私の名前はマドカ。
他の奴らからも五月蠅く言われたので、今回は真面目にあらすじを行うぞ。
……さて前回までの話では、暁人とセシリアはクラス代表の座を賭けてISバトル行っていた。
試合の緒戦は暁人が圧倒をし、セシリアは彼の意味不明な技量などを目の当たりにして茫然自失。
そんな中、暁人はセシリアの両親の話などをして、セシリアを怒らせたり泣かせたりし、
結果的にセシリアを奮い立たせた。
まるでセシリアを成長させるようなことをしていたのだ。
何で彼女を成長させることをしているのか?
暁人はいったい何をしたいのか?
暁人の目的とは一体?
今回、セシリアと暁人の戦いが決着する。
……今回は真面目にやったから、暁人はレールガン向けるの止めろ。
あと、なんでセシリアもビットを展開して私に向けているんだ?
――え?私のセシリアの紹介が気に入らなかった?
……知るかバーカ!!
2022年4月11日(月)
IS学園
第3アリーナ・ステージ
「いきますわ!!」
わたくしは暁人さんにレーザーライフル向けて突撃をした。暁人さんも
「………」
暁人さんが近づいてくるのは右手にブレードを変わらずに装備しているので、近接戦に持ち込みたいのだろう。
(先ほどの近接戦闘での異様な動きから、近接戦闘に自信があるようですし、わたくしでは暁人さんの近接攻撃に対して十分な対応が出来ないのは事実ですので、暁人さんから近づてい来るのはおかしいことではありません)
しかし、わたくしから暁人さんに近づくのは普通に考えればおかしいことだ。暁人さん自身は近接戦闘が得意で防御型の打鉄で、わたくしは高機動射撃型のブルー・ティアーズで戦っているのですから、わたくしは距離を離して撃ち続けるのが本来は正しい戦い方だ。では、なぜそれをしないのかというと――
(まあ、言ってしまえば、わたくしの攻撃が暁人さんに当たらないことが理由)
始めに暁人さんと戦えば嫌でも理解させられる。
(近接格闘戦での不利はありますが、わたくしのブルー・ティアーズの射撃が当たらない事には話にならない)
ですから――わたくしはお互いに付かず離れずの、自身の不利を承知の上での近距離での勝負を選んだ。暁人さんとの距離が5メートル程になったタイミングで、わたくしはレーザーライフルの引金を引いた。そして暁人さんもアサルトライフルで攻撃してきた。アサルトライフルの銃弾の断続した攻撃がわたくしの機体の装甲や、装甲が覆っていない場所を何度も叩く。
合計ダメージ量32 シールドエネルギー残量454 実体ダメージ レベル低
ブルー・ティアーズが今の攻撃の損傷状況をわたくしに伝える。
(……先ほどもそうでしたが、この距離とはいえ利き手ではない方での射撃なのによく当ててきますわね?)
そんなことを思いながら、暁人さんの姿を確認する。どうやらわたくしの攻撃が右側のスカートアーマーに当たり、装甲の一部が砕けている。
「「………」」
お互いに無言のまま暫くの間向かい合い、そして――
「ハァアア!!」
「シィイイ!!」
お互いに撃ち合う。弾丸やレーザーが装甲に当たる。暁人さんは右手のブレードで斬りかかってくる。わたくしはそれをショートブレードで防ぐ。暁人さんが蹴って来たので蹴り返す。
合計ダメージ量26 シールドエネルギー残量428 実体ダメージ レベル低
ダメージ 17 シールドエネルギー残量411 実体ダメージ レベル低
合計ダメージ量21 シールドエネルギー残量390 実体ダメージ レベル低
お互いの攻撃で砕けた青い装甲と灰色の装甲の破片が舞うのが見えるが、わたくしたちはそんなことを思考の外に置いて戦闘を続ける。わたくしは再度蹴りを放つがその攻撃を暁人さんが避けたことでお互いに距離が離れたので再びの撃ち合いになる。
合計ダメージ量23 シールドエネルギー残量367 実体ダメージ レベル低
「お嬢様が随分荒っぽい攻撃をするなぁ!?」
「貴方を見習ったまでですわ!!」
「そんなところ見習わなくていいと思うけどな!」
わたくしたちは軽口を叩きながらお互いに相手を撃ち合う。彼はわたくしに5~6発の弾丸を撃ち込みますが、わたくしはレーザーを1発当てれば弾丸6発分以上のダメージを出せる!!
