IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
負けた
それだけなら別におかしくない。ISに乗り始めた頃はボコボコにされたし、今でも先輩代表候補生や代表に何回もボコボコにされている。
しかし今回の負けは違った。
「あたしが完封負け……」
対戦相手のクロニクルに一撃を当たる事が出来ずに負けた。クロニクルのISのエネルギーも減っているが、キューブの弾丸や瞬時加速による必要経費なものだから実質的に完封負けになる。
「……あんた、何者よ?」
自国の代表相手には一方的に負けているが、それでも数発は攻撃を当てる事が出来ていた。それを踏まえると目の前のクロニクルは国家代表の中でも高いレベルにいることは明白だ。
『クロエ・クロニクル。束様の娘で、冬島隊の隊員の1人です』
クロニクルの言葉には度肝を抜かされる。篠ノ之博士の娘と言ったが実子ではないだろう。博士は千冬さんと幼馴染だから25歳以下で、クロニクルは15歳か16歳だから。
『それでは約束通り、織斑様の指導役は私が継続という事で宜しいですね?』
と、ここでクロニクルが試合前の賭けについて言ってくるが……
「……わかったわよ。代表戦までに一夏を強くしなさいよ」
あたしは反対しないで受け入れる。ここまで完膚なきまで叩き潰されたとなれば反対出来ないし、ギャラリーが多い中で反対しても恥を晒して、中国の顔に泥を塗ることになる。そうなれば代表候補生をクビになる可能性もある。
すると……
『ええ。それと代表戦が終わったから、場合によっては凰様も織斑様の訓練に参加して貰えませんか?』
目の前にいるクロニクルが予想外の事を言ってくる。
「え?良いの?」
『はい。織斑様には実戦経験が圧倒的に足りません。近接戦は恭弥様、遠距離戦はセシリア様に協力を頼んでますが、近中距離戦の経験も積ませる必要があるので』
淡々と口にするクロニクルだが、それだけで一夏を本気で強くしようとするのがわかる。ただ一夏と一緒にいたいという理由で勝負をふっかけたあたしとは違うと嫌でも理解させられる。
「わかったわよ。その時には呼んで」
あたしとも一夏と居られるメリットがあるので特に反対しないで受け入れる。
『ありがとうございます……さて、アリーナを使いたい人に申し訳ないですから上がりましょう』
クロニクルは一礼してからピットに戻るのであたしも反対側のピットに戻る。
「あたしも鍛え直さないと」
一夏は初心者だが、あのクロニクルが鍛えたのだ。油断したら足元を掬われるだろうから。
「凄いですわね……正直、祖国のイギリスの代表よりも強いと思いましたわ」
試合が終わり、セシリアは感嘆の声を上げる。
「まあボーダーにいる専用機持ちの中じゃ2番目に強いからな」
「という事は千冬姉の次に強いって事か?」
「ん?いや千冬さんは正式なボーダー隊員じゃないから除外した。千冬さんを入れたら3番目だな」
ボーダーで束さんが作った専用機を持っているのはクロエ、小南先輩、加古さん、木虎、沢村さん、香取の6人だ。で、小南先輩がクロエより強く千冬さんにも勝ち星をあげている。
ちなみに他の女性戦闘員は専用機は持ってないが、訓練機で訓練をする事を推奨されている。女性戦闘員は少ないが束さんが大量に第三世代の訓練機を20機以上配備しているから、数百人が20機以下しかない第二世代の訓練機を順番に使うIS学園より環境は良いだろう。
「っ!つまりクロエさんより強い人がまだいると?IS学園に通っていますの?!」
「いや通ってないな。あの人、ISにそこまで興味がないから」
防衛の為にと束さんからISを貰っているが、ISで名を上げる気は微塵もないみたいだし。
「何にせよクロエが折角凰から情報を引き出したんだから無駄にするなよ」
「もちろんだ。ところで恭弥に頼があるんだけど、俺と一回戦ってくれないか?」
「?別に構わないがどうした?」
「いや、鈴も近接戦闘を使ってたから参考にしたいし、恭弥とは戦ってないなーって思ったからな」
