捨て死神を拾った話   作:コンポタ61号

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唯一の友達

 カーテンの隙間から朝日が射し込む。もうすぐで十二月ということもあってか、日があっても少し肌寒い。朝日、スーパードライ……。

 いかん、余計寒くなってきた(自業自得)。

 

「うぅ、ん………」

 

 どこからか声が聞こえる。俺の近くからだとは思うが、俺が発した訳じゃない。となれば……

 

「なんで俺のベッドに潜り込んでるんですかねえ咲さん!?」

 

 あーいや待て、だんだん意識がハッキリしてきたからか、何があったか思い出せる。確か……

………………

…………

……

 

「ふぅ、食べた食べた」

 

「食事とは素晴らしいな……!毎日したいくらいだ」

 

「咲さんはともかく俺は毎日食べないとマズイんですよ」

 

「はは、分かっているとも」

 

 

 

 本当にわかっているのだろうか?まぁ可愛いし何でもいいか。

 

 咲さんは、あまり芸能人に詳しくない俺から見ても『芸能人より顔が整っている』と思える。

 真っ直ぐ綺麗に伸びた黒髪に、大きく開いた目。服装は上に黒色のワイシャツのようなものを着ているが、へその辺りが大きく開いていた。下も黒色のホットパンツで、その二つの上にはゴシックっぽいマント風のコートを着ていた。

 

 眼福とでも言えばいいかも知れないが、目のやり場に困るというのが実情だ。

 

「はて、食べたら眠たくなってきたな……」

 

「ああ、よくあるな、でも食べてすぐ寝ると牛になるとい……う……って」

 

「すー……すー…」

 

「この短時間で寝れるの割とマジで咲さんだけだと思うよ!?」

 

 食事してスグに寝るとかエ○スかなと一瞬思ったが、そんな事を考えている暇は無さそうだ。

 なぜなら揺すっても声をかけても全く起きないのだ。時間が経つと眠りが深くなりそうだし、寝始めたここで起こしたいのだがまっっったく起きない。某バスケ部の流○楓並に起きない。

 

 だから咲さんを抱えて、とりあえず俺の部屋のベッドに置き、空き部屋に布団をしいたらそこに転がそうと思っていた。だがベッドに置いた時に引っ張られ、為す術なく引きずりこまれてしまった。

 

………………

…………

……

 

「申し訳ない事をした!すまない!」

 

「もう済んだ事だから別に気にしてないけど、今日からはご飯を食べてもスグに寝ないようにしてください……」

 

 女の子に抱き枕のように抱擁されるのが少し嬉しかったとか断じて思っていないが。

 

「善処する……」

 

「それより咲さん、ひとまずシャワーでも浴びてきたらどうですか?」

 

「こんなに良くしてもらって感謝する……そうそう、昨日から思っていたのだが、敬語と”さん”付けをやめて欲しいんだ」

 居候させてもらってる身だから、と付け加えて言った。

  

「とか言いつつタメ口になった途端鎌で首切ってきたりしませんよね……?」

 

「ふふふ、君は私のことをなんだとおもっているんだ?」

 

 軽い冗談のつもりで言ったが、割とキツめの殺気が帰ってきた。そういうとこが首切ってそうとか言われるんですよ……。

 

「それでは、私はシャワーに入らせてもらおう」

 

 そう言ってベッドから起き上がった咲……”ちゃん”はどこか違和感があったので、親睦を深める為に呼び捨てにさせて頂くが。

 昨日のうちに教えていた浴室に歩いていった。

 

「あれ、今日ってもしかして……」

 

 よくよく思い返さなくても今日が平日であることに気がついた。

 それと同時に突如猛烈な焦りが生まれ始めた。急いで時計を確認すると、針は八時半を刺指していた。いつもならホームルームが始まってる時間だ。あれ?これやばいんじゃね

 

「朝からゴタゴタしてて忘れてたァァァ!!!」

 

