宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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プロットが浜で死にました、書き溜めの6話全て書き直しです。

秋津島開発は対価貰ってます、書いてないだけで…
なので書きました、奴ら趣味に使ってやがります


閑話 試作機と秋津島の今

試製四号と呼ばれた機体は次期主力戦術機候補の一つとして躍り出た、相変わらずの速度で完成していた実機は既に試験場に入っている。

 

「超電磁砲は未完成なんだろ、機体に載せて大丈夫なのか?」

 

「砲身の寿命が持たないのが未完の理由らしく、発射機構自体はある程度完成しているそうです」

 

社長と部下はいつも以上に厳重な防具を着込み、対電磁波防御が施されたバンカーから試験場を見ていた。既に機体の周囲から作業員は退避済みであり、機体に繋がれた有線ケーブルにより遠隔操作が行われる予定だ。

 

「超電磁砲の電磁波は中々だからな、無人機じゃあ万が一があるらしい」

 

機体背部に搭載された発電機が起動、発射に必要な電力が発射機構に蓄えられていく。

 

「現在の性能では全力で稼働させたとしても30秒に一発が限界だそうです」

 

「30秒は長いな…」

 

「今製造中の新型なら10秒に縮められると開発チームは言ってますが、製造チームが材料の加工難度が高すぎる上に寿命が短いとボヤいてます」

 

現時点で発射可能な超電磁砲があるのは良いことだ、原作と違いBETAからしか得られないG元素も使わないため量産も出来る。

だが問題は山積みである。超電磁砲を背部に搭載するという仕様上専用機以外で運用すればバランスの悪化は必然、発射時に発する電磁波や熱の問題も既存の機体には辛いものがある。

 

「将来的に量産するとしても、コレは試製四号専用になっちまうよ」

 

「発射時の反動やら専用の給弾給電システムなんて、他の機体も使えるようにする方がコストかかりますって」

 

そろそろ充電が終わる頃だ、話を一旦やめて射撃場の方を見る。

格納庫にあった時のようなフレーム剥き出しの姿ではなく、最低限の外装が追加された試製四号は凛々しかった。

 

『発射!』

 

火薬式の砲とは少し違う砲撃音がした後、標的として用意されていた突撃級の外殻が割れた。この距離であれば弾道が見えたりもする筈だが、発射音と同時に着弾したのかと思うほどの弾速を持って弾頭は飛翔したようだ。

 

「…おぉ、やったか」

 

「突撃級の外殻を一撃で貫通、その背後にあった丘にもクレーターを作ったそうです」

 

「威力充分だな、並べて撃つだけでBETAを殲滅出来るぞ!」

 

 

「そう思っていた時期が私にもありました」

 

「どうしたんです、急にそんなこと言って」

 

超電磁砲だけで隼が二機買える、これは将来的な価格低下を見越しての値段である。また砲身の寿命や発電機への過負荷などを考えると運用コストも莫大なものになり、とてもではないが纏まった数を運用出来ない。

 

「…研究を進めないとな、ちょっと設計室に籠るわ」

 

「護衛の人に話を通しておきますね、何があっても部屋から出ちゃ駄目ですよ」

 

「分かった分かった」

 

何処からともなく現れた護衛達に周りを囲まれつつ、防音防爆防弾の地下シェルターに向かう。最近は別の業務を進めていたためあまり利用していなかったが、以前よりも発達した技術力ならば更に複雑な物を出力してもなんとか形になるだろう。

 

「食事はどうされますか」

 

「おにぎりが良いな、具は…鮭と昆布で頼みたい」

 

「分かりました、くれぐれも今言った物以外が運ばれて来ても口にせぬようお気をつけ下さい」

 

「…俺がこんな立場になるとはなあ」

 

本社の警備体制は厳重だ、具体的に言うと隣の格納庫に帝国軍の戦術機と機械化歩兵が駐留している。いつのまにか用意されていた戦艦さながらのミサイル迎撃システム、24時間の警備体制、社内に立て籠っても一ヶ月耐えられる備蓄…その他諸々である。

 

要人の警護に覚えがある斯衛からもそれなりの人数が出向しているらしく、最近は毒味された後の飯以外を食べた覚えがない。大好きなフルーツ缶詰を食べようとしたら穴が空いていないかチェックされ、安全確認が終わるまでの間フォークを握って唖然としていた覚えがある。

 

「今や貴方はこの国になくてはならない存在なのです、このような状態を強いてしまい我々としても…」

 

「あっいや、すみませんなんでもないです」

 

社員達の身元が全部洗い直されたり、ソ連のスパイらしき作業員が連行されていったりと秋津島開発の周囲は恐ろしいことになっている。

中核の開発班と製造班に怪しい人物はほとんど居なかったそうだが、アイツらは宇宙開発一筋の宇宙馬鹿しかいないのである意味当たり前である。

 

莫大な資金援助のお陰で使える資金は多いため、開発班は時折本業である宇宙開発に戻る時もある。平和になった暁には地球から播種船を他の星へと送り出すのが彼らの夢だ、それは自分も変わらない。

 

 

【挿絵表示】

 

 

戦争が終わった後にどんな宇宙船をラグランジュポイントで建造するかは議論が続けられていて、設計案は常に更新されている。

皆には存在を伝えていないのだが、将来的には重力制御機関を搭載し回転式の居住スペースから脱却する予定だ。

 

「つかぬことをお聞きしますが、女性との関係などは?」

 

「…ないですね、ずっと宇宙に居ましたし」

 

「性交渉などは?」

 

「せめてアンケート用紙か何かにして質問して下さいよォ!」

 

「失礼しました」

 

その後、やけに達筆な文字で質問が書かれた手書きのアンケート用紙が手渡され、頭を抱えることとなる。




オルタネイティブ5、自力で発動出来る勢参戦!

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