魔法少女アンダーバーエックス   作:MOPX

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再会!! 集合!! そして……

これは、夢ではなかった。

 

試しに自分のほっぺたを引きちぎれんばかりにつねってみたが、目の前の人物は依然として高貴でファビョラスのノブレスオブリージュなオーラを放っていた。

 

約3時間ぶりの瑠璃さまとの再会。

 

なんだか瑠璃さまの周囲に数人いる気がするが、頭に入ってこなかったっす。

 

「瑠璃さま……無事だったんすね!! 信じてたっす……!!」

 

「ふふ……歩道、あなたも見間違えるほど立派になりましたわ。猫耳まで生やして」

 

「それを言うなら瑠璃さまも!! 御供を三人も連れて桃太郎みたいっすー!!」

 

「誰が犬猿雉じゃ」

 

 

 

瑠璃さまの後ろに二人いた大きな女性(特に胸)――のうち一人がぶっきらぼうに言った。

髪と瞳が蒼いことからこの人も魔法少女だとわかったっす。

ピチピチスーツにボロマントというよくわからんファッションセンスだが……。

 

隣の更に大きな女性(胸が)も赤色の魔法少女らしく、くすくすと上品な笑い声をあげていた。

めちゃくちゃ失礼だが、触手とかに負けそうなタイプの魔法少女だな、と思った。

口にはもちろん出さないっすが……。

 

 

 

「柴、あんたもしかして私に気づいてない……?」

 

「ん……その声は朝霧? 瑠璃さまの横にいたもう一人は朝霧の方の夕香だったっす!!」

 

「あんたねえ……。……『の方』? ってことはもしかして……」

 

朝霧も無事だったみたいっすね。

以上。

 

 

 

後ろで三吉の方の夕花がモジモジしていたっす。

朝霧とは面識があるはずっすが、あと三人が知らない人なので人見知り成分が勝ったみたいっすね。

 

「やっぱり、夕花もきていたのね!!」

 

「夕香……!! うん、久しぶり!!」

 

「瑠璃さま!! ご奉仕っす!! コーヒーを淹れるっす!! ささ、おくつろぎください!!」

 

「ふふ。歩道とこうして再会できたのが最高のGO・HOU・SHIですわよ……エスプレッソォをお願いしますわああああぁぁ!!」

 

「瑠奈!! 見てください!! このカフェ中央に大型筐体を配置してますよ!! おまけに店員さんは可愛らしいネコミミを付けていますし……趣味の良いカフェですね!!」

 

「……」

 

 

パァン!! パァン!!

 

 

渇いた発砲音が二発ほど鳴り響いた。

一同が静かになる。

 

 

 

見れば大きな女性の蒼い方が、天井に向かって蒼い銃を掲げていた。

 

「ごめん。騒がしいのは苦手だから撃った。……とりあえず全員で話を整理しないか?」

 

蒼い人が店内で一番大きなテーブルへと視線で促した。

瑠璃さまが「ションベンちびりそうですわ~」と怖がっていたが、たぶん全員似た感想だったっす。

みんなすごすごと席についていく。

 

瑠璃さまの御供、犬は犬でも狂犬だったっす。

 

 

 

 

 

 

私含めて6人がテーブルに着き、軽く自己紹介をした。

ざっくり言って私達の集まりは3グループに分かれるようだ。

 

瑠璃さま、私、朝霧の裏山から吹っ飛ばされた組。

輝里と名乗ったデカパイ、瑠奈と名乗ったデカパイの私達とは違う2020年(そういう風な説明だった)から来たグループ。

そして西暦2000年から来た三吉の夕花。

 

 

 

時空うんぬんの話はよくわからないから聞き流した。

まあ、要は平行世界ってやつっす。

 

「よくわからないっすけど、あなた達が瑠璃さまの恩人ということはわかったっす。ありがとうっす!! それにしてもいろんなところにソックリな人がいるの、不思議っすね~」

 

「そう言えば柴、あなた瑠奈さんのことを瑠璃に似てる!! って言わなかったわね。てっきり『瑠璃さまが巨乳に~!?』」とか言って失神するかと思った」と朝霧。

 

「失礼っすね。……言うほど似てるっすか? 言われたら確かにってなるっすけど」と返す。

 

「今の私達は魔法力の塊。……恐らくは容姿よりもその性質の違いが見る側の認識に作用しているのでしょう」と瑠奈さん。

 

「さすがですわね歩道!! ワタクシ、瑠奈さんを初めて見た時は自分がデカくなったかと勘違いしましたわよ!! おーっほっほっほ!!」瑠璃さまの高笑いが胸に心地よく響くああこんなにも自信に満ちた声はまるで大地に遍く恵みをもたらす天啓こんな人についている自分はなんと幸せものだろうと――。

 

「柴さんがなんかウットリしてる……!!」

 

「夕花、こっちの柴はいつもこんなよ」と朝霧。

 

 

 

「そっくりさん……ですか。朱里さん、という子もこちらにいたはずですが……」デカパイが心配そうに揺れる。

 

「そうだ朱里!! 柴!! あなたいっしょに和風エプロン着てたでしょ!! どこにいるの!!」と朝霧。

 

