IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
3時間目の授業は1、二 2時間目とは違って、山田先生ではなく千冬さんが教壇に立っている。この人が教壇に立つのは何か大事な事なんだろうな。実際山田先生までノートを手に持っていた。
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
クラス対抗戦……加古さんによれば1年生最初のイベントで、各クラスから1人ずつ代表を決めて戦うらしい。
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点で大した差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりで」
面倒な役割だな。俺としては避けたい気持ちが強いが……
「はいっ!織斑君を推薦します!」
「私は烏丸君を推薦しますっ」
やっぱりそう来たか。絶対にイレギュラーな俺と織斑を推薦する奴がいると思った。
「では候補者は織斑一夏に烏丸恭弥……他にはいないか?自薦他薦問わないぞ」
千冬さんの言葉に織斑はギョッとした表情になる。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!俺はそんなのやらな……」
「自薦他薦問わないと言った。他薦された者に拒否権はない。覚悟を決めろ」
千冬さんは織斑の反対を一蹴する。まあそう返すと思ったが。
しかしこのまま行けば多数決になるだろうが、俺としては大歓迎だ。多数決になれば俺は確実に負けるからな。
織斑は女子の憧れの千冬さんの弟でネームバリューがある。対して俺は世間の女尊男卑的思考を持つ女子から疎まれているボーダー所属で、女性からしたら喉から手が出る程欲しいであろう束さんお手製の最新機持ちだ。
多数決になったら十中八九織斑が勝つだろう。悪いが織斑よ、クラス代表になってくれ 「待ってください! 納得がいきませんわ!」うわっ、面倒な予感がするな。
バンッと机を叩いて立ち上がったのは、案の定セシリア・オルコットだ。
「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
まあ後半は兎も角、珍しいからって男を推薦するのは違うだろう。しかし入学初日に選べとなったら他薦は難しいのも事実だ。
そんな風に考える中、オルコットのテンションは上がる一方だが、そろそろ止めないと面倒事になりそうだ。
「実力から考えればわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の「オルコット、黙れ」……っ!」
俺はオルコットが一線を越えた発言をすると予想したので殺意をぶつけて黙らせる。大方極東の猿とか極東の島国とか言うつもりだったのだろう。
「お前の立場でそれ以上の発言は面倒になるぞ」
オルコットが立ち上がって反論しようとするが、その前に更に付け足す。代表候補生としては完全にアウトな発言だし、後先考えない織斑が余計な反撃をする可能性がある事を考慮したら止めた方が良いだろう。
「……っ!」
オルコットも俺の言おうとした事を理解したようで口を噤み席に座る。大半の生徒はポカンとしているが、俺の左前でのほほんとした人は興味深そうに見ている。彼女、ほんわかとしているが多分かなりのやり手だろう。
「オルコット」
「は、はい!」
鬼教官の千冬さんが呼ぶとオルコットはビクンとする。アレは根源的な恐怖からビクンとしたのだろう。
「烏丸に感謝しておけ。場合によって取り返しがつかない事になっていたぞ」
「は、はい……」
オルコットも千冬さんには逆らえないようで小さく頷き席に座る。
「とりあえずお前の自薦にしておく。さて、候補者が複数いた場合、ISによる勝負で決めるルールとなっている」
マジか。まあ多数決なんて入学初日じゃアテにならないし、IS学園なら当然か。
「織斑先生。申し訳ありません。遅れましたが私も自薦しても宜しいでしょうか?」
と、ここでクロエも挙手する。対する千冬さんは値踏みするように見てくる
「意外だなクロニクル。お前はそういった役職に興味がないと思っていたのだが」
「あまり興味はありません。しかし束様から命じられた仕事の中に『IS学園に通う専用機持ちと多く戦いデータ収集をするように』という内容のものがありますので」
クロエの言葉に騒めきが生じる。まあISの生みの親からの仕事って聞いたら仕方ないだろう。特に束さんの妹なんか物凄い眼差しでクロエを睨んでるし。姉を恨むならまだしも、クロエを睨むなよ……
「……まあ良い。自薦他薦は問わないと言った以上、参加を認める。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。4人はそれぞれ用意をしておくように」
