ジム廃業して飛んでパルデア 作:あさいかくり
後日談というか今回のオチ。
テラパゴスの暴走は少年少女の活躍で解決した。
一連の事件の後、ゼイユとスグリはブルベリーグの登録を抹消されることになった。
それ以上の処分を課せられることはなく、事後処理が落ち着いたら学生生活に戻れるようだ。
当人たちはブルベリーグに未練もないようだが。
無断でパルデアの大穴に侵入・テラパゴスを連れ出したゼイユはもちろん、事態の深刻さを知りながら静観した(実際は留学生に助力を求めていたが)スグリがどのような扱いを受けるか心配だったが、きちんと情状酌量の余地が認められた。
大人を含めた関係者が全員、何かに操られて心神喪失状態にあったこと。
主に責任を負うべきは生徒を監督する立場のブライア先生であること。
原因を追求しようにも、そのブライア先生が依然として行方不明であること等々。
要は子どもに罪はないだろうってな。
微力ながら弁を振るった一教員的には安心である。上が人間のできた方々でよかったわ。
「ともあれ退学にならなくてよかったねぃ? 元チャンピオンと、元々チャンピオン」
「うっさいカキツバタ」
「それ言ったらカキツバタは元々々チャンピオンだべ」
「二人とも当たり強くね? 他の人にはちょい反省ぎみだってのに……ツバっさん何か悪いことした?」
「何もしなかったからでしょ。ツバっさん」
「うへー。現チャンピオンまでオイラの敵かい」
リーグ部の部室で駄弁る歴代チャンプたち。
バトルだと結局アオイが一番強いらしい。
なんでも、最初のチャンピオン下剋上はカキツバタVSスグリだったのだとかなんとか。
林間学校の後、ブルベリーグで頭角を現したスグリが苛烈な手段でチャンピオンに就任して。
見かねたゼイユが弟を止めようとするも仮称『四匹目のともっこ』に魅入られる。
スグリを圧倒したゼイユは正体不明のまま王座に君臨し続けた。操られて心身をすり減らしながら……。
以上、俺が壊した道具プリンターの修理中に耳に入ってきた会話の内容である。
いや違うのね。別にガチャあるじゃーんと思ったら、BPで動くこと知らないでボタン連打したとか、そういうのじゃないんで。
幸いクラフトが応用できたので、ついでに魔改造してケムリイモを作れるようにした。やっておいてあれだが俺も意味がわからない。どういう仕組み?
「ここにおられましたか。ウズ先生」
うわオモダカ女史が来た。
「改めて今回の件、お礼を申し上げます」
「ああパルデアの」
嫌な事件だった。
なにせリーグ関係者、そして無関係の市民までもが我を忘れて踊り出すという珍事だったのだから。
大穴とチャンプルタウン周辺だけで被害を抑えたからよかったものの、下手すればパルデア全土、いや世界中が大パニックになっていた。
哀れアオキさん……当面はオモダカ女史に謎ダンスをネタに擦られるのだろう。動画撮られてたし。
「リーグでは現在、パルデアとブルーベリー学園の事件に関係があるとして捜査を続けています」
「ゼイユさんとリーグ職員を操ったのは同じポケモンの仕業である可能性が高い。唯一の手がかりはブライア先生ですが、行方不明なのでしょう?」
「今朝方、ブライア先生の足取りを掴みました」
仕事が早いな公的機関。まだ謎ダンスパンデミックの後処理に追われているだろうに。
見せられたのは監視カメラの映像だった。
空港のロビーにブライア先生の姿が確認できる。
搭乗口と飛行機の行先からして、目的地は、
「キタカミの里ですか」
「特別便を手配しています。既にチャンピオン・ハルトをはじめ、数人に快諾をいただいておりまして。ウズ先生にもご協力をお願いできればと」
恐らくブライア先生の確保は簡単だろう。
彼女はポケモントレーナーではないからだ。
懸念点はひとを操ると思しきともっこだな。地元のキタカミでどれだけの猛威を振るうか。
ハルトなら大丈夫だとは思うが、備えは多いに越したことはない。
「そういえばウズ先生。特別講師としての出張費ですが、経費精算の申請が漏れているようでした。このままですと自腹を切っていただくことになりますね」
立派な脅迫じゃねーか。
パルデアからブルーベリー学園の飛行機代を自費で負担するのは勘弁願いたいのだが。
というか誰も行かないなんて言ってないでしょうよ。