IS ~クロノス~   作:チャイナドレス先輩

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~前回のあらすじ~
あー、今回のあらすじは私、フォルテが担当するっス。
前回は生徒会長に命知らずの言動をした暁人っスけど、更識姉妹の仲を改善するための行動だったっス。
そして、暁人は本音っと付き合うことになったっス。

この時の私はただIS学園にカップルが増えたんだな程度にしか考えられなかったっス。

……時間が止まった世界ってどんな感じなんっスかね?



22話:IS学園の日常②

【箒のお引越しともう一つの告白(?)】

2022年5月22日(日)

IS学園

学生寮 1025号室(一夏と箒の部屋)

 

 夕食を食べ終わり部屋に戻ったところに、山田先生はやってきて唐突にこう告げた。

 

「お引越しです」

「「はい?」」

 

 山田先生の言葉を理解するのに、俺と箒は数秒ほど時間を必要とした。

 

「部屋の調整がついたんです。篠ノ之さんは別の部屋に移動です……はあ、やっと先日の件の事後処理が終わりました

 

 その言葉でやっと俺たちは山田先生が伝えたい話を理解した……先生方の苦労には、本当に頭が下がります。

 

「ま、待ってください。それは今すぐでないといけませんか?」

 

 箒の口から予想外の言葉が出る。俺は正直、お前は何を言っているんだと思った。それは、山田先生も同じ様子であったようで、ぱちくりと目を瞬かせて驚いていた。

 

「それは、まあ、そうです。いつまでも年頃の男女が同室で生活をするというのは、篠ノ之さんもくつろげないでしょう?」

 

 先生は他の理由についても『若さゆえの過ちとかぁ……』などとごにょごにょと言いつつ、箒を説得していた。

 

「いや……私は……」

 

 箒はチラリと俺の方を見ている――なるほど、そういう事か。俺には箒がなぜ俺と一緒にいたいのかという理由が思い至る。

 

「俺の事なら心配するなよ。箒がいなくてもちゃんと起きれるし歯も磨くぞ」

 

 俺は箒を安心させるために、グッドサインを出す。

 

「ッ!」

「「……?」」

「先生、今すぐ部屋を移動します!」

「は、はいっ!じゃあ、始めましょう」

 

 箒は山田先生をせかして部屋を出る準備を始める。

 

「俺も手伝おうか?」

「いらん!」

 

 かなり食い気味に断られてしまった ……どうやら、また怒らせてしまったのだが、怒らせてしまった理由が俺には皆目見当もつかない。

 あ、箒が引っ越すってことは――

 

「ところで、山田先生」

「はい、なんでしょうか?」

「箒が引っ越すってことは、俺と暁人が一緒の部屋になるんですよね?」

「はぁ……まったく、一夏は何を当然の事を聞いてるんだか」

 

 箒は俺の分かり切った質問に呆れて怒りが収まったようだ。

 

「男子二人をそれぞれ一人部屋とかにするわけがないだろう?」

「ま、そうだよな。いやー、我ながら馬鹿な事聞いたよな」

 

 そうだよ、今までがおかしかったんだよなと俺は箒と笑いあった。

 

「……そ、それは……」

「?」

 

 山田先生は気まずそうな様子でごにょごにょと口ごもっている。

 

「…………まだ、黒野君と一緒の部屋になるかは未定なんですよ……」

「「なんでですか!?」」

「……政治……なんですよねぇ……フランスから今頃あんな通達が来るなんて

 

 山田先生は疲れ切った表情と声で何かを呟いたが、俺たちには聞こえなかったし、それ以上聞くつもりはなかったというか、できなかった。

 

 先生……大人になるのが怖いです……(二度目)

 

 

 

 

 そんなこんながあり、同居人がいなくなって学生の部屋としてはただでさえも広い空間で一人だけとなってしまった。

 ……約1か月の間とはいう短いような長いような時間を、箒と一緒に生活をしていたんだなっと、いなくなってから実感をし寂しさを感じる。

 

「……まあ、寝るか。考えても仕方ないし」

 

 俺はそう言って、いつもより少し早めに寝ようと布団の中に入る。

 

 コンコン。

 ノックの音が響く。

 

「………」

 

 非常に不本意だが、来客があったので対応をするために布団からでる。こんな時間に誰だろうと思いながらドアを開けると――

 

「………」

「箒?……なんだ、忘れ物か?」

 

