俺の名前は、織斑一夏。
セシリアと暁人は3話分の戦闘シーンなどを貰えたのに、
1話分の戦闘シーンしか貰えなかった……!!
……なに?メタい?早く進めろ?
……暁人とマドカは後で覚えてろよ?
暁人VSセシリアのから始まったクラス代表を決める第一試合は、激戦の末暁人が勝利した。
この期に続く第2試合、第3試合で織斑一夏は勝利することが出来るのか?
また、試合の最中に暁人が言っていたシンクロ率とは?
2022年4月13日(水)
IS学園
食堂
「と、いうわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」
「「おめでと~!」」
ぱん、ぱんぱーんとクラッカーが食堂のいたるところで鳴らされるのを俺はどこか他人ごとの様に眺めていた。クラス代表を決める戦いから数日後経ち、夕食後の自由時間で俺のクラス代表就任を祝うパーティーが催されている……が、俺はそれを不機嫌ですっていう感情を顔に出しながらテーブルに座っていた。
「………」
めでたくない。ちっともめでたくないぞ。何なんだこのパーティーは?
ちらりと、壁を見るとそこにはデカデカと『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と書いた紙がかけてある――ちなみに俺の名前の部分は『黒野暁人』という文字の上に訂正するように書かれてる。
せめて作り直してくれない?
「少しは嬉しそうにすればいいじゃないか?」
「そうですわ。折角クラスの皆様がお祝いをしてくれているというのに、そんな顔をされていては皆様に失礼というものでしてよ?」
そう言いながら、ジュースが入ったコップを片手に俺とクラス代表の座を賭けて戦った2人――暁人とオルコットが俺のいるテーブルに座った。
俺はその2人にジトーっと少し睨むような視線を向ける。
「……全敗した結果のクラス代表だから喜べないだろ」
俺は数日前の試合を思い返した。
2022年4月11日(月)
IS学園
第3アリーナ・ステージ
第2試合 織斑一夏VSセシリア・オルコット
俺は
「……しかし、オルコットと俺が先に戦うって、本当によかったのか?」
オルコットのISは先ほどの試合で受けた暁人の攻撃で装甲が砕けたままでこの試合に臨んでいた。
「ええ、機体のダメージはありますが、武装やスラスターへのダメージは軽微。シールドエネルギーは万全……機体へのダメージは初心者である一夏さんへのハンデと言ったところですわね」
「そう言ってくれると助かるぜ」
「……それに、暁人さんにとって今はそれどころじゃない状況ですからね」
「あぁ……のほほんさんとの、ね」
俺たち2人は第3アリーナのBピットの方に目を向ける。……そこには正座をしながら身振り手振りで、のほほんさんに許しを請う暁人の姿が見えた。
(……先ほどまで異様な雰囲気でISを動かしていた奴とは思えないな――あ、またビンタされた)
つい10分ほど前にオルコットのことを無表情で、まるで機械の様に正確に動き追い詰めていた暁人の姿はそこになく、今は情けなくのほのんさんに平謝りをしている暁人の姿があった。
「ま、まあ、わたくしが織斑先生に強く希望したのが一番の理由ですが……」
「……?どうしてだ?」
「それはですね……すぐにでも試したいことがありましたの」
オルコットがそう言うと、ISバトルの開始を知らせるブザーが鳴った。オルコットは先ほどの試合で暁人にした様にレーザーライフルで攻撃をしようとし狙いを定めようとする。
「させるか!!」
俺はそれを見た瞬間オルコットに向かって接近する。
(来い、雪片!!)
俺は自分の右手に『雪片弐型』という近接ブレードを展開してオルコットに斬りかかる。射撃兵装を持っていない俺のISでは近づいて斬ることしかできない。そして、射撃型ISかつビット兵装を持つオルコットにはとにかく近づかないと話にならないことは先ほどの暁人の試合で理解している。
「速いッ」
俺のISの速度に驚いたオルコットは、レーザーライフルを構えていたのに俺が接近するのに撃てないでいた――いや、待て?それはおかしい。俺は雪片を振りかぶりながら疑問に思う。
(そうだ、だって、オルコットはさっきの暁人との試合の最後に今と同じような状況で撃っていた)
俺がそう思っているのと同時にオルコットのISからビットが動き出す。
「なっ!?」
俺が驚いているとオルコットの周りにビットが配置され、俺に狙いを定められ――そして、ビットからレーザーが放たれる。
「くっ」
俺は攻撃を中断し、ビットからの攻撃を避けようとしたり雪片を盾にしたりしたが、何発かレーザーを受けてしまう。
(暁人はこんな攻撃を顔色変えずに避けていたのかよ!?)