そういやそうだったな。まあ男子のデータは多い方が束さんの役に立つから受けよう。
「じゃあクロエから許可が出たら相手してやる」
「おう。楽しみに「ひゃあっ!」ん?今の声はクロエだな」
織斑の言う通り、今のはクロエの声だがアイツが悲鳴を上げるのは迅さんに尻を触られた時くらいだが……
疑問に思いながらもピットに向かうと……
「いやー、相変わらず健康的なパンチだな」
「もしもし……束様、迅様にお尻を触られました……はい、はい。わかりました」
床に倒れている迅さんがいた。束さんに電話をしているクロエの額には青筋が浮かんでいる。相変わらず女性の尻が好きなようだ。
「迅様、束様から今夜は6回戦までやるから覚悟しろとの事です」
「マジで?せめて4回戦までで頼めない?」
「お断りします。干からびてください」
クロエは呆れ顔を迅さんに向けるが迅さんは少しは自重してください。
「つか何で迅さんがいるんすか?」
「おっ、恭弥。冬島さんが更識ちゃんからの相談の為に来てんだけど、俺は俺でちょっと用事があってね」
迅さんがIS学園に用事?もしかしてスパイ関係で千冬さんに相談があるのか?
pipipi
「おっと噂をすればだな。じゃあまた後でな」
迅さんは手をヒラヒラしながら去っていく。
「あの、恭弥さん。あの人は……」
「アレは女性の尻が大好きなボーダーの実力派無職の迅さんだ」
「それだけ聞くと完全に屑なのでは……?」
まあ否定はしない。そろそろ沢村さんあたりは訴えそうだしな。ま、サイドエフェクトで見計らっているだろう。
そんな風に考えているとハッチが開く。誰かが試合をするのだろうか?
そう思っていると、ハッチから出てきたのは打鉄を纏った篠ノ之だった。
「アレ?箒は誰かと試合するのか?」
「違う!打鉄を借りてたから貴様に稽古をつけてやるのだ!」
それは初耳なんだが?
「いや、俺今から恭弥と試合する予定なんだけど」
「ふざけるな!あんな礼節の欠けた剣から得るものなどない!」
礼節がないねぇ……当たり前だ。俺の剣は敵を斬る為に自分が編み上げた剣だ。礼節なんか戦いじゃ役に立たないから必要ない。
「でも剣道もISには使えないぞ。実際に試したら実戦的じゃなかったし」
「それ以前に篠ノ之さんの実力で織斑さんに指導が出来るのか不安なんですが?」
セシリアの言う通りだ。束さんが無関係である以上、篠ノ之本人の実力は期待出来ない。
「馬鹿にするな!やってみたいとわからないだろう!」
「でしたら試してみましょうか?」
ここで口を挟んだのはクロエだ。
「織斑様と篠ノ之様と打鉄を使って戦ってみてはどうですか?」
互いに訓練機にしたのは、篠ノ之様が負けた場合、「専用機じゃないから」って言い訳をさせない為だろう。
「……良いだろう。私が勝ったら一夏の指導を降りろ」
「それは織斑様次第です。織斑様が私からの指導を望むならば応えるだけです」
「俺としては箒よりクロエの指導が良いんだけど」
「わ、私の指導が気に食わないというのか!」
「いや、より速く飛ぶ方法に悩んでたら、ぐってする感じとか意味わかんねーよ!」
擬音語かよ?それが本当なら下手にも程がある。
「う、煩い!良いから私と戦え!」
都合の悪い話になると逃げるのは卑怯じゃないか?織斑に同情するわ!
「では私は他の人から打鉄を借りてきます」
クロエはそう言ってピットから出ていくが、何か勝ち負け関係なく、試合後に泥沼化しそうだなぁ……
俺は頭痛を感じながらため息を吐く。何でこの学校、毎日トラブルがあるんだろうか……
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
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おかしい
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おかしくない