「流石に、距離がないとよけきれないようですわね!!」
「言ってろ!!」
暁人さんはそう言って叫んだと思ったら突然腹部に衝撃が走り、わたくしはその衝撃で少し後ろに下がってしまう。
貫通ダメージ 32 シールドエネルギー残量334 実体ダメージ レベル低
いったい何が起こったのだと驚いていると、目の前にはブレードの切っ先をわたくしに向けて右腕を伸ばしている暁人さんの姿が見えた。状況的にわたくしの腹部をブレードで突いたのだろうが、わたくしはその動作が見えなかった。
(目の前にいる相手の攻撃の始まりから終わりまでを認識できなかったッ!?)
近接武器で斬ったり突いたりして攻撃をするには事前に何かしらの予備動作が必要。斬るにはブレードを振りかぶるような動作が必要ですし、突く攻撃をするには身体を捻ったりする動作が必要である。なぜそのような予備動作をしなくてはいけないのかというと、近接攻撃の際は威力を出すための距離を作る必要があり、その距離を作るための前準備が振りかぶったり身体を捻ったりする予備動作だ。剣の達人などは素人目には分からないほどの速さで
(わたくしが近接格闘に慣れていないというのもありますが、暁人さんの動きが無駄がなく素早かったというのが最大の要因)
本当にISに触れられて1週間なのかと疑問に思ったり、改めて暁人さんのIS操縦の技量について驚いたことでわたくしは動きが止めてしまった――そして、すぐに自分の失敗に気付く。暁人さんはこんな隙を見逃すほどの甘い相手ではない、と。暁人さんはわたくしが止まっている隙に近づきつつ、身体全体の回転とISの自重を加えたをかかと落とし放ってくる。わたくしは彼のその動きに一瞬遅れて反応したが攻撃を避けることはできない。できることとしては、装甲が残っている左腕を盾にするように自分の頭上に掲げるのみだ。
ガンッ!!
左腕を頭上に掲げた瞬間に凄まじい衝撃がわたくしを襲った。わたくしはかかと落としをなんとか防いだが、その衝撃で再度暁人さんとの距離が離れ、そして身体全体を襲った衝撃の所為で少しの間動けないでいた。
貫通ダメージ 42 シールドエネルギー残量292 実体ダメージ レベル中 左腕部装甲のダメージが深刻で……
そんな中、ブルー・ティアーズは変わらずにわたくしに損傷状況の報告をしてくる。
「ブルー・ティアーズ!!損傷状況の報告は結構です!報告と表示は残りのシールドエネルギーのみを!」
いつもは使わない音声入力機能でブルー・ティアーズに表示される情報を減らすように命令する。
「
一気に勝負を決めるつもりか、暁人さんはブレードを振りかぶりながら突撃してきた。ギロチンの様に振り下ろされたブレードの攻撃を何とか避けることが出来たが、暁人さんの動きは止まらずに振り下ろされたブレードを下から上に切り上げるように続けて攻撃してきた。わたくしはその攻撃を躱すことが出来ずに装甲の覆われていない腹部に当たってしまう。
「くぅっ……ISとお話なんて、結構ロマンチックなことを言いますわね!?」
「ISには意識があるって習わなかったのか、エリートさんっ!?」
「それでも会話を行ったという話は聞いたことがありませんわ!!」
シールドエネルギー残量236
(スペックではこちらが上なのに、この距離から離すことができない!)
暁人さんのブレードでの猛攻をショートブレードで防ぎつつ避けたりしていると、いつの間にか地面に足を付けての戦闘になっていた。
シールドエネルギー残量173
戦う場所が地面になってから、暁人さんの攻撃が更に激しくなり、一瞬で2回攻撃されているような気分になる。特に蹴りが酷い。ブレードで斬ったり突いたりしてきてなんとか防いだと思った次の瞬間には蹴られている。純粋な剣や体術では暁人さんの方が数段上でわたくしでは太刀打ちできないであろう……というのもありますが、ショートブレードでは純粋な近接格闘戦では勝負にならない。ピストルの様な小型の射撃武器が欲しい。
(あとで近接装備の意見書を出す!絶対に出す!!いくら試験機であるとはいえ、近距離を想定した武器が少ない!!)
