宇宙開発企業なんですけど!?   作:明田川

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ククク…私はまだ13話までの書き溜めを持っているのだ…
でも明日はお休みします、はい。

追記
ミスったァ!
6時投稿の予定が0時になってました、反省。


第七話 もう一度宇宙に踏み出そう

あれからまた一年が経ち、1976年になった。

いつの間にかBETAの巣であるハイヴは四つにもなり、奴らは破竹の勢いで支配地域を増やし続けている。

 

「隼の量産ライン完成を祝してェー!」

 

「「乾杯!」」

 

そんな中、考えていた予定よりも遅れたが隼の本格的な生産が始まった。

年間生産機数は30機、予定している拡張が行われた暁には倍の60機にまで膨れ上がるだろう。

 

「ほぼ全自動の生産及び組み立てラインだからな、各部品を一から作って来た宇宙企業のなせる技だ」

 

「ちょっと詰め込みすぎな気もしますが、まあ及第点ですかねー」

 

「それはそうなんだよな」

 

ルナチタニウムやらハイパーカーボンやらは素材として優秀だが、硬すぎて成形してからの加工が難しいのだ。そのため迅速な生産のためには一発で綺麗に成形させる必要があった、技術チートが無ければ年内の完成は難しかっただろう。

そのような苦労のおかげで装甲の分割数を減らすことが出来たため、強度は更に増した上に製造と整備に必要なコストも削減出来た。内部にも様々な変更が行われたが外見では分からないので割愛する。

 

「これで秋津島開発の影響力は日本有数だ、色々とやらなきゃいけないことが山積みだしサッサと片づけて…」

 

「片付けるって、一体何を始めるんです?」

 

「海と宇宙の開発、国内外向けの軍需品生産、それと最重要が半導体」

 

既に得た利益を使い新たな事業をスタートさせているが、誰もが未来を変えるために必要だと考えたものばかりだ。

宇宙艦隊の更なる拡充に必要な宇宙港建造はBETAに対して一方的な攻撃が唯一可能な軌道爆撃の有用性を更に増し、消費が加速する弾薬の供給は戦地への助けとなる筈だ。

 

「海は兎も角、宇宙港はウチのホームグラウンドだからな」

 

「宇宙港の建設メンバーを集めておきますので、リーダー達には話を通しておいて下さいね」

 

そして極め付けが半導体、既に開発チームが宇宙での実験を続けていたがやっと次の段階へと移ることが出来そうだ。

 

「というか、なぜ半導体が最重要なんです?」

 

「高性能な戦術機を量産するなら必須だろ?」

 

「まあ、そうですけど」

 

戦術機に使う予定があるのは確かだが、本命は別だ。

原作において人類の切り札となる欠陥兵器、戦略機動要塞として建造されたそれを人類の技術で制御するために必要となる、要求されるのは半導体150億個分の並列処理能力だ。

 

詳しいことは省くが宇宙施設では地上よりも重力が小さいことを利用して、地上よりも余程高性能な半導体を効率的に製造することが出来る。宇宙での技術開発となればホームグラウンドだ、やってやれないことはない。

 

「まあ見てろ、着々と下地は整えてるさ」

 

「…社長がいつも何を考えているか分からないなんて、よくよく考えるといつものことでしたね」

 

 

秋津島開発が保有する宇宙港で建造された軌道工作船が就航し、衛星の軌道投入から新規宇宙港の建設まで担うようになった。対BETA戦において将来的な活躍が期待されている宇宙艦隊のため、今や宇宙施設は拡大の一途を辿っている。

その急激な拡大を支え続けるのは前述した秋津島開発の建設チームであり、宇宙開発の初期から宇宙施設の研究を続けて来たベテランだ。

 

「とんでもない大きさだな…」

 

秋津島開発の作業員がMMUで建設しているのは、過去最大クラスの宇宙港であり、地上からの打ち上げ物資を受け取るための機能が強化されているらしい。

社長直属の開発チームが設計した代物であり、内部には人が生活するために必要な区画が設けられ、商業施設まで併設されていた。

 

「こんなの作ってどうすんだよ」

 

「点在する宇宙港に艦隊をバラバラに収容してる今の体制じゃあ非効率的だ、なら作ってしまえばいいじゃないということらしい」

 

「流石だな、宇宙で景気がいいのは軍と俺らだけだぜ」

 

戦術機の地上降下や軌道上からの爆撃など、空を支配するBETAを更に上の宇宙から叩き潰すための実験がここを中心に行われるらしい。

安全に爆撃が行えるようになれば、戦略の立て直しや土地奪還のための攻勢が行い易くなるだろう。

 

「地上の建設班は何やってるんだ、戦術機用の生産ラインを組んでるとは聞いたが」

 

「その作業に従事してるのはもう半数だけだぞ、他は種子島に居る」

 

「種子島?」

 

赤道に近くロケットの打ち上げに適したその島は、秋津島開発が指揮を取り拡張が進められていた。元々打ち上げ設備は宇宙開発競争時に整備されていたが、今回はまた別の施設を完成させたいらしい。

 

「リニアで打ち上げる方式のマスドライバー、アレをこの宇宙港専用に新しく建設するらしい」

 

従来型よりも多くの物資を宇宙に打ち上げられるほどの加速力を有する新型のリニアカタパルトは、この宇宙港への物質輸送専用だという。なんという大盤振る舞いか、整備費用が国連から出ているとはいえ明らかに自腹まで切っている。

ここまで対BETA戦に協力的なために宇宙にいる軍人達には人気である、積荷に空きがあると嗜好品を適当に詰め込んでいたのが功を奏したのだろうか?

まあ本人はサッサと軌道爆撃を実用化しろと思っているのだが。

 

「…相変わらず凄えな、規模がおかしいぜ」

 

「まあ愚痴を言わずに働こうぜ、今時秋津島開発に勤めてるなんていったら地元でヒーローだしな」

 

下手したらその地元も化け物に襲われる日がくるかもしれないがと言いかけた作業員は、黙って作業を再開した。

 




この世界で横浜が襲われず、従来のループとは違う道を歩んだ場合因果はどうなるのか

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