あと斯衛は予測変換で出てこないようです。
アーマードコアⅥが発売するらしいので、それまでに完結させるべくペースを上げます。
「隼を更に近接戦に特化させて欲しい?」
「出来る範囲で良いそうです、帝国軍は既に大隊規模の戦術機を確保したので次は斯衛にもと…」
正確には確保していない、納入予定の全生産分と米国から来る予定のF-4を数に入れるとギリギリ大隊になるかならないかというのが現状だ。まあ最低限の生産が終わったら次はこっちにも卸せと唾を付けにきたという印象を受ける。
隼は斯衛の求める理想の戦術機像に近いらしい、最もF-4の改修機も作る予定らしいが。本来なら純国産機が良かったとのことだが、先に撃震の生産を行っている国内三社に話を持ち込んだ際に無理だと言われてしまったため、早期の配備も視野に入れての要望なのだろう。
「撃震の方も話が行っているのを見るに武家出身の衛士には隼を使わせる気なんでしょうかね、どうします?」
「色を変えるのはまだしも、近接戦への適性を上げる改修を早期納入可能な範囲で行うとなると…」
スーパーカーボン製のブレードを機体に直接搭載するのが良さそうだが、そんな研究はまだ行っていない。未来のソ連機のようにブレードを突出させて配置する手もあるが固定部にかかる負荷はとても大きくなり、要らぬ損傷を外装に与える可能性がある。
所謂てこの原理というやつだ。
「ミサイル搭載能力をオミットして、肩部の装甲を増しておくか」
肩部を大型化することで重心を上に寄せる、斯衛の衛士なら多少扱い難くとも何とかするだろう。それに盾としても扱える、戦術機の装甲が一番分厚い箇所を利用する程度斯衛ならやってのけるだろうという想定だ。
「肩以外はどこの形状を変更します?」
「分かりやすい頭部と胸部は必須だな、電装品だったりも変えたいが」
過酷な環境で装甲を保護する塗装のことも考えなければならない、何せ部位ごとに塗り分けることが必要なのだから。
「いいだろ、それより紫色の機体も作らなきゃならんのが怖いよ」
「初期不良でもあれば…」
頭部は形状を三つ用意し、五色に塗り分ける。試験的に頭部保護のためのワイヤーカッターも搭載した、近接戦で飛び散るBETAの残骸からセンサを保護することを狙った装備だ。東側の戦術機で採用されるものを真似てある。
色々と考えたが斯衛仕様の隼の改修箇所は頭部、胸部、肩部、腕部の上半身のみを行うことにし、下半身は一部の装甲形状を変化させるに止めた。しかしそれでも帝国軍仕様の隼と部品の共通化率は70%ほどだ、実質別の機体である。
通常の隼よりも高性能化させるため、センサ類は数段良いものを搭載した上に跳躍ユニットのエンジンも別の物に載せ替えた。
頭部センサでいう目に当たる部分だが、上位二機種にのみ人間の目を模した大口径の光学センサを搭載してある。性能はさほど変わらないが、格好を付けて差別化するには持ってこいだろう。
「これは確か、隼に搭載しなかった方のエンジンですよね」
「高出力低燃費と夢のようなエンジンなんだが、寿命がちょっと短くてな」
隼に採用されたものよりも工程の多い整備が必要で、その頻度も高い。長寿命化には時間が必要とされ採用が見送られたそれが役に立つ時が来た。
「取り敢えずスペック表送りつけて、隼より整備性落ちるけどいいかって聞いてくれるか」
「…あの、見たことないのもあるんですけど」
部下が取り出したのは腕部の改修項目にあったナイフシースに関するものだ、自らを展開して納めていたナイフをマニピュレーターで保持出来るようにしてくれる。
「隼のは強度不足が懸念された結果可動域が狭いからな、腕部丸ごと再設計するなら搭載しても大丈夫に出来る」
くの字に展開し、隼では不可能だった左右どちらかの腕部単体でナイフを保持することが出来るようになる。従来品だと反対側の腕が無ければナイフを引き抜くことが出来ないのだ。
「これも整備性は良くない、部品点数も多いから高くもなるな」
「…まあ斯衛仕様ですから、多少高くても許されますよ」
この後F-4改修機の開発を行う国内三社と話し合い、搭載する機材に関しての共同開発が決まった。機体に関してもこちらが協力する手筈になっている。本来ならば82年に実用化されるはずの斯衛仕様F-4改修機、瑞鶴は想定していた以上の速さで姿を現すことになりそうだ。量産体制への全面協力と生産技術の提供が余裕を生む結果となったのだろうか。
搭載を要求されていた高性能なレーザー照射探知機は秋津島開発製の探知機を設計図諸共提供することで早期実用化を図った、技術チートの大盤振る舞いである。
始まったばかりの曙計画、自国での完全な戦術機開発能力を獲得するための研修プログラムが存在したことも大きいだろう。国外では米国から、国内では秋津島開発から全て学び切ってやるという尋常ではない気迫を感じた。
「瑞か…F-4改修機が一般の衛士向け、隼改修機が武家向けか」
瑞鶴の資料は斯衛の方からも許可を得て見ることが出来るようになっていて、城内省の印が押された資料が山と積まれている。隼とは逆に瑞鶴は黒色の塗装がなされた仕様だけが要求されていた、帝国軍の二機種体制を真似たのだろうか。
「勝手に開発中の戦術機にあだ名付けるのやめましょうよ、前は偶然正式名称と合致してて情報流出を疑われたんですから」
F-4の開発計画から追い出された後、社内でファントムがどうのと言っているのを聞かれたらしい。やっと決まった筈の正式名称を秋津島開発のトップが知っているとなれば大問題で、その結果脱退後も情報が漏れていると騒ぎになったのだ。
「あれは申し訳なかった、それっぽい感じがしたから呼んでただけなんだがな」
嘘である。
「偶然の一致は怖いんですよ、たまたまとはいえ実例を見たんですから気をつけるのは当然です」
政府の意向で隼の輸出は認められても、ライセンス生産は許可されません。