 むすっとした顔で先ほど別室に移動した箒が立っていた。しばらくの間、箒は口を開かなかったけど覚悟が決まったかのように話し始めた。

 

「ら、来月の、学年別個人トーナメントだが……」

 

 学年別個人トーナメントとは、クラス対抗戦とは異なり6月末に行う完全自主参加の個人戦らしい。学年別で区切られている以外は特に制限はないが、専用気持ちが圧倒的有利となる。

 

「わ、私が優勝したら――つ、付き合ってもらう!!」

「……はい?」

 

 何がなんだか分からないけど、来月もまた一波乱ありそうだ。

 

 

 

 

 

【求める世界と届いた手紙】

2022年5月23日(月)

香川にある民家の一室

 

 学校が終わった後すぐに呼びされ、指定された民家に制服のまま入る。そこには、スーツを着崩してリラックスしていた様子の女が座っていた。

 

「悪いな、急に呼び出して……ほら、お詫びの印」

 

 そう言ってスーツを着た女が私にジュースを渡してくる。私は渡されてきたジュースをパシリと弾き言い放った。

 

「必要ないです」

「ははっ、お堅いなぁ」

 

 軽薄な彼女を私は睨みつける。私はどこまでもふざけたような態度で接してくるこの女の事が嫌いだ。

 

(私がここにいる理由もう少し考えてよ……)

 

 深い青の長く綺麗な髪を指でいじりながらため息を吐く。ずいぶん昔にお兄ちゃんに髪を褒めらてから伸ばしていることを思い出す。

 

 私の名前は手石星音(ていしほしね)。お兄ちゃん――兄と慕っている黒野暁人と同じ施設で育った。今はお兄ちゃんと離れて生活をしている。

 お兄ちゃんは女性にしか動かせないはずのISを動かせる『二人目』の男性操縦者となったからだ。そして、お兄ちゃんはIS学園へ……私は遠く離れた香川で生活をしている。今の私は重要人物保護プログラム――を用いた人質だ。

 

(なんで兄や私がこんな目に合わなくてはいけないんだ)

 

 兄は……私を守るためにその身を犠牲にしていた。また私を守るために孤独にIS学園という名の実験場で頑張っている。

 

(私は……なんて、無力なんだろうか……)

 

 兄に守られるしかない、愚図な私が嫌になる。もっと強い私になりたい。兄に守られる必要がないほどに。しかし、私は力を得ることが――ISを操縦することはできないだろう。

 別に、私の適性が低すぎてISの操縦ができないというわけではない。ISのことを勉強し操縦を続けたら、実力が上がり兄を助けに行く可能性があるからだ。普通に操縦できることが分かっている私と、未知数かつ研究材料となる兄……お互いを離しつつ、私に力を付けさせないのは当然の処置だ。そういう理屈だと頭ではわかっているが、気持ちの部分では納得がいかない。なんで、現実はここまで私たちに優しくないんだろう。

 

(……別に自分の思い通りになる世界なんて言う大それたことは求めない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ただ、大好きなお兄ちゃんの苦悩を……気持ちを理解し、お兄ちゃんと一緒にいられる世界が欲しい)

 

 俗にいうヤンデレかなっと、内心苦笑しているところにスーツ女が懐から手紙を取り出し話をし始める。

 

「黒野暁人からお前に宛てた手紙を預かっている……当然、検閲はさせてもらった」

 

 お兄ちゃんは手紙を出す人ようなだったっけ?と一瞬考えた後に『検閲』という言葉を聞いた私は相手を睨みつける。

 

(手紙の検閲なんて……普通に人権侵害じゃない……)

 

 私は改めて相手は超法規的手段が使えるんだと改めて理解をした。

 

「……まあ、検閲の結果、何かしらの暗号じゃないのか専門家が調べる羽目になったというべきか……」

「……?」

 

 いったい、何を言ってるんだろうか?

 

「検閲なんてしなければよかったとまで上の奴らは思い、頭を抱え……お前には関係がない話だったな。まあ、なんだ頑張れ……」

「?」

 

 そう言って、彼女からよくわからないまま兄からの手紙を渡される。

 

(同情された?……なんで?お前たちは私たちを引き離しているのに、なんで同情する?)

