IS×World Trigger   作:ガイストは男のロマン

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第39話

 

 

 

「ほれ」

 

「……ありがと」

 

俺がココアを渡すと鈴は礼を言いながらチビチビと飲む。リスみたいな奴だな。

 

「で?何があった?」

 

さっき泣いている鈴を見つけたので放っておくのもアレだから話を聞く事にした。

 

「……あたし、中国に引っ越す前に一夏と約束をしたの」

 

「どんな?」

 

「あたしの料理が上手くなったら毎日酢豚を作ってあげるって約束をしたの。けどアイツはタダ飯をくれるって意味ってとったのよ!」

 

「酢豚?中国人って酢豚を毎日食べる食生活を送ってんのか?」

 

酢豚は美味いが毎日食いたいかと言えば違うだろう。中国人にとって酢豚はパンや米のように食事の必需品なのか?

 

「や、毎日は食べないわよ。そうじゃなくて!」

 

じゃあ何だよ。

 

「そういう意味じゃなくて、えっと……毎日味噌汁をって意味合いで……」

 

鈴が言いたい事はわかったが……

 

「作ってあげるを奢ってあげると勘違いされたのは怒ってもいいが、プロポーズの意味はとれないぞ。酢豚と味噌汁は違い過ぎるし」

 

味が強いという以外共通点はないからな。

 

「ぐっ……!全然わからない?」

 

「ああ。男女のイロハは疎いが、アイツはそれ以上だからわからないと思うぞ。もういっそ毎日味噌汁って意味だって言えばどうだ?」

 

「出来るわけないでしょ!」

 

「どうせ俺もしくは織斑の子種を手に入れろって国から言われてんだろ?織斑を引き込めば良いだろ」

 

「こだっ……確かに遠回しにそんな指示を出されたけど、アンタは堂々と口にするな!」

 

鈴は真っ赤になって怒鳴るが、確かに今のはセクハラだったな。

 

「そいつは失礼。まあどのみち織斑は何で怒っているかわかってないだろうから、無理やり思い出させようとしても余り効果はないと思うぞ」

 

「……やっぱり?」

 

「加えてお前も割と短気っぽいからな。とりあえず代表戦が近いし、今は冷却期間として、話し直すのは代表戦が終わったらどうだ?」

 

今無理矢理話しても泥沼に嵌まるだけだろうからな。

 

「うん、そうする」

 

「なら良い。部屋まで送る」

 

「随分紳士ね」

 

「一応ボーダーじゃツンツンしたイケメンって呼ばれてるからな」

 

「なにそれ」

 

兄貴はもさもさした男前と言われているが、兄貴の方がイケメンだろう。

 

そんな風に話しながら鈴を部屋まで送っていくが頼むから試合まで問題が起こるなよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、警戒していたが、それは杞憂に終わって当日を迎える。

 

アリーナの客席は満席で生徒は皆期待の眼差しを向けている。それは良いんだが……

 

「アリーナ広過ぎやろ。やばない?ボーダーのIS訓練場のより広いし、他にもアリーナあるし、贅沢やなぁ」

 

「ふん、どっからどう見ても税金の無駄遣いだ」

 

「確かに4つは多いよな……おい、迅。そろそろ食らってやったらどうだ?」

 

「いやー、俺としてもそうしたいし、そろそろ攻撃はやめて欲しいんだけど?」

 

「煩い!この変態!痴漢!」

 

カオスな空気が広がっている。生駒さんは興味深くアリーナを見ていて、二宮さんが国民の声を代弁して、太刀川さんが迅さんを笑いながら見ていて、迅さんは先程尻を触られた事によりブチ切れたロシア代表の更識楯無さんの攻撃を未来視のサイドエフェクトで避けている。

 

ボーダーからも見学が来ると城戸司令から連絡があったので冬島さんのワープ座標に行ってみれば、太刀川さんと迅さん、二宮さんに生駒さんとボーダートップクラスの実力者が出てきたのだ。

 

で、織斑先生がいるオペレータールームに向かっている途中で迅さんが更識先輩の尻を触って今に至る。というか束さんの後ろ盾があるとはいえ、ロシア代表の尻を触るのはぶっ飛んでいるな。

 

「悪いけど、IS抜きの君じゃ俺のサイドエフェクトは突破出来ないよ……っと」

 

「ひゃんっ!本当にムカつくわね……!」

 

再度迅さんが更識先輩の尻を撫でて、更識先輩は悔しそうに歯軋りをする。

 

『おい馬鹿共。さっさとオペレータールームに来い』

 

と、ここで織斑先生のアナウンスが聞こえてくる。

 

「あかん。俺らまで痴漢扱いされてるわ」

 

「おい、お前のせいで俺まで一括りにされただろうが」

 

