ジム廃業して飛んでパルデア 作:あさいかくり
モモワロウ対策会議が開かれた。
参加者はパルデアのポケモンリーグからオモダカ女史と四天王の面々。重要参考人のブライア先生(謹慎中)と俺。
加えて有識者……数少ない俺の伝手を使い、各地方のどくタイプのエキスパート達に声をかけた。
正直断られるかなと思っていたのだが、意外にも皆さん快諾してくれた。各々テレビ通話を繋いでいる。
ただカメラで映りを加工するクララ、おめーは明らかにサボりたいだけだろ。ヨロイ島で修行しとけ。
アンズとホミカは休憩中にお喋りで盛り上がってるしさぁ……だーれがニンジャと極道じゃい。
カロスの彼はどう見てもそのスジでしょ失礼だわ。
さて、話し合った議題は主に二つだ。
今回の事件の後始末について。
そしてモモワロウの処遇についてだな。
一つ目に関してはパルデアリーグでカバーストーリーを発信する事になった。
キビキビダンスを流行させるための、チャンプルタウン協賛のプロモーションイベントという筋書きだ。
関連して商品展開も進めるらしい。商魂たくましいというか、転んでもタダで起きないというか。
被害はリーグ関係者だけで収まらなかったが、市民に操られた時の記憶がないのが大きい。
下手に公表しても混乱を招くという判断だ。
多少の粗と無理は押し通すのだろうよ。
じゃなかったら到底無理でしょ。これぞポケモン大人のダーク仕草だ、生徒には見せられない。
仕事が増えたアオキさんの目は死んでいる……。
で、二つ目の方は。
「ウズ先生にお任せすればよいでしょう」
対応が雑。雑じゃない?
「しかし全会一致の結論ですので」
「僕を勘定に入れていませんね?」
「どくタイプのエキスパートの方々が先生ならと仰られるのです。既に捕獲されているようですし、他に有効な手立てが浮かばないのも事実でしょう」
それはそう。
モチを食べたら洗脳とかヤバいよな。
今のところモモワロウは大人しい。
俺の手持ちにしばかれたからである。
そして耐性がある俺はモチを食べても大丈夫、という理由を挙げられると反論ができない。ぐぬぬ。
キョウさんとかもできるだろうが、セキエイリーグの四天王はお忙しいはず。お願いするのは忍びないぜ。
『『(Ф)( ; ⧓ ;)(Ф)モ、モモ……』
かわいこぶってもお前の監視は続くぞ。
泣き真似はおよしなさい。
モチくれるならもらうけどさ。うめー。
「「「…………」」」
どうして解散の雰囲気になってるんです??
悪い人に育てられると悪いポケモンになる、という俗説がある。眉唾物だが一概に迷信とも言い切れない。
ならば真っ当なトレーナーの元で育てて更生を促すのは悪くない選択肢なのかもしれん。
それで俺? とは思うけども。
先に挙げた耐性を踏まえると消去法だ。
どくタイプやあくタイプ、ゴーストタイプのポケモンは悪いイメージを持たれることがある。
種族ごとの生態で連想される悪印象。
悪いトレーナーが手持ちに入れている事実。
でもまあ、そういうのは人間の都合も多分に含まれていたりして。上手く付き合う方法もあるはずだ。
子供に任せるのは心配だしな。やるしかないか。
「しかし僕がモモワロウの力を利用して悪事を企む、とは考えないのでしょうか」
「ウズ先生が?」
なにわろてんねん。
冗談とちゃいますよオモダカ女史。
「ファ ファ ファ! しからばせっしゃが寝首をかいてやるまでよ。忍びの技の極意、使わせてくれるな」
「肝に銘じますよキョウさん。僕も本職を相手に切った張ったはごめんですから」
「ほお、見ないうちに実力を上げたな? あるいは戻ったのか。よいよい! 次カントーに来たら寄るがいい、おぬしに修行をつけてやろう。ファ ファ ファ!」
マジかよやったぜ。キョウさん直々に教えをいただけるとはな。どくつかい最高の誉れじゃあないか。
「父上が修行を!?」
画面越しで殺気を飛ばすなアンズさん。
まーじで俺が何したってんだ。
「よろしければアンズさんも是非。後学のため、同じどくつかいとして見識を深め合えれば幸いです」
「……わかった。あんたには負けないから」
なぜか「絶対お弁当は人数分用意しないと父上が……」と決意を固めている。リクエストできるかな。
以前キョウさんに譲ってもらったお弁当すごい美味しかったから、また食べられるのは期待してしまうぞ。
「相変わらずぶっとんでんね」
「心外ですねホミカさん。それと、型にはまらないスタイルはあなたの信条ではないですか」
「あんたのはちょっと違くない? まあいいけど。ウズ、また今度セッションしよーよ」
「楽器弾けないので嫌です」
「あの笛でいいって!」
「あなたテンションだだ下がりしたじゃありませんか」
「一周回ってあり! おもしろいじゃん!」
あれライブハウスが静まり返ったんだぞ。
過去を忘れたとは言わせない。
そう、俺は過ちを繰り返さない男。
「あとさ、グループ招待したから」
ホミカはスマホロトムを操作した。
どくタイプ好きが集まるチャットルームらしい。ジムリーダーはみんな入っているとか。
俺が誘われてなかった理由? スマホ持ってなかったからだね。ハブられてるわけじゃないよ?
元アイドルや組長(?)とも話しつつ、俺はグループチャットに挨拶を投げた。
「ところでウズ、次のジムリーダー資格の更新っていつなの? ずっとシンオウ戻ってないらしいけど」
「…………あ」
やっべえ!? すっかり忘れてた!