レーザーの攻撃に当たった時の衝撃やレーザーそのものの速さに驚き、動きが止まってしまう。
そんな俺に対してオルコットはミサイル型ビットの発射筒を向けて、撃った。すでにレーザーを撃つ方のビットは本体に回収されている。
(さっきの試合で見せなかったパターンの攻撃!?)
先ほどの試合ではレーザーとミサイルの攻撃を即座に切り替えるなんてことはしていなかったのにと、驚きつつも自分に迫る2つのミサイルから背を向けて逃げる。
(くっそ、せっかく近づいたのに距離を離されてしまった……だけどな!!)
俺はミサイルから背を見せて逃げている体勢から一転して、自分に向かってくるミサイルに向かう。
「おおおぉ!!」
そして、俺は雪片を振るい2つのミサイルを真ん中から両断する。
切ったミサイルは俺に迫って来た勢いのまま俺の横を通り過ぎ、爆発した。
(暁人とオルコットの試合を見ていてビットの弱点に気付いた)
ビット攻撃の弱点は思考操作を行っていること自体にある。驚いて思考が止まったり、突然の事態に反応が遅れるのだ。
そして、ビットの操作対象が無くなったオルコットは一瞬動きが止まる。
多分だけど、ブルー・ティアーズのビット操作は相当複雑で、自分自身を動かしたりするのとビット操作との両立ができていないんだ。ビット操作に意識を集中させたり、あるいはビット操作用に意識を切り替えているじゃないか?技術的な問題なのかオルコット自身がビット操作に慣れていないのか分からないが――
(まあ、どちらにせよオルコットの動きは止まった)
俺はオルコットに再度突撃を行う。
オルコットは俺の予想通り動き止まっており、手に持ったレーザーライフルすら俺に向けていない。
やはり、次の動作までのワンテンポが遅れている。
その遅れた思考の分だけオルコットに近づけた。
(いける!!オルコットの思考がビット操作から切り替わらない内に勝負を決める!!)
オルコットの懐に飛び込んだ俺は、下段から上段への逆袈裟払いを放つ。
――不意に、オルコットがうっすらと笑っていることに気が付いた。
「……?」
俺はオルコットの表情に疑問に思った――その次の瞬間に
「――ッ!?」
俺は突然オルコットの後方から縫う様に出てきたレーザーに目を白黒させる。
攻撃を受けて俺はオルコットがやったことについて理解する。
オルコットは俺がミサイル型のビットからを破壊した時にはすでに
(数センチ間違えたらオルコット自身に当たってる攻撃じゃないか!?)
俺はオルコットのビットによる精密射撃と、それを実行した度胸に驚いた。
「暁人さんのような予測した上での行動ではなく、あくまで反射による反応……」
俺が驚いて止まっていると、オルコットは何かを確認するかのように呟いた。
「機体性能は打鉄よりもはるかに上ですが、操縦者の技量や経験が低い……丁度いいですわね」
レーザーライフルの銃口を俺に向けつつオルコットは俺に近づく。
「一夏さん……すみません」
そして、オルコットはとびっきりの笑顔で俺に言う。
「わたくし、沢山試したいことがありますの♪」
このセリフから試合が終わる17分の間、俺はオルコットの思いつく限りの戦術の実験台にされた。
試合結果は言うまでもなく、俺の負けだった。
2022年4月11日(月)
IS学園
第3アリーナ・ステージ
第3試合 織斑一夏VS黒野暁人
オルコットとの試合で惨敗した俺は続く暁人との試合を肩を落とした状態でアリーナにいた。
「アハハ――一夏、災難だったな?」
俺と暁人はお互いに機体のシールドエネルギーの補給を済ませ、また対オルコット戦での各部装甲へのダメージを最低限修理をおこなってから第3試合に臨んでいる。
先にアリーナに入っていた暁人から俺の心境を見透かした言葉を投げかけられる。
「……オルコットがああなったのは、半分以上暁人のせいだと思うのは俺の気のせいか?」
「そんなー、まさかー、アハハー!!俺もまさか、あんな風になるとは思わなかったZE」
最後の方に暁人は何かを呟いたが、声が小さくてよく聞こえなかった。
……それにしても、暁人はいつにもまして笑っているな?
