

「これ以上貴様の好きにはさせんよクルーゼ!」

 

「ならば止めてみせるがいい!」

 

クルーゼもドラグーンを起動し、二人のいる戦場はいくつもの光がほとばしっていった。

 

 

 

場所は変わり、アークエンジェル含む五隻同盟はジェネシスの攻撃を阻止すべく、迫りくる防衛隊の攻撃に抗っていると、アークエンジェルの後方より、連合軍の戦艦でありアークエンジェル級のドミニオンが現れ、アークエンジェルの艦長であるマリュー・ラミアスは驚きを隠せれなかった。

 

そしてドミニオンから通信が開くと、アークエンジェルのモニターにはやはりナタルの姿があった。

 

「ナ、ナタル!?どうしてここに…!?貴女まさか離反を…!?」

 

「ラミアス艦長。驚かれるのは無理もありません。しかし私達は自分達の意思でここにおります。ハルバートン閣下も了承しております。」

 

「閣下が…!?」

 

「はい。ラミアス艦長、私達も未来を守るためにご同行させてください」

 

「もちろんよナタル…。ありがとう…」

 

「お礼は終わってからにしましょう。我々はアークエンジェルの右舷に定着します」

 

「ええ、お願い!」

 

こうして、新たにドミニオンが加わり前線にアークエンジェル・ドミニオン、アークエンジェルの後方にはクサナギとエターナル。その二隻の左右にはタナトスとアヴァロンが配置し、彼女たちはそのまま防衛隊を迎撃に入った。

 

「わぁ!あの白い船じゃん!味方なの?」

 

「たぶんね…」

 

「どっちでもいいだろ!今はあのバカでかいヤツを潰しにいくぜぇ!」

 

「オルガ少尉、援護を頼みます」

 

「ジーク、てめぇ後で貸しだからな!」

 

ドミニオンから三馬鹿も出撃し、迫りくるジンとシグー・ゲイツの攻撃を掻い潜り、ジークがストライクで突撃しながらビームサーベルで切裂いていく。

 

そして、レイダーとフォビドゥンがストライクに続いて攻撃を開始し、オルガもカラミティの武装を存分に使い、防衛隊のモビルスーツを撃破する。

 

すると、オルガの右方向より地球連合軍の戦艦で、タナトスと同型艦のヒュプノスが現れた。

 

「もはやあの女狐共はいらん!ローエングリン起動せよ!」

 

艦長であるサザーランド大佐は、その凶刃をドミニオンへ向けると、ドミニオンの艦橋にて通信士がこえを荒げて、ナタルに伝える。

 

「か、艦長!15時の方向より本艦が、友軍艦ヒュプノスからロックされています!」

 

「なんだと!?(ここで本艦が撃たれては、ラミアス艦長達を巻き込んでしまう…)」

 

「やっと本性を現しましたか、あのサザーランドは。ナタルさん、ケリをつけましょうか」

 

「アズラエル理事…。了解しました。本艦はこれよりヒュプノスを迎撃する!ラミアス艦長にも伝えろ」

 

「はっ!」

 

ナタルは号令を出すと、前線より離脱しヒュプノスの迎撃に移ると、ゴットフリートを発砲し牽制すると、あちらもゴットフリートとスレッジハマーを展開する。

 

ドミニオンは回避するも、ゴットフリート一番が破壊され小爆発が起きると船体が大きく揺れた。

そしてヒュプノスがそこに目をつけ、ドミニオンの艦橋へとローエングリンを発砲した。

 

「くっ!回避!」

 

「駄目です、間に合いません!」

 

「アーサー…!」

 

「ここまでか…!」

 

「キラ…皆…!」

 

艦橋では、フレイとアズラエルは涙目になり、ナタルは歯を食いしばるように迫りくるローエングリンを見つめてた。

 

その時、ドミニオンの艦橋前に中破状態のナイトメアが現れ、残されパワーを使い、右手のガントレットにアルミューレ・リュミエールを最大稼働させ、ローエングリンを防ぐ。

 

「ドミニオンを…ムルタを…やらせはしない!」

 

アーサーはナイトメアの持てるエネルギーを一点に集中させたことで、ドミニオンを間一髪の所でローエングリンを防ぐが、コクピット内には警報が鳴り響き、自子機器に火花が飛び散り、サポートAIのインテグラも危険信号を出していた。