 

 私は疑問に思いながらも、お兄ちゃんからの手紙を取り出して読む。初めの内は普通の内容だった……問題なのは、追伸の部分だ。

 

「……同じ年の妹ができたって何?」

 

 これを読んだらお兄ちゃんの精神に異常がないか調べる必要があると判断される時間がかかるだろうな……

 

 後日に届いた手紙の内容から、冗談で顔が似ている生徒にお兄ちゃんと呼んでいいなどという話をしたところ、何故か本当に兄だと思い込む異常事態に発展したという。手紙の内容はにわかに信じられなかったけど、やばかったのは、お兄ちゃんの方ではなくて相手の方だという話だ。

 IS学園は魔境だ……そんなIS学園で生活が続くお兄ちゃんの身を想えば、今の私の苦労なんて可愛いものだ。そう思い、私は日々の学業に専念する。

 

 いつか、お兄ちゃんとまた一緒に笑いあえる日々を願って。

 

 

 

 

 

【倉持技研の疑念】

2022年5月24日(火) 

IS学園

 

 本日の授業終わり教室を出たところ、簪さんに話があると呼び止められた。

 

「……先日は姉が……大変失礼をしました……」

「別に……こっちも簪さんにひどい事を言ってたし」

「……それでも、私達姉妹の……仲直りのきっかけとなったから……感謝している」

 

 先日の件の話かと納得をしつつ、簪さんに対して直接謝罪をしていなかったことを思い出し頭を下げようとしたところ止められる。うーむ、これでは謝るに謝れない。

 あの発言をする必要があったとはいえ暴言を吐いた事とへの罪悪感というもやもやとした気持ちを抱えたままどのような話をすればよいのかなどを考えながら話を続ける。

 

「本音と……その……つつ、付き合い始めた……って話は本当……?」

「うん……本当だよ。本人から直接話されたと思うけど信じてないのね……」

「いや……その、信じていなかったという訳じゃ……その……うん……」

 

 まあ、簪さんが言いたいことは分かる。本音さんは少々独特な感性を持っていて異性と付き合うことができるのかという懸念が昔からあったんだろうな……

 

「ああ……それと……虚さんから……何かあると思うから……気を付けてね?」

「……………うん」

 

 またあの義姉さん暴走するのか……するだろうな……。前回は布仏家にお呼ばれした際に――やめよう、これは掘り返してはいけない記憶なんだ……

 さっさと義姉さんは五反田弾と付き合えばよかったのに……ずるずると引き摺って、そして最後はあの戦争で――

 

「せっかくだしさ、前回話せなかった話をしよう」

「……う、うん……」

 

 よし、このまま考えていると余計に気が沈んでしまうから気を紛らわす為に簪さんに話題を振る。そうして俺は、すでに知ってた話ではあったが、簪さんから『打鉄弐式』の現状を教えてもらった。

 彼女の話をまとめると、『白式』のデータ集めのために『打鉄弐式』の開発を担当していた倉持技研の全人員を回しているという酷い状況だ。

 

(いやぁ、何度話を聞いても……)

 

 俺は思ったことを、つい口に出してしまった。

 

「『白式』に全人員を割くなんて、おかしな話だよね」

「そう、かな……?だって、男性操縦者の『専用機の稼働データ』だし……」

「それなら、ここにも男性操縦者がいるのに、全く見向きもしてないよ?」

 

 専用機が第3世代機(白式)量産型第2世代(打鉄)という違いだけでは説明がつかない。そのことに、簪さんも思い至ったのか眉間に皺を寄せながら呟く。

 

「それなら……なんで……」

「『男性操縦者の稼働データ』以外のデータも取ってるんじゃないの?例えば、機体そのもののデータとか?」

「機体データ……?なんで、自分たちで開発したはずの機体なのに機体データを……?」

「自分たちで作れてないからじゃないの?」

「………」

「全人員を使って調べているのは自分たち以上の技術が使われていて、それを解析するのに人数が必要だと考えるのが妥当じゃない?そこまでしてデータを集めるのは、そのデータを元に次世代機の開発を――」

 

 話している途中で簪さんから肩を強く捕まれた。引っ込み事案な彼女にしては珍しい行動だと俺は驚いた。

 

「暁人、もうちょっと詳しく話をしたいんだけど……いいよね?」

「え……うん」

 

 そうして、俺は簪さんに彼女の部屋まで強制連行されていった……俺から詳しい話を聞いた後、簪さんは「あの会社には操縦者として安心して機体を任せられない」とまで言わしめ、「色々焦っていて、そこまで考えられなかった……暁人と出会えてよかった」と、何故か俺の好感度も上がったようだ。

