IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
「大変失礼致しました」
「………」
現在俺は頭を下げている。目の前には真っ赤になって怒り心頭のオルコットがいる。言葉は口にしていないが怒りのオーラが半端ない。まあ真っ裸を見られたのだから当然と言えば当然だろう。
いつまで頭を下げれば良いのか悩んでいると……
「……はぁ。もう結構ですわ。過ぎた事をぶり返すとこっちも恥ずかしいですし」
そんな風に言われる。どうやら問題を向こうから終わらせてくれるようだが、実にありがたいな。
「ただし!次に同じような事があったら承知しませんわよ!」
「ああ、わかってる」
指をビシッと突きつける。実に返す言葉はないな。
「それと!部屋割りは学校が決めた以上、覆すのは無理でしょうが私に卑猥な事を企むなら粛清をしますので、胸に留めておきなさい!」
「そんな事をするつもりはない」
代表候補生にそんな事をやってみろ。場合によって国際問題になりかねないし、ボーダーにも迷惑をかける可能性が高いからな。
「で?いつまでこの状況が続くか聞いていますの?」
「出来るだけ早くするとは言われているが正確な日数は聞いていない」
実際は1ヶ月近くかかるのは知っているが、それを今のオルコットに言ったらパニックになる可能性があるから口にはしない。
「……まあそれは後で確認します。不本意ですが貴方には借りがありますし、この部屋の滞在を認めますわ。感謝なさいませ!」
指をビシッと突きつける。偉そうだが、まあルームメイトの納得を初日から得られたので良しとしよう。
「ああ。助かる」
「それとその格好、どうにかなりませんの?暗殺防止の為でしょうが戦闘服ではこちらの気が散りますわ」
オルコットは太刀川隊の隊服を指差す。まあ4月に黒いロングコートなんかかなり見苦しいだろう。
「週末まで待ってくれ。週末になったらボーダーに顔を出すからその際に私服タイプに変えるから」
流石にトリオン体の衣装を変える為だけに放課後にボーダーに行くのは怠いからな。
「……そういや、お前に渡しとくものがあった」
俺は首につけるネックネス……待機状態の黒天を手に取り、データを展開して、近くにいるIS……オルコットのブルー・ティアーズにコアネットワークを介してデータを送付する。
「お前のISに俺の専用機、黒天のスペックデータと戦闘記録の一部を送ったから確認しとけ」
流石にトリガー使いとの戦闘記録は送っていない。基礎練のデータと加古さんやクロエ、訓練機との戦闘記録だけだ。
「っ!何故わざわざ敵に塩を送る真似を?!」
オルコットは信じられない表示を向けてくる。
「お前ら代表候補生の記録は腐る程あるのに、こっちのデータがないのは不公平だからな。後クロエの記録については欲しけりゃアイツから貰いに行け。流石に他人の専用機のデータを渡すのは無理だ」
代表候補生は各国の顔として雑誌やテレビによく出るが、その中でISの操縦動画もネットに流れているし、専用機の情報も基本的な情報は公開されている。
一方、俺はボーダー基地以外ではISの操縦をしてなかったので、世間に戦闘データを出回ってないし、専用機の情報もIS学園とボーダー以外には広まっていないので情報の差は歴然だ。
それに情報を渡さずに代表決定戦で俺が勝った場合、女尊男卑的意見を持つ女子が「フェアじゃない!」って文句を言ってくる可能性があり、対応が面倒であり可能な限り対等な条件で戦いたいのだ。
「じゃあ俺は施設の見学に行くから失礼する。ベッドは空いてる方を使わせて貰う。鍛錬後は飯を食ってから部屋に戻るが、シャワーや着替えをする時はこの連絡先に電話してくれ」
「え、ええ。わかりましたわ」
俺は紙に自分の携帯の番号を書いてオルコットに渡す。さっきみたいな展開を避けるためには連絡先を渡す必要がある。
鞄を放り投げて部屋を後にする。とりあえず競技場を借りれるか調べないといけない。それとラボや射撃場も見ておきたい。やるべき事は沢山あるし、初日だからってぐうたらするのは論外だからな。
そう思いながら俺は校舎に向かって走り、訓練機を借りたり競技場を使う際に手続きをする事務所に向かうのだった。
尚、その途中の武道場で絶叫が聞こえてきたが、篠ノ之は相当千冬さんに絞られているようだ。
(まあ寮の廊下で竹刀を平然と振り回したのだから自業自得だけど)
束さんもぶっ飛んでるところがあるが、妹は妹で倫理観がぶっ飛んでるとは予想外過ぎる。
そしてさっき千冬さんに通報した事もあるし、場合によっては突っかかってきそうだし……初日から疲れた。
まあつい先程、この世のものとは思えない美しい存在を見たのは幸運かもしれない……いかん、恥ずかしくなってきた。
「な、何ですのこの機体は?!」
1050室にてセシリア・オルコットは絶叫を上げていた。自身のISに送られてきた恭弥のISのスペックを確認したが予想外のスペックであった。
エネルギー量は第3世代の6割くらいとかなり少ないが、機動力に対しては現存するISを遥かに上回っている。まさに敏捷に全てを賭けた機体である。
更に装備についてもハウンドという光弾武装には目を引いた。効果としては発射後に相手を追尾する能力の弾丸だが、自動探知誘導と視線誘導の2パターンがある。
ISの稼働率を高めて曲がるレーザーを撃つことを目標としているセシリアからしたら、基本装備で曲がる弾丸を準備する恭弥はまさに別次元の存在であった。
「しかも近接戦闘については下手な国家代表と戦えるレベル……機体に頼るだけの凡夫ではない……格上と見るべきですわね」
戦闘データの中には千冬との戦闘もあり、ワンサイドゲームであったが、ある程度斬り結べていた事を考えると、懐に入られたら負けに繋がるとセシリアは考えている。幾らプライドが高くても千冬に一撃当てた相手を舐めるつもりは毛頭ない。
「……まあブルー・ティアーズのデータ収集にもなりますし、僥倖と考えましょう」
セシリアが日本に渡る前、イギリス政府から「ブルー・ティアーズの稼働率を上げる、他国の専用機の調査、男性操縦者へのハニートラップ」を命じられた。
最後の任務については一蹴したが、前2つの任務は重要な任務と考えていて、入学早々に機会が出来たのはチャンスであった。
「それにしても烏丸恭弥……全く食えない人物ですわね」
授業中はぬぼーっとしていたり、強い殺意を宿したり、恭弥に敵意を向けていた自分自身の失言を止めてくれたり、自身の裸を見た際は年相応の照れを見せるなど色々な顔を見せてきた。
セシリアは今まで見た事のないタイプの恭弥に若干の興味を抱きながら、試合に備えて対策を練るのだった。
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
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おかしい
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おかしくない