人口二十八万人が暮らす都市。そこに突如として異世界へと繋がる
出てきた怪物に軍事兵器は一切通用せず、何千人もの人が亡くなり、未だに行方不明の者もいる。
怪物──後の『
自らを『ボーダー』と名乗る者達が現れ、怪物を次々と倒していった。
『
それから四年。未だ門は開き、怪物は現れているが、民間人への被害は出ず、住人達は何事もないかのように暮らしている。
今日も警戒区域にて、近界民とボーダーによる戦闘が繰り広げられている。
警戒区域。ボーダーが近界民と戦う為の土地であり、それと同時に人が生活を放棄した場でもある。それ故に、生活の痕跡はもう微塵も感じられない。
そんな街中を一人。屋根伝いに走る者がいた。
「栞さん、次はこっちでいいの?」
耳元に手を当てながら通信機越しに確認を取る。
肩から袖口にかけて黒いラインが三本入った青色のジャージを着て、黒の半ズボンとスポーツタイツのようなものを履いている少年の名前は加古川蓮。中学生にしてボーダー内では精鋭に分類される子だ。
「そうだよー、建物に隠れてるかもだから気を付けてね。蓮ちゃん」
「了解……それとちゃん付けは毎回やめてっていってるだろ。まったく」
肯定の返事が返ってくる。声の主は男である蓮にちゃん付けで返した。これには蓮もため息をつき不満を言うが、その声に怒りは感じられない。
そうこうしている内に視界にターゲットを発見した。
「目標発見。戦闘に入る」
腰に日本刀を模したブレードを出し、目標に近づいていく。耳元からは「気を付けてねー」と緊張感の無い声が聞こえてくる。その声色からは信頼が感じ取れた。
「まず一体目。相手はモールモッドね」
屋根から飛び降りると学校の教室半分ほどの大きさを持つ近界民──モールモッドがブレードをこちらに向けている。
「そんな速度じゃ、届く前に切り落とすのは簡単だぞ」
モールモッドが振り下ろしたブレードの繋ぎ目を斬る。それらは蓮に当たることなく地面にカランとプラスチックにも似た音を立てて落ちた。
止めと言わんばかりにモールモッドの目にブレードを突き立てた。そこから煙が噴き出す。
そこを狙っていたのか、物陰に隠れていた別のモールモッドが二体。蓮に突っ込んでいく。焦る様子はない。
「
左右から襲ってくるブレードを全てかわす。その動作は無駄が無く、見惚れてしまいそうだ。
ブレードを片方のモールモッドに突き刺し、返す刃でもう一方を斬る。
どちらもすぐに動かなくなった。
三体とも〈目〉を攻撃したことですぐに活動を停止した。〈目〉は近界民共通の弱点だ。
「討伐完了。近くに反応は?」
周りを見渡し安全を確認すると、耳元の通信機に向けて質問を投げる。
「さっきので反応はもうないよ。交代の時間みたいだから戻っといで―」
ふぅと息をこぼし、「了解」と返答した。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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