 

『アーサー、コレ以上はキケンです!このままではアナタも…!』

 

「構わない!僕は、この命尽きるまで守ってみせる!」

 

「インテグラ、ドミニオンの艦橋へ通信と開いてくれ。そしてナイトメアのデータをムルタに」

 

『分かりました…。通信開きます』

 

アーサーはすぐにインテグラを介して、ドミニオンの艦橋へと通信をつなげると、ムルタに声をかける。

 

『ムルタ…。今までありがとう。君のおかげでここまでこれた』

 

「ア、アーサー君!」

 

『俺たちの…子供を…たの…』

 

アーサーは最後に伝えようとしたその瞬間、ナイトメアから通信が切れ、メインカメラが爆発し、アルミューレ・リュミエールのエネルギーが尽きてしまい、ドミニオンの艦橋前で閃光となって消えた。

 

艦橋内は静寂が広まる。

そしてその静寂を破ったのはアズラエルだった。

 

「そ、そんな…。い、いやよ…アーサー………!」

 

彼女は大粒の涙を流し、両手で顔を覆い隠しながら泣きわめいた。

フレイがすぐさま彼女のそばに駆け寄ると、その嘆きの声を聞いたナタルは、帽子を深く被り怒りを込めた眼差しをヒュプノスへ向ける。

 

「アーサー大佐の死を無駄にするな!アルスター二等兵はアズラエル理事を自室に運んでくれ」

 

「は、はい!」

 

「ローエングリン一番、二番起動!目標ヒュプノス!撃てぇーーーー!!」

 

ナタルの怒りの号令により、ドミニオンからローエングリンが発射されると、再チャージに入っていたヒュプノスは、突如と現れたジョニー・ライデンの奇襲により、武装とエンジン部分を破壊され航行不能に陥っていた。

そしてドミニオンから放たれた二本の聖槍により貫かれ、ヒュプノスは瞬時に大爆発を引き起こし、光と玉となって宇宙に消えていった。

 

 

ナタル達はアーサー亡き後も、すぐさま体勢を立て直しオルガを隊長に切り替え、アークエンジェルへと合流を図った。

しかし、オルガ達もアーサーが死亡したことを聞き、怒りを露わにしていた。

 

「クソったれどもが!連合も関係あるか、俺等の邪魔をする奴はぶっ殺してやるよ!」

 

「お兄さんの仇を取らせてもらうからね…、抹殺!」

 

「絶対に許さない…!」

 

三人はこれまでにない連携で、迫りくるザフトのモビルスーツを撃ち落としていき、そこにジークも合流してジェネシスへ向かっていた。

 

そしてもう一人、アーサーの戦友であるアーカード·ワイズマンはタナトスからアーサーの戦死を告げられると、レバーを握りしめ声を荒げていた。

 

「ばっかやろうーーー!!!」

 

その一言だけだった。

しかし、この戦場では虚しく響き、アーカードは一瞬だけ動きを止めた。

その異変に気づいた副隊長のアルトリアがすぐにカバーを行い、シールドを構えながらビームライフルを発砲し牽制していた。

 

「隊長!お気を確かに!今ここで止まっては…!」

 

「ああ…。アーサーの弔い合戦だ。アルトリア付いてこい!」

 

「はっ!」

 

アーカードは、涙を堪え、迫るジェネシスの守備隊のモビルスーツを睨みながら、アルトリアと自身のモビルスーツ隊を引き連れ迎撃を再開した。

 

戦場はまたたく間に混沌をきわめていた。

 

ジェネシスの守備隊のヴェサリウス級三隻が立ちはだかり、クサナギ·アークエンジェル·エターナル·アヴァロン·タナトスは、集中砲火されないように展開するも、突如と現れたプロヴィデンスの攻撃により、火器の多くが使えずにいた。

 

一刻も早くジェネシスにたどり着かねば、また撃たれることになる。皆が焦りを感じた時、突如アークエンジェルにタナトスの艦長であるレナトから通信が入る。

 

「ラミアス艦長、これより我々は道を切り開くため特攻する。」

 

「なんですって!?そんな無茶なことはおやめなさい!」

 

「無茶なことは百も承知です。ですが我らは未来の為に道を切り開く覚悟であります。既に脱出艇は出ております。我々のモビルスーツ隊のシグナルも送ります。ラミアス艦長、酷なことを押し付けて申し訳ありません」

