宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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近いうちに新型戦術機お披露目です、ご期待ください。

個別にコメントを下さった方々に関しては回答を行いましたので、活動報告をご確認下さい。ご協力いただきありがとうございました!


閑話 秋津島レポート その2

国内三社は心中に納めてはいるものの、複雑な思いを抱いているということが分かった。技術屋としてのプライドという奴だろうか、分からなくも無いと思ってしまう。

 

「秋津島開発は最高、超電磁砲とか夢ですよ夢」

 

「俺は軍の展覧会で、あの隼に乗せてもらったんですよ!」

 

「へ、へぇ〜」

 

道ゆく男子中学生にお話を伺うとこんなもんである、やはりこの年頃は戦術機に憧れるものなのだろうか。

 

「電磁砲じゃないんですよ、超!…電磁砲なんですよ」

 

「その場で手を動かすだけだったんだけど、ですけど、いやもう凄くて」

 

なんかもうヒートアップし過ぎて危ない、コイツらは秋津島か軍にでも入れ。

 

「新聞になるんでしょう、僕がもう超電磁砲について最強のコメントを…」

 

「こうなんていうか、ギュチッと神経が繋がるような感じで…」

 

怖いから、ちょっともう君たち本当に勘弁して。

 

 

次に話を聞きに伺ったのは自分の雇い主、政府である。

秋津島開発との橋渡しを担う彼は中々気苦労が多いことで知られている。

 

「いやねぇ、君には苦労をかけたみたいだね」

 

「そんなことはありませんよ」

 

「まさか社長本人が出てくるとは、まあ結果としては良かったんだろうけど」

 

後で何か言われないだろうかと不安そうに話す彼の髪の毛は薄くなりつつある、心中お察しします。

 

「本題に入るとして、秋津島開発は本物の国士だよ」

 

「そう思われるほど国に尽くしていると言うわけですね、具体的な例をお伺いしても?」

 

「君も知っている…いや、私の口から言うのが君の仕事に沿う形になるね」

 

鞄から取り出したのは様々な資料だが、どれも秋津島が関わったことで成功したものだ。戦術機開発より前、宇宙開発時代にも日本はその恩恵に肖っていた。

 

「戦後日本は対共産圏戦略に巻き込まれる形で急激に成長を遂げた、けれどもそれは米国の手によるテコ入れがあってこそだ」

 

「確かに戦後の経済成長は目を見張るものがあったと聞いていますが」

 

「そんな時に出て来たのが彼さ、本当に当時は驚いたよ」

 

宇宙開発競争を駆け抜け、競合他社を蹴落とし、次々に国家プロジェクトでさえ不可能だった技術を実用化していく。人類の新たな夢は彼が形にすると言っても過言では無かった。

 

「国民が馬鹿正直に夢を見たよ、この僕だってそうさ」

 

「宇宙ドリームですか、未開の惑星を新たな国土にしたり旅行先にするっていうあの」

 

「BETAに全部潰されたけどね、当時は本当に可能だと思える速度で技術が進んでた」

 

秋津島開発が高性能なMMUを作っていたのは未開惑星の開拓を可能にするためで、宇宙港を作れたのは長距離航行を行う際の中継拠点にするために研究を進めていたからである。

 

「それからはまあ怒涛の勢いだったよね、彗星は知ってる?」

 

「ええ、月面の救世主となったとかで」

 

「実は現存機ってもう秋津島開発の本社に併設されてる技術館と、帝都の博物館にある二機しか無いんだよね」

 

その他のものは設計図から再現したレプリカで、月の地は踏んでいない。

何故急に旧式機の話になったかというと、ここが秋津島開発を評価する上での転換点となるからだ。

 

「対BETA用の兵器を作っちゃったんだからもうね、支援はしつつ黙認を決め込んでた政府も若干慌てたよ」

 

「米国との接近ですか」

 

「そうそう、秋津島開発の支社はあの頃から世界中にあったし本拠地を向こうに移しちゃうんじゃないかって」

 

実際には計画から外れて日本に帰ってくるので、どうやって日本に引き留めるかと議論と交渉を続けていた政府の頑張りはなんだったのかという結果に終わる。

 

「でもねぇ、持って来たお土産がこれまた凄いヤツでね」

 

「お土産?」

 

「ほら技術館で彗星の隣に展示されてるヤツ、彗星二型だよ」

 

彗星と比べて明らかに現代の戦術機に近づいたその機体は隼の親に当たる機体だ、試作機ながら性能は当時のF-4と同等だという。

 

「秋津島開発が米国で得たものと自分達で作り上げたものを結集して作った戦術機の雛形、それが日本に転がり込んで来たから今があるわけ」

 

「転がり込んで来たって…」

 

「本当にそう言うしかないくらいだったから、正に棚からぼたもちってね」

 

彗星二型から作られた隼は日本帝国軍に正式採用が決定、半年で実機が納入されるという速度にこれまた驚くことになった。

 

「隼はもう軍部の星だったね、目に入れても痛く無いって言い張ってたよ」

 

「F-4が納入されず、対BETA戦力が存在しなかった時期だったと聞いていますが」

 

「誰も用意出来なかった戦術機を作って見せた企業だからね、秋津島は陸軍とは今まで縁がなかったけどこれを機に軍部の好感度はかなり上がったよ」

 

戦術機開発を始めてからは接点の無かった軍部まで虜にし、秋津島開発には軍事予算からも資金が大々的に投入され続けることが決定した。

 

「政府も欲しかった国連への影響力を得るきっかけを貰ったしね、正直言って頭が上がらないんじゃないかな」

 

「宇宙港が出来たことによる国連宇宙軍の実権掌握ですか」

 

「その通り、斯衛も戦術機を作ってもらったし軍と政府の7割か8割は秋津島の支持者だろうねぇ」

 

それでも米国との関係は疑われてるけどねと彼は告げる、曙計画から始まった米国企業と秋津島開発の関係改善は様々な勢力が注視しているそうだ。

 

「大体こんなところかな、ちなみに私は支持者だよ」

 

「何故です?」

 

「娘は星が好きでね」




どれも昔の話なので、戦術機の絵を貼っておきます。
絵に関する感想が貰えたりすると泣いて喜びます。

彗星

【挿絵表示】


【挿絵表示】


彗星二型

【挿絵表示】




【挿絵表示】


鐘馗

【挿絵表示】


本編を挟んで次はアンケート投票数二位の国外関係をやります。

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