宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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マブラヴディメンションズの事前登録開始、ソシャゲで原作がやれたりする期待のマブラヴゲーだぁッ!

やろうね


第六十七話 補給と補充と厄介者と

秋津島開発の輸送船団から投下されたコンテナは着々と搬入されていた、三分の一しか使われていない大隊規模の格納庫はそれでも空きがあるのだが少しはマシになっただろう。

 

「疾風が入ったって?」

 

そう整備士に聞くのはオスカー中隊に所属する衛士の一人、それなりに長い期間欧州に滞在している中堅だ。

 

「中隊は全機疾風に入れ替えだそうだ、その第一弾だな」

 

搬入された二機の疾風はある特異性から秋津島塗装のままであり、橙色と白色の塗装は彼らにとって見慣れたものだ。殆どの衛士が大隊を離れたが、それでも残った者達は戦い続けることを決めていた。

 

「何せ地上で生産された初めての超電磁砲を搭載し、AIユニットも新型っていうバケモンさ」

 

「またかよ」

 

「まだ制式化されてないから改修が続くのは当然だろ、超電磁砲が量産出来なきゃ配備も出来ん」

 

今までは宇宙港の生産施設でしか実用に耐えうる砲身を作ることが出来なかったが、それはもう過去の話だ。帝国本土にて遂に工場が完成し、大量生産への道は目前である。

 

「欧州には副腕型しか送られてなかったからな、ここに来て超電磁砲の配備やら訓練やらが急に増えたのはそういうことさ」

 

副腕型はその兵器搭載量と副腕を活かし、中隊支援砲を二門使うという離れ技で前線に立っていたという話すら聞いた。前衛に追従可能な移動砲台、その火力と火器管制能力は超電磁砲無しでも評価されているらしい。

 

「なるほど、だから試験場に白い疾風が集まってたのか」

 

「疾風という機体自体は既に完成していたからな、かなり前から欧州連合は調達を進めていた」

 

超電磁砲開発にかかる莫大な資金という問題は、欧州から湯水のように注ぎ込まれた大金によって解決された。様々な兵器開発が進む各国においてもレールガンの存在というものは重要視されており、既に伝説的な活躍を見せつけているのだから当然とも言えたかもしれない。

 

「欧州にしか提供しないのか?」

 

「米国にも出す予定だったが先の事件で元々あった反対意見が大きくなってな、暫くは前線国への配備を優先するって方便で乗り切るらしい」

 

米国が独自にG元素利用型のレールガンを開発しているというのは確かであり、上層部はわざわざ渡す必要も無いと考えたのだろうか。中止されたという空中要塞開発といい、兵器開発においては色々と揉めているようだ。

 

「何はともあれ、疾風はようやく実戦に出るってわけだ」

 

欧州戦線は中華戦線と違い帝国軍に協力的であり、実績もあるオスカー中隊が居るとなれば新型機のテストを継続するにはうってつけだ。ハイヴ突入も行った部隊であり、教導という需要も高い。

 

「それにだ、今回搭載されたAIは今までの奴とは違うらしい」

 

「というと?」

 

「なんつうか、ファジィ…頭が柔らかいって話だ」

 

半導体事業で様々な技術を発展させ続けている秋津島開発は、あるチップを作り上げたらしい。社長の指示により作られたそれは人間の脳、そのニューロンを発想の元としているとか。

 

「衛星通信網で色々とやり取りする機能もあるらしい、詳しくは後から説明があるだろうが面白そうな代物だ」

 

「へぇ、脳ミソねぇ…」

 

秋津島の技術を持ってしても量子コンピュータの実用化はまだ先、それまでの中継ぎとして開発されていたものらしい。実際のところAIの頭脳としては思いの外優秀だったらしく、AIユニットは今後ニューロンチップ搭載型に置き換えることを検討しているほどだ。

 

「今も学習機能はオンにしてある、レーダー以外のセンサでお前と周囲のことを見てるぞ?」

 

「…ホントだな、疾風と目が合うわ」

 

頭が下を向き、足元にいる自分達を見ていた。

搭載されたチップはその構造故に自我を発現させる可能性があるのだが、そのことはまだ明かされていないのだった。

 

『作業中の人員に報告、ゲストのご到着だ』

 

「おっ、来たか」

 

「隼が東ドイツ軍仕様の迷彩とは…」

 

滑走路に次々と着陸するのは肩に666と描かれたエンブレムを持つ戦術機中隊であり、試験場での訓練を終えて実戦に出るべく前線近くの基地まで移動して来たのだ。

 

「例のMigは更なる強行軍を前線近くまで行う必要がある上、東ドイツにこれ以上動かせる戦術機部隊は無い」

 

「ここならまた暫く安全というわけか」

 

「そうなるな」

 

相手の動向は衛星が監視し続けている、不意を突かれることはない。それでも現地に工作員が居る可能性はゼロではない、警戒しつつ動く必要があるだろう。

 

「今まではごく少数しか運用されてこなかった疾風も遂に数が揃う時代になったし、東側の部隊とも交流が盛んになった…」

 

「昔じゃあ考えられないってか?」

 

「そうだな、そう言いたかったのかもしれない」

 

先の作戦成功で減ったと思った脅威は増すばかりだ。

 

「本音を言うと秋津島警備だった頃に戻りたいぜ、ここらは空気というか雰囲気というか…兎に角良くない」

 

「飯も水も違うしな」

 

「まあ軍が嫌になったらそうするさ、整備士も引く手数多だろ?」

 

「そりゃあな、MMUなんてものが普及し始めた訳だし当然だろ」

 

BETAが片付けば平和になるかと最初は思っていた彼らだが、知らされる情報が多くなるにつれて戦いは終わりそうにないことを知った。G元素という魅力的過ぎる物質、戦争によって汚染された土地、壊滅した経済と農業、肥大化し続ける軍需…

 

「だが今後を考えると他の星に移住した方が楽かもな、とは思ったりしてる」

 

「社長殿は戦後に大規模な移民計画を再開させるって公言してる訳だしな、ついて行ったらどうだ?」

 

「そうだな、それも良いか」

 

半ば冗談混じりにそう返し、改めて疾風を見る。

集音装置でこちらの音声を聞いていたのだとしたら、AIはどのような感想を漏らすのだろうか。衛士は少し気になったが、666中隊との出撃に備えるべく格納庫を後にした。

 

 




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