宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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第百八話 次期ハイヴ攻略

「ハイヴを制圧する?」

 

「人類二度目の反撃さ、第四計画に基づく作戦行動だがな」

 

目的は反応炉の確保及びハイヴ内の全BETA殲滅、正気の沙汰ではない。しかし00ユニットはほぼ完成しており、それに伴いXGシリーズの実戦投入も可能と言うわけだ。

 

「大破した試作艦の穴を埋める浮遊艦の完成を待ってからの実行になる、荷電粒子砲を用いることで被害を抑えつつ地表のBETAを撃破するらしいが」

 

「そう上手く行きますか?」

 

「正直なところ分からん、試作艦が吹っ飛んだ時のような対抗策を使われると危なくなるのは確かだ」

 

今回は対外的な実績作りと00ユニットによる情報収集が主目標だ、投入されるXGシリーズに関してもハイヴ内への突入は考慮されていない。

 

「リスキーですねぇ…」

 

だがG元素利用兵器の射程圏内にハイヴを収めることさえ出来れば後はワンサイドゲームだ、地下侵攻にだけは気をつけつつ誘き寄せられたBETAを吹っ飛ばし続ける作業が待っている。個体数を減らした上で突入することで、戦術機部隊の損害を抑える試みらしい。

 

「反応炉の存在を確認することはオリジナルハイヴ攻略を後押しする根拠の一つになる、それに国連がXGシリーズを運用することは色々と都合が良い」

 

「現状ML機関搭載兵器を運用しているのは帝国だけですから、他国が関わりを持つ国連がそのノウハウを得るというのは確かに大きなことかと」

 

「XGを戦後どうするかは悩みどころだけどな、米国から接収したわけだし」

 

実を言うと帝国国内から出すのも憚られるような改造を施した機体があったりするのだ、奥の手として必要だったとはいえ扱いに困る代物へと変貌してしまった。

 

「まあそれはおいといて、動員される戦力は中々多い」

 

「ハイヴ攻略ともなれば当然…いや、なんかちょっと多い気がします」

 

「攻略目標はなんとボパールハイヴ、オリジナルハイヴのすぐ南に存在するフェイズ5の巨大な巣だ」

 

ソ連が主導していた第三計画にて強行されたハイヴ攻略であるスワラージ作戦だったが、結果は散々な物だった。上層部の混乱によって定員割れしたままの直轄部隊は突入を強行、帰還した機体は居なかった。

その部隊の補充に送られるはずだったスペアが帝国の基地に戦術機ごと搬入されて来た少女達であり、今は第四計画の預かりとなっている。

 

「スワラージ作戦の失敗以降インド亜大陸はボロボロだ、第三計画が作戦を無理矢理進めたお陰で国連への不信感も根強い」

 

「そんな土地で円滑な作戦行動が可能だとは思えませんが、本当に大丈夫なんですか?」

 

「実は滅茶苦茶太いパイプがある、油田がある以上秋津島開発として支援は行なって来てたからな」

 

「あぁ…成る程…」

 

スワラージ作戦に帝国軍は参加せずとも、秋津島開発の戦術機と多脚戦車は戦場に居た。弾薬やら防塵フィルターやらの消耗品も増産しては投げつけ、対価は貰っていたとはいえ支援した量はそれなりのものだ。

 

「東南アジアの国々にも説得をお願いしてある、第四計画は第三計画とは違うと示さないとな」

 

「何かインパクトのあるものが必要ですね、秋津島放送と上手く噛み合えば影響力は大きいかと」

 

「インパクトねぇ…」

 

前線の将兵を奮い立たせ、勝てると思わせるようなもの。第四計画の成功には全世界の協力が必要だ、不信感を持っている国や軍は少ない方がいい。

 

「…あるな、たった数発の攻撃で見る者に人類の勝利を確信させた兵器が」

 

「そんなものありました?」

 

「荷電粒子砲さ、見慣れてるのは帝国の大陸派兵組だけだろうからな」

 

原作における甲21号作戦、佐渡ヶ島ハイヴ攻略に際して投入されたXGシリーズは自慢の主砲を放った。ハイヴ上部に存在するモニュメントを吹き飛ばし、地表に存在した何万というBETAを消滅させた様は正に痛快。あの場にいた誰もが歓喜しただろう、しかしその後の展開はお世辞にも上手くいったとは言えないのが玉に瑕だ。

 

「新型浮遊艦をインドで飛ばそう、そしてその火力と勇姿を見せつけてやるのさ」

 

「一部の部隊を先行して入国させるということですね、博士に提案してみましょう」

 

「直掩機として計画直属のA-01部隊も先に現地入りさせよう、帝国軍以外であの船と協働できるのはアレくらいだ」

 

第四計画のA-01と言えばヴァルキリーズ中隊を思い浮かべる物だが、今はまだ連隊規模の戦術機部隊として健在だ。優れた00ユニット候補者を選び出すために選抜を進めた結果があの損耗率であり、作為的に数を減らそうとしなければあそこまで戦死者数が膨れ上がることはない。

 

「国連で唯一不知火及び疾風改を装備した部隊、広報用の被写体には困りませんね」

 

「連隊規模の第三世代機を用意出来る帝国も帝国だがな、国内の機体刷新と並行してると考えると相当な生産速度だ」

 

「予備機を含めれば連隊定数の108機は超えるでしょうし、確かに異様な速度ですね」

 

「俺達が担当してる吹雪も国連向けの生産が続いてる訳だ、本格的に世代交代が始まるとはな」

 

原作では常に数の上の主力機だったF-4だが、こちらでは既に前線を退いて訓練生のゆりかごとして余生を過ごすケースが増えていた。その穴を埋めるのはF-16や隼シリーズであり、金銭的な余裕があればF-15や吹雪が視野に入る。

 

「…雲泥の差ってヤツだな、今日日第一世代機なんざ最前線で見ないんだから凄い話だよ」

 

今までの積み重ねがハイヴ攻略を現実的なものに押し上げたのだ、ここで失敗する訳にはいかない。

 

「虎の子の無人機を出せるだけ出そう、ハイヴへの突入が行われるまでに有人機の被害を抑える必要がある」

 

「第四計画隷下の宇宙強襲揚陸艦への無人機搬入は完了していますし、我が社の戦術機輸送船はいつでも出発可能です」

 

「新型浮遊艦の完成までに全ての準備を遅滞なく終えるんだ、前線で戦わない俺達にとってはここが正念場だな」

 

人類の勝利は目の前だ、前哨戦はさっさと片付けよう。

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