Re:初代アニメ版遊戯王の世界にクリボー好きが転生したら… 作:無銘の紅茶
大会から3ヶ月後のとある日
「平和だなぁ」
大会から3ヶ月の月日が経ったが特に問題は無かった。
────嘘です。やらかしました!
たった1戦でまさかデュエルモンスターズがこんなに変わるとは思ってなかったんです!
『だから言ったじゃん』
「言われたけどここまで正確に変わるとかおかしいだろ!?
つーかお前、この前は俺にあんなことしておいて、よくもこぬけぬけと俺の前に姿を現せたな……!」
『アッハッハ! おっと僕は今からやることがあるのでそろそろ失礼しようサラダバー!』
ええい!今度会ったら覚えてろよォ!
さて、この無駄な会話は無視してだ。件の大会から何が起こったかだが……幸いなことに、まだ学校ではデュエルモンスターが流行って無かったので、大会のことはあまり話題にはなっていなかった。
(頭がヒトデのような少年*1には見られていた気もするが気のせいだろう。うんうん、俺みたいなモブに注目するようなヤツじゃないだろう)
そこはまぁ良い。だが問題はここからだ。
大会から1ヶ月後デュエルモンスターズのルールが大幅に改変されたのだ。分かりやすいように言うと、リアルにかなり近付いたルール……OCG準拠になってきた。また、禁止制限のルールも追加されたらしい。まだ様子見のようだが、多分この後に激強カード達が禁止や制限に追加されるのだろう。お手軽ハンデスカードや、墓地落としとかいうデメリットになってない爆アドカード等々。そういったルール整備に伴って競技性が増した結果、デュエリスト達が結構強くなってきている。そこら辺のモブ決闘者でも昔の虫野郎ぐらいなら余裕で倒せるんじゃなかろうか。
また、ネット掲示板ではなんか俺の事を探してる奴らが結構いるが、あの時は軽い変装をしていたし高校では掲示板を使うような人はいないのでまだバレることはないだろう……
別にバレても良いが、色々と面倒な事に巻き込まれる気がするので余りバレたくはない。
まぁ特筆すべきことはこんな感じか。
そんなこんなで現在、俺はとある店を前に──深呼吸を行っては店の周りをウロウロと歩く不審者と化していた。
事の経緯を説明しよう……といっても特段深い理由はない。
バイトして得ている金を、1回ぐらいモチベーション維持とストレス発散を兼ねてパーッと使いたいのだ。しかし、使い道が今のところご飯くらいしかない。物価が安いことも相まって大した出費にはならないし、どうしたものかと頭を悩ませていれば──俺に電流が走った。
(そういえば転生してからパック1度も剥いたことがねぇ)
しかしながら、童実野町でデュエルモンスターズを買うには亀のゲーム屋に行かなければならないのだ。現在発展途上であるデュエルモンスターズは、多少は噂になっているものの、全ての店で取り扱っているかと聞かれればNOと言わざるを得ないのが現状である。そんなわけで、唯一売っている亀のゲーム屋を前にウロウロしていたわけだ。決して違法行為をするためとかではない。
閑話休題
さてそこで俺にはまだ貯金するという道があるが……せっかく遊戯王世界に転生したのに、原作が始まるまで1度もパックを剥かないなど、決闘者魂に反しているだろう。
……だがしかし、亀のゲーム屋の店主は皆様お馴染み初代遊戯王のヒロイン双六じいちゃんなのだ。1度のデュエルでここまでルールが変わるとなると、原作の登場人物に関わって大きく原作からずれてしまったら……と思ってしまう。
そもそも遊戯王自体、武藤遊戯とアテムが一緒にいないと世界が終わる可能性が十分あるのでその身内に接触するにはその覚悟もしないといけない。
……ああもう!考えるのはめんどくせぇ!
何かあったらそんときだ!イエス!デュエルマッスル!
こう結論付けといて今更だが俺脳筋過ぎるな。ま……まあ、本当に原作通りに進むとは限らないし、にわか原作知識でどこまで通じるか分からないので……何か起こったらその時に考えるとしよう。
さて話が脱線しまくっていた。
要は、遊戯王世界に転生しておいてパック剥かないヤツ居るゥ?居ねぇよなぁ!といったところだ。いい加減別のデッキも組みたいしな。そういうわけで、いざ突入!
うおぉーリアル亀のゲーム屋だぁ!まるでテーマパークに来たみたいだぜ、テンション上がるなぁ~
ガチャリと扉を開き、亀のゲーム屋へ一歩足を踏み入れた。多種多様な遊戯が販売されており、幼心をこれでもかと揺さぶってくる。中に客は居なかったもののカウンターには1人の老人が立っており、入店してきた俺に対して軽い会釈と共に声を掛けてきた。
「いらっしゃい」
おお、リアル双六じいちゃんだ……
「すみません、デュエルモンスターズのボックスって有ります?」
「おお、それならこれじゃな」
そういってパックが大量に入ったボックスを持ってきてくれた。
「それじゃあ2ボックス下さい」
ちなみになんと入ってるカードは完全にランダムであり闇鍋状態である!そりゃ大層な値段付くわな。
「ほぉ2ボックスか、それじゃあ9900円じゃな」
俺 は 9900 円 を 渡して 2 ボックス を 手に入れた。
脳内でファンファーレを鳴り響かせながら、ガッツポーズをとる。よし!ミッションコンプリート!
