IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
ザッ
「くっ!」
クロエのスコーピオンが一夏の白式の装甲を削り、シールドエネルギーがが減り、一夏は苦悶の表情を浮かべる。
(わかっていたけど強過ぎるな……!)
試合が始まって15分、クロエのチェスピースが無傷なのに対して、白式のシールドエネルギーは3割を切っている。
一夏も全ては無理でも回避しながら、偶に距離を取ってアサルトライフルによる射撃をしているが、最小限の動きで回避されているのだ。スペックだけ見ればクロエのチェスピースは自身の白式や恭弥の黒天の上だが、操縦者の技量次第ではここまで差が出来てしまう。
(何か、何か打開策があれば……)
白式の装備は4つある。
第一に雪片弐型
元から装備されている装備で、バリア無効化能力があるが、自らのシールドエネルギーを使って攻撃する諸刃の剣であり、クロエからは今はカウンター以外では使わない方がいいと言われている。しかし現状、回避に集中してカウンターが出来ない。しかもさっき無理矢理発動しようと展開したら20メートルくらい距離を取られてしまった。
次にアステロイド
冬島が付けてくれた装備で、アサルトライフルの銃から放つエネルギー弾で特殊な効果はないが威力がかなり高く、訓練機が相手なら簡単に削り殺せる火力を持つが、射撃経験が浅いのでクロエに対して牽制以上の役目を果たせない。
第三にシールド
アステロイドと同じように冬島が付けたくれた装備で、半透明なシールドを自身の周囲に展開できる。それによりマトモな防御手段が手に入ったが、クロエのスコーピオンは防御をすり抜けるように攻撃を当ててくるので、防御より回避にリソースを置いている。
第四に旋空。
これも冬島が付けてくれた装備で、雪片に含まれていて、起動すると起動時間の間だけ刀身を伸ばす。ちなみに伸ばした刀身は先端に近いほど威力が上がる為、起動の際はバリア無効化を封じるように設定する。そうでないと操縦者も簡単に殺せてしまうからだ。
(この中でこの状況を……待てよ)
一夏はクロエから教わったある事を思い出す。
『旋空は起動時間によって射程を変えられて、起動時間が短いほど射程が伸びます。基本的に1秒起動して15メートル伸ばせるようにしてください』
その言葉に従って練習をして1秒の感覚を掴めるようになったが……
(起動時間を伸ばして射程を伸ばす以外勝ち目はないな)
先程無理矢理雪片を展開したら20メートルくらい離れた事を考える。
(0.5秒……いや、念の為0.2秒起動してみるか)
そう判断したタイミングでクロエのスコーピオンが更に装甲を削り、白式にエネルギーが2割を切る。
同時にクロエが更に仕掛けようとするが、一夏が雪片弐型を展開すると距離を取り始め……
「今だ……旋空!」
一瞬だけ旋空を発動してから思い切り振るが……
「あれ?」
数十メートル伸びた雪片弐型だが、クロエに当たる前に元の長さになり、切先は見事に空振りする。結果物凄い隙だらけとなる。
「残念ですが、その技は織斑様には早いです」
クロエはそう言ってから距離を詰めてスコーピオンを2度振り、白式のエネルギーが0になる。
『試合終了。勝者、クロエ・クロニクル』
そのようなアナウンスが流れてクロエの勝ちが決定するのだった。
『試合終了。勝者、クロエ・クロニクル』
試合終了のアナウンスが流れて織斑が不思議そうな表情を浮かべながら戻ってくる。
「お疲れ。まさか生駒旋空を使おうとするとはな」
「生駒旋空?」
「最後にお前が使った技だと。旋空の使用時間を削って射程を伸ばす必殺技だ」
「失敗したけどな」
当たり前だ。生駒旋空は0.2秒で一振りしないといけない技だ。ボーダーでも生駒旋空を使おうと練習する隊員もいるが、大抵がさっきの織斑みたいに相手に攻撃が当たる前に起動時間が終わってしまう。
「というか何で生駒ってついてんだ?」
「ボーダーで最初に開発した人の苗字が生駒だからだな。ちなみに生駒旋空を使えるのは生駒さんと織斑先生だけだ」
「千冬姉も出来るのか。恭弥の隊長は出来ないのか?千冬姉のライバルなんだろ?」
「剣を振る速さはともかく、狙った場所に当てるのはまだ難しいらしい。それに太刀川さんは二刀流による厚みのある攻めが真髄だから微妙に畑違いだ」
あの人か「いずれ2本の弧月で生駒旋空とかやってみてえなあ」とか言っていたが、本当にいつか出来そうだ。まあその為に大学の勉強を疎かにするのとかはマジで勘弁して欲しい。去年度末、期末レポートがヤバいと俺と出水先輩にもヘルプを求めていたからな。
まあだからといって風間さんや二宮さんにも迷惑はかけないで欲しいけど。本当、頼みますよ隊長。というか束さんと連んで暴れないでも欲しいんだけど。
「?なんかきょーくんに問題児扱いされた気がするなー」
「問題児扱いじゃなくて問題児だ馬鹿」
ボーダー基地の一角にて元迅隊射手で現チームエンジニアの篠ノ之束が正座をしながらそう呟くと忍田本部長が怒りのオーラを全開にしながらそう呟く。
「何でかな?束さんは開発トリガーの試し斬りをしただけだよ。クローニンや雷蔵だってやってるよ」
「トリガーの能力が問題なんだ!確かに便利かもしれないが倫理的に問題だ!」
忍田本部長が怒鳴る。束の開発したトリガーは「セクシャル」という射撃トリガーで食らった人間のトリオン体に干渉して発情させるトリガーだ。
忍田本部長が偶然個人ランク戦ラウンジを通った際にモニターに見えたのは、真っ赤にしながら息を荒くする香取と楽しそうに笑っている束だった。
直ぐ様事情を確認すれば、試し撃ちをしたくて、偶然会った香取にランク戦を挑み、実際に使って香取をビクンビクンに発情させたとの事だ。
これには本部長も激怒して人目につかない場所に連れて行かれて今に至るのだ。
幸い直ぐに情報統制を行ったので漏洩はないだろうが、もしもボーダー外に漏れたら大変な事になるのは明白だ。
(全く……効果は凄いがもう少し自粛して欲しいものだ)
先程の絵面はかなり酷かったが、トリガーとしては有能である。間接的にトリオン体に干渉出来るのは、相手を無力化出来る可能性があるからだ。
pipipi……
pipipi……
内心束に対する罰はどうするかと悩んでいると、本部長と束のポケットから緊急の連絡が来る。
2人同時に確認すると司令の城戸からの連絡だった。これには流石に寄り道は出来ないので本部長も息を吐く。
「続きは終わってからだ。行くぞ束」
「ほーい……いやー、助かった」
束は息を吐き、憮然とした本部長と一緒に司令室に向かう。
それから司令室に向かう途中、クロエから模擬戦の結果と動画が送られてきた、会議で報告する内容が増えるなと苦笑を浮かべる束だった。
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
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おかしい
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おかしくない