□□月☆☆日
本番だ、行ってくる。
……もし下手して死んだらこれが遺言になるだろうから、書きたいことはいっぱいあるけど一つだけにしとく。
誰か俺のパソコンのデータ全部消して、あとスマホの履歴も。
あぁ別にエロだとかそういうやつじゃないんだただ自分が持っているものを他人に見られるのが恥ずかしいだけなんだ決して人に見せられないようなやましいものは断じて無い、ホントだよ?
★★★★
「フハハハ……我ハデカラビア、序列69番目ニシテ地獄ノ大侯爵デアル、我ヲ恐レヨ、討伐ナド叶ワヌト知レ」
「えっ……ヒトデさん?」
「ナヌ? ヒトデ……我ヲ脆弱ナ小動物ト同列ニ語ルカ」
「四方発破九尾炎舞!」
「ヒトデさぁぁぁーん!?」
「私と私の旦那様の前では魔神七十二候とて敵では御座いませぬ、それよりも旦那様! 私の舞をご覧頂けましたか? 私は火と舞踊には少々自信が御座いましてね……あれ旦那様は何処へ?」
★★★★
◆☆月○△日
『はぐれ悪魔』無事にミッション完了、隊長に今回の敵はデカラビアだったと伝えたら「……良くやった」と褒めてくれた。
でも、あのヒトデさん可哀想だったな……『はぐれ悪魔』は居場所を仲間から追われてしまい孤立した存在だと説明は受けていた、実際合ってみれば何とも言えない哀愁と喪失感が俺を襲った。デカラビア可哀想、そう思ってこっそり仲魔にしました。
デカラビアからは「炙ってから勧誘とか悪魔かよ(意訳)」と言われてしまった、良いじゃねーかよ命の恩人だぞコラ(豹変)
△月○日
研修は全部終わった! ヤッター!
これから討伐隊の生活が待っているぞ(隊長)! ヤダー!
でもでも一人前って認められるのは嬉しい、ここまで頑張った。次からも頑張ろう!
●月✕○日
ケッ! ボケカス! こんな仕事やってられるか!
スライム! スライム! 餓鬼! スライム! 餓鬼! 餓鬼! 数が多いよ数が! 人手が足りねー!
スライムってもあのかわいい国民的なスライムの千倍キモいし餓鬼とか茄子の擬人化だろあれ! 精神的に参っちまうぜ! おぁぁぁっ!
△△月△△日
朝起きたらもふもふしてた、九本のしっぽが俺を優しく包んでいた。
九美がうなされていた俺に気を遣って夜どうし見ていてくれたようだった、本当に優しいな……心遣いが身に沁みるよ
でもね、真っ裸はアカンよ、正体が狐だったとしても人型の時は自重しろ! どうせ日記に目を通してんるだろ! どこに隠してても見られた痕跡あるんですけど!
《あらあら、そう照れずとも九美は旦那様のモノ、旦那様も私のモノ、夫婦とはそうあるべきではないですか?》
追記
まだ独身です、ヤメてよね。
△○月✕日
今日は、今日もスライムと餓鬼に時々オンモラキ、茄子と玉ねぎは揃った次は人参か? マンドレイクあたりがそうか?
……最近、『魔界』が騒がしいとデカラビアが教えてくれた。弱い『悪魔』は地上に追いやられているとか、弱いと言っても通常兵器が効かない化け物に地上を侵蝕されていいわけではない。
それに『悪魔』が『マグネタイト』を求めて人間を襲う事例がどんどん増えてきた、確実に『悪魔』が増えている証明になる情報だ。
このままでは人間の住む世界が『魔界』と化す、『悪魔』達が連れてきた瘴気が地上を蝕み『魔界』と変わらない環境になるだろう、前に隊長が言っていた最悪のシナリオに近付く事は避けたい。
まぁ俺個人で出来ることなんて少ないけどな、今は目の前の敵を全部粉砕するだけだ。
つーことで九美さんデカヒトデさん任せました!
★✕月●●日
珍しい命令が下った、『悪魔』の保護をせよと隊長は言う。
保護するのは『メデューサ』とも言うギリシャ神話の怪物、『ヨミ』が『悪魔』を保護するのは正直あり得ないと思っていたが俺の知らない上層部で話し合いが行われていたようだ。
保護をする理由は『アテナの暴走』から逃れるため、女神アテナが突然荒ぶり暴れ出した、それにプラスして悪ノリ便乗した多数の神々、ほんまギリシャ神話くんはさぁ……。
暴走しなかったのは『メデューサ』のような怪物や神から貶められた者だけだそうだ。
神々が理由もなしに暴れるのは神話からしてままある事だが今回は異常だと思う、噂によれば地上を焼き尽くす暴れっぷりで欧州地域総出で静止をかけている、素直にやばい。
で、話はまだ続きがあって『メデューサ』は『エウリュアレ』と『ステンノ』の二人の姉の救出を求めていて流れ流れて日本にたどり着いたのだとか、欧州地域は主神たる雷神ゼウスや戦女神アテナその他の暴走の対応に追われて救出どころではない、北欧神話の主神オーディンやあの聖書を基礎とする『メシア』『ガイア』の2大派閥からも多数援軍が送り込まれる激戦区と報告がある。
普通なら助けに行く理由はないし義理も義務もない……けど俺は受けた。隊長には悪いけど旅行も兼ねて渡欧します。レッツゴーギリシャ!