 

「レナト艦長…。分かりました。私が全責任を持って脱出艇とモビルスーツ隊のメンバーを保護します。」

 

「感謝します。ではラミアス艦長、ご武運を…!」

 

レナトは敬礼をかざすと、マリューも敬礼を交わしタナトスからは脱出艇が次々とアークエンジェルへと向かい、異変を感じたアーカードがタナトスへ通信を行う。

 

「おい、艦長なにやってんだ!?」

 

「これより僕たちはあのヴェサリウス級に特攻を行う。アーカード、左右のヴェサリウス級の注意を引いてくれ」

 

「あ、アンタまで死に急ぐこたぁないだろ!」

 

「聞け、アーカード。僕は満足しているよ。あの三人と君と、そしてかのアークエンジェルと共に戦えていることに。そして、今は未来を切り開くためにね」

 

「艦長…」

 

「アーカード、最後の命令だ…。死ぬなよ」

 

「了解…!」

 

アーカードはすぐさま通信を切り、タスクフォースデルタを二隊に分け、アークエンジェルらのモビルスーツ達と共に中央以外のヴェサリウス級の注意を引くため、牽制を行なっていき、タナトスは最大戦速でヴェサリウス級へと近づいていく。

 

ヴェサリウス級も主砲をタナトスへ向けて発砲するも、かの船の勢いは止まらず、レナトと残ったクルーの男たちは笑みを浮かべていた。

 

「ヴェサリウスに特攻後、ゴットフリートを撃て!」

 

「りょーかい!艦長、最後までお供しますよ!」

 

「あの世で盛大に酒でも飲もう!たらふくな!」

 

「はっはー!そりゃいいや!艦長のおごりだ!」

 

そうやって軽口を叩いている間に、タナトスはヴェサリウスへと衝突すると、艦体に衝撃が一気に駆け巡り、クルーたちは宙に舞いながらも、砲撃手たちは歯を食いしばり耐えて、レナトの号令を待った。

 

「ゴットフリート撃てぇ!!」

 

その号令を聞いた砲撃手は、すぐにスイッチを押すとヴェサリウスの船体に大きな風穴が開かれ、小爆発を起こした。

そしてレナトがいる艦橋にもゲイツが一機、ビームライフルの照準を構えていると、レナトはニヤリと口角を上げていた。

 

「遅かったな!」

 

(アーカード、あとは頼むぞ!。クロトちゃん、君とゲームしている時は楽しかった…)

 

そう一言こぼした瞬間、艦橋はビームライフルによって破壊され、タナトスとヴェサリウスはお互いに誘爆し、巨大な火の玉となって消えていった。

マリューはすぐさま号令を出し、クサナギ達と共に残りのヴェサリウス級2隻に攻撃をし、その2隻も航行不能に陥り、アークエンジェル率いる4隻は最大戦速にて、駆け抜けていきジェネシスへまっしぐらに進んでいった。 

 

 

戦場は代わり、シルヴァはプロヴィデンスのドラグーンを避けるのに必死だった。

自身のドラグーンは5基しかなく、1基はアーサーを守るために失った。だがそれでも機体の性能を生かしながら、ドラグーンの攻撃を掻い潜り1基ずつ落とすも、大型ビームサーベルの反撃にも遭い、左足は欠損し右腕半分もビームサーベルにて、切飛ばされていた。

 

シルヴァは冷や汗をかいていると、後方からストライクジェフティが現れ、プロヴィデンスにシュトラールを放った。

クルーゼもまた同じ「ストライク」が現れた事に驚きもしたが、すぐに回避行動を取り距離を取った。

 

シルヴァはストライクジェフティのパイロットである、アーカードに接触通信を行い、声をかける。

 

「アーカード。持ち場を離れていいのか!?」

 

「かまわねぇよ。カラドリウスは失ったがアルトリアとライデンたちがいる。問題はねぇ、後はあのモビルスーツだ!。オレが援護してやるから、シルヴァがトドメを刺せ!」

 

「当然だ。ここで奴を撃ってジェネシスをとめる!」

 

二人は息を合わせるように、ブースターを最大稼働させてプロヴィデンスへ近づいていく。

クルーゼは笑みを浮かべながらも、ドラグーンを再度展開し、迫りくるマルドゥークとストライクジェフティを迎え討つのであった…。

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