「社長、これはなんです?」
「前の秘書に止められた企画書、今でも通用する物はありそうだけどな」
「気になりますね、見ても良いですか」
「どうぞどうぞ」
一枚目に現れたのは、落着ユニットの最終防衛ライン構築というお題目だった。120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲というあまりに長い名称が目に入り、秘書は一つ目だと言うのにそのぶっ飛びっぷりに驚いた。
「その砲台を8つ円状に配置したのがこのストーンヘンジ、東京のバビロン計画に盛り込もうとして却下されちゃった」
「何故です?」
「予算が足りなくなるのと、頑張れば大陸まで射程に入るからややこしくなるんで辞めた」
「そんな超兵器をサラっと東京に配置しようとしないで下さい」
「カッコいいだろ、アークバードも作って飛ばしたい気分だよ」
「そのナントカバードもどうせ碌でもない代物なんでしょうね…」
次の企画書に書かれていたのはA-10再生計画、中身はどうにかして既存の攻撃機を維持及び近代化出来ないかというものだった。
「A-10?」
「今はもうどの国も運用してないけどな、前線での人気が高すぎて当時は退役させられなかったんだ。製造元も利益にならないんでサービスをやめてるし、そんで俺の所に話が来たわけだ」
「でもここにあるってことは、没になったんですよね」
「ほぼ同時期に疾風と隼改が欧州連合に輸出されたからな、超電磁砲やら副腕装備やらで代替することになってお流れだ。スクラップにするのもアレだし、何機か買い取って研究と技術館の展示に回してある」
秋津島開発の技術館は拡張が続けられ、現在では西側製の戦術機は最新鋭機以外全て展示されている。東ドイツの伝手で手に入れたMiG-21、23、27も仲良く並べられており、見に来た人々の中に軍属が混ざっていると露骨に驚く様子を見ることが出来る。
「無人攻撃機の開発には大いに役立った、実質的な子孫と言っていいかもな」
「社長、なんだかんだ戦術機大好きですよね」
「そりゃあな」
企画書の通りに開発が進めば、超電磁砲を二門搭載した化け物が完成する予定だった。改修に金をかけるくらいならその金で疾風を一機でも多く買えということになり、まあお蔵入りだ。
「次は…ステルス機?」
「帝国軍からF-22に対抗可能な戦術機を作れと言われてな、まあ一応研究してた。だがまあML機関搭載機、飛燕が完成したから試験機すら作らずに終わったな」
「明らかに対人戦のための能力ですし、社内のBETA殲滅派でも難色を示しそうな技術ですね」
「光を歪める重力場が砲弾を逸らせない訳無いからな、F-22もなんだかんだで配備が遅れてるし必要性も薄れた。何より戦術機をステルス機にしようと思うとな、維持費がヤベェんだよ」
「あー…コーティング材の摩耗は早そうですね、粉塵が舞う低空だと」
「一発殴られたらそれでオシャカだしな、BETAとの相性も悪いんで諦めた」
しかし帝国はステルス技術を諦め切れてはいないようで、独自に研究を進めているらしい。米国が有している以上、分析のためにも知見を得ておきたいのだろう。
「色々あったんですねぇ」
「まあな、口に出さずに終わったのも多いが」
「…是非そのままにしておいて下さい」
初回投稿が2022/11/28、第一部完結が2023/12/11。
話数が178話…妙だな、大体2日に一回は投稿してる計算になるな。
というか数年続けてた気分だったけど、一年しか経ってなかったのか。
やり過ぎ感があったり、作ると面倒くさくなりそうな物は泣く泣く没にしてあります。自制に失敗していたら第一部の時点で超巨大空中空母が出てた、危ない。