宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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頑張れ人類。


第百一話 ナマステ

「インド?」

 

怪訝な顔をする秘書に対し、社長はカレーを食べながら答える。

 

「スワラージ作戦ってヤツさ、インド亜大陸で行われる一大反抗作戦だよ」

 

本来であればこの作戦で初めて宇宙戦力がハイヴ攻略戦に使われることになる、軌道爆撃や軌道降下部隊を用いた戦術はここから産まれた訳だ。だがこの世界においては、パレオロゴス作戦の時から今日に至るまでの常連と化している。

 

「国連主導でアフリカ連合と東南アジア連合、それにオルタネイティヴ3直轄部隊も動くって話だ」

 

「なんだかんだで、BETAを押し返せたのは欧州だけということですか」

 

「超電磁砲が無いからな、今回の作戦に当たって帝国か欧州の部隊を呼び寄せたいらしい」

 

輸出許可が降りないなら持ってる奴を呼べばいい、まあ至極単純な話だ。しかし量産が始まったとはいえその寿命の短さが問題となり、そう数が多いわけではない。

 

「欧州が防衛戦で勝ててるのは充分な数の疾風が揃って来たからだ、一個小隊すら惜しい」

 

「帝国はどうなんです、大陸への派遣に向けて準備中ですよね」

 

「そうなんだよ、使える戦力が無いってわけ」

 

欧州連合はヨーロッパの寄り合い世帯、情勢の変化に伴い全員が同じ方向を向けているかと言われれば違うと答えざるを得ない。アジア圏での影響力を得たい帝国は戦術機の輸出やインフラ整備を行ってはいるが、上記の通り戦力の欠けは許されない状況だ。

 

「だがこの作戦が失敗に終われば油田がBETAの支配地域に没する危険性がある、見て見ぬふりは出来ないのが難しいところだ」

 

「砂漠は兵器にとって過酷な環境です、現地仕様機を持たない他国の軍が簡単に踏み入れる領域でもありませんし…」

 

「支援出来るものと言ってもな、砂塵防護用のフィルターは俺達も作ってたっけか?」

 

「月面の砂から彗星を守るために作ったヤツですね、地球では性能が過剰過ぎるので斯衛の機体くらいしか採用してませんけど」

 

「隼の規格は…3Dプリンタが有ればなんとかなりそうだな、多分使えるだろ」

 

帝国が戦力を出すことは出来ないが、秋津島開発としては動かせるものがある。スワラージ作戦における国連宇宙艦隊へのバックアップは手厚いものになるだろう、稼働率は低いものの形を成して来た第二宇宙港があるのも大きい。

 

「東南アジアの拡張されたマスドライバー施設がやっと全力稼働を始めたんだ。補給コンテナの投下から軌道爆撃まで、貯蓄分を差し引いても従来の2倍は落とせるぜ」

 

「最寄りのマスドライバーでの軌道降下部隊打ち上げはサービスしておきますか?」

 

「それくらいはやろう、多脚車輌の脚を無限軌道にするオプションも増産しないとな」

 

 

帝国が生産施設の移転を進める東南アジアにて、見慣れた塗装の戦術機が警備を行っていた。機体は目立つ白とオレンジのカラーリングで、肩には大きく秋津島開発とほぼ同じロゴが貼り付けられている。

 

『秋津島警備の所属機はそのまま待機、不法入国者の対応は現地警察に引き継ぐ』

 

「了解、PMCも楽じゃあないな」

 

『高給取りが文句を言うな、多脚より戦術機乗りの方が給与上なんだぞ?』

 

海上に一定の間隔で建設されたのは大型の資源回収用プラットホームであり、海から様々な資源を掻き集めていた。建てた会社は違っていてもその根幹を成すのは秋津島開発の資源回収技術であり、例に漏れず惑星開拓分野の応用だと言う。

 

「あんなボロ船に100人以上で航海か、考えたくもない」

 

『大陸、特にアジアは後退を続けてるからな。誰もが安息の地を求めてるのさ、既に誰かが住んでいるとしても…と付け足す必要があるが』

 

「その手の過激派を相手するのも仕事の内だろ」

 

プラットホームは構造上攻撃を避けるといった機能は持たず、その手の自爆攻撃の標的にされることもしばしばと言った様子だ。帝国はプラットホームに自衛用の武装を施すことで対処を図った、元々海底から攻めてくるBETAを攻撃するための沈降式爆雷の投射能力は持っていたので、多少雑だが武装システムに後付けした形になる。

 

『帝国の資金がたんまり投入された上に需要が高まり続ける軍需品を吐き出す生産設備が次々に完成、将来的にはEUにすら匹敵する巨大な経済圏になる』

 

「宇宙関連の設備も多い、戦時中なら良いが戦後は奪い合いになるぞ」

 

『だから帝国があの手この手で抱き込みを続けてるんだろ、最新鋭機まで連れて来てな』

 

東南アジア連合軍が運用する旧隼の隣には帝国軍の隼改と疾風が並び、地元の地方紙では精鋭部隊の到着が一面を飾っていた。

 

『疾風か、海の向こうじゃあ渇望されてるのにここじゃあ被写体が精々だろ』

 

「沿岸部の防衛が任務の一つなんだろう、対人戦なら超電磁砲はBETA戦以上に有用だ」

 

『…アンタも元はアレに乗ってたんじゃあないのか、思う所が無いわけじゃないだろ』

 

「在籍してた時は部隊にまで三機しか居なかった、俺は根っからの隼乗りさ」

 

オスカー中隊のエンブレムは二度変わっている。母艦級を倒した後に大隊規模にまで拡張された時と、疾風中心の編成に変わった時だ。彼が持っているのは最初期のもの、欧州に派遣される前に帝国でデザインされた物だ。

 

『その英雄様が国外で傭兵ねぇ…』

 

「正規雇用だ、給与以外の待遇も秋津島の社員と同じだぞ」

 

『じゃあ戦後に予定されてる社員宇宙旅行にも行けるわけだ』

 

「アレはもう本気なのか与太話なのか分からん」




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執筆中でもう94人だからね!作者びっくり!

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