IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
「え……訓練機、借りれないんですか?」
「ご、ごめんなさい……既に予約が埋まっていて……」
織斑の質問に山田先生は申し訳なさそうに返す。
昼休み、職員室にて織斑は専用機のスペックデータと放課後のアリーナの使用と訓練機の貸し出しを頼んだが、肝心の訓練機の貸し出しは予約が埋まっていて無理らしい。
「じゃあ専用機はいつ来るんですか?アリーナが使えるなら……」
「えっと……試合当日には間に合うと思います」
「つまりぶっつけ本番かよ?!」
織斑は愕然とするが気持ちはわかる。いくら専用機を貰えると言っても、ぶっつけ本番で使い慣れている専用機を持つ俺達の相手は厳しいを通り越して虐めだろう。
「恭弥!せめて対策だけでも教えてくれ!」
「落ち着け……山田先生。確認ですが、専用機さえあればアリーナは使えるんですよね?」
「は、はい」
「わかりました。とりあえず織斑に今すぐ専用機のスペックデータを送ってください。そのデータを基に、織斑の専用機に近いタイプのISをボーダーから借りるんで」
束さんに頼めば問題ないだろう。
「でも恭弥、俺の専用機に似た機体がなかったらどうすんだ?」
「それはないだろ?正確な個数は知らんが、ボーダーには束さんが公表してないISコアが大量にあるからな」
「大量ってどれくらい?」
「知らん。去年に300個作ったって言ってたし今は400くらいじゃねぇの?」
「よっ……!」
俺の言葉に山田先生は絶句して、職員室にいる教員も絶句している。まあ当然の反応だ。世界で公開されているISのコアは450ちょっとで、世界各国に少しずつ割り振っている。
しかしこれはブラフだ。実際束さんが作ったコアは精々100くらいだ。
現状、世界的に見てボーダーは疎ましい存在だ。何せISの最新技術に加えて未知のトリガー技術を独占しているからな。加えて最近じゃ二宮さんがISのコアをトリガーで破壊した事もあるし。
実際IS学園の教員や生徒の中にも俺やクロエに敵意を向けている奴もいるし、ここでブラフを張っておけば向こうも無理な行動に出ないだろう。
「そんな訳で山田先生。今すぐ織斑に専用機のデータを送ってください。可能なら放課後から練習した方が良いでしょう」
「は、はい!」
山田先生が慌ててタブレットを操作すると織斑の携帯が鳴る。
「織斑君の専用機、白式のデータを送りました。しっかり確認してくださいね」
「ありがとうございます。じゃあ織斑、さっさと行くぞ。クロエを待たせるのもアレだからな」
クロエには購買で昼食を買って貰ってるからな。
そう返して職員室を出て集合場所の屋上に向かっていると……
「織斑先生?篠ノ之はどうしたのですか?」
屋上に続く階段から織斑先生が気絶している篠ノ之を俵担ぎにしながら降りてくる。
「ん?いや、性懲りも無く織斑の指導を断れとクロニクルに竹刀を振るったと報告があったから捕まえに来ただけだ」
そう言って先生は階段を降りていく。
アイツ……また突っかかったのか?もう織斑を強くしたいのではなく、独占したいだけじゃねぇか。
「何で箒はわざわざ俺に教えたがるんだ?教えられる事はないって言ってるのに」
そしてコイツは何故気付かない。鈍感にも程があるぞ。
呆れながらも屋上に行くと、購買のビニールを持ったクロエが座っていた。
「お疲れ様でした。訓練機などは使用出来るのですか?」
「それが全て借りられてるんだよ。だから今のうちにボーダーに連絡を入れて、放課後までに使えるようにしておきたい」
「わかりました。ではまず専用機のスペックデータを見せてください」
「あ、ああ……白式って機体なんだけど……って!ブレード一本しか武器がないのかよ!」
織斑が携帯を見ながらそう叫ぶので横から見れば……
「ピーキー過ぎだろ」
「そうですね。千冬様や小南様なら兎も角、初心者の織斑様には扱いが難しいです」
高速機動タイプのISだが、武器が近接ブレードしかないのだ。第1世代のISよりも装備が酷いISなんて予想外過ぎるわ。
しかもこんな機体の開発の為に本来専用機を貰える筈の女子が貰えないとかクソ過ぎだろう。大丈夫なのか、この企業?