(暁人の状態に関係してくると言えばのほほんさんか?)
俺はいつもとは異なる暁人の様子に少しだけ困惑をしていた。
(暁人がこんな風にずっと笑いながら人と話すところなんて初めて見た)
なにかあったのかな――いや、なにかあったんだろうなどと考えていると千冬姉から通信が入った。
『男同士の青春を邪魔して悪いが、試合開始のブザーはすでに鳴らしているので早急に試合を始めてくれ。アリーナを使用できる時間は迫ってきているんだ』
「『時間』の件に関しては、試合そっちのけで新戦法を試せるだけ試したオルコットに言ってください」
『私から言わせてもらえば、
「……」
まあ、試合中に余計なことをしてアリーナ利用時間を圧迫したのは主に暁人にも要因があるが、暁人と俺の機体は対オルコット戦で装甲へのダメージが大きくそれをあと一戦だけ持たせるように修理するのにも時間がかかっている。
「織斑先生の言うようにさっさと始めようか」
暁人はそう言いながら、右手に構えたブレードを右肩の装甲にトンットンッと叩きリズム良く音を響かせる。
先ほどまでの異様に笑う様子から一変して、オルコットとの試合前や
「さあ、宣告通り無敗伝説の幕開けだ――一夏、勝たせてもらうぜ?」
「………」
――暁人はかっこいいことを言っている。セリフだけを聞けばすっごくかっこいいんだ。
……だけど、左右の頬にある綺麗なもみじの痕が台無しにしている。
(よっぽど強くのほほんさんに両頬を叩かれたんだろうな……)
「――オルコットとの試合を見ていたが、お前の機体は相当ピーキーな性能をしているな?さっきの試合では当てることはできなかったが、おそらくあのエネルギー刃を展開中はエネルギーを犠牲とした代わり超攻撃力を得るといった能力だな?」
よくわかったな?――などと思ったが、試合中に俺のエネルギー残量の減り方を注意深く見ていれば予想の付くことかと納得しながら暁人に答え合わせをおこなう。
「そうだ、この能力は『
俺のIS『白式』は試作第三世代の中でも相当じゃじゃ馬な機体らしい。高機動型のISに分類されるが武器は近接ブレード『雪片弐型』以外装備していない。だけど――
「『
「シールドエネルギーに触れれば強制的に絶対防御が発動して、相手に多大なエネルギー消費を強いることができる――文字通り一発逆転が見込めるハイリスクハイリターンの能力って訳だな」
「そうだ、当てれば勝ち。だから、暁人負けた時の台詞を今のうちに考えておけよ」
「ハハッ、そんなもの必要ない」
暁人は入学初日に見せた凛とした表情で俺に向かい合う。
「一夏、俺は無敗伝説の幕開けだと言ったはずだぞ?」
「最新の試作第3世代?『
「
暁人は右手に持ったブレードの切っ先を俺に向ける。
「それがどうした――勝たせてもらうぞ?『
「ハハッ……」
暁人の一言で俺の心が燃え上がる。
オルコットとの試合であんまりな結果になったことでテンションが下がっていたが、今暁人の宣言を聞いた俺は身体の中から沸々と闘志が沸き上がって来た。
俺は心の赴くままに声をあげる。
「――ああ、いくぞッ!!『
(最高に盛り上げてくれたじゃねーかッ!!)
俺は雪片を振りかぶりながら暁人に突撃をする。
(俺の戦い方は変わらないッ!!近づいて斬るだけだッ!!)
……そう意気込み、暁人に斬りかかった直後――
「ぶっ!?」
攻撃した雪片をブレードでいなされ、腹部に蹴りられた。
「……まあ、意気込みは良いが、
そう言われた7分後に、俺の惨敗という結果で1年1組のクラス代表を決める戦いは幕を閉じた。
え?
暁人との試合の内容を話せ?
……斬りかかってはいなされてカウンターをもらったり、ブレードの振れない様に距離を詰められて銃撃されたり、ありとあらゆる攻撃が無効化されたけど何か?