「まいどあり。また買いたくなったらいつでも来るんじゃよ」
「はい!それじゃあこれで、ありがとうございます」
──少年帰宅中──
ふぅ……すっげぇ緊張した。
『お帰り~速く剥こうよ~』
「森にお帰り!」
俺はクリボーを持って光の玉を殴りつける。地面に叩きつけた光球は、複数回バウンドした後にぐったりと平たくなった……ので、クリボーに光るソレを持ってもらう。俺はすかさず窓を開け、光の玉を外へと投げた。
ヨシッ!悪は去ったな。
『急に殴って窓から投げるのは酷くないかい?こう見えて僕神なんだけど…』
投げた筈の光の玉は、何処からともなく目の前にリポップした。随分としぶといな。
「今の地球に神の居場所はねぇよ。それで? 俺今からパック開けをするもんで忙しいんだが」
『僕もパック開けを見に来たのさ!』
「帰れ」
光の玉を窓から投げた──ら、すぐに戻ってきた。
『冷たくない?』
「心当たりが無いと?」
『嫌だなぁ大会に勝手に出場させたのと、神らしく試練を与えただけじゃないか』
「あれは拷問なんだよ!」
そう、それは2ヶ月前のことだった。
あの日以来、神にデュエルマッスルを鍛えるように言われて夏休みに山籠りさせられたのだ。もちろん俺は断ったのだが、謎パワーによって参加を強制させられた。バイトの日以外は全部修行だったとか、15の夏の思い出が拷問とバイトとかグレるぞ。
修行内容だが、例えば熊を素手で狩ってこいだの、滝に打たれながらドローしろだの、岩を砕けだの、俺はドラゴンボールワールドに転生したわけじゃないんだぞ!いい加減にしろ!
「まあまあ、運命力上がったから良いじゃん。そんな過ぎたこと気にしてないで、ほら、パックを開けないのかい?」
あ"?
『ん?どうs「やれお前達」
『クリクリ-!』
無数のクリボー達が飛び出して光の玉を攻撃している。
クリボーの精霊達は光の玉に、体当たり、引っ掻き、噛みつき、角でつく…
「あっちょっまっ、痛い痛い痛い! ごめんごめん謝るから、ね?』
「その謝罪断固拒否する! トドメだクリバビr」
「わー! 帰る帰る! 帰るからさ!」
そう言って光の玉は消えた、ちぇっ、もうちょっとだったのに……ともあれ、多少は懲らしめられたので満足。切り替えよーっと。
「パックを剥くかクリボー」
『クリクリ~』
「あっ!強欲な壺!あんとき神に頼み忘れてたから助かる!」
「心変わり…今の時代だと永続的に相手モンスター奪うのか…怖えぇ」
『クリクリ~((( ;゚Д゚)))』
「ディアンケト!?これで4枚目だぞ!?嘘だろ…」
『クリクリ~(*´艸`) 』
「バーサーカーソウル…クリバンデットを活躍させやすいか?…だがそうなると魔法を減らさなきゃならんし…」
『クリクリー!(*≧∇≦)ノ』
「闇霊使いダルク!これで霊使いデッキが組めるぞ!」
『クリ~?(´゚ω゚`)』
「大丈夫、霊使いデッキは何か別のデッキが必要になった時用に作るだけだからそんなに『自分は用済み?』みたいに不安そうな顔するなよ。」
やはりパック開けは素晴らしいな、何が出るか分からないワクワク感……長く楽しかったパック開封だったが、もう最後のパックだ、結構剥いたな……
「これで最後のパックだぞクリボー」
『クリクリ~』
クリボーもここまで付き合ってくれて助かるな。もし俺一人だったら……やめよう悲しくなってくる。
「まず一枚目!ドロー!バーサーカーソウル!?」
『クリクリー!?』
まじかよこれでバーサーカーソウル3枚目だぞ……確か確率は闇鍋だったよな……?
「まぁヨシッ! 次は……クリボー!?」
「クリクリー!!」
まさか最後のパックでバーサーカーソウルとクリボーを当てるとは……もしかして神がパックに対して何か細工を……?
「まぁ良いか、いやぁ満足満足そしてそしてぇ~~最後のカードは……?」
治療の神ディアン・ケト (5枚目☆)
通常魔法
(1):自分は1000LP回復する。
………………あァァァんまりだァァアァorz
『クリクリ~\(・д・`)』
その日、全俺が泣いた。そして必ずかの邪智暴虐の神に復讐を誓い、いつの日か目にもの見せてやると決意した。
それはそれとして、転生してから初めてのパック開封は楽しく良い結果で終わったのであった。……ほろ苦い思い出を添えてね。やかましいわ!