ジム廃業して飛んでパルデア 作:あさいかくり
夕焼けこやけに日が暮れる。
周辺を散策して、おおよそ調査は終えた。
キタカミについての理解は深まったと言えよう。
見覚えのあるあれやこれから察するに、この土地はかつてシンオウ地方と関わりがあったようだ。
交流か、移民か。まあ資料が少なすぎて分からん。
これだから記憶頼りの口伝えは。一度そのコミュニティで忘れ去られるとそれっきりなのよ。紙に残して。なんのために文字があるの。
だが、バスラオのデータは集まった。
ジニア先生に投げれば研究が進むだろう。え、普通のバスラオとは別種かも? もうちょい詳しく。
そしていくつか興味深い話も聞けた。
名付けるならば、そう。
ひとつ、仮面の鬼VSともっこブラザーズ!
今、顔を見せたな? 鬼退治英雄伝説!
ひとつ、濃霧に浮かぶ紅月!
歴史の影に潜む影! 謎の美女と野獣絵巻!
ひとつ、なんかすごい!
キタカミ行脚のド・パワースポット六選!
うさんくせー。
あまりのらしさに親バカ親父を思い出してしまったじゃないかよ。許さん……はがねタイプ絶許……。
なおフィールドワークの途中、既にキタカミ六選なるパワースポットには足を運んでいる。
うーん。という感じで何もなかったよね。
ああいや、何もないというのは語弊があるか。
例えば鬼が山地獄谷。
山の中腹に看板が立っているのだが、付近は火山性のガス溜まりがあり普通に危ない。知らずに突っ込んでちょっと意識が遠のいたからな。酸欠で人は死ぬ。
ほかにはフジの池。
喉が渇いたので水分補給したことを話したら、「そのまま飲んでしまったのか!?」と驚かれた。人によっては命の危険があるらしい。お腹の調子は快調である。
あと、ありがたい輪。
埋まった石が円を描いており、内側はペンペン草すら生えていない。見ていると力が湧いてくるという触れ込みなので中心にきあいだまのわざマシンを置いてみた。
みんなー! 俺に元気を分けてくれー!
てらす池? ちゃんと許可取りましたよええ。
ドガースで上がったテンションは、キラフロルを見て急降下した。あとこれ大穴の結晶体だよね……?
妙なほど肌に馴染むともっこプラザの空気といい、全体的に評価に困る場所だなキタカミの里。
ただ俺の顔を見るなりオマケしてくれた桃沢商店のおばちゃん。あなたは最高だ。
「そろそろ時間ですかね」
オモテ祭りは今夜からだったはず。
屋台並ぶキタカミセンターに人は流れて、ともっこプラザには人っ子一人見当たらない。だから手持ちをボールから出して遊ばせてやれるわけだ。
彼らも俺と同じく調子が良いようである。
パルデアよりシンオウの気候に近いからだろうか。
それぞれが思い思い伸び伸びと過ごしている。
クロバットは膝の上で昼寝。もう日没だぞ夜行性。
四枚羽をだらんとさせやがって。つまんでやろ。
ドククラゲはさっきまで頭にのしかかっていたが、陸上での活動限界を迎えた。
ロズレイドはサーナイト&エルレイド兄弟と野点をしている。なんか知らんポケモンもおるんじゃが。
粗茶ですがって? まあくれるならもらおうか。
あ、こらゲンガー。茶碗ひっくり返すな。
知らんポケモンが襲いかかってきたじゃないか。
『チャデスデ?』
『チッ、ヤバ……ソチャドー!』
いやどこから出てきたもう一体。
そしてドラピオンが切り捨てるという。
野生相手では手応えがないのか不満気だ。
ところでドクロッグさんや。
黙ってともっこ像の前に立つのやめない? 怖いから。そっちには何もないでしょ。
像に向かってどくづきすな。それ公共物だからね。
「壊したら怒られてしまうじゃありませんか。勘弁してください。小遣いは祭りに注ぎ込む予定なんですから」
念のため、壊れていないかともっこ像を調べる。
目立った傷はないな。立て付けが悪いのか小刻みにカタカタと震えているが……。
ドクロッグが地面を殴りつけると振動は止まった。
だーかーらー。気まぐれでものを壊すな。地面ならオーケーだと思ったのかおめーは?
相棒
最近構ってもらえていないので甘えている。
マスコット
空気を読んで先輩に時間を譲った。
野点組
当然気づいていた。抹茶の調理法を募集中。
セコム
物理も特殊も。ゴーストタイプはもう慣れた。
Bボタン
「今じゃない」。祭りを台無しにするのは無粋。