2022年4月13日(水)
IS学園
食堂
「今思い返しますと初心者に行う試合の内容ではありませんでしたわ」
「もー、オルコットったら~」
「そういう、暁人は俺とISに触れた時間はそんなに変わらないのに、何であそこまで動けるんだ?」
「うーん、どうやら俺はIS動かすことに関しては天才らしい……ゴメンネ、参考にならなくって☆」
「「………」」
なんかムカついたので、俺は暁人を殴ろうか真剣に考えたがやめた。
そんなことよりも、2人に確認しておきたいことがあったことを思いだした。
「そう言えば、辞退した理由を聞いていなかったよな?どうして2人は辞退したんだ?」
「面ど……俺の機体が第2世代だからな。機体性能的に考えて、他の2人の内のどっちかでいいだろうと思って俺は辞退した」
「訓練に時間を割き……織斑さんは残念な結果に終わってしまいましたが、貴方の成長の為にわたくも辞退しました」
「お前ら、せめて本音は隠せ」
俺は2人に対し呆れた視線を向けた。
そんな視線を向けていたが、オルコットがわたくしも聞きたいことがありましたのと口を開く。
「それにしても暁人さんも一夏さんも、いつの間に
「え?」
「俺のに関していれば、様々な条件が重なって利用できると判断したし、事前にそういったものがあるって知っていたからな。試しにやってみたらできた」
「その割には、上手く誘導されたように感じましてけど?」
「偶然だよ、ぐーぜん」
「ふーん、まあ、
オルコットは暁人に疑いの目を向けながら、俺がやったといっていることについて話しているが、俺には身に覚えのない話をしていて困惑して2人の話についていけていない。
「何と言いましても高等テクニックの中の高等テクニックである
「ああ、気が付いたら後ろを取られていて焦った」
「……その割には完璧なカウンターを決めていたような気がしましたけど」
「ほぼ直感で動いた――あれこそ、本当に偶然上手く決まったようなものだぞ……?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
俺は2人の話をいったん止めて、話の詳細を聞くことにする。
「その、
「
「???」
「これは、どうやら……」
「ああ、無我夢中で
「無我夢中でそんなことしないでもらいたいですわね……別方向への連続した
「え?俺、そんな危険なことをやったの?」
「「……はぁ」」
俺は2人から呆れた視線を受けながら、暁人との試合の内容を必死で思い出そうとする。
そう言えば、暁人との試合中に不思議なことがおこったことを思いだした。
2022年4月11日(月)
IS学園
第3アリーナ・ステージ
第3試合 織斑一夏VS黒野暁人
試合終盤で俺は、暁人との力量差に打ちのめされていた。
機体性能は第三世代である俺の方が有利――特にスピードに関しては圧倒的にこちらが上なのに、先読みと手数の差で負ける。
これがもし、白式と同じ性能の機体を暁人が持ったら――今の俺の強さでは反撃をする機会も与えられずに負けるだろう。
(嫌だ……)
(このまま負けたくない……)
そう、強く想ったら、自分以外の想いが何故か感じられて――
シンクロ率――198.8%
(勝ちたいッ!!)
勝ちたいという一念のみとなったら、五感の全てがクリアになり、まるで世界の全てを感じれたかのような感覚――そう、白式と心が一つになったかのような不思議な感覚。
その全能感で放つこの一撃は
俺は再び暁人に突撃し、雪片を振りかぶる。
暁人は先ほどの様に俺の攻撃に合わせて、右手に持ったブレードを振るい俺の攻撃をいなしてカウンターを狙っているのが分かる。
俺は雪片とブレードが当たる――寸前に
「はあ?」
初めて聞く、暁人の困惑の声が聞こえた。
俺は暁人の声が聞こえた頃には後ろに回り込んで『
今、思い返してみても、なぜIS初心者である俺が突然相手の後ろに回り込めた詳しい理屈は分からない。
だけど、これがオルコットのいっていた
暁人が最後にオルコットに急接近した時のような加速を、短距離でかつ連続で2回行うことで、暁人の背中側に移動したんだ。
「なんで、いきなり動きが――」
暁人は
横に避けても、前に避けても追い打ちが可能だよ!!
ああ、俺たちは勝てる!!
キィイイイイイイィン!!
加速が乗った青白いエネルギー刃が暁人に迫る。
暁人は後ろにいる俺に気付いているが、視線だけを向けて俺の動きについてこれていない。
(勝った!!)
