宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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なんと挿絵三枚、大盤振る舞いです。


第九十四話 反抗作戦と次期ハイヴ攻略と

「大陸に派兵、それも中国に?」

 

食べきれない贈答品を社員と家族に分配し、毎食美味しいデザートにありつけている社長と秘書は見るからに高級そうな桃を食べていた。

 

「これ以上の戦線後退は帝国にとって許容出来ないとのことで、国連軍との協力も取り付けようとしているようです」

 

目標はハイヴ攻略、それも以前とは違い成長した大型のものだ。欧州の次はアジアにて巣を潰し、中国戦線の延命を図る魂胆だろうか。

 

「試作艦の命名式も終わりましたから、彼女の実戦は中国となりそうですね」

 

「…ああ、荷電粒子砲を使うつもりか」

 

 

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武装や装甲を整えて実戦投入が可能となった試作艦改め浮遊艦「イザナギ」の実地試験、超電磁砲の大規模運用など帝国にとって試さなければならないことは山積みだ。

 

「例の地面効果翼機も纏まった数が揃いました、BETA支配地域に向けた反抗作戦で使うにはもってこいの戦力でしょう」

 

「売れ筋の多脚車両群も実績の殆どが欧州でのものだったからな、ここらで軍はアジアでも使えることを証明したいのかもしれん」

 

アジアの国々と繋がりを強化していきたい帝国政府としては、欧州ばかりに手を貸している訳ではないと示す絶好の機会だろう。

 

「作戦決行はまだ先ですが、それまでには宇宙港をどうにかしなければなりませんね」

 

「事件が多すぎて第二宇宙港の建造もあかつきの修理も進まねぇ、ここはどちらかに力を集中させるべきだろうな」

 

第二宇宙港が完成すれば艦隊の運用能力は飛躍的に向上する筈が、肝心の第一宇宙港が老朽化するよりも先に爆発やら砲撃やらでボロボロになってしまった。本来想定されていた耐用年数まで持たなかった形になる、国連宇宙軍の関係者はテロリストに憎悪の念を向けていたのは言わずもがなだ。

 

「帝国はG元素利用兵器を初めて運用する国として前線に立ち、一気に他国を突き放すつもりか」

 

「着陸ユニットからの採掘が進めばML機関に必要なG元素は大量に手に入ります、米国からの提供分を使い切る気ですよ」

 

「大盤振る舞いだな、それほどまでに中国がヤバいってことでもあるが」

 

ごく真面目に作戦を立てた際、試作艦の荷電粒子砲が必要だと結論が出る時点でおかしいという話だ。通常の戦力では作戦の成功は難しい、中国の現状を帝国軍の参謀達はそう認識したのかもしれない。

 

「例の新型もロールアウト間近だろ、奇しくも米国は同時期にYF-22の量産を始めるみたいだがな」

 

制式化されればF-22となるその機体はBETA相手には意味のないステルス能力を持つ対人戦術機とでも言うべき特性を持ち、基礎的な性能も非常に高い。

 

 

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他の機体とは全く違うシルエットは印象的で、戦場で相対することになれば悲惨なことになるのは間違いない。この機体が戦術機に牙を剥くことが無ければいいのだが。

 

「戦術機も第三世代機が現れ始めたということですね、我々も次世代機開発に乗り出すべきでしょうか?」

 

「第三世代機は高すぎる、あれじゃあ第二世代機を代替出来ないさ。だから俺達はその間を埋める商売をすれば良いの、暫くは隼改の近代化が仕事になるぞー」

 

帝国軍肝入りで開発していた次期主力戦術機は殆ど完成していると言っていい状態にまで来ており、模擬戦では隼改を相手にしても余裕を持って勝てる程の性能を見せつけていた。

 

「輸出用の廉価モデル、アレは国連軍の方でも試験を始めたんでしたっけ」

 

「吹雪のことか。まさか最新鋭機を簡単に提供するとは思わなかったがな、ありゃ第三世代機のシェアを狙ってるぜ」

 

整備士は帝国の息がかかったものに限定されているが、それでも大多数が未だ第一世代機で構成されている国連軍にとっては嬉しい話だろう。

 

「国連というと、確かオスカー中隊が出向していましたよね」

 

 

市街地を飛び回るのは国連軍カラーの見慣れない戦術機であり、それを追い回すのは同じ塗装のF-4だ。その推力差は圧倒的で、二機の距離はどんどんと離れていく。

 

 

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突撃砲を持たず長刀一本で模擬戦に挑んでいたのは帝国軍の新鋭機不知火、ではなくその廉価版である吹雪だった。不知火の試作機を流用して作られており、部品の互換性はあるものの各部は簡略化されている。

 

「…これでも不知火よりパワーが劣るとは、恐ろしいな」

 

空力制御を意識した流線型の脚部と面積の大きいブレードアンテナ、上手く使えるようになれば強力な武器になるだろう。悪化するかと思われた操縦面だが、SPFSSの搭載により克服した。

 

「エンジンも安い物に載せ替えられていると聞くが、申し分ないな」

 

『跳躍ユニットは現在大規模な生産ラインが存在する疾風と同じ物を使用しています、外装こそ違いますが一級品であることは保証します』

 

不知火の跳躍ユニットは疾風のものをより軽量化した新型エンジンを採用しており、その生産は始まったばかりだ。

 

「安いと言って悪かったよ!」

 

進行方向を切り返し、F-4と正面から長刀をぶつけ合う。思い切り放った袈裟斬りは避けられたものの建物の屋根を吹き飛ばし、突きはビルに穴を開けた。どうにかこちらの攻撃から逃れようとする相手に向かって一歩踏み込めば距離は縮まり、振るわれた刃は腹を捉えた。

 

「F-4とは比べ物にならない機体だな、何もかも」

 

撃墜判定を受けたF-4には同じ中隊の衛士が搭乗していたが、機体の性能差は如何ともし難いようだ。

 

『大人げないですよ隊長、こっちは撃震だってのに!』

 

「まだ部隊全員分の機体が届いてないんだから文句言うな、久しぶりのF-4に乗った感想はどうだ?」

 

『思ってたより動けてビックリです、1.5世代相当に改修されてたって話は聞いてたんですがねぇ』

 

教導隊としての仕事に明け暮れるオスカー中隊は、訳あって新型機と共にアジア方面の国連軍基地にお邪魔していた。今まで乗っていた疾風も格納庫に運び込まれていたが、今回の目的は国連軍に吹雪を見せつけることだ。

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