IS×World Trigger   作:ガイストは男のロマン

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第16話

 

 

「ふむ……設備の方はかなり整っているな」

 

一通り見終えた俺は暗くなった道を歩く。アリーナやラボは言うに及ばず、射撃場やピットもかなり優れていた。ボーダーにもIS用のラボはあるが、施設のレベルはIS学園の方が上である。とりあえず来週まで第2アリーナの使用する予約はしたので訓練はしておこう。

 

そう思いながら俺は食堂に行き、カレーを注文するべく食券の券売機に並ぶが、やはり注目されまくりだ。2、3週間もすれば注目されないだろうが、それまではこの居心地の悪さからは逃れられないだろう。

 

そしてカレーを食べ始めようとしたタイミングで……

 

「貴様!言うに事欠いて無駄だと?!」

 

食堂の入口で騒ぎ声が聞こえてきたので顔を上げると、千冬さんとの組み手を終わらせたらしい篠ノ之がクロエに怒鳴っている。

 

間にいる織斑はどうして良いのかわからないでオロオロしているようだが俺と目を合わせると懇願するような眼差しで見てくる。

 

俺はため息を吐きながら織斑達のところに向かう。その際に篠ノ之がギロリと睨んでくるが気にしない。

 

「おい織斑。どういう状況だ?食堂で騒ぐな」

 

「あ、ああ。実は……」

 

織斑はそう前置きして説明する。それによれば……

 

①篠ノ之が罰則を終えて織斑と合流して食堂に向かう

 

②途中でクロエと鉢合わせする

 

③クロエが「束様の命令で貴方を強くしろって言われてるから、良ければISの訓練に付き合う」と織斑に話しかける

 

④織斑が承諾しようとしたが、篠ノ之が私が教えるから口出しするなと反対する

 

⑤クロエが篠ノ之に何を教えるのか質問する

 

⑥篠ノ之が剣道から剣と根性を鍛えると返す

 

⑦クロエ、それは無駄だと一蹴する

 

⑧篠ノ之、ブチ切れて怒鳴る

 

 

……って感じだ。

 

「なるほど……結論から言うと織斑。俺もクロエと同じでISに剣道は無駄だと思う」

 

「何だと?!剣道について知らない奴が知ったような口を聞くな!」

 

篠ノ之の怒りの矛先が俺に向けられるが……

 

「じゃあ聞くが剣道では時速数百キロで移動しながら剣を振ったり、空中で頭を地面に向けながら剣を振るうのか?地面に足をつけて白兵戦をするならまだしも、空中戦を軸とするIS戦で剣道のルールは意味ないぞ」

 

剣道のルールは詳しくないが、重い防具をつけて地面に足をつけて、すり足で移動しながら竹刀を振るい、面と籠手と胴を狙うくらいはわかる。そしてそのルールがISに役立つとは思えない。

 

「確かに……そうだな」

 

「一夏?!そんな戯言に惑わされるな!それに根性は戦いに必要だ!」

 

篠ノ之は焦りながらそう口にするが戯言は酷くね。というか……

 

「「いや、それはない(です)」」

 

篠ノ之の言葉に俺とクロエが即答すると篠ノ之は殺意を宿した眼差しで睨み、織斑はキョトンとした表情になる。

 

「え?戦いに気持ちの強さは重要じゃないの?」

 

織斑は気持ちの強さが戦いに重要と思っているようだがまだまだ青いな。

 

「気持ちの強さは厳しい訓練に耐える為に重要であり、戦いに持ち込んでいけません」

 

「これはウチの隊長の受け売りだが、戦いに気持ちの強さは関係ないぞ。戦いで重要なのは実力、戦術、運であり、戦いにおいて気持ちが重要視されるのは相手が自分と互角の時だけだ」

 

気持ちの強さってのは持ち前のカードを全て使っても決着がつかない場合に持ち込むぐらいで、戦術に含めてはいけない。

 

「恭弥の隊長って事は……A級1位の隊長?」

 

「ああ。太刀川慶さんって言って、さっきお前が動画で見た忍田本部長の弟子で、千冬さんの剣のライバルだな」

 

「馬鹿を言うな!千冬さんマトモに戦える剣士がいるはずない!」

 

「いや箒。俺もさっきまではそう思ってたけど、ボーダーの戦闘記録を見たら千冬姉より強い人がいたんだよ」

 

「馬鹿な……!」

 

やはり千冬さんのネームバリューは相当なようだ。

 

「話を戻すぞ織斑。お前が誰から教えを乞うのは自由だが、クロエから教わるのは教わった俺の立場から言えば、わかりやすくてお勧めだ」

 

「そう言って頂けて嬉しいです」

 

クロエは小さく一礼をしてくるが、実際加古さんは感覚派だから教わっていると「ん?」って思う場面もあったからな。実力はともかく指導力はクロエの方が上だろう。

 

「そうなんだ。じゃあやっぱり教えてくれないか?」

 

「了解しました。では食後にアリーナと専用機の予約をしておきましょう」

 

織斑が改めてクロエに頼み、クロエが了承する。

 

「待て一夏!私から教わる事が不満なのか?!」

 

篠ノ之が怒りを宿した声を出すが、今の会話で剣道や根性がISの役に立たないって事がわかってないのか?