俺はそう思ったが、しかし、俺の攻撃の一撃は、暁人が少し身体の重心を沈めなながら、俺の方に倒れ込むように少しだけ移動し、いつの間にか左手に持ち替えていたブレードで雪片の物理部分を受けて、そして暁人の左側に流された。
俺の渾身の一撃は暁人には当たらずに地面を斬って止まるという結果に終わった。
(なんだよ、それ――まるで、俺の動きや思考を完全に理解しているかのような……)
後ろからの不意打ちじみた攻撃に完璧に対応された俺は動きを止めてしまう。
何で受け流されたのかを考えているところに、暁人は右足で俺の顔を思いっきり横に蹴る。
(ああ、感覚が鈍くなっていくような――誰かが離れていくような……)
俺はそのまま身体を一回転させて勢いが乗った左足のかかと落としを頭に受けた後に、続くブレードの斬撃をくらう。
「はやく姉離れしろよ、シスコン」
暁人はブレードでの攻撃が終わりアサルトライフルの銃口を俺に突きつけながら、そう言ってきた。
「そうじゃないと、一夏――お前は俺には勝てない」
暁人はアサルトライフルで攻撃をしながら呟いたのが今でも印象に残った。
アサルトライフルで攻撃をされ続けて数十秒後、俺の敗北を知らせる試合終了のブザーの音が聞こえた。
2022年4月13日(水)
IS学園
食堂
俺は暁人との試合中に自分の身に起こった現象を思い出し口を開く。
「今思い出したんだけどな暁人、お前との試合中に不思議なことが起こったんだ」
「ん?」
俺はあの時の感覚(?)を暁人にそのまま伝えようとする。
「こう、自分以外の声が……いや、あれは意識のようなものか?そういったのが頭の中で感じれたんだ」
「暁人……お前に負けたくない――ただ、勝ちたいって気持ちでいっぱいになったら、そうなったんだ」
だめだ、他人に説明をしようとしたが、余りにも一瞬の感覚過ぎて上手く伝えられない。
「それは……その……」
なんだオルコット?
その俺の頭を本気で心配をしているような悲しそうな表情は?
「マジか……どんだけ
俺はオルコットに文句を言おうと口を開きかけたが、暁人が言った言葉の意味がわからずにそちらに意識が集中してしまう。
「――暁人?」
「――暁人さん?」
俺達は暁人を心配そうに声を掛けた。
「あ、ああ、悪い。ぼーっとしてた……えーと、なんだっけ?」
暁人は驚きのあまり少し意識が俺達の会話から外れていた様だ。
俺は再び自身が経験した感覚を言語化しようとしたが――
「一定のシンクロ率を超えた後の異能発現現象についてだっけ?それとも想いの方向性による発現タイプへの影響についてだっけ?姐さんと議論したけど発現した例が少なすぎるし、両方を発現した奴は確認する限り星音一人しかいなくて――」
「お前はいったい何の話をしているんだッ!?」
「貴方はいったい何の話をしていのですかッ!?」
暁人が突然変なことを早口で言い始めたことに驚いてそれどころじゃなくなってしまった。
シンクロ率!?異能発現!?発現タイプ!?姐さん!?星音!?
(新らしい情報が多すぎて、よくわかんねーよ!?)
「暁人!?大丈夫か!?」
「すまない、ちょっと混乱していた……もう大丈夫だ」
暁人は真剣な顔で俺に言い聞かせるように話し始めた。
(本当に大丈夫なのか?)
俺とオルコットに心配をする視線を向ける。
「それはだな、一夏?」
暁人は俺の感覚について何かを知っているのか、先ほどの醜態が嘘のように静かにゆっくりと語り始める。
「試合中に俺がお前の頭を強く蹴り過ぎたことによる後遺症がでた可能性がある。今からでも遅くない、早めに医務室に――」
「お前に相談した俺が馬鹿だったよ、じゃあな」
俺は暁人にも馬鹿にされたという事に苛立ちを覚え席を立とうとする。
しかし、暁人はまぁまぁと俺を宥めるために手を振る。
「ちょっとしたジョークだから怒るな一夏」
俺はその姿を見て渋々席に着く。
「因みに言っておきますけど、一夏さんのお話を真面目に聞いていても、自分以外の声を頭の中で感じたなんて言った一夏さんの頭の中身を心配をするのはおかしなことではございませんわ?」
「それは、そうだけどさ……」
そうオルコットにも言われながらも、俺は正直に自分の気持ちを言葉にする。
「俺は、これでも真面目に聞いているんだ」
「――一夏、ISには意識に似たものがあるという話は知っているか?」
俺の想いが通じたのか、いつになく真剣に暁人が俺に話をしてくれる。
「いや、知らない」
「そうか……あくまで仮説だが、感情や一つの想いが強まって自分以外の意識を感じたというのは、もしかしたらISの意識とシンクロしたんじゃないか?」
「そんなことでISの意識とやりとりができていたら世の中の専用機持ちたちは苦労しませんわ……」
暁人の話をセシリアは呆れた様子で聞いていた。
「ISの意識がある――それはつまり、ISにはそれぞれ性格や個性のようなものがあるってことだろう?」
それは、確かにそう言うことになるのか?
