IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
「と、いうことで1組の代表は織斑君となりました」
代表決定戦翌日、山田先生がそう告げると織斑がポカンとした表情になる。
「あの、山田先生。何で俺なんですか?普通に考えたら無傷で勝ったクロエ、次点で勝ち星をあげた恭弥じゃないんですか?」
織斑は納得いかないといった表情でそう告げる。まあ普通に考えたらそうだけど……
「私はあくまでデータ収集の為に参戦しただけですから辞退しました」
「次点で俺に話が来たが、面倒だから断った」
「その時に私は恭弥さんの隣を歩いていましたが、昨日の試合で未熟であるとわかったので辞退しましたわ」
クロエ、俺、セシリアが順番にそう告げる。俺が歩いている時にセシリアが居なかったらどうなったかわからないが、そこは織斑の運が悪かったことになる。
ちなみに試合が終わってからセシリアから名前で呼ばれるようになり、自身も名前で呼べと言われた。何か心境の変化があったのだろうか?
「そういうわけだ。代表はお前に決まったから受け入れろ」
織斑先生の言葉に織斑がガクンと項垂れる。逆らったらしばかれるし、受け入れるしかあるまい。
「わかりました……クロエ、代表戦まで頼んで良いか?」
「もちろんです、優勝出来るまで鍛えますから」
「ああ。もっと強くなっていつか生駒旋空も使えるようになりたいぜ」
まあアレは旋空持ちなら使えるようになりたいわな。
「それは厳しいですから織斑先生から習ってください」
「言っとくがアレは私でも使えるようになるまで1年近くかかったからな」
「え?結構かかってますね。生駒さんは1シーズン中に出来るようになってましたよ」
単純な剣の腕なら生駒さんより織斑先生の方が上なのに。
「私はあらゆる剣術を学んでいるのに対して、生駒は居合いに特化しているからだ。実際の命中率はアイツの方が上だ」
なるほどな。それなら話はわかる。しかし織斑先生でも1年かかったのかよ。
「あの、いこませんくうって何でしょうか?」
ここで隣の席の四十院神楽が手を挙げて質問する。
「織斑が最後に失敗した技だ。成功するとこうなる」
織斑先生がウィンドウを操作すると、真っ白な部屋に映る生駒さんが映り……
『旋空弧月』
ズバッ!
短い一言と共に、圧倒的な一閃が遥か遠くにある的を真っ二つにしてから、こっちを見てくる。何故生駒さんって生駒旋空が決まる映像でカメラ目線なのだろうか?
「これが生駒旋空で最大射程が40メートルで、もし昨日の試合で決まっていたら織斑が勝っていたな」
周りの皆が絶句する中、織斑先生はそう告げる。まあ決まっていればだが。織斑は剣速とタイミングも足りないから失敗したけど。
「何にせよ織斑には基礎がまだまだ足りないから、クロニクルにみっちり鍛えて貰え」
「はい」
織斑もそれを理解しているようで小さく頷く。代表戦まで2週間ぐらいだが、場合によっては俺も手伝った方が良いかもな。
というか織斑先生の言葉に篠ノ之が織斑を睨んでいるがまた竹刀を抜くなよ?
pipipi……
と、ここで電子音が鳴り出す。誰だ?朝のHRの時間だぞ?
「すみません。私です」
立ち上がったのはクロエだった。
「学校では切っておけ」
「申し訳ありません。しかし相手が束様なのですが……」
束さんから?昨日の試合についてか?
「ふぅ……わかった。無視すると面倒な事になるし、廊下で話せ。ただし以後は昼休みか放課後に電話するように釘を刺せ。嫌がったら忍田さんと風間の名前を出して黙らせろ」
完全に束さんの対策兵器になってるな、本部長と風間さん……
「わかりました」
周りが騒めく中、クロエが一礼して廊下に出る。
「話を戻すが、クラス代表は織斑に決定。また今日から実技授業もあるから気を引き締めるように」
『はいっ!』
織斑先生の強い圧力にクラス全員が一斉に返事をする。それから直ぐにクロエが教室に戻ってくる。
「随分早かったな。あの馬鹿は何と?」
「はい。今日の放課後、織斑様にボーダー本部に来て欲しいとのことです」
「なるほどな。なら外出申請は出しておけ。クロニクルと烏丸は護衛として付いていけ。もしまたISによる襲撃があった場合、私が全責任を取るから斬って構わない」
「「了解」」
織斑先生の言葉にそう返す。俺を襲撃して、城戸司令を襲撃して、本部を襲撃して返り討ちにあったのだから学習して欲しいものだ。
「まあ襲撃がないのが1番ですけど」
「もちろんだ。束の馬鹿は良い加減委員会に天羽を投入したらどうだと考えているからな」
「「ぶっ!」」
織斑先生の呟きに思わずクロエと一緒に噴き出してしまう。あの人マジで頭のネジが外れてるだろう。天羽を投入してみろ、根付さんの胃が爆死するぞ、マジで。
朝っぱらから頭が痛くなった……今日は休んで良いか?
