戦場はいくつもの命が輝いては、散っていく。
ある者はプラントを守るために。ある者はジェネシスを破壊し未来を守るために。そしてある者は愛すべき人を守る為に。
そんな数多くの思想が飛び交う戦場に、一際輝く者たちがいた。
それはマリュー·ラミアス率いる五隻同盟が、明日を守るために奮闘している。
そして、ある戦場ではすべてを否定するクルーゼと、人の可能性を信じるシルヴァの両者が命を削りあっていた。
-シルヴァSide-
「厄介な奴だよ君は!」
「貴様を止める為ならば、何度でも食らいついてやるさ!」
「チィ!」
「おい、俺のことを忘れんじゃねぇ!」
「またストライクか。いい加減退場してもらおう」
クルーゼはそういうと、小型ドラグーンを数基展開しアーカードに向けて、ビームを発砲していく。
アーカードは持ち前の空間認識能力で回避しながら、1基1基と撃ち落とすも、遂にはバックパックを撃たれ、体勢を崩した所に、ビームの雨が振り注ぎストライクジェフティは大破した。
「ぐああああ!」
「アーカード!?」
「い、いけぇ!シルヴァ…!お前が…未来を…!」
「ッ…!任せろ…」
アーカードは自分のことは構わずにと、左腕のマニュピレーターをプロヴィデンスに指差して、アーカードは警報が鳴り響くコクピットで、薄れていく意識の中マルドゥークを見つめ、そして機体もろとも沈黙した。
俺は大破したストライクジェフティを目に焼き付きながら、歯ぎしりをしながら、すぐにプロヴィデンスに目線を切り替え、ブースターを最大稼働させて突撃する。
「クルーゼ!」
「知れば誰もが望むだろう、君のようになりたいと。君のようでありたいと!」
「何を!」
「故に君の存在は許されない!」
「そんな理屈で殺されるか!。俺は望まれるような存在なんかじゃない!」
俺は迫りくる狂気に飲み込まれないように奮戦し、小型ドラグーンを三基、ビームライフルで落としていくと、再びクルーゼの言葉が木霊する。
「いくら叫ぼうがいまさら!」
プロヴィデンスの大型ビームサーベルが牙を向くが、なんとか回避し、そこから四連のバラエーナで牽制をかける。
「これがさだめさ。知りながらも突き進んだ道だろう!」
「まだいうか!」
「正義と信じ、分からぬと逃げ、知らず聞かず!」
「ッ!」
「その果ての終局だ!もはや止めるすべなど無い!」
「そして滅ぶ。人は滅ぶべくしてな!」
クルーゼの名言…。転生する前は幾度も聞いた台詞だ。俺は彼のことを正直知っているわけでもないが、自身の出生を呪い、命を弄ぶ者たちへの怒り、それがひしひしとこの身に伝わるのがわかる。
それがこのドラグーンの雨だ。絶え間なく振り注ぐこのドラグーンの雨を、俺はペダルを休むことなく踏み続け、回避するのに精一杯だ。だが、軌道が読めないわけじゃない。『SEED覚醒』で、残り三基のプラウドディフェンダーで瞬間的に防御して、クルーゼの距離を詰めていく。
「貴方は時代の被害者だ。だけれど、その怒りと恨みで、全てを滅ぼされてたまるか!」
「それが人だよシルヴァ君!」
「そんな事あるものか!人はそんなにも弱い存在じゃない!」
俺はマルドゥークの残る全ての武装をもって、フルバーストを行い、さらにプロヴィデンスのドラグーンをさらに1基落とす。
そしてまたクルーゼの言葉がコクピット内に、冷たく響く。
「ふん!何が違う!?何故違う!?」
「この憎しみの目と心と、引き金を引く心しか持たぬ者達の世界で!」
「何を信じる!?何故信じる!!」
「それしか知らない貴方が!」
「知らぬさ!所詮人は己の知る事しか知らぬ!」
クルーゼの言っていることも間違ってはいない。このコズミック・イラの世界の中で、コーディネーターとナチュラル、どちらも違う人種が対立し、殺し合う世界で一体何を信じていればいいのか。
正直、その先に何が待つのか分からない。
俺はそんなクルーゼの言葉に、戦闘中でありながら深くだが、一瞬動きが止まりそうになったが、その時にマリアの一言が聞こえてきた。
『必ず生きて帰ってきて』
「ッ!まだ止まれない!」
「まだ苦しみたいか!?いつかはやがていつかはと!そんな甘い毒に踊らされ、一体どれほどの時を戦い続けた!」
「うおおおお!!!!」
俺はプロヴィデンスの残ったドラグーンの雨を全力で回避しながら、残った武装であるビームサーベルと四連のバラエーナ、そしてエネルギーが持つまで、必死に食らいつきにいった。
俺は…、俺はキラ達が…、弟達が生きる世界を、…明日を守る!
