IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
「邪魔するぞ更識」
「あ、織斑先生……ボーダーの方を連れてどうしたのですか?」
IS学園生徒会室にて生徒会長の更識楯無は部屋に入ってくる千冬、それに続いて入ってきた肩にボーダーのエンブレムがついたアウターを着た男性を見て警戒心を宿す。
「ボーダーからお前に話があったから招いた」
「どーも俺は実力派エリートの迅悠一。宜しくね刀奈ちゃん」
陽気に話しかける迅だが、自分の本名を呼ぶ男に楯無は警戒心を強める。
見た感じヘラヘラとしているが、隙は全く見当たらないし、腰に差しているトリガーからは圧を感じる。千冬とは別ベクトルで危険性を感じてしまう。
「……わざわざボーダーの方が私に何の用かしら?」
「うん。単刀直入に言うとさ、もうボーダーにスパイを派遣するのはやめて欲しいんだ」
本当に単刀直入に話す迅。
「随分といきなりね。スパイなんて言われても「受験番号6番の下村康二、14番谷口祥子、27番山峰俊二が更識の手先だよね?」……完全にお見通しみたいね」
シラを切ろうとする楯無だったが、更識家が派遣したスパイをピンポイントで当てたので無意味と判断する。
「スパイは毎回俺が不合格にさせてるけど、毎回毎回数が増えて、苛立ってるからやめて欲しいってのが本音なんだよね」
そんな風に話す迅だが、数は減らないだろうと楯無は考えている。未知なるトリガー技術を擁し、唯一ISのコアを作れる束が所属するボーダーの情報は各勢力からしたら喉から手が出るほど欲しいものだ。
すると……
「で、それが上層部の会議で話題に上がったんだけど束が、改善案として更識姉妹を殺せば良いって提案したんだよ」
迅は淡々と楯無の冷静さを奪う発言を落とす。
「っ!どういう事よ?!簪ちゃんは完全に無関係よ!」
「見せしめなんだって。ロシア代表と日本代表候補生を殺せば、他のスパイも大人しくなるだろうって束は発言した」
激昂して詰め寄る楯無に対して、迅は冷静に返すが嘘をついていた。実際の会議において束は「無人機でスパイの拠点を完膚なきまで破壊して構成員を皆殺しにしようよー」とは言って忍田に睨まれ、城戸に却下されていたが、そのような事は言ってない。
ただ迅は見ただけだ。低確率ではあるが束が憂さ晴らしとして簪を撲殺して、怒りに呑まれた姉の楯無を続いて撲殺する未来を。
それだけなら迅は止めつもりはなかった。スパイにはうんざりしていたし、何より本気でブチ切れた束を止めるのは至難だから。
しかし束が2人を殺す事が揉み消し切れず、ボーダーにダメージが入る未来も見えたので先手を打つ事にしたのだ。
「正直今の束は男性にも使えるISの開発以外の事に時間を割くことを嫌がっていてなー、アイツがスパイの排除をする事になったら死者が沢山出る可能性が高いんだよ。俺達にもこんなものを渡してくるしな」
迅はそう言ってから小型装置を取り出してボタンを押す。すると楯無の周りが光って、彼女の専用機であるミステリアス・レイディが展開された。
「ISの強制展開?!しかも待機状態に戻らないし、装備も出せない?!」
楯無はあらゆる操作をしようとするが、全てにおいて「アクセス権がありません」のメッセージが表示されるだけだ。
「ほら、恭弥と城戸さんが襲撃されたじゃん。その件もあって一部の隊員は束からISのコアに干渉出来る端末を貰ったんだよ」
その言葉に楯無はIS委員に対して怒りを抱く。女尊男卑の馬鹿のせいでこっちにも皺寄せが来たのだから当然である。
「まあ俺としても死者が出て、ボーダーにダメージが入るのは嫌だし、頼みに来たんだよ。更識家がスパイの派遣をやめて、他の組織にやめるように促せば大分楽だしね」
「……わかったわ。今直ぐ決定は出来ないけど本家には話しておくわ」
