宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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字数も話数も関係ない、俺はマシーンだ!
二次創作を描き続ける投稿マッシーンだァ!

…おにまい見てました、滅茶苦茶良い作画と共に性癖をぶつけられると色々とオーバーフローしますね。


第三十七話 疾風は第何世代機?

隼とは全く違う威容を見せつけた疾風だったが、いざ落ち着いてから考えると様々な問題点は抱えたままである。製造元である秋津島開発にはあらゆる賛美が贈られたが、同時に辞書のような分厚さの意見書も手渡されていた。

 

「…疾風は高すぎる、デカ過ぎる、脚が重いなど様々です」

 

「仕方ないだろ、超電磁砲の運用に特化した機体なんだからよォ!」

 

作れと言っておいて従来機通りの運用が出来ないと分かるとこうだ、まあ彼らの考えも分からなくはない。隼や鐘馗で重視していた近接格闘戦だが、こと疾風で行うとなると少し難しい理由があった。

 

「超電磁砲を載せると上半身が重くなる、発射時の安定性を考えると上よりも下が重い方がいい、そして前から言ってたようにコイツは…」

 

疾風の仕様書には"射撃戦特化型"と誰にでも分かるように文字が打ち込まれている。

 

「射撃戦向きの機体だッ!」

 

「…超電磁砲持ちながら長刀を振れなんて、無茶ですよね」

 

「あんなデカブツ背負ってりゃ、推力にものを言わせて飛ぶしかねぇよ」

 

試製四号を半ば隠していたのはこう言った理由がある、一芸に特化させるならもう格闘戦を重視する余剰などないのだ。

無論ハイヴ突入戦や密集時の戦闘における格闘戦能力の重要性は分かっているが、超電磁砲搭載型が毎度置かれる状況ではない。

 

「格闘戦に向いた戦術機は耀光計画で作ってくれ、流石に手が回らん」

 

「…でも超電磁砲無しなら隼より動けるんですよね?」

 

光ファイバーを採用しただけはあり、反応速度の向上は目を見張るものがあった。

 

「衛士が機体の特性を理解していればだ、前回の演習で乗った奴はオスカー中隊員に話まで聞いて何百時間もぶっ続けで乗ったプロだから勝てた」

 

隼や米国製の第二世代機と違い下半身に重心が寄っている本機では、足の使い方が非常に重要になる。超電磁砲の連続発射に耐えるため関節強度は従来機の倍は見積もられており、装甲の強度なども合わせて考えると戦術機を蹴り殺せるレベルの脚を持っているためだ。

 

「中々難しいぞ、既存の機体とは全く違う感覚を要求されると書いてある」

 

本土の試験部隊やオスカー中隊から送られてきたレポートには脚部を大きく使っての重心移動や方向転換などのテクニックが纏められ、この機体の操縦には様々な技術が必要であることが記されている。

 

「隼である程度取り入れた概念だが、最近の戦術機は上半身に重心があることでわざと倒れやすくしてある」

 

「電子制御で傾きやすい機体をコントロールすることで傾きやすさを逆に利用し、即応性を高めるというヤツですね」

 

「だがまあ反動が大きくて重い超電磁砲とは頗る相性が悪い!ホントに悪い!」

 

「でしょうね」

 

単純に設置面を支点として見た場合、重心が離れていれば離れているほど安定性が損なわれるのは当たり前の話だった。

 

「コイツを見てくれ」

 

「…なんですかこれ」

 

「模型だ、それも滅茶苦茶大雑把な」

 

二つ取り出したのは戦術機の頭がついた円錐であり、それぞれ頂点と底面に頭が付いている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これがまあ戦術機の重心配置だと思ってくれ」

 

「まるっきり逆ですねぇ」

 

頭を手で持って傾ける時にどちらが傾けやすいかと言われれば逆三角形の方だろう、当たり前だが概念としてはこうなる。

 

「だがまあ上半身が更に重くなると話は別だ」

 

「これじゃあ立つので精一杯ですね」

 

 

【挿絵表示】

 

 

機体の上からレールガンと書かれた重りを足すと、第二世代機は明らかにバランスが悪くなった。元々下が重かった疾風は上が重くなったことで重心は中心辺りに移動し、動かし易さと安定性を両立させている。

 

「そゆこと、上が重過ぎると本当に転ぶから設計段階で捨てた」

 

「試製四号が飛行中でも発射が可能だったのはそのおかげというわけですか」

 

「土壇場でAIの補助に必要な操縦データが集まり切ったってのも大きかったがな」

 

となるとこの機体は第一世代機に分類されるのだろうかと言われると疑問が残る、コイツは…一体何なのだろうか。原作において存在しなかった超電磁砲の運用に特化した戦術機だ、分類が分からない。

 

「第一世代機に分類されるのか…?」

 

「えっ、第三世代機じゃないんですか?」

 

「は?」

 

帝国軍の資料を見ると第三世代機である理由が分かるらしい、秘書に勧められるまま資料を手に取って読み始めた。

 

機体各部に設けられたハードポイントによる装備の高度な換装能力、第二世代機とは違う重心配置による安定性の向上、超電磁砲を運用可能な各種装備、光ファイバーを利用した新たな駆動方式が疾風にはある。第二世代機には収まらない能力だとして、帝国軍は疾風を第三世代機と定義する…らしい。

 

「違うじゃん!」

 

「どうしたんですか!?」

 

こうして世界初の自称第三世代機が生まれたが、耀光計画で製作中の機体もレールガン運用能力を盛り込んで第三世代機に!…なんて言い出したら殴ってでも止めなければならない。

 

「第三世代機であるのに必要な項目を、幾ら何でも盛りすぎだってェ!」

 

「駄目なんですか?」

 

「ハイヴ攻略に必要なのは格闘戦能力、生存性の向上に必要なのは更なる機動性、そして何よりも求められるのは数を揃える上で重要な生産のし易さだァ!」

 

全部盛りの超高コスト機が第三世代機です、次世代を目指すなら疾風並みを目指せと日本が豪語すれば今後の戦術機開発は滅茶苦茶だ。原作に沿った優秀な機体達は第三世代機という高すぎるハードルを前にして、日の目を見ることなく歴史の闇に葬り去られることになるかもしれない。

 

「コイツは第三世代機じゃない、砲撃戦用の第一世代機だ!」

 

そう言うと秘書は何かを考えるために少し黙り、そして閃いたかのように人差し指を上に立てる。何を思いついたのかと不思議に思っていると、目を輝かせながら喋り始めた。

 

「成る程、これは戦術歩行砲撃機という新たなカテゴリに属する戦術機な訳ですね!」

 

「そうだな、多分そんな気がする!」

 

こうして疾風は第三世代機ではなく砲撃機の第一世代ということになり、日本からの見解は秋津島開発からの強い要望で変更された。

これから超電磁砲の運用が可能な特殊機は戦術歩行砲撃機という新たな系譜を歩むことになるのだが、それがどんな進化を遂げるのかは誰にも想像がつかない領域であった。

 




F-4やF-15などが属するのが戦術歩行戦闘機、略して戦術機。
A-6やA-10達が属するのは戦術歩行攻撃機、略して攻撃機。
そして今回新たに定義されたのが疾風が属する戦術歩行砲撃機、略して砲撃機なわけですね。

なんだコイツ、急にさも原作に居ましたけどみたいな顔して正式名称と略称を持ってきたな…怖…
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