2時間後……
「ではこれより、ISの基本的な飛行操縦の実践を行う」
何とか1時間目と2時間目の筆記授業が終わり、実技授業となる。
上下白のジャージの織斑先生がそう口にすると皆の気が締まるが……
(やはり刺激が強いな)
ISスーツだがスク水のような格好だが、俺と織斑とクロエ以外の女子数十人がその学校だ。しかも大半がスタイルが良いし、佐鳥あたりは喜びそうだが、代わって欲しい。
ちなみに俺は太刀川隊の隊服で、クロエが冬島隊の隊服がISスーツで、織斑が丈の短い半袖シャツと短パンで、セシリアが青いスク水タイプのISスーツだ。
「まずは見本を見せてもらおうか。織斑、オルコット、烏丸、クロニクル。ISを展開して飛んでみせろ」
そう言われるので俺は直ぐに黒天が起動する。目測で見る限りクロエがぶっち切りで早く、オルコットと俺が続き、織斑が若干遅れるがこれは稼働時間が関係しているのだろう。
「織斑は初心者にしては及第点だが、代表戦までに更に展開速度をあげろ」
「は、はい!」
「良し、飛べ」
言われて飛ぶが……
「織斑、遅くないか?機動力なら俺の黒天に次いで高いだろ?」
『いや、クロエとの修行では最低限の動きによる回避の練習が多くて、長距離の飛行の練習時間は少なかったから慣れてないんだよ』
なるほどな。それなら仕方ないだろう。
『けどイメージがイマイチ掴みにくいんだよなぁ。クロエからは教科書はアテにしないで、自分だけのイメージを確立しろって言われてるけど』
『こればかりは慣れるしかないです。まあ恭弥様はボーダーでグラスホッパーを使った空中移動を得意として飲み込みが早かったです』
『俺は跳ねることをイメージして飛んでるな?セシリアはどうやって勉強したんだ?』
『私は航空力学や浮力などから模索して、飛行機の動画を見て学びましたわね。やはり飛んでいる映像があればイメージが確立しやすいですわ』
そんな風に意見していると……
『一夏っ!いつまでそんな所にいる!早く降りてこい!』
いきなり通信回線に篠ノ之の怒声が響く。ハイパーセンサーで下を見ると山田先生のインカムを奪っていた。アイツはマジで何をやってんだか……
それから直ぐに織斑先生の拳骨を受けているが馬鹿じゃないのか?織斑先生の授業でふざけるなんて自殺行為だろうに……
『次。急降下と完全停止をやってみろ。目標は地上から10センチだ』
げっ。苦手分野だ。俺の黒天は速すぎて未だに慣れてないんだよな。
そう思いながら猛スピードで急降下してから停止するが……
「2メートル……尻込み過ぎだ。急いでやれと言っているわけじゃないし、やる前に演算してからやれ」
「……了解」
チキって目標からはかなりかけ離れている。もう少し前のめりにやった方が良かったようだ。
内心後悔している中、クロエとセシリアは完璧な急停止を決め、織斑は地上から50センチくらい離れた場所で停止する。
「織斑も尻込みだ。繰り返して改善していけ」
「……はい」
容赦ない指摘に織斑は項垂れるが、慣れるしかないな。反復こそが1番大切だ。ボーダーでも入隊してからずっとそうだったからな。
そういやもう直ぐ正式入隊日だが、有力な新人は入ってくるだろうか?今日あたり今シーズン最後の入隊試験日だけど。
同時刻……
「水沼さん、6番と12番と14番と18番と21番と27番と32番はスパイだから落としてね」
入隊試験会場にて実力派エリートの迅悠一はモニタールームに映る受験者を確認してから人事の担当に内部通信で連絡する。
トリガーの技術を得ようとあらゆる組織はスパイを送ろうとしているが、未来視のサイドエフェクトを持つ迅はスパイを見抜いて全て落としている。
「しっかし日本の暗部も増えてるな。確かIS学園生徒会長も暗部だったし、代表戦の時に釘を刺しとくか」
ぼんち揚を齧る音と共にそんな呟きが漏れていた。
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
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おかしい
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おかしくない