 今ネット掲示板に状況を説明したら『遅刻確定で草』とか言われそうだな、いやワロエナイ。

 

「咲ごめん学校行ってくる!朝ご飯と昼ごはん冷蔵庫入ってるからレンチンして!」

 

「頑張ってくれー」

………………

…………

……

 

「遅れましたぁ!」

 

「今この教室いるのお前とオレだけだぞ」

 

 教室の引き戸を開けると、いつもの喧騒が広がって……はいなかった。

 代わりに静寂が場に溢れていて、少し寂しさを感じる。

 

 四十人分の席があるのに、今クラスにいるのは二人だけ。

 

七夜(ななや) 龍太(りゅうた)。

 髪が茶髪じみていたり、着崩した制服といった見た目とは裏腹に自分の決めたことにはとことん真面目なやつ。

 ”狂気の沙汰ほど面白い”とかいうア○ギみたいな言葉を座右の銘にしてして、時々頭のおかしい行動をしてくるが基本的には普通のやつ……だと思いたいが自分が楽しけりゃいいと思ってる節があり、度々被害にあっている。

 

 どうやら地域の不良たちから『七夜さん』と呼ばれ恐れられているという噂もあるが、龍ちゃんとか呼ばれてるこいつがそんな事になってる気がしないんだよなぁ……。

 

 ちなみに俺の唯一の友達と言えるかも知れないやつだ。

 

「お前が遅刻なんて珍しいな、なんかあったか?」

 

「え?あぁ、なくはなかったな、うん」

 

「煮え切らない回答だな?なんかあったろ?話せるなら話せよ、あ、家のパンがカビてるとかそういう話ならやめろよ。面白くないから」

 

「朝はスニッ○ーズ派だ。それはさておき……言っても笑わない?」

 

「愉快だったら笑う」

 

 うん、こいつはこういうやつだった

 

 教室に人は居ないが、一応「耳を貸せ」とジェスチャーして、耳を近づけてもらう。

 

「なんかさ、死神拾ったんだよ」

 

「駅前の精神病院評判いいらしいぞ」

 

「精神ヤッた訳じゃねえよ!?」

 

「じゃあなんだ、クスリでもキメたのか」

 

「お前なぁ……」

 

 こいつは俺をなんだと思っているのか。いや、こういうやつだった(二回目)。

 

「嘘じゃ無さそうだな、話してみろよ」

 

 面白そうとしか考えてなさそうな表情を浮かべ、俺に擦り寄ってきた。

 事実他に話せるやつは居ないし、どうするかなぁ…。

 

「売店のメロンパン奢ってやるから」

「昨日な……」

 

 こうして俺は昨日あったことと、今日遅刻した言い訳……じゃない理由を語った。

 話していると、龍ちゃんの表情が少しづつ変わっているのが分かった。まだ半信半疑ではあるもののこんな荒唐無稽な事を信じてくれるのは少し安心する。

 

「……なるほど、精神病院、もうすぐで昼休みの時間っぽいから行くなら早くしろよ」

 

「いやだからちげぇよ!?信じてくれたんじゃなかったのかよ!」

 

「アホか、ンな話スグ信じるやつは余程のバカだ。証拠でもあンのか」

 

 まぁ、この反応は当然といえば当然なんだろうな。

 誰だってこんな話信じない。

 俺だって信じれない。

 

「ひとまずは信じといてやるよ、ただまぁ……そうだな、今度お前の家行っていい?」

 

「あぁ、いいぞ」

 

 今更だがこいつなんでいるんだ?

 本来なら授業は始まってる時間で、今日の一限目は化学だから移動教室のはず。それにコイツに限って遅刻は無いだろうし。

 

「ところでお前、なんでここ居んの?」

 俺が問うと、龍ちゃんは何を今更といった様子で答えてくれた。

 

「ホームルームで寝てたら置いてかれた☆」

 

 こいつはこういうやつだった―――




最近仮面ライダーに金かけすぎて金欠になってきました
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