ジム廃業して飛んでパルデア   作:あさいかくり

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 次の授業で使う材料集めにやってきた。

 植生からしてアカデミー周辺の草原や森に生えているそうなので発見は容易だと思われる。野生ポケモンを警戒してエルレイドとサーナイトの両名をボールから出して連れ歩いておく、ついでに採集を手伝ってもらうぜ。

 

「早速ありますね」

 

 拾って背中の籠に放り込む。

 えんやーこんらーよっこらしょっと、

 

「何してるんですか?」

 

「おやこんにちは。ハルトさんにアオイさん」

 

 アカデミーの学生服を着た幼なじみ二人組が、見慣れないポケモンを連れて話しかけてきた。あれが噂になっていたコライドンとミライドン、とかいうポケモンか。

 ちなみにハルトが従えているのはコライドン。アオイが連れている方がミライドンらしい。

 

「見ての通り、オレンの実を集めているところです」

 

「へえー。じゃ、次のクラフトはキズぐすりとか?」

 

「ご名答です。他の人には内緒でお願いしますね」

 

「手伝っていいですか? きのみ集め」

 

「ハルトさんたちが? 僕は構いませんが……お二人は課外授業を優先させた方がいいのでは」

 

「平気ですよ。ね?」

 

「そうだねー。ミライドンもきのみサンドウィッチを食べたがってるみたいだから、ついでに集めよっか」

 

 ふむ。手を貸してくれるなら願ったり叶ったりだ。正直なところまったく手が回らない、二人が手伝ってくれるなら俺はもう一つの材料である薬草ならぬクスリソウの採集に専念できるので大助かりである。

 

「お駄賃はもりのヨウカンでよろしいですか?」

 

「「わーい」」

 

 ナタネ神のおかげでヨウカンの在庫には余裕がある。

 片手間に木の枝で即席の籠を編み、二人に渡した。

 

「先生って器用ですよね」

 

「ポケモン勝負も強いし。逆に苦手な事とかないんですか?」

 

 二人もナンジャモ戦の動画を見たのか。やっぱり全校生徒に知られてるのだろうなあ。え、全世界配信だって? ハハハ、知ってて考えないようにしてんだよ。

 

 苦手な事ねえ。ポケモン勝負とか? 俺の実力は高めに見積もっても中の下だ、これはジムリーダー界隈の場合ね。初見ならいい勝負になるだろうが、戦えば戦うだけ俺の勝率は下がっていく。だから公式戦は嫌い。

 とか答えても二人とも信じてくれねーな、こりゃ。

 

「そうですね……ポケモンの捕獲はあまり」

 

「え、運動神経よさそうなのに」

 

「でんじほうを避けれて、煙幕ダッシュでカメラを振り切れる先生が、捕獲が苦手……?」

 

 おいこら何がいいたい。

 

「ボールを投げるのが、というより狙いをつけるのが下手なんですよ」

 

 俺がボールを投げるとほぼ必ず一回目は外れる。二投目以降で軌道を修正すればいいのだが、その前に気取られてポケモンが逃げてしまった経験は数知れない。

 

「へー。なんか意外ー」

 

「先生の足なら走って追いつけるんじゃ……」

 

「何を馬鹿な。無茶を言わないでください。そんな事したら疲れるじゃないですか」

 

 まったく、まるで人を超人みたいに。俺を何だと思ってやがる。新種のポケモン? やかましいわ。

 

「いいなあ……僕、足が遅いから羨ましいです。運動ができるようになる秘訣とかってありますか?」

 

「僕のこれは生まれつきなので、参考にするのは間違っていますね」

 

 医者曰く、先祖返りだとか。

 俺のご先祖様は何者なんじゃ。

 祖父さんも頭おかしい動きしてたからなあ……ただ他の親族は一般人なので甚だ疑問である。

 

「やはりよく食べてよく眠る、これが一番でしょう。あとはポケモンと旅をすれば自ずと鍛えられていきますよ」

 

「ハルトはそのままでいいのにねー。せっかく綺麗でかわいいんだから。ポケモンバトルだって私の方が強いのに、このカッコつけしいめー」

 

「そりゃあ、アオイは強いよ。バトルの才能だって僕よりずっとずっとある。初めての勝負でネモに勝てちゃうくらいだし……でも僕だって強くなりたい」

 

「だから私と一緒にジムに挑戦するの? えらいねえ」

 

「またそうやって……」

 

 おうおう、てえてえな。でもお二人さんや。そろそろ手を動かしてくだされ。全然集まってないのだわ。

 

 

 

 

 

 最終的に必要な数を集めることができた。予定よりずっと早く終わったのはハルトとアオイのおかげだ。

 流石は優等生というべきか、きのみを拾う手際は大変よろしい。家庭科のサワロ先生の教えかね。

 

「よーし、それじゃピクニックだ!」

 

「え……先生のサンドウィッチ具材きのみだけ……? かわいそう……私の少し分けてあげる」

 

「このヨウカンどうする?」

 

「薄めに切れば挟まるんじゃない?」

 

 やめろ馬鹿お前ら何考えてやがる。ヨウカンはそのまま食べたらいいだろうが。




感想にてご指摘を受け、規約違反を避けるために前話は削除し、内容を活動報告に移動させていただきました。

また違和感を覚えたので、掲示板回の時間軸をバトル当日の実況風に修正致しました。感想にてご指摘下さった方ありがとうございます。
序盤の一部に変更を加えましたが、全体の流れはそのままとなっております。戻って読み返す必要はありませんのでご安心ください。
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