ジム廃業して飛んでパルデア   作:あさいかくり

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 気がついたらイッシュ地方。

 

 ここはブルーベリー学園。

 歴史あるパルデアのアカデミーと姉妹校でありながら、近年新設されたばかりという対照的な学校だ。

 立地は海のど真ん中にある人工島。施設の半分以上は海中に沈んでいるのだとか。

 

 泳げない身としては勘弁してほしいものだが。

 人間の体は浮かぶようにできてないっての。

 

 姉妹校同士の交流として、同僚の先生方がブルーベリー学園に特別講師として招かれていた。

 その流れで俺も呼ばれるのは不思議ではない。

 

「だからといって、このやり方は卑怯でしょう」

 

 目の前には箱入りのおやつ。

 もりのヨウカン詰め合わせである。

 

「すみません先生。BPが心許なくって……」

 

 エサで釣るとはいい度胸だハルトよ。

 交換留学中かな? ブルベの制服を着こなしている。

 

「トップに相談したら、『考えがあります』って言うからお任せしたんですけど」

 

 オモダカ女史からリーグに呼び出され、あれよあれよという間に飛行機に乗せられたらこのざまよ。

 珍しいヨウカンの噂を信じて来てみれば。

 おのれ、またしても騙された。もぐもぐ。

 

「まあ来てしまったからには仕方ありません。教師として仕事はこなしましょう」

 

 あまり気は進まないがな。

 ブルーベリー学園はポケモンバトルに力を入れているそうだ。つまり生徒はバトルジャンキーがたくさんいるんでしょ、ネモみたいな。ネモみたいな。

 

「どの授業をしましょうかね。ハルトさん、責任を取って一緒に案を出してもらいますよ」

 

「ええー……じ、実は僕、これからアオイとブルベリーグに挑戦する予定がー」

 

 おいこら逃げるな。

 交換留学生が学園内のランク戦に参加できるわけないだろいい加減にしなさい。

 

 え、嘘じゃない? スグリの手伝いで、謎のブルベリーグチャンピオンの圧制を取り除く?

 林間学校終わっても仲がいいのね君たち。

 

「ここは無難にクラフトから始めたいものですが。いち、にぃ……やはりクラフトキットの数が心許ない」

 

「今どこから出しました?」

 

 スペア込みで手持ちの在庫はこれだけ。

 座学の講義はいいとして問題は実習だ。一クラスを半分に分けたらぎりぎりいける、といったところ。

 授業をするにも準備が必要なのである。

 なぜ事前に話を通しておかない。あなたのことだよ、キラーメを髪に絡ませたあなた。

 

「きのみの栽培も評判よかったですけど」

 

「人数分揃えるのが手間なんですよね」

 

 きのみとこやしは飛行機に持ち込みNGです。

 特に量が多いと出国時の検査で引っかかる。輸入するなら手続きを踏まないといかん。

 幸いブルーベリー学園には人工的に再現された自然環境が整っているという。つまり現地調達ですね。なぜ近未来施設で野生に帰らねばならぬのか。

 

「弱りましたね。あと僕が教えられるのはイモモチの作り方ぐらいのもの……」

 

「もっとあるでしょ色々! シンオウ地方のこととか! ジムリーダーのこととか!」

 

 そんな怒らなくてもいいじゃんか。

 壁際の妙に親しみを感じるスーツのおじさん、あなたも何か言ってやってくださいよ。

 

 

 

 

 

 なお初授業の反応は芳しくなかった模様。

 せっかく教材を発注したのにな。俺に何を期待していたのやら。こちとら技術教師ぞ。

 バトル学は専門じゃありません。だーかーら超連撃の秘密とか俺は知らん。マスター道場にでも通いなさい。きっと三連撃を急所に当てられるようになるから。




ウズのおやつ
元ジムリーダー ウズが好む食材で作られたおやつ。
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