宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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お久しぶりです


第九十話 解体と置き土産と

「居住区の擬似重力発生装置から一直線に伸びるメインシャフトの端が今回の目標、地球を向く大規模通信区画だ」

 

「は、はぁ」

 

「それ故に切り離すのは簡単じゃない、切り離した場所から空気が漏れないよう隔壁を閉めないと話にならん」

 

各種密閉材が緊急時には使える筈だが、コンピュータが死んでいる以上手動で行うしかない。現在は大きく二つの班に分かれた彼らは、各々解体のために動いていた。

 

「俺達は通信区画側担当、分かれた班はメインシャフト側で作業だ」

 

「起爆が可能になるまで時間がありますが、それまで私達は何を」

 

「通信区画から全員避難させる、それと出来る限りの原因究明だな」

 

00ユニットによる攻撃というのは未だ信憑性があるとは言えない状態だ、ひとまず出来る限りの情報を集める必要がある。

 

「それに通信区画は恒常的なデブリ被害が大きい箇所だ、作業用のMMUが中央の格納庫以外に唯一常駐してる」

 

「彗星を手に入れる訳ですね、確かにアレさえあれば作業効率は飛躍的に増しますよ」

 

しかし不気味なのはこの騒動が始まる前に飛び回っていた筈のMMUの姿が見えないことだ、一斉に避難したのだろうか。

 

「試作艦のケーブルはどうするんです?」

 

「アレは対デブリ規格品だ、俺達の装備じゃ切断出来ねぇ」

 

使えるMMUを確保する必要がある、彗星の確保が必要な理由の一つだ。堅牢に作り過ぎたというのも考えものだが、かといって人が手を出せる範囲に設備の解体スイッチを置いておくというのも怖い。宇宙でもその手のうっかり…所謂現場猫案件は発生するからだ。

 

「通信区画の人員が協力してくれれば一気に動き易くなる、緊急時に必要不可欠なのはマンパワーさ」

 

開かない扉にプラズマカッターを向けて溶断、裏側の整備区画へと侵入する。非常用のレバーを探しつつ、手動での切り離し手順を確認する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これが爆破用ですか」

 

「そう簡単に使える訳じゃあないがな、鍵やらなんやらが必要だ」

 

「鍵って、私達はそんなの持ってませんよ」

 

試作艦にあった装備を着て飛び出して来たわけで、宇宙港に所属する人員のうち少数が持つような鍵なんて物は無い…と思われた。

 

「えーと、通信区画だから…これだったか?」

 

万が一に備えてセキュリティが施されているが、それに持ち出し厳禁と書かれたタグの付いた鍵を差し込むと簡単にロックが外れた。

 

「何故鍵があるんです」

 

「いやまあ、最近良くないことが多かったし一応な」

 

「今回はまあ仕方ない状況ではありますけどね、持ち出し厳禁って文字が見えないんですか!?」

 

 

メインシャフトへと辿り着いた作業員達は、手動にて各種密閉剤の充填作業を始めていた。閉鎖する区画に取り残されていた人員の退避を促しつつ、時には壁すら溶断して動き続けている。

 

「何故誰も状況を知らないんだ、司令部は?」

 

「酸素供給系の異常だとかで火災が発生して、この区画の全作業員は最寄りの室内にて救助を待てとの連絡があってそれ以来…」

 

「通信や施設内のアナウンスは無いと」

 

「はい、おかしいとは思ったんですけど」

 

作業員達は秋津島の社長が出張っているとなれば動かない訳にはいかないと、協力を確約してくれた。元々作業を中断して避難していたので工具など各種装備を身につけたままであり、即戦力として作業に当たってくれている。

 

「そう言えばMMUは無いのか、外から見た時に姿が見えなかったが」

 

「一部の機体は消火作業に当たっているのかもしれません、でも一機もいないというのは妙ですね」

 

「軌道艦隊の対応に回っているのでは、あの場所は絶対に稼働を止められない対BETA最大の防波堤ですから」

 

港の設備も稼働を止めているとなれば、MMUの手で各種作業を行っているというのも分かる話だ。軌道艦隊はユーラシア大陸から外に手を伸ばそうとするBETAを叩くのに必須な戦力で、彼らが居なければ被害が何倍にもなることは想像に難くない。

 

「…つまりこの状況を宇宙港自身が打破するのは難しいのか、指揮系統がこのザマでは復旧も無理じゃあないか」

 

「おい、聞かれるぞ」

 

あまりに出し抜かれ過ぎた現状に苛立った班員の一人を班長が窘め、何かを手渡した。急に物を渡された班員はそれを掴んで正体を確かめると、それは宇宙食だった。

 

「お前は昼飯を抜いていただろう、今のうちに食っておけ」

 

「は、はぁ」

 

「今足りないのはカロリーと余裕だ、人手は増えたんだから少し休め!」

 

試作艦の船員を急に慣れない環境で働かせる以上、問題が起こるのは仕方ないことだ。鳴り響く警報音も精神を削ってくる、これは早く終わらせなければならなさそうだ。

 

「社長殿との通信も通路を挟めば不明瞭、全くどうしたもんかね…」

 




秋津島開発広報部と秋津島放送からのお知らせ

本二次創作の原作であるマブラヴシリーズ最新作、マブラヴ:ディメンションズのサービス開始が迫っています。そのため我々は本作の目玉である戦術機の周知を図るため、解説動画を作成致しました。

第一世代から第三世代までの戦術機ほぼ全てを網羅した内容となっていて、予習や復習に最適な動画です。
秋津島放送の端末をお持ちでは無い方は作者のTwitterから視聴可能ですので、よければご視聴下さい。

尚現在衛星通信網にて通信障害の発生が確認されていますので、地域によってはご視聴出来ない場合がある場合もございます。大変申し訳ございませんが、時間をおいて再度お試しください。

今と未来を皆様の手に!
秋津島放送でした。
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