ジム廃業して飛んでパルデア 作:あさいかくり
虹色のバサギリが出現した。
何を言ってるのかわからないと思うが、俺も何が起こっているのかわからない。
ありのまま、今聞いた話をそのまま文章に起こしたわけだが。頭がどうにかなりそうだ。
「耳が早いですね先生。それは一部の生徒と教師しか知らないはずですけど」
「ですがタロさん。あなたはご存知だ」
「それはもう。わたし四天王ですし?」
タロは椅子に座るよう勧めてくる。
コーストエリアまで出向いて正解だ。
ブルーベリー学園でまともな話ができる人間は、俺の知る限りそういない。
いや、普通にいるんだがそれぞれに得意分野があるというか……生徒で政治系の思考回路を鍛えてるのはタロとカキツバタだ。なので消去法である。
彼女の父親はかの有名な鉱山王なので、こちらも機嫌を損ねないよう十分に気をつける必要がある。いやじゃ……またあの地下労働はいやじゃあ……。
とまれ、事のあらましは次の通り。
ネリネが担当するキャニオンエリアで野生ポケモンが生徒を襲った。
目撃情報から正体はかつてヒスイの時代に生息していたポケモン、バサギリと推測される。
そして野生のバサギリは頭上に『虹色』の輝きを放つテラスタルジュエルを冠していた……。
「襲われた生徒に怪我はないのですね」
「ええ。近くにアオイさんがいてくれて幸いでしたよー。おかげで暴れるバサギリも捕獲して、被害は最小限です。今はネリネ先輩が事後処理を進めています」
それならまずは安心だ。
後で医務室に薬を差し入れるとしよう。
しかし何故バサギリが。
一般に、ストライクからバサギリに進化する詳しい条件は判明していない。火山地帯の鉱石に関連しているという仮説程度だ。野生でも希少な種族、ましてやこんな場所で姿を見ることになろうとは。
「バサギリはたまに見かけますけど……」
「は?」
ここに生息してるの? 嘘でしょ。
「そういえば先生はシンオウ地方の出身でしたね。ならバサギリを知っててもおかしくないか。あくタイプのハリーセンとか、隣のエリアを泳いでますよ」
「は??」
シアノ校長とお話する内容が増えちまったぜ……。
キタカミのバスラオといい、ブルベリといい……俺の苦労と気配りを何だと思ってる。
普通に生きてやがるじゃんか。
「では、僕は不勉強なのですが、虹色のテラスタルもよくあることなのでしょうか」
「そっちは初耳ですよー! テラスタル技術が導入されたのはつい最近なんですから! パルデアにいた先生の方がお詳しいのではー!?」
ブライア先生に聞こうにもどこにもいないし連絡つかないし、と小声でぼやくタロ。
やけに事情をすんなり話すと思ったら、俺が持つ情報が目的だったか。かわいい顔してようやるな。
だが残念。今回は何も知らない。
……違った、今回も何も知らないのである。
「アオイさんとハルトさんには尋ねたのでしょう」
「……分かってて聞いてますよね?」
「ご名答です」
ゲーミングテラスタルとか、そんなトンチキ現象見たことないです。配管工のスター状態か?
「実際に戦ったアオイさん曰く、すべてのタイプのわざが強化されていたと。まるで――」
――アルセウスのように。
神「何それ知らん……怖」