★★★★
「魔界へ着いたら案内をお願いします、何分初めての土地ですので」
「構わぬ、むしろ突然の申し出を引き受けてくれた事への感謝しかない、出来ることには手を尽くそう」
「でしたらその、あの大変申し上げにくいのですが……アイマスクをしていただいても良いでしょうか? 石化が怖いので」
「なるほど分かった、しかしこれは、言いようのない腑抜けたデザインだな」
「持ち合わせがこれしかないんです、日本のにわかせんぺいってお菓子の付属品、あ、食べます?」
「……貰おうか」
★★★★★
◆□月✕●日
ギリシャ到着、時差が辛い。つくやいなや早々とギリシャ魔界へ突入した。
ここで忘れる前におさらい、『魔界』は地上とは別の世界なので通常交わることはない、『悪魔』は人間が召喚したり力の強いものなら自力で地上へ来ることができる、後はマヨヒガ等の自然発生した『魔界』と地上の交点が移動する方法になる、人間が『魔界』に行くにはかなり難しいね。
しかし『ターミナル』というものを通じて『魔界』への安定した移動を確立した今はフラッと行けるご近所だったりする。
『ターミナル』は霊脈、地脈、龍脈、言い方は色々だが地球のツボから力を頂いている施設の事。マグネタイトの回復、魔界との交信、悪魔の召喚なんでもござれだ。
今日はとりあえず痕跡探しからスタートするつもり、同じ呪いを受けたメデューサが居るなら早く見つかるだろう
◇□月●✕日
探索数日目! 何もない! なにも! 道中に現れるギリシャの悪魔共相手に切った張ったを繰り返すだけ!
だけどそんな事でめげる俺ではない、行き詰まったらかの有名なパルテノン神殿へ赴き寛ぎまた探索するのだ!
別に観光だけが目的じゃないのだ、パルテノン神殿はギリシャのパワースポット、霊脈のある場所なのだ。そこで休むと普段の数十倍の回復効果が見込めるのだ。だからパルテノン神殿で一日ぶらぶらしていても実はサボりじゃないのだ。
それとパルテノン神殿では嬉しい出会いがあったのだ、『アルゴナウタイ』の『ヘラクレス』と出会ったのだ。
『アルゴナウタイ』はギリシャの霊的防機関、『ヘラクレス』はもちろんあの大英雄だ。『アルゴナウタイ』の隊長さんが激戦の疲れを癒やすためにたまたま偶然パルテノン神殿にきていたので挨拶にいったら『ヘラクレス』がこっちをガン見していたのは今でも忘れない、堀の深い顔でジッと見られたから中々頭から抜けていかない。
この仕事の良いところは神話のヒーローに出会えることだよな、しみじみ思う。悪いところはきりがないのでカットだ。
✕□月✕日
探索開始からざっくり二週間、やっと痕跡を発見したぜ!
ギリシャ魔界がメデューサの知らない形に作り替えられていたらしく土地勘が全く効かない、迷いながらの探索になったが痕跡を発見したならこっちのもん。
俺と九美で陰陽術を駆使した自動探査式神を無数に放ち痕跡から得た情報から『ステンノ』『エウリュアレ』を探し出す。
これ結構『マグネタイト』を使うから日頃の鍛錬が物を言う、まぁ大妖怪の九美がいるから俺がやる必要はないかもなって言ったら「夫婦の共同作業ですわー!」って無理矢理やらされた。
お陰で二柱の所在は把握出来たし合流も出来たが……なんというか本末転倒というか……『ステンノ』『エウリュアレ』の言い分は『メデューサ』が勝手に迷子になってしまったところに騒動が起きたので探そうにも探せず元々の拠点から離れられなかったとか、んーほのぼのした結末だ。
『メデューサ』は二柱の姉にお説教をされ引き取られていった、騒動が収まるまでは拠点から動くつもりはないらしい、まぁ、神様だし自衛くらいは出来るか。
△△月★☆日
はいギリシャから帰国しました、時差辛い。
隊長には事の顛末余すことなく報告書にて提出済み、お土産はパルテノン神殿の欠けた柱、内緒で持ってきちゃった(テヘペロ)
さぁ明日からは通常営業、悪魔退治だ。今回の仕事で九美活躍で『マグネタイト』をアホほど使ったので省エネならぬ省マグネ対策にデカラビアをメインにしていくつもりだ。
正直『九尾』を使い続けるにはレベルが足りていないとつくづく思う、この未知のcompがあるから並みの運用は出来ているが仮に『九尾』の全力を引き出せと言われても出来ないのが現状だ。ギリシャの隊長さんの『ヘラクレス』はいつでも本気で戦えそうだった、目指すところはあのレベルだ。こっちの隊長はフィジカル全振りなので参考になりません!
ギリシャにいる間に言いようのない視線と恐怖を感じた。これは隊長には言っていない、九美もデカラビアも何も感じては無かったようだ。
思い過ごしか早とちりか……俺だけに向けられた漠然とした何があった。あったはず。『魔界』だからと切り捨てられない奇妙な直感が働いていてずっと頭に残り続けている、まるで途方もない存在を疑い続けるように仕向けられたような……
【私を感じろ、しかし知る無かれ】
追記
なにこれ九美の新しいイタズラ?
《ソレハ我輩ナノダ、コノ身デハペンを掴ムコトモムズカシイ》