ジム廃業して飛んでパルデア   作:あさいかくり

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 おしえて! ジニアせんせー!

 

 趣味で読んでいた論文が意味不明過ぎてな。

 専門家の知恵を借りるべく生物室に突撃よ。

 今はまだ内容を理解できないが、いずれきっと理解できるようになる。学力の進歩とは素晴らしいものだ。

 

「どれどれ? ……ああ! 『ポケモンの九割は進化に関係している』ですか。懐かしいなあ」

 

 通称がつけられるくらいには入門編として有名な論文なのだが、実際のタイトルは『携帯獣のうんたらに関するかんたら』と、まあ小難しい。

 噛み砕いた新書版は前世の知識で理解できたから原本をと思ったんだ……無理だったよね……。

 

「今お時間よろしいですか」

 

「もちろんですよお」

 

 やったぜ。持つべきものは優しい同僚。

 

「先生ー、ジニア先生ー!」

 

「あ、ウズ先生もいる。ラッキーだよアオイ」

 

「ハルトさんにアオイさん? どうしましたそんなに走って……」

 

 廊下は走るな。転ぶと危ないからね。

 そんで腕に抱えた毛布は……おい待て。

 

「白い、ゾロア」

 

 思わず懐のギガトンボールを握りしめる。

 おい爺さん、やりやがった……?

 いやあり得ない。俺はそこまで気を抜いちゃいないし、爺さんとて枯れたご老体。

 つまり目の前で眠るゾロアは、正真正銘、野生の白いゾロアである。

 

「お願いします先生。力を貸してください」

 

「この子、ゼロゲートのそばで倒れていたんです。弱っているみたいで……ウズ先生?」

 

「いえ、何でもありません。お話を伺っても?」

 

 詳しい話を聞くと次のような経緯だった。

 黒い結晶巡りをしていた二人は、たまたまゼロゲートの近くを通りかかったとき、見慣れないゾロアと遭遇した。

 子ゾロアは衰弱し切っており、また通常の個体とも、色違いとも異なる様子から、二人は迷わず保護してアカデミーに連れて帰ってきたのだという。

 

 野生のポケモン、特に幼い個体を保護する行為は、はぐれた親ポケモンを刺激したり、環境の変化で過剰にストレスを与えるケースもあるので場合によりけりなのだが……今回はグッジョブだ。

 

「この子はヒスイのすがたと呼ばれる大昔のゾロアですねえ。実際に見るのは僕もはじめてだなあ」

 

「先生たちなら何か知ってると思って。どうしたらいいと思いますか?」

 

 なぜこちらを見るハルト。生物教師でポケモン図鑑を手がけたジニア先生ならともかく。

 

「だって、先生はヒスもがもが」

 

「うん。先生のお面ってもがもが」

 

「おっと手が滑りました」

 

 喜べ。ヨウカンを馳走してやろう。

 だからそのお口を閉じるんだ。いいね?

 

 ……分かっている。放ってはおけないよな。

 こんな遥か遠い彼方で出会った同族なのだ。

 ちゃんと助けるから安心しろ爺さん。

 

「僕が読んだ文献によると、ヒスイのゾロアは氷雪地帯に生息していたようです。そしてゴーストタイプのポケモンです。あくまで文献によればですが」

 

 つまりさ。専門家というか、適任がいるだろ。

 

「フリッジタウンのライムさんにお力を借りてはいかがでしょう。もちろんジニア先生と僕も協力しますよ」

 

「そうします! ありがとうウズ先生!」

 

 さて、ひとまずゾロアの件は置いといて。

 もっとどでかい問題が残っているわけだが……ゼロゲートだっけ? まーたエリアゼロかよ。

 仕方ない、今日は残業だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢を見た。

 

【よくきてくれました】

 

【わたしはアルセウス】

 

【あなたたち ひとがそうよぶもの】

 

【……おやめなさい おやめなさい……ボールをてに はいごをとるのはおやめなさい】

 

【いいですか ウズ いまのエリアゼロは じかんとくうかんがひじょうにふあんていなじょうたいです】

 

【ひとがつくりだしたきかい そのえいきょうはいまもまだのこっています】

 

【ですが それはいちじてきなもの じきにゆがみはただされるでしょう】

 

【それまで パルデアとポケモンをまもるのです】

 

【ウズ あなたにしめいをたくします】

 

【なお このゆめのきおくは じどうてきにしょうめつします けんとうをいのります】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭が割れるような頭痛がァ!?

 

「はっ」

 

 ここは……自分の部屋か。

 残業という名のフィールドワークから帰ってきたら寝落ちしてしまったようだ。

 それにしても最悪な夢見だった。ロズレイドのアロマセラピーで気分を解消しよう。

 

 しかし、タイムマシンを止める時に派手に戦ったせいで時空の歪みが発生しているだと?

 なんてこったい。許しちゃおけないぞアルセウス。

 

 まあ俺にできることをやるとしようか。




 ウズ先生と
 また少し なかよくなった!

(没ネタ)
『ア〜ルアルアル……時空が歪んでる気配を感じるでセウスねえ……ディアルガ! パルキア! あとついでにダークライ! やっておしまいでセウスよ!』
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