レーザーライフルが撃てるように最低限の距離を空けようとすると、動きを先読みされすでに回り込まれている。
「ああ、もう!!しつこい男は嫌われますわよ!?」
「こうでもしないと勝てないんでねっ!!」
「まあ、確かにそうですけど!!」
覚悟の上で近距離での戦闘を選びましたが、ここまで勝負にならないとは思っていなかった。距離がもう少し離れればやりようがあるのですけど。
(空を飛べるISで、地面に足を付けての格闘戦になるとは……その上で暁人さんの動きは参考になる点が多いのがまたなんといったらよいのか)
ISを纏った状態での重心移動、スラスターと脚力を併用した加速、流れるような連撃。どれもこれもISを操縦するという技量が高くないとできない事ばかりを平然と行うことにはもはや関心すら覚える。だけど、今はISで試合中なので、関心ばかりなどしていられない。エネルギーも残り少ないので、どうにかして隙を作らないとと考えていると――
「――がぁ!?」
「……え?」
暁人さんが急に苦しんだ様に叫び、動きが止まる。
(まるで耳元で突然大きな音が出て驚いたような反応ですわね?)
イギリスにいた頃の中等学校で、イヤホンをした生徒が勝手に音量を上げられた時と同じような反応をしていたのを思い出した。
「『他にも勝てる方法があるもんね』だと?ああ、そうだな……だけど
「……?」
よくわかりませんが、攻撃の手が緩んだ今が好機。わたくしは暁人さんから少し距離を取りつつ、ショートブレードを暁人さんの顔を目掛けて投げる。
「まだこの状態で――
投げられたショートブレードをギリギリのタイミングで弾いた暁人さんは、わたくしの方を見て表情は驚きに染まった。
「なっ!?」
BTビットの砲門4つ、BTミサイル発射筒2つ、そして大型レーザーライフルの1つの計7門を向ける。暁人さんは驚きのあまり一瞬動きが止まった。その隙を見逃さずにブルー・ティアーズの持てる火器すべてで攻撃をする。
「クソッ!!」
レーザーはギリギリで躱されましたが、レーザーに遅れてミサイルが暁人さんに迫り――爆発する。
「前に撃つだけでしたら、この程度出来るのですわ!!」
そんな偉そうなことを言ってはいるが――
(まあ、今初めて試したのですけどね!!)
わたくしはそんなことを考えながらつい頬が緩んでしまう。ショートブレードを投げて目眩ましをして、その隙を突いてブルー・ティアーズの持てる武器の全てで攻撃をする。今までのわたくしは、即興でこんな事はしなかった。
(しかし、この程度でやられる貴方ではありませんわね?)
暁人さん、次はどういう手を打ってくるのでしょうか?わたくしはどのように反撃しましょうか?
「――フフッ」
ああ、どう来るのかどう動けばいいのかを考えるのが楽しい。今までのISバトルで勝利するといった結果を目指して、目標を達成した充実感を感じたことはあった。だけど今は、戦っているこの時間が楽しい。
そうですわ――
わたくしは今、人生で最高に楽しい!!
この瞬間が一番輝いている!!