授業の内容についていくだけで精一杯だから、授業の内容以上に発展したISの話にはついていけない……
「俺が思うに人間関係と一緒でISのパイロットとIS自身との性格上での相性ってものがあるんだ」
「その性格上の相性でISとのシンクロのしやすさが変わると?」
「そうかもしれない……そして、初めての装着でもし一夏とISの意識がシンクロしたというのであれば――」
暁人は一旦言葉を区切っり俺に向かい言ってくる。
「一夏はその中でも相性のいいISのコアと『相棒』になったんじゃないか?」
「もし、そうだったら……嬉しい」
千冬姉やIS学校のみんなという人に恵まれて。
新型の第三世代ISのテストパイロットに選ばれるということに恵まれて。
そして、ISの世界で生きていく上で、自分の専用機という『相棒』にまで恵まれている。
「嬉しいって、それしか言えないのかよ。ボキャブラリー足りないな~?」
「うっせ」
「それにしても、暁人さんって意外とロマンチストなのですね……」
「酷くね?」
「酷くない」
いや、暁人はロマンチストというか――
「くろろ~ん」
そう思っていると、いつの間にかのほほんさんがお菓子とジュースを両手に持って俺たちのテーブルに近づいていた。
「ほーちゃん!!」
俺達はのほほんさんの登場でいつものほーちゃんモードに入った暁人に聞こえないように、少し声量を落として話始める。
「一夏さん、異能発現などの暁人さんの話は……」
「ああ、もしかしたら、そういった妄想をしやすいのかもしれない」
そう、俺たちは暁人が先ほど早口で話した内容から推察される暁人の精神状態などを心配する話を始めた。
「暁人は家庭環境に問題があったかもしれないんだ」
「そうでしたか……現実から逃避するために空想をするようになり、その内に……」
「千冬姉や山田先生に暁人について聞いてすぐにはぐらかされる様子からすると、暁人の過去には相当暗い話がありそうなんだよ」
「それについては、わたくしが独自でお調べしましょうか?」
「いや、セシリアも友達に対してそんな後ろ暗い事をしたくないだろう?――それに、俺は暁人本人から言ってくるまで待ちたい」
「信じて待つ……それも一つの友情の形ですわね」
「……2人はいったい何の話しているんだ」
「いや、別に何も?」
「いいえ、何でもございませんわ?」
話の不穏な雰囲気を感じたのか、のほほんさんが近くにいるのにほーちゃんモードじゃない状態の暁人が俺達に声をかけてきた。
「……はあ、セシリアには試合中に変な話をしたお詫びがまだだったことをさっきほーちゃんに言われて思い出したんだ……だから、お詫びとして何か奢るよ」
ああ、真面目な話だとのほほんさんが近くにいても、ほーちゃんモードに突入しないのねなどと思いながら2人の話を聞く。
「別にそんなことされなくてもよろしいですのに……わたくしもあの一件で色々わかったこともありますし……」
「結果がどうあれセシリアのことを泣かせたのは事実だ。これを贖罪の証として受け取ってもらえないか?」
「いえ、ですから……」
「ほら、ほーちゃんもこう言ってるし」
「セッシー?他人のお金で食べるスイーツもまた格別だよー」
「ほーちゃん!?」
「なんで暁人はのほほんさんからこんな扱いなのにそんな貢ぐような真似をするんだ?」
「一夏さん?全部を説明をされないと理解できないのですか……?」
初めはお詫びについて断ろうとしていたオルコットだが、2人の説得(?)により渋々了承した様子で口を開く。
「まあ、そこまで言うのでしたら」
「わーい!セッシー、IS学園のパフェ食べたことある?一緒に食べよー?」
のほほんさんに手を引かれオルコットは席を離れた。
のほほんさんとオルコットが席を離れたことで、暁人と俺の男2人っきりとなった。
「「………」」
そういえば、暁人と2人っきりとなるのはもしかしてこれが初めてか?