 

 どうやら、彼女の倉持技研への評価は地に落ちたようだ。なんでだろうなー、俺には分からないなー。

 

 

 

 

 

 そして、付き合い始めて僅か数日で暁人(おれ)が付き合っている子とは別の女子生徒と逢引していたという噂が流れたことを知ったのはこの後すぐの話。

 俺は噂を聞いた本音さんの悲しそうな顔を想像*1しながら、一夏達を連れて今日も奔走する。

 

 ん?なんだ一夏?……なんで俺達が付き合わされなきゃいけない、だと?……俺と本音さんの今後の輝かしき幸福な未来の為になると思い、ありがたく勤しめ。君たちの内の誰かが付き合い始めたら今回の働き以上に貢献を惜しまないぞ。

 特に一夏、お前が誰か好きになったらその子と付き合う手伝いを……そう呟いた瞬間に恋する乙女2人から拳が飛んで来たので大人しく殴られる――藪蛇でした☆

 

 セシリアはそんな俺たちの馬鹿騒ぎを呆れた視線で眺めていた。今日もIS学園は平和です。

 

 

 

 

 

【初登場(嘘)!カグツチ社長!】

2022年5月25日(水)

IS学園・来客室

 

 俺は今、織斑先生と一緒に来客の対応の為、学校の一室とは思えない豪華な来客室に来ていた……そして、その来客室に備え付けられたソファに俺はぐでぇ~っと脱力した状態で座っていた。

 

「だいぶ疲れているようだな」

「そりゃ、IS学園内を何往復も全力で走り回れば後日にも疲れが残りますよ」

 

 代表候補性のセシリア達や運動部に所属していた箒ちゃんも今日は筋肉痛だろう。

 ……一夏は全身筋肉痛で動き度に奇声を発していた。その様子を俺は自身の筋肉痛に耐えながら笑っていた。

 

「なるほど……それで、女子と付き合い始めた翌日に別の生徒と逢引していたという噂の件だが」

「……その別の生徒というのが、付き合っている子と同室ですよ。彼女の相談に乗っただけです」

「なるほど、二股をする男のよく聞く言い訳だ……女の敵とはお前のような奴の事を言うんだな」

「その2人に二股したら虚さんと楯無さん(両方の姉)に殺されるのを分かってて言ってますよね?人を揶揄うネタが出来てはしゃいでますよね?」

「さて、何のことやら」

 

 そんなたわいもない雑談をしていると、扉がノックされる音が響いた。織斑先生が入室を促すと山田先生とお客様が部屋に入ってきた。俺はそのお客様に向けて挨拶をする。

 

()()()()()()()()()()()()()()

「は、はい……()()()()()

「こら黒野、変な呼び方をするな。ちゃんと挨拶をしろ」

「すみません、織斑先生。改めて……初めまして明石社長」

 

 そう俺は今日、カグツチ社の社長と面会することになっている。

 

 

 

 

 

「粗茶ですが……」

「ああ、いえ、これはどうも」

 

 山田先生が淹れたお茶が俺、織斑先生、明石社長の3人の前に置かれる。明石社長はそのお茶には手を付けずに勢いよく両手をテーブルに付け、深々と頭を下げた。

 

「わたくし共の製品で黒野さんに大怪我をさせてしまい……なんとお詫びしてよいやら……」

「いえ、このバカがリミッターやらを解除するという、本来の想定外の使い方をしたので、お気になさらず」

「いえいえ、それでも、当社の製品での怪我には変わりがなく……」

「いえいえいえ、やはり使い方に問題が……」

 

 俺はそのやり取りを見ながら湯呑を口を付けて成り行きを見守る――ん、茶柱?あ、本当だ、茶柱が立ってる。

 

「……山田先生、長くなりそうなのでもう一杯いいですか?」

「この話し合いは黒野くんの行動によって起きているという事を自覚してくださいね?」

 

 そう黒い笑顔で山田先生に言われてしまっては何も言えなくなるね。……まあ、無理して怪我をしたことに関しては申し訳ないとは思っている。まったく反省をしていないけど。

 

「いくら黒野が大怪我をしたとはいえ、利用方法に問題があったのは事実ですので、あなたにそこまでの責任はありません」

「そこまで言ってもらえると……これ以上謝罪を続けるのは失礼にあたりますね」

 