そんなことを考えていると、爆発の煙の中から暁人さんが出てくる。流石にあの爆発で無傷とはいかなかったのか、打鉄の肩部に取り付けられている盾やスカートアーマーの損傷が酷い。また左手に持っていたアサルトライフルも今は持っていない。破損したので捨てたのでしょう。ですけど、先ほどと変わらずに平然と飛んでいる姿から、スラスターなどの機動に関わる部分には問題がないようだ。
(……打鉄の機動力が下がったのなら、わたくしとまともに戦うことが出来ないと考えてのダメージコントロール。流石ですわ)
現在のシールドエネルギーの量は暁人さんの方が多いですが、射撃武器のない暁人さんと射撃武器はすべて無事なわたくし……一見してみれば、わたくしの形勢逆転ですが暁人さんは油断ならない。
(この最低限離れた状態を維持したまま削り倒すのがベスト……ですが、暁人さんは普通の相手ではない)
絶対に何かをしてくるという確信があるので、細心の注意を払いつつ暁人さんの方を見ていると、暁人さんはわたくしに背を見せながら距離を取った。
「なっ」
本日、何度目の驚きとなるだろう。まさか対戦相手に背を向けるだなんて。
(……暁人さんが逃げた?――いいえ、これは誘われている)
まず、逃げ場のないISアリーナで逃げるなんていう選択肢はそもそもない。逃げる選択肢を取る人がいるとすれば、物語の主人公の様に急にISに乗せられて右も左も分からずにISで戦うことになった一般人などが該当するだろうか?しかし、暁人さんはそれには当てはまらない。あの行動には意味があるのだ。考えられるのは自分に有利な場所まで移動することなどがあるだろうか?つまりは罠だ。先ほど考えた通りに、最低限離れた状態での攻撃がベストなのは変わらない。しかし、わたくしはあえてその罠に飛び込むことに決めた。
「打鉄の性能とブレードだけで、どう戦うのか見せてください!!」
そう、これらが最大の理由だ。まず大前提として、打鉄の性能ではわたくしのブルー・ティアーズには基本的に勝てないのだ。性能では射撃の攻撃力と機体のスピードが圧倒的にこちらが上。打鉄が勝っている要素と言えば、機体特性である防御力と第2世代機という点での装備の多彩さのはず。何故か暁人さんはその打鉄の優位性で戦いませんでしたが、本人の技量で異様に高いので、わたくしの中~遠距離でのレーザー攻撃が躱せられておりますし、先ほどの様な距離が離れた状態で攻撃をしても避けられるでしょう。
では、どうして暁人さんは遠距離攻撃を行う武器がないのに、わたくしから距離を離したのだろうか?
(多分、今の状態で空中という場所で近づきたくなかったのでしょうか?)
暁人さんとしては空中ではなく、地面に足を付けた状態での勝負をしたいのだが、距離を離されて仕切り直しになった……お互いに近づかなくてはいけないのは変わらないので、今度はわたくしから近づけさせようとしているのだろう。
(そういえば、打鉄の肩の盾やスカートアーマーが修復されていない?意図的に修復させていない?)
他国のISである打鉄ですが、世界的に使用されている機体で、かつIS学園の教科書にも記載されている機体でもあるのでわたくしもその性能は把握している。打鉄という機体の最大級の特徴は物理防御シールドの高速修復だ。IS自体が待機状態になれば自己修復を行うが、打鉄はその物理シールド限定で稼働中も修復を行う仕様。それゆえに、第2世代機で最高の防御力を持つISであると世界的に評価されているのだが、その強みを使わない?本当に訳が分からない人……複数の武器が使えるのに使わなかったり、理解ができない戦術を実行したりして……
(本当に面白い人……織斑さんが言っていた『見ていて飽きない』という話にも納得ですわ)
しかし、理解が出来なく面白いだけの人ではないのは理解している。改めて暁人さんのことについて考えてみる。……戦ってみて感じたのは、暁人さんの動きはどこかに合理性があるのだ。ブレードで一度攻撃した後にそのまま横に回転して再度同じような攻撃を行うというのは通常、人間が動く上であり得ない動きをしていますが、思いついて実行できるかは別にしてISで動くということを考えるとそこまでおかしな動きではないのだ。
(なぜならISは人体に装着するパワードスーツという扱いですが、ISは人体にはないスラスターやPICといったもので浮いている)
通常の人間であるなら止まってしまうような動きもISを使えばさらに追加で攻撃を加えることが出来るなんて、考えたこともありませんでした。まだISが発表されてから10年であることを考えれば、まだまだ用いられる戦術が少ないという事を実感をした。そんなことを思いつつ、暁人さんが何を考えているのか想像する。
(そう、きっと暁人さんは第2世代の機動力の低い防御型のISで、第3世代の高機動射撃型との純粋な撃ち合いを嫌がったのだ)
なるほど、道理ですわね。これを暁人さんが考えたであろうことは間違いない。一般的にISの教育を受けた他の人でも思いつくであろう。……IS学園の生徒という立場でそこまで考えたのなら、普通はラファール・リヴァイヴに乗り換えるし、機動力で勝てない相手に無理やり近づく戦術を考えて実行をしたりしないのですけど。
(……何か
まあ、なぜ打鉄に乗って来たのかという理由を考えるのは今でなくていいでしょう。とにかく、現状を正しく理解した上での暁人さんの評価ですが、中~遠距離射撃での持久戦になったら6~7割の可能性で、わたくしに試合で勝てるであろう。ですけど、暁人さんは試合ではなくて真正面からわたくしと戦い勝負で勝ちたいのだろう。
(それに、暁人さんの動きの特性は明らかに近距離打撃戦の方で発揮できる……だから、最低限の射撃武器しか持ってきていない)
そして、彼はどのような手段か知らないが、ブレードでわたくしを倒すつもりだ。そんなことを考えて暁人さんのことを追っていると、いつの間にかにアリーナの観客席まで来ていた。
(まあ、ずっと避けられ続ける中~遠距離戦で不利なのはわたくしの方ですから、結局暁人さんを追いかけないといけないのですけど、ね)
アリーナの観客席付近で戦ってくれるのはこちらとしても好都合。わたくしは止まりつつ、BTビットを2つ暁人さんの進行方向より前に飛ばしてレーザーを撃つ。そして暁人さんはわたくしの目論見通りに動きを止める。
「喰らいなさい!!」
「チィ!!」
動きが止まった所にミサイルを放ち、爆炎が暁人さんを包む。
(そう、ミサイルが直撃しなくても、アリーナのシールドに着弾した爆発でシールドエネルギーを削ることが出来きます!!)