俺はこの1週間訓練とISの勉強で放課後は教室にいなく、また俺と暁人は部屋も別々なので早々に男2人っきりとなる機会がなかった。
「さっきは冗談も含めていったけどな――」
2人っきりとなり、何から話を始めようかと俺は考えていたら、暁人が口を開いた。
「ISには絶対防御があるとはいえど完璧じゃない……試合後や訓練後に身体に違和感があったらすぐに医務室にいった方がいい」
「……わかったよ」
「「………」」
しんみりとした空気となり、暫くの間俺たちは無言のままでいた。
時々、ジュースを口に含んだりしたが、正直気まずかった。
暁人も右手に持ったグラスのチビチビと口を付けている。
埒が明かないと思った俺は、思い切って色々聞いてみることにした。
「暁人!!」
「あ?なんだよ……」
「お前の好きなものはなんだ?」
「……ははっ」
「?」
俺は暁人が懐かしそうに笑った理由がよくわからなかった。
その後、俺達は色々なことを話した。
好きな食べ物、嫌いな食べ物、勉強は何が得意で何が不得意なのかなど。
学生時代に何をしていたのかを話した……中学校時代の話しは俺の方からだけの話となったが、おおむね学生らしい時間を過ごしたと思う。
「くろろ~ん!!」
のほほんさんの声が聞こえたので声がした方を見ると、お盆にパフェを乗せてこちらに近づいて来ているのが見えた。
「ほーちゃ……」
暁人がのほほんさんに声を掛けようとした、その時――
「あっ」
「え?」
のほほんさんが何もない所でつまづいて、空中にダイブする――当然、持っていたお盆と一緒に。
「本音さん!?」
オルコットの驚きの声が周りに響く。
パフェの容器が完全にお盆から飛び出ているのが目に映った。
のほほんさんが床に倒れる瞬間に思わず目を瞑った。
(アッチャー……折角のパフェが床にぶち撒けっちゃたろうな)
そんなのほほんさんの姿を想像できてしまうぐらいに、倒れる際の勢いが凄かった。
………あれ?体感で2秒ほど目を閉じたのに、いつまでもたってものほほんさんの倒れた音やパフェのグラスが床に落ちた音が聞こえない。
俺はそんな少しの疑問を持ちながら目を開けると――
そこにはパフェが無事にトレーの上に乗っている状態で、そのトレーを手に持ちながら床にうつ伏せになっているのほほんさんの姿があった。
「……あれ~?」
「え?」
俺はパフェがトレーから飛び出た瞬間を間違いなく見ていた。
目を瞑って、見なかったのはのほほんさんが床に倒れる瞬間だ。
「本音さん、大丈夫でしたか?」
「運良くパフェは零れなかったようね」
「うー、うん?」
そう、まるで
「どうしたの本音?」
「ううん、何でもな〜い」
のほほんさんは周りの女子生徒やオルコットに助けられながら、立ち上がった。
どうやらのほほんさん本人にも特に怪我とかは無かったようだ。
「一夏、どうした?」
どうやら今ののほほんさんの状況に違和感を感じているのはのほほんさん本人と俺だけの様だ。
目の前の暁人や他の生徒は違和感を感じていないようだ。
「いや……なんでもない」
ほぼ同じ状況でのほほんさんを見ていた暁人が何も言わない様子から自分の見間違いであったのだと言い聞かせた。
(こんなことを言ったら、本当に頭の心配をされるだろな)
俺はそんなことを思いながらパーティーを楽しみ、今見た出来事を忘れようとした。
「やっべ、つい
暁人が言った言葉は誰にも聞かれなかった。
~次回予告~
一夏「お前らは良いよな」
暁人「まだ言っているよ……女々しいぞ一夏」
一夏「最初に書いた戦闘描写は長くて怠いからボツになったんだぞこっちは!!」
暁人「まあ、正直現時点の話の進行具合で必要以上の情報を開示していたしアレ」
一夏「……シンクロ率とか何なのって所なのに、いきなりシンクロ率のパーセントが徐々に上がる描写で凄い文字数使ってたからな」
暁人「おお、お前もメタい話をし始めたな」
次回、第12話:IS学園の日常①