ジム廃業して飛んでパルデア   作:あさいかくり

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 ピクニック! ピクニック! わーい!

 はい、連日の疲労で疲れてます。

 

 なぜかボール作りが生徒の間で受けたらしく、技術の登録者は鰻ならぬシビルドン登り。俺が同時に見れる生徒数には限りがあるし、材料も道具もまるで足りない。

 こりゃ無理だという話になり、しばらくクラスを分けて第一回の授業内容を繰り返し行う羽目になった。おかげで司書の方の仕事には全く手が回っていない。

 

 なおここまで話が広まった元凶は生徒会長のネモ……ではなく、新入生ハルトの方らしい。

 

 ハルトとアオイ、二人の新入生。

 チャンピオンのネモに初めてのバトルで勝利したとか、見たことのないポケモンを連れているとか、学業成績が大変優秀でポケモンの申し子と呼ばれているとか、色々と噂に事欠かない。そりゃあね、そんなのの片割れが知り合う人に触れ回ったらゆうに定員超過しますわ。

 

 いいかハルトよ、教師は基本固定給なんだ。

 頑張って給料が増えるとは限らない。

 クラベル校長なら特別手当出してくれそうだけどさ。

 

「今日は仕事のことは忘れましょう。天気がいいですから、外に出るのもありですね」

 

 パルデア固有のポケモンは何匹か捕まえたいし、ここいらの植生なんかも調べておきたい。となれば、郷に入っては郷に従え。やはりパルデア流のピクニックよ。

 サンドウィッチとやらを作るのだろう? 生徒が話しているのを聞いたとも。ちなみに給料日はまだなので、具材は塩しか買えません。それただの切ったパンや。

 

 どうせなら食材を現地調達できる、あまり人目につかない場所がいい。俺の手持ちはどれもシンオウで捕まえたポケモン、パルデアでは少々目を引いてしまうからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここをキャンプ地とする!

 アカデミーからだいぶ離れた地点まで来てしまったが、ここならば今日の目的を達成できるだろう。

 平らな草地にレジャーシートを敷いて座る。テーブルと椅子? そんな嵩張るもの持ってないよ。風で飛ばないように四隅を石で押さえるくらいはするけどな。

 

「皆さん、出てきてください」

 

 手持ちのボールをまとめて投げる。

 

 一番に飛び出したのはエルレイドとサーナイト。流石は用心棒……ああ大丈夫、別にバトルじゃないから。十分に羽を伸ばしてくつろいでほしい旨を告げる。

 

 次にクロバット。まあ昼だし寝るよな。

 

 残りは初パルデアの空気に何を感じるのか、順番に観察してみることにする。

 

 ロズレイド。冷静な策士で、今のように風光明媚な景色を楽しむ風流ポケでもある。

 

 ゲンガー。悪戯好きなのでこいつの一挙手一投足には要注意。ロズレイドにちょっかい出すなよ。

 

 ドククラゲ。お前一度浜辺で天日干しになりかけた癖に、陸地で出すと喜ぶよな。

 

 ドクロッグ。こいつは何考えてるか分からん。

 

 ドラピオン。おっとバトりたくてうずうずしてますね。ごめんな。最近全力で戦わせられなくて。

 

 とまあこんな感じ。ロズレイド以外まともに景色見てねーじゃんか。初めての場所なんだから、もっとこう……あるだろ何かさあ。知らんけど。

 

「食事にしますか」

 

 試しに特製塩サンドウィッチを見せたところ、満場一致でブーイングをくらった。いいさ、このサンドウィッチは俺の腹に消える運命だったということだろ。

 本命はこっちだ、途中で採取した三種のきのみとキノコのサンドウィッチ。ちゃんとそれぞれ味の好みに合わせて具材の組み合わせを変えてある。

 

「あ、こらドクロッグ。苦手だからってキノコだけ引き抜くのはやめなさい」

 

 無言でポイ捨てしやがったぞこいつ。栄養バランスとか考えてるんだからしっかり食えや。食わないにしてもせめて俺によこせ、最近は水道水とその辺で採った野草しか口にしてないんだぞ。

 

 とにかく腹を満たすとしよう。

 

 塩サンドウィッチ・地面に落ちたキノコを添えて

 〜☆〜

 

 こんなのでもパンはごちそう。いただきま、

 

『ギャア(パクッ)』

 

 何かが高速で目の前を通り過ぎていった。

 あれはたしか俺が捕獲したいポケモンリストの上位に名を連ねるバイクっぽいトカゲだ。図鑑の登録名はモトトカゲだったか。ライドポケモンとして一匹仲間に加えておいたら便利だろう、いやそんなことよりも。

 

 あのモトトカゲ……俺のパン咥えていかなかった?

 

「ゲンガー、くろいまなざし」

 

 咄嗟の足止めは成功。パン泥棒は地平の彼方に走り去る事なく、Uターンしてこっちに向かってくる。

 

 こちらもポケモンで戦うか? ただ力量差がありすぎて倒してしまいそうだな。エルレイドにみねうちさいみんじゅつのコンボを決めてもらってもいいが。

 

「久しぶりに体を動かすのもありですね」

 

 接近するモトトカゲを正面から待ち受ける。

 まだ……もう少し……今!

 

 モトトカゲの頭に両手を突いて跳躍、跳び箱の要領でたいあたりを回避する。そのまま手首を捻って前後百八十度回転、俺はモトトカゲの背中に跨った。

 

『ギャ!?』

 

「どうもこんにちは初めまして。サンドウィッチは美味しいですか? そうですか……もう咀嚼してしまったと。実はあれ、僕の昼食でして」

 

 俺は腰のポーチからモンスターボールを取り出して、

 

「体で返してもらいます」

 

 モトトカゲの頭部に全力で叩きつけた。

 鈍い衝撃音が響いて、気絶したモトトカゲがモンスターボールに吸い込まれる。はい捕獲完了。これでパルデアでの足には困らないぞ。

 

 あーあ……動いたから余計にお腹空いたわ。

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