これで打鉄のシールドエネルギーも残り僅かとなりました。
「さあ、これでフィナーレですわ!!」
わたくしは勝負の決着を付けようと、再度BTミサイル発射筒を暁人さんに向けて再度ミサイルを放つが、暁人さんが何かを投げるような動きをする。
「甘い!!」
しまった、手持ちのグレネードなどがあったのかと思い身構え――そして、目の前に迫った物体を認識した。
(これは、アサルトライフルの弾倉……って、しまった集中力が!!)
弾倉に気を取られたわたくしはミサイル型BTの制御が出来なくなった。
(この戦いで嫌と言うほど思い知らされた……ブルー・ティアーズの弱点は
緒戦と同じようにミサイルが暁人さんの横をすり抜ける、が――
(その距離なら、爆発のダメージを受けますわ!!)
勝負の決着の時間が多少伸びただけだ。次か、その次の攻撃で勝負を――と考えていると、暁人さんがわたくしの方を見ておらず、視線が下を向いていることに気付いた。
(……勝負の最中にどこを見ていますの?)
そう思って、暁人さんの視線の先を見る偶然にも真下に本音さんがいた。暁人さんはこんな時でも本音さんのことを見ていたのだ。
(何で暁人さんは異様とも言っていいほど本音さんに関わるのでしょうか?)
などと考えていると暁人さんは本音さんに微笑えみ――そして、わたくしの方を向いて豪快に笑った。
「こいつを……このタイミングを待ってたんだよ!!」
暁人さんはそう叫ぶと、
(わたくしのミサイルの爆発の勢いを利用して!?)
いや、爆発を利用した加速にしては早すぎる――
「まさか、これはイグニッションッ――!?」
「うぉおお!!」
「――やっぱり、貴方はッ!!」
(面白いッ!!)
あの速度での一撃が当たれば、勝負は決まるであろう。しかし、まだチャンスがある。
(わたくしに向かって近づいて来ているのですから、狙わずともレーザーライフルを前に出して撃てば当てることができる)
1秒にも満たない間、わたくしは過去最高の集中力でレーザーライフルを構える。胴体部分に当たることを確信をして、そして撃った。
(これで、わたくしの勝ちですわ!!)
そして、暁人さんはレーザーの光線を軸にした
「……アハッ」
自分の身に迫る刃を見ながら、ついわたくしは笑ってしまう。
(本当に……面白い方――)
先ほど蹴られた時とは比べ物にならない衝撃を胸に受けたわたくしは一時的に呼吸が出来ない状態になって、そして攻撃を受けた勢いで暁人さんと一緒にアリーナの地面に激突した。
シールドエネルギー残量23
「……まったく。肋骨が折れたかと思いましたわ」
気が付くと、ブレードの切っ先を突き付ける暁人さんの姿を確認した。わたくしはこの状況を微笑みながら受け入れた。
(ブルー・ティアーズ……現在の損傷状態や利用可能な武装の確認をお願いします)
装甲各所破損 スラスターの損傷 軽微 実体ダメージ レベル中
武装の損傷 軽微
BTビット エネルギー充填完了 BTミサイル 弾頭装填完了 全武装使用可能
エネルギー残量もまだ残っている。武器の破損も全くないので、戦闘続行は可能ではありますが、先ほどのここ一番といった場面で集中力を注ぎ込んだので、これ以上この勝負を続けようとは思わない。
(……もしかしたら、次の試合もあるからと武器を狙わなかった?)
