今回はオルティガとの対決、決着戦。楽しんでいただけると幸いです。
足元に濃い桃色の霧が立ち込めた敷地内。ミストフィールド。神秘的な霧のフィールドを発生させ、敵味方共に状態異常にはならなくなる。またドラゴンタイプの技ダメージが半減する効果もある、主にダブルバトルなどで活躍するとくせいだ。もう少し早ければレクスもまひしないで済んだんだがな。
「ぼむん、乗せろ!」
オルティガを乗せて爆走を開始するルクバー・スターモービルを追いかける様に、エクスレッグヘルメットを被りながらぼむんに飛び乗り、体勢を低くして凹凸に掴まり追跡する。
「ヘビーボンバー!」
「アイアンローラー!」
するとオルティガがヘビーボンバーに対抗する様に指示してきたのは、エレキフィールド、サイコフィールド、グラスフィールド、ミストフィールド状態でのみ行使可能な高威力の代わりにフィールドを消し去ってしまうと言うはがねタイプの大技。
「うわああああああ!?」
効果はいまいちだが巨体から繰り出される一撃はとんでもない衝撃でぼむんを吹き飛ばしてしまい、俺は必死に掴まるも目を回し悲鳴を上げてしまう。いやこれ無理。吐きそう。
「あやしいひかり!」
「でんじうゆうで避けろ!」
ミストフィールドが消えたここぞとばかりにまるでマシンガンの様にばら撒く怪しい輝きの光球を、右へ左へと磁石の反発で弾かれるようにして避けていくぼむんから投げ出されない様に必死に掴まる。
「前方に向けてまきびし!」
「マジカルアクセルで肉薄しろ!」
ぼむんの脚からまきびしを放つも、車体で受け止めて身に纏ったピンク色のオーラで消し飛ばしてしまうルクバー・スターモービル。そのまま体当たりを受け、揺らいだかと思えばクルクルクルとその場で回り出したぼむんから飛び降りる。
「こんらんだと!?」
「マジカルアクセルは確率で相手をこんらんさせる!かかとおとしのお返しだ!」
「……いつも思ってんだけど、ダークアクセルとかバーンアクセルとかポイズンアクセルとかマジカルアクセルとか俺、聞いたこともないんだが?」
「そりゃ俺が生み出した技だからな!」
「“俺の考えた最強のポケモン”ってか?餓鬼だな」
「うるさい!どくづきとか色々利用するの大変だったんだぞ!」
元々は別の技ってことか。煽って情報を引き出そうと思ったけどあんまり意味なかったな。とりあえずこんらんから解放するためにぼむんをボールに戻す。その間止まって待ってくれる辺り根は真面目だとうかがえるオルティガ。勝負と行こうか。
「ジャック!行くぞ!」
ネットボールを投擲し繰り出して背中に飛び乗ると咆哮を上げるジャック。そのまま突撃し、岩斧と車体を激突させる。
「ホイールスピン!」
「つるぎのまい!」
ギャリギャリギャリとタイヤの音を響かせながら後部車両を叩きつけるように回転してくるルクバー・スターモービルに対し、こちらも回転するような舞いで応戦。弾かれるようにして両者が共に走り出すが、明らかに相手のスピードが落ちている。ホイールスピンの効果で素早さがガクッと落ちたのだろう。チャンスだ、前に回り込んでぐーんと上がった攻撃力で決めてやる。
「力強く!がんせきアックス!」
「あやしいひかり!」
「しまっ!?」
こんらんし、攻撃力がぐーんと上がった状態で自身の胴体に斬撃を叩き込むジャックから落とされる。逆に利用されてしまった。くそっ、早くボールに戻さないと……。
「ホイールスピンだ!」
「うわっ!?」
ボールを構えるも迫りくるルクバー・スターモービルから飛び退いたせいで戻すのが遅れ、地面に転がり立ち上がった時にはジャックは吹き飛ばされ、木に背中から叩きつけられて目を回していた。最悪だ!
「普通のポケモンバトルじゃないんだ、邪魔にいるところにいる方が悪い!」
「正論だ、何も言い返せないな。ぼむん!」
ぼむんを繰り出し、再び飛び乗る。相手の技はいまひとつばかりだが、こんらんさせられたらもう回復手段がない。とにかく逃げて機を窺わないと。
「ぼむん、でんじふゆう!逃げるんだ!」
「逃がすもんか!マジカルアクセル!」
突撃してくるルクバー・スターモービルから逃走し、まるで反発する磁石の様に直角に高速で移動していくぼむんに必死にしがみつきながらぼそぼそとぼむんにしか聞こえない距離で指示をする。
「くっ…!」
ばしゃん!と水溜りの上を高速で移動したことにより水しぶきをまともに受けて顔をしかめていると、濡れた手がずるずるとぼむんの凹凸からずれ始めた。やばい、濡れて掴みづらく…!?