「でも二宮って束が絡むと馬鹿っぽく見えるぞ」

 

「本物の馬鹿に言われたくない。今年度のレポートは自分でやれるように忍田さんに話しておく」

 

「待って待って!束に後期の成績改竄を頼もうとしたのをバレて、半殺しにされたんだから!」

 

そんな事を頼んだのかよ。ウチの隊長、つくづく戦闘が絡まないと酷いな……

 

「あ、忍田さんにチクったのは俺だから」

 

「お前かよ!狡いぞ迅!」

 

いや、成績改竄を頼む方が狡いだろう。

 

「いや改竄バレたら面倒だしね。あ、刀奈ちゃんも来る?」

 

「行かないわよ!客席で見るわよこの変態!」

 

更識先輩は肩を怒らせながら去っていくが、ボーダー2トップの攻撃手がこれって酷いな……

 

内心呆れ果てながらもオペレータールームに向かうと既に織斑先生と山田先生がいた。

 

「見学は構わないが少しは自重しろ」

 

『迅(さん)と太刀川(さん)が悪いです』

 

俺、生駒さん、二宮さんが一斉に返事をする。

 

「「おいおい」」

 

2人は文句を言っているが実際悪いのは2人だからな。

 

「……まあ良い。それよりも、だ。迅、お前は何を見た?」

 

織斑先生は鋭い眼差しを迅さんに向けるが俺も同感だ。さっき迅さんは「太刀川さん、二宮さん、生駒っちの混成チームと俺の防衛任務の時間が終わったのが同じタイミングだったから誘っただけだよ」と言ったが、黒トリガーが相手でも倒せるであろうこの巨大戦力を考えたら怪しむのは無理もない。

 

「まあちょっと色々とね。千冬さんにも手伝って貰うから宜しく」

 

「貴様の筋書き通りにいかないのは気に食わないが、仕方ない」

 

織斑はため息を吐きながらも受け入れてくれるが、織斑先生も出るって……どんだけ面倒な事件が起こるんだ?

 

嫌な予感をひしひし感じる中、ビットから織斑と鈴が出てきてステージには歓声が上がる。

 

初戦から織斑と鈴だ。織斑も今日まで全力で鍛えてきたが、鈴もクロエに負けてからクロエの教え子の織斑に警戒心を抱いただろうからどうなるかわからないな。

 

「試合、開始!」

 

両者の緊張が高まる中、山田先生の宣言が響き……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブゥゥゥゥン

 

次の瞬間、アリーナの中央の地面に黒い球体……近界民の門が現れる。

 

(馬鹿な。警戒区域外に門が開くだと?)

 

頭に疑問符を抱く中、門からはトリオン兵が出てくるが……

 

「ね、ネイバー!ですがこれは……!」

 

出てきたトリオン兵は3体だが、大きさは3メートルくらいで前傾姿勢の初めて見る人型タイプだった。

 

しかし1番気になる点は両手には銃火器のような武装、両足にはスラスターのような物がついている。これではまるでISの装備を付けたトリオン兵だ。

 

しかも……

 

「新たな正体不明のエネルギー反応あり!」

 

アリーナの外周にも複数の門が開き、人型トリオン兵が現れる。

 

「隔壁を展開しろ!」

 

「は、はい!」

 

山田先生が手元のパソコンを操作すると観戦席に分厚い隔壁が展開される。

 

『織斑先生。織斑様と凰様の加勢には私が行きます。他の方は外周の敵をお願いします』

 

ここでクロエから通信が入るがクロエなら何の問題もない。

 

「頼む……織斑、凰。クロニクルが加勢に行くから、やられないように引き気味に戦え」

 

『わかった!』

 

『了解!』  

 

織斑と鈴は了承して、互いに構えを取る。

 

「お前達にも協力を頼みたい」

 

「もちろん。そのために来たからね」

 

「せやな。ここでヒーローになったるわ」

 

「新型トリオン兵か。楽しみだな」

 

「………」

 

二宮さん以外はノリノリだ。まあ二宮さんも真面目だしちゃんとやるだろう。

 

「各専用機持ちに告げる。アリーナ外部にいる近界民の排除をするからトリガー使いの援護をしてくれ。山田先生、指揮は任せます……トリガー、起動」

 

織斑先生は言いながらポケットからトリガーを取り出し起動する。それにより黒いバトルスーツの格好に変わる。

 

「行くぞ」

 

織斑の言葉と共に俺とトリガー使いの5人は一斉にオペレータールームを出る。

 

さっさと片付けないといけない。ここで死者を出したらボーダーの名折れだからな。

入学後の構成を考えているが、ISのキャラが原作で過激だからどう構成を練ってもアンチネタが出てしまう……それはおかしいのか?

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