もし、そうであるのなら本当に笑うしかない。この人は何のためにそんなことをするのだろうか?本当に不思議で面白い方――
「降参しますわ」
わたくしは降参を宣言して、勝負の決着がついたことを知らせるブザーが鳴る。……勝ちたい勝負に負けたのですけど、どういうことだろうか、両親が亡くなってから初めてであろう晴れやかな気持ちを感じる。
「今回は負けましたが、すぐに追い越して見せますわ」
「おう、気長に待っとくよ」
そう、何ともない様に笑いブレードを肩に乗せながら暁人さんは言ってくる。
(いつか、その笑顔に銃弾を撃ち込んでやりますわ……とりあえず、今日の放課後に追加の武器の申請でもしましょう)
近距離用のピストルと、BTミサイルの代わりの思考操作をしない爆発する武器……ロケット弾などが欲しいなどと思う。
2022年4月11日(月)
IS学園
第3アリーナ・Aピット
私は黒野とオルコットの決着を見て呆然としていた。
「……黒野くん勝ちましたね」
「……ああ、そうだな」
「織斑くんもISに慣れるのが異様に早いとは思いましたが、黒野くんはそれ以上ですね」
「……ああ、そうだな」
「……織斑先生?聞いてますか?」
「……ああ、そうだな」
「……ハァ、黒野くんとオルコットさんはBピットの方に移動するように言いますね」
何か聞こえるが、私は黒野のIS操縦技術の異常さについて考えていた。
(ISの操縦はまだ先天的な才能で説明がつくが、しかし
私は……私の友人と同じ様な顔で、同じ様な理解不能なことを行う黒野に強い疑念を抱く。
「黒野……お前はいったい何者なんだ?一体、何が目的なんだ?」
……まあ、今考えても仕方があるまい。今はクラス代表を決めている最中だ。2試合目を行うための準備をする、が――一夏がBピットの方を見て驚いた顔をしていた。そのことに気付いた私と篠ノ之は一夏に聞く。
「……?どうした織斑?そんな驚いた顔をして?」
「何かISで見えたのか?」
「いや、その……」
何故か一夏は言い辛そうに口ごもる。
(何か言い表せない様なものを見たのだろうか?)
そんなことを思っていると、一夏は意を決した様に私たちに伝える。
「その……Bピットの方で暁人がのほほんさんにビンタされてぶっ倒れて……」
「「はあ?」」
「あらー?」
「あー、今は暁人がのほほんさんに平謝りしてる……」
余りにも意外な状況で、私は少しの間、何も考えられなかった。
「……フン、何をやっているんだか」
状況のおかしさをやっと理解した私は少し笑ってしまった。
~Bピットでの出来事~
「………」
「あら?」
「あ、ほーちゃん?どうしたのこんな所で?」
「………」ズンズン
(本音さんの様子がおかしいので少し離れましょうか)
「あっ!?もしかして労いのハグを――」
「フン!!」
「――ッ!?」
「暁人さん!?」
「え?何で俺は愛しのほーちゃんに叩かれ……」
「――くろろん」
「あ、はい」
「どんな理由があったのか知らないけど、もう女の子を泣かしちゃダメだよ」
「………」
(……何で暁人さんは黙っているでしょう?いつもなら二つ返事ですのに)
「返事は?」
「……ごめんなさい」
小ネタ
一夏:なんかまたやっているよ……(呆れ)
箒:なんだあの剣捌きは?(疑問)
セシリア:次は負けませんわ(奮起)
千冬:黒野はいったい何者なのだ?(疑念2)
暁人:あっぶねギリギリだった……(焦り)
???:もう、本気出さないから(呆れ)
本音:………(悲しみ)
山田先生:あんなことしなくても、ミサイルが顔を出した瞬間に銃弾を撃ち込めばよかったのに(疑問)
~次回予告~
マドカ「セシリアとの勝負に勝つことができた暁人」
WCB「お前本当に真面目にやるのな」
マドカ「次の勝負は一夏との勝負……どのような結果になるのか」
WCB「からかい甲斐のない奴」
マドカ「次回、織斑一夏クラス代表就任パーティー!!」
WCB「てめぇら、武装を俺にも向けるのは止めろ!!」
次回、第11話:クラス代表決定