IS×World Trigger 作:ガイストは男のロマン
『……ない。こんな勝負、認めない!認めないぞ!』
試合が終わると篠ノ之が案の定、喚き出す。ああいう類の人間は感情に身を任せて喚くからこっちが理論的に話しても通用しない。実に面倒極まりない。
『いや、ルール違反はしてないからな!負けを認めないなんてカッコ悪いぞ!』
『煩い!あんな卑怯な手を使うなんて恥を知れ!』
どこがだよ?自分の土俵で戦うなんて当たり前だろう。というか剣に拘らないで撃ち合いで戦えばまだ勝ち目はあったのに。
その時だった。
『見苦しいぞ、篠ノ之』
『っ!』
アナウンスが流れると喚いた篠ノ之は黙る。まあ声の主は織斑先生だからだ。
『先程の試合にはルール違反はないし、織斑は持つカードを使って最善の手を打っただけだ。咎められる謂れはない』
『っ!しかし一夏は剣を使わなかったんですよ!』
『それがどうした?』
『なっ……?!』
苦し紛れの言い訳をする篠ノ之だが、織斑先生の発言によって黙る。
『確かに以前とは変わった事は残念に思うが……どんな形でも強くなるなら問題ない』
『何故ですか?!』
『以前も言ったが、烏丸の襲撃の件もあるし、織斑が狙われる可能性がある以上、形振り構わずに強くなる必要がある。それがどんな形であろうと生存率が上がるなら文句はない。寧ろ用心深いスタイルを教えているクロニクルには感謝している』
『なっ……!』
織斑先生の発言に絶句する篠ノ之。まあ世界最強のIS使いが自分が否定した人を感謝したからな。
『何にせよさっきの勝負に不公平な点はないからISにおいて織斑の指導に携わるな。それ以前にお前が毎日訓練機を使うのは無理だから指導が滞る』
だよな。訓練機は申請をして借りるが、申請者が多いので毎日同じ人が使うのは無理だから篠ノ之が指導するのは無理だ。
『くっ!専用機があれば……!』
そんな風に文句を言っているが、基礎も出来てないのに専用機なんかマトモに使えないだろう。織斑は例外として、俺やボーダーの専用機持ち、各国の専用機持ちは訓練機である程度鍛えてから貰っているし。
『言っておくが束に頼んでも無駄だぞ』
『っ!』
織斑先生がそう口にすると篠ノ之は顔を上げるが、お前普段は姉は自分と無関係と言ってるのに、専用機をたかるつもりだったのかよ?それは狡くねぇか?
『アイツの性格的にお前が頼めば作ってくれるかもしれないが、渡せるとは思えない。専用機の所有についてはボーダー上層部が関与するからな』
『え?そうなのかクロエ?』
『はい。ISのコアの配布については束様の権限ですが、専用機の所有については城戸司令と忍田本部長の認可が必要です。ボーダーの信用にも携わるので』
織斑の質問にクロエが答える。
『じゃあ専用機を貰える条件って何だ?』
『操作テストで8割以上の得点を出す事、素行の調査をして問題がないと認められる事です。まあ後者については隊務規定違反をしない限り問題ないですが……』
『篠ノ之の実力が足りないのは言うまでもないが、素行はそれ以上の問題だ。調査の際は私にも聴取があるだろうが、私は「気に食わない事があれば弟に竹刀や木刀を振るうから反対」と答えるからな』
だよな。事あるごとに剣道の中学王者が竹刀や木刀を振るうなんて怖過ぎるよな。
『千冬さんまで裏切るんですか!』
『織斑先生と呼べ。私は弟の安全を守るだけだ……話は以上だ。試合は終わったし、アリーナを去れ。他の生徒の訓練の邪魔になる』
『は、はい!』
織斑は早々に去っていくが、篠ノ之は動く気配を見せない。しかし織斑がいなくなったので、アリーナのバリアは解除されて、他の生徒も練習を始める。
「恭弥さん、ボーダーの操作テストとはどのような内容なのですか?」
「ん?ちょっと待て」
俺はタブレットを操作してテスト内容が記されたpdfファイルを見せる。テスト内容は特に機密は書かれてないので問題ない。