 お、やっと明石社長が納得して謝罪合戦をしなくなったぞ……それにしても、なんで社長はここまで申し訳なさそうに謝って――そういえばカグツチの副社長は俺に対しる加害者だったな……すっかり忘れてた。

 あれはいったい何年前の話になるんだ……うん?……そうだな、教えてくれてありがとう。もう13年経つのか……普通なら忘れないけど、施設で体験した内容よりも苛烈で過酷な経験を何度もしたからなぁ……忘れもするよな。

 そんなことをしみじみと考えているところに、明石社長と織斑先生は意見交換を進めていた。

 

「やはり、学園としてはリミッターを設けるより完全に性能を下げる方向で?」

「ええ、黒野はなまじ性能が高いと無理をすると思うので、いっそのこと――」

「ちょ、ちょ、ちょっと、待ってください!」

 

 しばらく話を聞いていなかったところにいつの間にかレールガンの性能を下げるという方向で話が進んでいることに気づき、慌てて話に入る。

 なに?話を聞いていなかった俺が悪い?それはそうなんだけどさ!!

 

「『二人目(セカンド)』の立場としては、ISバトルや訓練中などは通常想定通りの仕様でいいんだけど……今回のような時があった際に状況打開能力を持った別仕様も欲しいです」

「……黒野、その件は箝口令が敷かれているからあまり今回起きたことを匂わせるような話も部外者にはしてほしくなんだがな?」

「はい、箝口令があるので詳しい話はしませんが、IS修理やら武装稼働データ、アリーナの修繕業者の動きとかで何があったのか想像はつきますよ……ね、社長?」

「ええ……いや、その……まあ、なんといっていいやら」

「「……はぁ」」

 

 先生が2人とも深いため息を吐く。なんでそんな長いため息を吐くんですか先生方――え、一番の問題児は俺だと気づいたから?……余計なお世話だ。

 

「とにかく、今後必要になるのでレールガンは作り続けて欲しいです」

「……黒野、お前の言う事には一理あるから許可しよう……何も私たちはお前に死んでほしい訳ではないからな」

「ええ、よく理解してますよ。ありがとうございます」

「……それでは今回の稼働データを元に発展型レールガンの開発に着手します」

 

 その後、俺たちは今回の話を纏める時間に入り何事もなく終わった。

 

「それでは、私はこのあたりで失礼します。山田先生、明石社長のお見送りをお願いします」

「ええ、わかりました。さあ、明石社長、こちらへ」

「あ、それじゃ、俺も失礼します……部屋で休みますよ」

「ああ、お前は身体を休めてくれると先生としてはありがたいな」

 

 そう言って、俺たちは分かれる。……よし、織斑先生は廊下の角を曲がったな。織斑先生はカンが鋭く、急に変化した衣服の違和感に気付かれるだろう。()()()使()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗澹薄明(あんたんはくめい)〉――時よ、止まれ/止まって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……よし、社長に追加のデータ渡せた。今回のレールガンは燃費が最悪だったから、それの改善案を複数記載した。これで改良版レールガンの開発が進む。

 亡国機業(ファントム・タスク)でIS学園に潜入中のレイン――ダリル先輩が接触してきたという事は俺と協力していくことをスコールは決めたんだ。今後の予定や欲しい材料のデータはダリル先輩経由で渡せたはずだ。

 まさか、両腕骨折のナノマシンによる早急な治療を受けさせてもらえないとは思わなかったけど……まあ、その間に俺の専用機開発のデータと専用武器開発データの書き出しを進めておくか。

 次にシャルロットが来て、ラウラが来て……そして臨海学校――HAHAHA、本当にIS学園はイベントに事欠かないぜ。

 

「ああ、一夏……早く俺と同じ域まで来てくれ。そうじゃないとまた繰り返してしまうだろ」

 

 俺の、俺たちの願望の吐露はIS学園の綺麗な壁の中に吸い込まれて消えた。

 

 

*1
妄想




~次回予告~
星音「結構楽しそうにしてたんだね」
暁人「まあ、俺は何度もIS学園の生活を経験してたしな」
星音「うん……」
暁人「初めの内はそれこそ1秒たりとも気が抜けないと思いながら……」
星音「………うん」
暁人「はあ……これは俺の話だし、お前は同じ場所に来れなくていいから気にするな」
星音「……気にするなって言われても、力のない私は気になるよ」

次回、 23話:ボーイ・ボーイ・ボーイ(?)
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