ボーダーの情報は少ないが、二宮がISのコアを破壊した事、今現在迅がISのコアを乗っ取った事から、敵に回すのは危険過ぎる。
何より自分の妹が命の危険に晒されるというならば何としても争いを避けないといけない。
「話が早くて助かるよ。それと他所の組織の説得の際に利用してよ」
迅は小型装置のボタンを押して、ミステリアス・レイディを待機状態にしてから、装置を楯無に渡す。
「良いの?」
「説得で役に立つだろうし、予備はあるし、ボーダーの所有するISのコアには効かないしね」
そう言って迅は立ち上がる。
「話を聞いてくれて助かるよ。じゃあ俺は帰るよ」
「ひゃぁんっ!」
迅がさりげなく楯無の尻を揉むと、楯無は可愛らしい声を上げるが、直ぐに真っ赤になって震え……
「こ、この変態!」
迅に回し蹴りをするが軽い動きで回避する。そのまま突き、膝蹴りなどを仕掛けるが全て回避される。未来視のサイドエフェクトにより楯無の攻撃を対処するのだ。
結局楯無は50発以上仕掛けるが全て回避されて、迅の退室を許してしまうのだった。
「いやー、中々素敵なお尻だったな。沢村さんのお尻に匹敵するなアレは」
「全く、ほどほどにしろよ……」
迅の呟きに千冬は呆れたように息を吐く。束に紹介された時から変わってない。何せ名乗りながら束の尻を触ったのだから。
しかし侮ってはいない。未来視のサイドエフェクトを活かした戦闘スタイルは破格でA級時代の頃は自分と互角であり、風刃を使用するようになってからは1回も勝てたことがない程圧倒的な実力を持っている。
「ところで迅、さっきの話はどこまで本当なんだ?」
サイドエフェクトは機密事項だから馬鹿正直に話さずに、ストーリーを作ってきたのはわかるが、真実はどうなのかわからない。
「基本的には殆ど同じだよ。一応更識家は俺のガードを突破する可能性を僅かだけど持ってるけど、突破したら更識姉妹が殺される未来が確定するな」
迅は様々な可能性がある未来を見るが、スパイが自身のガードを突破する未来も見えている。
「で、更識姉妹を殺したことを揉み消せない可能性もあるのも本当だよ」
「ちなみにその可能性は?」
「今日話したから殆ど0だけど、話す前だと更識姉妹が殺される可能性が15%くらい、世間に知られる可能性が5%くらいだね」
「なるほどな」
千冬からしてもかなりの確率だし、迅が介入したのも納得する。尤も揉み消せなくても束が気にしないで暴れる可能性もあるので、今日の会談も有意義であったのは間違いない。
「何にせよ助かった。私としても生徒が死ぬのは避けたいからな」
「気にしなくて良いよ。ま、気にしちゃうなら太刀川さんと戦ってあげてよ。最近千冬さんと戦ってないって煩いし」
迅の言葉に千冬はため息を吐く。最近は一夏と恭弥の対応が忙しかったのでボーダーに足を運んでなかったが、そのような事になっているのだと呆れてしまう。
「……ゴールデンウィークに戦ってやると伝えといてくれ」
「了解」
千冬の頼みに迅は小さく頷くが、同時に千冬が太刀川に引っ張られて100本勝負をする未来が見えて、千冬に同情してしまうのだった。
pipipi……
と、ここで迅のポケットから電子音が鳴りだすので取り出すと……
『きりちゃんが体調不良になったから束さんが今日の23時から代理で防衛任務をやることになったし、直ぐに6回戦やるから。じんじんは今直ぐ玉狛に来てね〜。あとゴムを買っといて』
束からのメールが送られて、迅は腰の痛みを覚悟をするのだった。
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
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おかしい
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おかしくない