「あ、質問良いですか?」
「何だ烏丸?」
「試合で使う機体については全員訓練機に出来ませんか?そうでないと専用機がない織斑が圧倒的に不利です」
専用機と訓練機のスペック差はかなりある。まして織斑はISの稼働時間が少ないだろうし、可能な限り平等にするべきだ。
「その点は問題ない。織斑に対しても学園側から専用機が用意される」
ざわっ……
「嘘っ、織斑君も専用機持ち?この時期に?!」
「政府から支援されたのか〜、良いな〜」
「というかクロニクルさんの機体も篠ノ乃博士の最新機なのかな?」
千冬さんの言葉に教室に騒めきが生まれる。後クロエの機体は束さんが作ったものだけど、2年前に作ったものだから最新機じゃない。
……まあ世界が第二世代の開発に着手した頃に作られた第三世代のISだけど。
そんな中、織斑は案の定専用機の価値を理解出来てないようでポカンとしている。
見るに堪えかねたという感じで千冬さんがため息混じりにつぶやく。
「教科書六ページ。音読しろ」
「え、えーと……『現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS468機、そのすべてのコアは篠ノ之博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にあります。しかし博士はコアを一定数以上作ることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取引することはアラスカ条約第七項に抵触し、一部の例外を除いて禁止されています』……」
「つまりそういうことだ。本来ならIS専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられない。が、お前の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解できたか?」
「な、なんとなく……」
織斑はしどろもどろになりながらも返事をする。まあ実際のコアの数はもっとあるし、IS学園とボーダーは『千冬さんを近界遠征に参加させる事を引き換えにISのコアをIS学園に寄贈する』って一部の例外であるコアの取引をしているがな。
世界は近界遠征を知らないが、ボーダーとIS学園の間で何らかの形でコアの取引をしている事は知っている。しかしそれを咎める事は出来ない。何せ取引の責任者が束さんだから。
何にせよ……
「ともあれ、織斑に専用機を与えられるので4人は専用機で戦って貰う。その方がお前達もデータ収集が出来るだろう?」
まあそうだな。俺とクロエはデータ収集を束さんに任されたからな。オルコットもイギリスの為にデータ収集はしたいだろうし。
「あの、先生。思ったんですけど、篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか?」
と、ここで女子の一人がおずおずと千冬さんに質問した。まあ篠ノ乃なんて苗字はそう多くないからな。
しかし個人情報を千冬さんが教えるとは……
「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」
教えるのかよ。
「ええええーっ!す、すごい!このクラス有名人の身内がふたりもいる!」
「篠ノ之さんも天才だったりする!?今度ISの操縦教えてよ!」
束さんの身内だと知ると、授業中にも拘らず女子達がはしゃぐが、俺の知る限りアイツが束さんに連絡したって話は聞いた事ないな。
「あの人は関係ない!」
と、ここで篠ノ之が突然大声を上げ、女子達はポカンとする。
「……大声を出してすまない。だが、私はあの人じゃない。教えられるようなことは何もない」
そう言って篠ノ之は窓の外に顔を向ける。女子達は盛り上がったところに冷水を浴びせられた気分のようで、それぞれ困惑や不快を顔にして席に座る。
「さて、授業をはじめるぞ。山田先生、号令」
「は、はいっ!」
そんな中、千冬さんはマイペースな態度を崩さずに山田先生に促す。こういうマイペースな所は太刀川さんにそっくり……
パァンッ!
「さっさと教科書を出せ、烏丸」
「……はい、織斑先生」
失礼なことを考えたからか殴られてしまった。もう頭が痛いです……
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
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おかしい
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おかしくない