「どれどれ……うん、一部は中国のテストと被ってるし、普通のテストね」
「確かにこの内容で8割以上取れるなら、イギリスでも認められますわね」
代表候補生が納得するようにテスト内容はしっかりしているし、ボーダーの専用機持ちは代表候補生クラス以上の実力がある。
「というか俺は今から織斑とやる予定だったんだがな……またにするか」
バリアを解除されて他の生徒が練習を始めたし、ここで横槍を入れるのは申し訳ない。
『織斑。バリアが一回解除されたしお前との試合は明日以降にしないか?』
『わかった。また今後な』
俺は織斑にプライベートチャンネルで連絡を入れると直ぐに了解の返事が来る。
「さて、俺は射撃訓練に行くがお前らはどうすんだ?」
「私は狙撃訓練に行きますわ」
「あたしは一夏のデータ集めをしよっと。初心者の壁は突破してるみたいだし、油断したら足元を掬われそうだし」
「そうか。またな」
「ええ。お疲れ様ですわ」
「今度あたしとも戦いなさいよ」
そんな風にセシリアと鈴に挨拶をして射撃場に向かうのだった。
1時間後……
「ふぅ……今日はこれくらいにしとくか」
射撃訓練が一段落したので射撃場を後にする。今から飯食って休むか。
そんな風に考えながら食堂に向かっている職員棟から見知った顔が出てくる。
「おう恭弥か。訓練帰りかー」
出てきたのは冬島さんと織斑先生だった。
「お疲れ様っす。確か冬島さんは更識簪の専用機の相談を受けていたんですよね?」
「ああ。で、今から千冬と飲みに行くところ。にしても簪ちゃんは中々将来有望だぜ。バイパーをリアルタイムで弾道を引けるからな」
「マジすか?」
「マジマジ」
バイパーは事前に弾道を設定する弾丸で、ハウンドに比べ複雑な動きが可能だが、即興で軌道をイメージすることは難しく、大半のバイパー使いは事前に何パターンかイメージして、その時々に適した弾道に設定している。兄貴も確かその類だったはずだ。
しかし優秀や射手は毎回リアルタイムでしっかり弾道を設定している。ボーダーでリアルタイムで弾道を引けるのは、対二宮さんとして開発した束さん、出水先輩、那須先輩の3人だけだ。
バイパーもISの装備にできる事は知っていたが、これは織斑には手強い相手になるかもしれないな。
「近接戦闘もそれなりに行けるし、代表戦では簪ちゃんの優勝の可能性が高いぜ」
「そうっすか。まあ織斑が優勝する可能性は元から高くないし、アイツは代表戦で一皮剥けれたら成功じゃないっすか?」
「まあな。足りないところは多いが代表戦でマシになる事を期待している。烏丸も暇な時は付き合ってやってくれ」
「ええ。大丈夫です」
「訓練は大切だけど学校生活も楽しめよ〜」
冬島さんと織斑先生は去っていくが、校外に飲みに行ったのだろう。俺も防衛任務上がりに太刀川さんに居酒屋に連れてって貰った事はあるが、あの雰囲気は余り得意ではない。
そんな事を考えながら食堂に向かうと、中庭の方から啜り泣くような声が聞こえてきたので近づいてみれば……
「一夏の馬鹿……!ニブチン!唐変木!」
鈴が半泣きの状態で織斑に文句を言っていた。アイツはまた女性のトラブルを起こしたのか。
迅さんといい、今日は女難の日なのか?
「くしゅん!誰かが実力派エリートの噂をしてるのか?」
「くーちゃんが他の人に文句を言ってんじゃないの?それより2回戦行くよ〜」
「ちょっと待て!その媚薬はヤバいって俺のサイドエフェクトが「はぁい、どーぞ♡」ぐっ!がぁぁぁぁぁぁっ!」
「やーん、じんじんってケダモノ〜」
入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?
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おかしい
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おかしくない