「……とりあえず近接格闘タイプのISを送って貰えるように束様に頼んでおきます。そして今日は基礎操縦、夜はデータチェックをしますので、そのつもりで」
クロエは言いながら携帯を操作して束さんにメールをすると、直ぐに携帯が鳴る。
「了解されました。放課後になったら持っていくとの事です」
「じゃあこれで練習出来るな。そういやお前はあの猪に襲われたらしいが怪我はないよな?」
見た感じ怪我はなさそうだが、服の上から殴られたかもしれないしな。
「大丈夫です。全て受け流しましたので」
「箒の奴、何で俺に親切にしてくれるクロエに暴力を振るおうとするんだよ……本当ごめんな」
「いえ。お気になさらずに。怪我はしてないですし、この場にいなかった織斑様が謝る必要はありません」
だろうな。少なくとも織斑が謝る必要はない。悪いのはあの馬鹿だ。まあアイツが頭を下げるとは思えないけど。
数時間後……
「ではHRを始める。まず織斑、HRが終わり次第、第二アリーナに向かえ。ボーダーが試合まで貸し出してくれるISを持ってきている。念の為に烏丸かクロニクルのどちらかも同伴しろ」
帰りのHRにて、織斑先生がそう言うとクラスに騒めきが生じる。まあいきなりISを貸し出しって話が出ればな。
「は、はい!」
「了解しました」
「また今日から部活の入部が可能だ……が、男子2人は当分無理だ」
そりゃそうだ。今まで女しかいなかったのだから。
「では解散」
「織斑君!ボーダーから機体を借りるって篠ノ之博士のお手製の!」
「烏丸君!私も見ても良いの!」
解散を告げられるとクラスメイトが一斉に聞いてくるが……
「見学なら大丈夫だろ。織斑先生も入場禁止にしてなかったし」
そう返しながら俺が立ち上がると他の面々もゾロゾロとそれに続く。
そしてアリーナに着くと中央には巨大なコンテナと男女のペアがいるが……
「お久しぶりです、隊長、真木様」
「おう久しぶりだなクロエちゃん。烏丸もハーレム生活を楽しんで「あ?」な、何でもないよ真木ちゃん」
作業着を腰に巻いた男性がA級2位冬島隊隊長の冬島慎次。クロエの隊長で束さんの同期である。まあ束さんと同様に戦闘員とエンジニアを兼任している人だ。
「全く……クロニクルも烏丸も学校には慣れたか?」
「全然っすね。やっぱ女子だらけだと居心地が悪いっす」
「気持ちはわかるが、環境の変化についていけないのは論外だ。早く慣れろ」
怖えよ……
そんな風に注意してくるスーツを着たクールビューティーは冬島隊オペレーターの真木理佐。隊長は冬島さんだが、実質的な支配者は真木先輩だ。何せチームメンバーはこの人が全員スカウトしたからな。しかも当真さんに至っては「働け」って強引に引き入れたらしいし。ハッキリ言ってメチャクチャ怖い。
「じゃあ本来の仕事をする。そこの1人目に貸すISを用意した……全く試合をやるなら学園も融通を利かせれば良いものを……」
真木先輩はため息を吐きながらコンテナの解錠をはしているがメチャクチャ怖い……織斑もビビってるし。
そう思う中、コンテナが開き、紫色のISが現れる。
「あれ、これって俺が初めて触れた打鉄に似てるな」
日本の第2世代量産型ISに似ているが、アレよりゴツくなくスラっとしている。
「ああ。打鉄・紫炎。コア以外は俺が作った第3世代量産型ISでこれまでの防御タイプの打鉄と違ってスピードタイプだ」
織斑の呟きに冬島さんが頷いてそう口にすると騒めきが生まれる。
まあ仕方ない。現在世界では第3世代のISの発展の為にデータ収集に勤しんで量産化など先のまた先の状態だ。そんな中で第3世代の量産機を持ってきたのだから驚愕の空気が生まれるのは当然だ。
「じゃあ早速乗ってみて。リラックスして」
「は、はいっ!」
真木先輩の冷たい声に織斑はビビりながらISに乗るが、この人の口調は今のがデフォルトなんだよなぁ。
そう思っているとキィィィィィンッって音が鳴り響く。
「今、お前さんに合わせて最適化してるんだな。大体30分くらいで完了する」
「その間に歩行と軽い飛行について教えましょう」
言うなり、クロエの首元のネックレスが光り、次の瞬間には黒と白のISを身に纏っている。
「それがクロエのISか?」
「はい。チェス・ピースという名前です……では見学者の皆さん、申し訳ありませんが訓練に参加しない人は観戦席に移動をお願いします。万が一の怪我もありますので」
クロエの指示に後をついてきた面々が観戦席に向かう。俺や冬島さんや真木先輩も観戦席に移動するが……
(敵意が半端ないな)
現状、2つの敵意を感じる。
1つは日本の代表候補生、更識簪からだ。まあ自分の専用機開発は織斑の専用機開発を利用に凍結された上、当の織斑は束さんお手製ISで訓練するのだから不満に思うのは当然だから理解は出来る。
しかし篠ノ之の敵意は全く理解できない。俺やクロエ、冬島さんや真木先輩を睨んでいるが、独占欲の為に織斑の時間を削るのは人としてどうなんだ?
内心呆れながらクロエの織斑に対する指導を眺めるのだった。
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
-
おかしい
-
おかしくない