 

普通に考えて抱くだろう。織斑の専用機が射撃特化タイプなら完全に無価値な時間となるし。

 

先ずは歩行や飛行などの基礎訓練をしながら自身の専用機の特性を調査して、機体の特性がわかったらそれにあったトレーニングを行う。

 

そして夜は対戦相手の記録を見直して、本番でどう戦うか考えて、それに適した対策トレーニングを行うのが代表決定戦までにする事だ。

 

勿論織斑はIS初心者だし、俺やクロエと違って戦闘におけるノウハウがないから対策トレーニングをするのは難しいかもしれないが、基礎トレーニングなら出来るだろうし付け焼き刃でもやるべきだ。

 

少なくともISに触れない篠ノ之の努力は意味ないだろう。兄貴の教え子の木虎あたりが聞いたら「そんなのは現実逃避だ」って一蹴するだろう。彼女、自分にも他人にも厳しいし。

 

「でも箒、今日の授業中に私は束さんとは違うから教えられる事はないって言ってたよな?」

 

ああ、そういや確かにそんなことを言っていたな。教えられる事はないって言っておきながら、織斑がクロエに教えを乞うたら自分では不満なのか怒るって理不尽過ぎるだろう。

 

「う、煩い!兎に角明日は剣道場に来い!どのくらいの腕になったのか見てやる!」

 

「いや、俺もう剣道やってないし」

 

「何だと?!お前は剣を捨てたのか?!」

 

「捨てたって言うか……千冬姉に負担かけたくないからバイトしてた」

 

「ふざけるな!そんな簡単に捨てて良いものじゃない!貴様の腑抜けた根性はIS以前の問題だ!明日から放課後3時間、私が稽古をつけてやるかららそのつもりでいろ!」

 

「待てよ!俺はISについて勉強しないといけないんだよ!」

 

「それ以前の問題だと言っている!クロニクルの稽古は断れ!」

 

「いやいや!俺がやりたいから受けたんだよ!」

 

「黙れ!お前の根性を叩き直すのが重要だ……貴様も出しゃばるな!」

 

篠ノ之はクロエにも突っかかるがどんだけ理不尽な提案なんだよ?別に織斑が剣を捨てようが織斑の自由で、少なくとも今みたいに悪と扱うのは間違っている。

 

しかも放課後の予定について決定事項を告げているように言ってるし、挙句代表決定戦までに頼りになるクロエの誘いを断れと命令するとは酷過ぎる。

 

束さんも自由気ままで他人の都合を考えない傾向だが、妹のコイツは束さんより理不尽で自分勝手だな」

 

そこまで考えていると頭上から圧を感じるので顔を上げると……

 

「貴様ぁぁぁぁっ!私が姉さんより自分勝手だと!」

 

篠ノ之は怒りを剥き出しにして、どっからか取り出した木刀を俺の頭に振り下ろしてくる。どうやら思ったことを口にしたようだが、お前さっきまで千冬さんに扱かれたのに全く反省してないのかよ?

 

内心呆れていると……

 

 

 

 

 

バキィィッ!←木刀がトリオン体の頭部分に当たり壊れる音

 

ドゴッ!←壊れた木刀の先端部が篠ノ之の顔面に激突する音

 

「がはぁっ!」←篠ノ之の絶叫

 

バタンッ←篠ノ之が背中から床に倒れる音

 

篠ノ之はビクンビクンしながら伸びている。これには織斑もクロエも絶句してる。

 

「……良し、飯に戻るからソイツの対応は任せた」

 

これ以上面倒事に付き合ったらカレーが冷めてしまうから俺は逃げる事にした。

 

背後から織斑の制止の声が聞こえてくるがこれ以上、面倒事には関わりたくないから勘弁して欲しい。

 

そして俺が元の席に着いて、織斑達を見れば、いつの間にか千冬さんがいて、鬼の形相を浮かべながら篠ノ之を抱えて消えていった。

 

うん、やっぱ学生である以上、教師に頼るのが一番だな。

 

俺は一つ頷いて、若干冷めているカレーを食べるのを再開するのだった。

 

 

 

入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?

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