「おっ何すか朝霧~。私が宮寺と一緒によろしくやってたの、嫉妬してるっすか~? 私は瑠璃さま一筋だから安心するっすよ!!」

 

「いいからさっさと答えろ」瑠奈さんがカチャ。

 

「奥の部屋にいるっす、サーセン」

 

 

 

会話が一段落ついた。

 

肝も冷えたが、頭も回ってきた。

 

輝里さんと瑠奈さんの二人はある程度、時空を自由に行き来できるらしい。

奥には宮寺もいるのだから、私達四人も集合した。

 

これは、つまり……。

 

「私達、元の世界に戻れるってことっすか!?」

 

「ええ、そういうことですわよ!!」さすが瑠璃さま明瞭な受け答え無駄のない一言TPOを考慮できる魔法少女もはや瑠璃さまが呼吸をして二酸化炭素を排出するだけで高貴なオーラが辺りを包むんすよねえ……。

 

「ええ、そういうこと」これは朝霧。

 

 

 

「ええっと……私は……」と控えめに三吉の夕花。

 

「あなた……三吉さんも魔法力だけの状態のようですね。いったん私達の時空へいっしょに戻るのはどうでしょう。それからあなたのいた時空の座標を特定して、送り届ければ肉体へと魔法力が戻っていくかと」おっぱいが誇らしげに揺れている。

 

「そうね、いまさら何人だろうが関係ないし。……良かったらあなたの時空のお話もきかせて頂戴」おっぱいが頷くように上下に揺れてる気がするっす。幻覚ではないっす、決して。

 

「はい……!! 喜んで!!」何だかおっぱいにばかり目を取られていたが……良かったっすね、三吉の夕花も。

 

 

 

「何だか全部が上手いこと転がったっすね……。今いるメンバーがここに集まったから? ……まさか」

 

私の頭にあったのは、この喫茶の理念についてだ。

 

『みんなにとっての隠れ家』

 

案外その一言が、全員を呼び寄せたのかもしれない。

その全員には、もちろん、宮寺も含まれているのだろう。

 

「どうしたのよ柴、ニヤニヤして」と朝霧。

 

「別にいいじゃないっすか。さ、うちの店長はその扉の奥っすよ」

 

「朱里を変な呼び方しないでよ……」

 

「自分で呼べって言ったんすよ、宮寺が」

 

そんなやり取りをしながら、扉へと向かう。

全員での帰宅、このちょっとした冒険の言わばゴール。

 

きっと数分も、もうかからない。

 

 

 

 

 

 

「店長~!! いつまで寝てるっすか~」コンコンコンコン!!

 

「だから、店長って呼び方が良くないんじゃないの?」と朝霧。

 

「この呼び方じゃないと機嫌を悪くするっすよ、宮寺」

 

「しかし妙ですわ……。朱里さんはおっとりしているようで鋭い感覚を持っていますわ。ここまで騒いで出てこないのは……NA・NI・KAありますわああああ!!」この鋭い考察は瑠璃さま、名探偵か……。

 

「……全員武器を構えて」と物騒なことを言ったのは瑠奈さん。

 

「ええ!? でもモンスターの気配は……!!」あたふたと三吉の夕花。

 

「……瑠奈の言う通りです。用心するに越したことはありません」輝里さんの声色で、自分もシリアスなモードに切り替える。

 

「鍵は……かかってないみたいっすね。じゃあ、せえので開けるっす。せえの!!」

 

「早!!」「早いよ!!」「待て」「あら」「歩道ぃぃ!! ワタクシ、心の準備がMA・DAですわよおおおおぉぉ!!」

 

 

 

扉が開かれる。

今までのぞいたことのなかった、その場所――。

 

そこは――。

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

 

何もない、真っ白な空間だった。

 

「何っすか!! どういうことっすか!! これは!! 全然意味がわからないっす!!」

 

 

 

「一体……どういうことよ!!」

 

 

 

「こっちに向かって叫ばれても困るっすよ!! 朝霧!!」

 

「朱里をどうしたの……!! え……巫女に捧げる!? わかるように説明してよ!!」

 

「朝霧……!! 独り言をぶつぶつ言ってて怖いっす!!」

 

「歩道!! これは……アレではありませんこと!!」

 

 

 

他の方々は困惑している中で、瑠璃さまだけが真相にたどりついた。

そうだ。

私はこれに似た状況を体験した。

 

元の世界で別れる直前。

朝霧が瑠璃さまに突然、悪態をついたのだ。

 

それに関して、朝霧はなんと言っていたか――。

 

「――妖精っすか!! もしかして!!」

 

魔法少女に助言を出し、その声は魔法少女本人にしか聞こえないと言われる存在。

それが今になって、朝霧に何かを伝えている。

 

「朝霧!! 妖精はなんて言ってるっすか!? 教えろっす!!」

 

みんなで帰るのが、確かに遠のいた。

考えずとも、その事実だけはわかる。

 

 

 

私には朝霧の妖精の声は聞こえない。

だからバトンを渡すしかない。

 

……大丈夫っすかね、朝霧で。

 

 

 

 

 

――門限(タイムリミット)まであと15分。

 

 

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