宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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ランキングに載ってUAが滅茶苦茶伸びてるので、今のうちに補足を入れておく。滅茶苦茶やって未来を変える技術チートものなんで、細かいところは気にしない方向で突っ走りたいと思います。

追記
アメリカへの技術提供云々の話を末尾に追加しました、補足の筈が補足になってなかった…!


閑話 秋津島開発の影響力

秋津島開発は宇宙開発事業で対BETA戦が始まる以前から覇権を握っていたと言っていい状態にあった。何故なら大規模な宇宙施設を真っ先に実用化し、建設ラッシュ時に多くの契約を独占することが出来たためだ。

 

「メンテナンスも楽じゃないんだがな…」

 

大量の宇宙港を整備しなければならない社員達にとっては中々面倒な仕事なのだが、最新のMMUが使えること、手当を抜いても高い給与など魅力の方が勝るようだ。

 

「デブリの回収が間に合ってないからな、あんな大型建造物を作ってるんだから無理ないが」

 

二人は秋津島開発のメンテナンス事業部に所属するMMUパイロットだ、デブリにより損傷した宇宙港の外壁を張りなおしている。

 

秋津島開発製の宇宙港はどれも再突入駆逐艦クラスの船を接続出来るだけの設備、身体能力維持のための1G環境下区画を設けている。その上様々な技術革新が社内で進んでいたためか、桁が一つ少ないのではと確認されるほどの安さでもあり、今も大量に軌道上を漂っている。

 

「戦前は作った後のメンテナンス事業で長く儲けるつもりだったらしいが、時代が変わっちまったな」

 

「今じゃ何処も拡張工事、物によっては解体までやるとさ」

 

戦前において秋津島開発の宇宙施設シェア率は70%にまで登っていたが、国連宇宙軍の実権を握るために日本が動き始めた辺りからは更に変動する。

軍事用の大型宇宙港建造に伴い、非効率的だった幾つかの施設は解体されることになり、シェア率は78%に達するそうだ。

 

「そりゃあ地上で直す必要のある物を宇宙で直せるんなら人気は出るよな」

 

「宇宙での工作は俺らの十八番だからな、まあ開発チームは色々と大変らしいが」

 

ここまで急成長した結果、他国の宇宙産業はかなりの悪影響を受けてしまっている。国家プロジェクトで進行していたものの、一企業にあっさりと抜かされた上に利益になりそうな箇所を取られたのだ。

そのために米国企業からの覚えは悪い、まあ当時の社長が宇宙開発馬鹿だったのもいけないのだが。

 

「戦術機開発から追い出されたんだって?」

 

「方向性の違いらしい、音楽じゃなくて設計思想のな」

 

何故か参加出来た次世代兵器研究で戦術機の作り方を完全に学んでしまった上に、米国企業とは別の方向性が良いんじゃないのかと言い始めたため追い出されたらしい。秋津島開発が持ち込んだ試作機、彗星二型の完成度が高すぎたのも問題だったのだが。

明らかに二型までの進化の速度がおかしいのだ、不恰好なMMUから急に人型になっている。例えるならライト兄弟が初飛行の後、急に本格的なレシプロ戦闘機を作り始めた上に完成させてしまったレベルだ。

 

「元々彗星の技術が欲しかっただけらしいんだが、まあ色々と情報を提供させるためにある程度の権限を放り投げたら…」

 

「彗星二型を持ち込んで大変なことに、というわけか」

 

「あんな短期間で投入されたら困るだろ、他企業が今までのスケジュール進行を疑われる」

 

宇宙開発が得意で、その延長線上でMMUを作るのも上手い。

という評価だった秋津島開発は、BETAに関しての記憶を取り戻した社長が狂ったように戦術機関連の技術を実用化させ始めたために大きな変貌を遂げていた。

宇宙開発が得意で、もうなんなら戦術機だろうが兵器だろうが全部作ろうと思えば作れたよくわかんない企業、になってしまったのだ。

 

「宇宙開発で散々煮湯を飲まされつつも利用した方が安く済むことと、将来的なメンテナンス需要の負担を考えて米国は宇宙施設建造事業からは手を引いた」

 

「ああ、お得意様になってたな」

 

「だが戦術機はそうじゃないだろ、戦時に大きな利権と政治的なカードになる新型兵器だ」

 

秋津島開発の技術提供で自国企業の技術格差と早期実用化を企んだのはいいが、よく分からない速度で実用化寸前の戦術機を持ち込まれ、また利権を奪われるのではないかという危機感から追い出されたというのが事の顛末だろう。

いつの間にかあっさりと日本と手を組んで戦術機の製造を始めている辺り、切れ者の政治家とでも契約し黙認して貰っていたのではないかと推察できるため、米国の追い出しは正解とも言える。

 

「社長なぁ、おっ始めると前以外見えないからな」

 

「…それはそうだな」

 

計画に参加した企業同士の技術交換は製造した試作機に関するものと制限されていたが、未来の戦術機から逆算して試作機を作った秋津島開発以上の技術はあまり存在しなかった。

火器管制や操縦系統、跳躍ユニットに使用するハイブリッドエンジン周りは米国が上を行っていたが、それ以外は秋津島開発が勝っていた。

 

つまり技術交換で得られた技術で言うと、米国企業三社は彗星二型の製造方法全て、こちらからすればちょっとしたソフトウェアと頑張れば作れるエンジン周りの技術だけという結果になり、その価値の差は大きい。

米国企業が持つ比類なき生産能力に関する技術は一切貰えない、はっきり言って開発競争で勝ったが盤外でボロ負けしている。

 

「技術交換するって言っても、あの条件じゃメリットほぼ無ぇだろ」

 

「サッサと戦術機作りたいって毎日言ってたし、いいんじゃねぇの?」

 

「…まあなぁ」

 

社長は勝手に期待して勝手に裏切られたとも言える、原作において急に人型兵器を実用化させたF-4開発チームに大き過ぎる幻想を抱いていたのだ。

 





【挿絵表示】

彗星二型


【挿絵表示】

彗星

雑ですが設定画です、よければどうぞ。
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