-シルヴァSide…end-
一方、ヤキン・ドゥーエ内部に潜入するために、アスランが駆るジャスティス、カガリのストライクルージュ、そしてその護衛としてジョニー・ライデンのモードレッド、シリウスのマルコシアスが向かっていった。
アークエンジェル一行は、防衛隊と戦闘を繰り広げる最中、マリューは前線に出ているエースのシルヴァを気にかけていた。
「シルヴァ君の通信は?」
「ありません!以前通信が途切れていまして…」
「シルヴァ君…」
そしてもう一人、補給のために降りたフィアースリペアのパイロット、マリアが顔色を悪くし、ドクターのフィアに介抱されていた。
「もう大丈夫!しばらく休んでて。」
「でも私は…」
「シルヴァの事、凄く気にしてるんでしょ?それぐらい雰囲気で分かるもの」
「フィアさん…。無事に帰ってきてくれますかね…」
「大丈夫よ。シルヴァならきっと!」
マリアはフィアの励ましの言葉を聞き、彼女は胸元から彼から貰った、菱形のルビーが装飾されたネックレスを取り出し、静かに彼の安堵を心から祈った。
『必ず生きて帰ってきて…』と
だが、そんな時にジェネシスでは自爆シークエンスが作動し防衛隊の撤退が始まると、マリュー達も事態が動いたことを確認し、先行していたエターナルに追いつく。
ジェネシスが自爆するため、彼女たちも撤退行動に入るが、キラだけは戻ってこないシルヴァを探しに出た。
「この事を早くシルヴァさんに伝えないと!」
キラはラクスに了承を経て、再び戦場に飛び立ちシルヴァの識別信号を頼りに飛び立った。
-シルヴァSide-
「はぁはぁ…!」
機体を縦横無尽に動かし続け、死角外からの殺気を感じながら戦闘を続けるのは至難の業だ。
俺はそう心のなかで悪態をつきながらも、ビームサーベルの振りを避けたドラグーンをすぐに捕らえ、バラエーナで破壊するが、その爆炎の中から、武装を除いては本体は無傷のプロヴィデンスが現れる。
それからコクピットに、クルーゼの勝ち誇るかのような笑い声が木霊する。
「クックック。アッハッハッハッハ!」
「何が可笑しいクルーゼ?」
「どの道私の勝ちだな!ヤキンが自爆すればジェネシスは発射される!」
「なっ!?」
原作通りだ…。アニメを観ていた頃はただ「怖い」とそう思っていた。
だが、それを直接聞いた時にはそんな優しい表現で済まされるものなんかじゃない。
また『あれ』を発射されたら今度こそ終わりなんだ。
そしてまたクルーゼの言葉が届く。
「もはや止めるすべは無い!地は焼かれ、涙と悲鳴は新たなる争いの狼煙となる!」
「そんなこと…!」
俺は狼狽えると、ジェネシスの方へと向かうジャスティス・ストライクルージュ・モードレッド・マルコシアスを目撃し、クルーゼがそうはさせまいとドラグーンで攻撃しようとするが、すぐさま割って入り、彼らを見届けた。
「アスラン!?カガリ!?。それにライデンとシリウスまで…」
「人が数多待つ予言の日だ!」
「何が予言の日だ!神気取りが!」
クルーゼがビームライフルとドラグーンの照準を俺に捕捉し、発砲すると、マルドゥークの機体がさらに揺れて、バラエーナがさらに二基撃ち落とされ、左肩の肩パーツを撃ち抜かれフレームが丸出しとなった。
だが、負けじと残ったバラエーナを分離し、反撃に出るとプロヴィデンスの左腕を破壊した。
「それだけの業!重ねてきたのは誰だ!」
「君とてその1つだろうが!」
クルーゼはビームライフルの照準を残ったバラエーナに発砲し、これでマルドゥークの武装は、背部のエアの六連バラエーナは全て消失し、残ったのは左腕のドラッヘ・ビームサーベルのみとなった。
そして俺は、キラたちの世界と明日を守るために、マリアと生きる未来を守るために、ビームサーベルを連結させて、最後の攻撃に乗り出した。
「それでも!守りたい世界があるんだ!」
ペダルを全力で踏み倒し、体勢を崩さぬままハイアットモードに切り替えて突撃をするが、クルーゼはビームライフルを発砲するも、もう見慣れた軌道に俺はすぐ回避すると、さすがのクルーゼも驚愕していた。
「ぬぅ!?」
「うおおおおおおおおお!!!!」
プロヴィデンスの右腕をビームサーベルで切り飛ばし、クルーゼはすぐさま距離を取り、残った大型ドラグーン1基と小型ドラグーン1基で迎撃に出るが、俺は減速することなく突撃をする。
マルドゥークのメインカメラを撃ち抜かれ、コクピットの左胸ブロックを破壊されても、ペダルを緩まない。
俺はレバーをもう一度握りしめ、遂に連結したビームサーベルでプロヴィデンスのコクピットを貫いた。
俺は貫かれたプロヴィデンスから、クルーゼが笑みを浮かべているような気配を感じ取ると、声が聞こえてきた。
『ならば生き残るがいい…。私は地獄で何時でも見ているぞ…』
その瞬間、コクピットに警報が鳴り響き、プロヴィデンスから右方向へ視線を変えると、発射体勢になったジャスティスが光り始めた。