「うっ、わああああああ!?」
つるん、と手が滑って高速で移動するぼむんから投げ出され、水溜りに落ちてゴロゴロと転がって行く。ずぶ濡れで泥だらけ、ついでに小さな傷が全身について血塗れで崩れ落ち、水や泥が口の中に入ってしまったため咳き込む。見れば、気付いたぼむんが慌てて止まって駆け寄ろうとしていたが、咳き込みながらも手を突き出して制する。チャンスは、ここだ。
「えっと……大丈夫?」
俺を轢きそうになって慌ててルクバー・スターモービルを停めて覗きこんで問いかけてくるオルティガに、ふらふらと立ち上がりながらもバッドサインを向けて笑ってやる。
「これで終わりだオルティガ」
「なにが?無事ならそこで見てろよ、お前の最後の手持ちを叩き潰した後で治療して追い出してやるから!」
そう言って俺を無視してぼむんに向き合うオルティガ。……お前、とんでもなく優しいな?だが悪いな、もう終わりだ。
「マジカルアクセルだ!……なんだよ、どうした!?」
するとぼむんに突っ込もうとしてバキン!と言う音と共に前輪が砕け散ってザザザッ!と水溜りのぬかるみに沈み込んでしまいその衝撃でびしょ濡れになるルクバー・スターモービル。よかった、オルティガまで濡れてないな。
「さっきから逃げながらまきびしを水溜りに撒いていたの気付かなかったか?お前のタイヤはじわじわとダメージを受けていたんだよ。それで偶然だが俺が落ちて止まった衝撃で完全に罅割れていた。お前のいる場所からは見えなかっただろうがな?」
「そ、それがどうした!まだホイールスピンやあやしいひかりが……」
「びしょ濡れになった時点で終わりだよ、そうなるように水溜りに仕掛けたんだ。その車体、鉄だろ?いくら加工していても水に濡れてるんだ、電気はよく通るよなあ?」
「っ……ブロロローム!あやしいひか……」
オルティガも気付いたようだがもう遅い。改造ポケモンである故の弱点だ、自分を呪え。
「でんじほう」
ぼむんから放たれた一撃はルクバー・スターモービルに正面から炸裂。びしょ濡れの車体前方に放電を起こして黒焦げにし、ショートを起こして小爆発を起こす車体。フロントにつけられたブロロロームは目を回して舌を出している。戦闘不能だろうなこれは。
「くそっ、くそっ!くそぉおおっ!なんで気付かなかった俺のバカ!なんで負けるんだ!なんで、なんで!なんでだよーーー!!」
地団太を踏んで悔しがるオルティガ。…強かった。絡め手を多用してようやくだ。車体が鉄じゃなかったらヤバかった。すると俺の前に飛び降りてくるオルティガ。悔しげにしながらもダンバッジを取り出した。
「ちくしょう!負けて悔しいのにお前を認めてる俺もいる!負けたらボスを降りる……掟を破るのは団に対する裏切りだもんな。しかたないからやるよ。光栄に思えよ!」
「それなんだが、提案がある。俺が……」
ダンバッジを受け取り、そう言いかけたその時だった。放たれた水の弾丸を、咄嗟にオルティガを庇って抱えながら飛び退き、回避する。今のは間違いなくオルティガを狙っていた…!方向は、灯台の上!
「見事なバトルでしたわ。さすがはラウラ!今のも避けるとは期待以上!」
アーマーガアに乗って優雅に舞い降りてきたのは、見覚えのあるお嬢様。名前も知らないブルーフレア団のお嬢様か……!
「何の用だ。…えっと、お嬢様!」
「あら、名乗っていませんでしたわ?失礼。改めて名乗りましょう、わたくしはグロリア。ラウラ、貴方の宿敵ですわ!」
グロリアと名乗ったお嬢様に構える。……はて、どこかで聞いたような。どこだったっけ。ってヤバいぞ、今は手持ちが三体やられてるってのに…!
「ポケモンがやられているのはそっちの都合、こんな悪条件でも引っくり返すと信じてますわ!アーマーガア!」
「嫌な信頼だなクソッたれ!ダーマ!」
くそっ、やってやるよ!
車体ならではの弱点を突いて勝利、したところに急襲するグロリア。彼女とついに対決です。
水溜りに落ちた時に傷付いて血塗れだったのはまきびしに引っかかったからだったりします。それで気付かなかったのがオルティガの敗因。
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