すぐさま緊急脱出を行うと、プロヴィデンスはジャスティスに飲み込まれ、マルドゥークは爆発と熱線に巻き込まれ、フェイズシフトも役には立たず、装甲は次第に灰色になって焼けていった。
画面に閃光が迸る中、俺の意識はそこで途絶えた…。
-シルヴァSide…end-
ジェネシスが、破壊されたことを確認したラミアス一行は暫くの間動けずにいた。
するとザフト側から通信が響き、戦闘停止の申し入れという内容が響いた。
そう、戦争は終わったのだ。
心から安堵する者たちや、涙を流し恋人と抱きしめ合う者たち。形見を抱えて戦争が終わったことを、静かに喜ぶものもいた。
そこには敵味方関係なく、時間を忘れるように戦争が終わったことをかみしめていた。
しかし、マリュー達はまだ安堵するわけにはいかなかった。エースのシルヴァが帰ってきていないということに。
ブリッジにはマリューの隣にムウが一緒に立っており、キラに通信を行なっていた。
「こちらアークエンジェル。聞こえるかキラ!シルヴァはどうだ!」
「まだ見つからないんです!でもまだ頑張ります!」
キラは非武装のまま捜索を続けており、その通りにフェイズシフトダウンしたストライクルージュを見つけ、そこにはアスランとカガリが一緒におり、ライデンとシリウスは三人の邪魔をしないように、アークエンジェルに戻っていった。
キラはストライクルージュと共に、スピードを合わせながらシルヴァに応答をするように声をかけ続けた。
アスランもカガリも、返答してもらえるように声をかけ続けるも反応がしない。
三人は次第に焦り、涙が零れそうになった時、カガリが大破したマルドゥークを見つけると、キラとアスランもそこに目線を配り、三人はマルドゥークによるとコクピットが空けられており、センサーを凝らしてみると、シルヴァが機体の外に入り出されていた。
キラは慎重にマニュピレーターでシルヴァを包むと、彼はゆっくりと目を開き、目の前のフリーダムとストライクルージュをじっと見つめていた。
「生き残ったんだな俺は。アーカード…アーサー…」
「マリア…。今、君のそばに行くからな…」
彼は失った戦友を思い、涙を流してマリアからもらったお守りを取り出して、ぎゅっと握りしめていた。
キラとアスラン、カガリはシルヴァが生きていることを確認するやいなや、キラもコクピットから飛び出し、三人は数秒だけだが力いっぱいシルヴァに抱きつきにいった。
「帰ろう皆…。」
シルヴァはフリーダムのマニュピレーターに捕まり、体勢を低くしながら、アークエンジェルへと帰還を果たし、格納庫へとたどり着いた瞬間、艦内からは安堵の声が響き、戦友であるライデンもハグを交わし、マリューとムウも一緒に顔を出し、肩に手を置いて帰還を喜んだ。
そして医務室からもフィアとフィアーズが、通路側から喜びの声を上げており、最後にマリアが壁を軽く蹴ってシルヴァの元へとたどり着くと、皆は空気を読んで静かになり、二人を囲うようになると、シルヴァはマリアと言葉を交わす。
「ただいまマリア」
「お帰りなさいシルヴァ…」
「マリア。結婚しよう。これから先どんなことが待ち構えようとも。君と一緒に」
「はい…!貴方とならどこまでも」
突然のプロポーズに困惑した一同は言葉を失ったものの、盛大に喜びの声を上げて祝福をしていった。
コズミック・イラ71年、9月26と27日に及んだ総略戦は、ザフトのパトリック・ザラの死亡と停戦協定により、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦は終結した。
お久しぶりですガトーです。
大分前置きとか書いてなくて申し訳ないです。仕事の合間の休憩や、遅く帰ってきたときに書くのがちとつらくなってしまい、書けず申し訳ありません。
さて、今回でSEED編は終わりということになります。次回はその後のエピソードとなりますが、個人的にジョニー・ライデンの話と、シルヴァのその後はどうなったかと、アズラエルが生き残ったこと、ナタルとハルバートン閣下の今後も書いていきますが、最後にある人物を登場させようかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
僕なりのSEEDワールドを広げれたのではないかなと、思います!SEEDDESTINY編では、オリジナルモビルスーツは序盤は少しだけにして、既存機体の専用機とか出して、後半にドドンと構えようかと思います。
最後まで展開が早め早めになりましたが、それでも楽しんでもらえると幸いです。
いつもいいね、しおりありがとうございます。見てくれるだけでも滅茶苦茶嬉しいです!
それではまた、狭間の物語をかいてSEEDDESTINYもかこうとおといます!
ではまた、チャオ!|ω・`)ノ
(追記:SEEDFREEDOMZERO、映画公開おめでとうございます!絶対に見に行くぞ!!!)