今回はアイアール視点のレジェンドルート。楽しんでいただけたら幸いです。
「最後の秘伝スパイス!!ひでん:からスパイスだぜ!」
「これが最後の…」
洞窟に入り、光源を辿って行くと見つけたのは真っ赤に輝く植物。ペパーが駆け寄り、採取する。これさえなければ…!
「ん?どうしたアイアール。怖い顔して」
「え、あ、いや、なんでも……」
「えーと、なになに?スカーレットブックによると…ひでん:からスパイスは代謝を上げる!循環機能に効き目があって、いっぱいの汗と一緒に体から毒素も出て行くんだってさ!さっそく調理開始だ!」
「お、おー!」
やる気満々のペパーに拳を突き上げて承諾する。危ない、別のこと考えてたら意識が逸れてた。気をつけないと。
「うおおおおおおおっ!ずりゃっ!おりゃーっ!」
手際よく秘伝スパイスを調理していくペパー。口では激しい言いぶりだけど実際は凄い繊細だ。サンドイッチが次々とできあがっていく。燃え上がるような辛さを感じるサンドイッチだ。
「お待ちどうさん!ペパーお兄さんの元気じるし!ファイナルスパイスサンド、だあっ!」
「おおー」
「ラウラがいないからカレーはないけど、いつも通り
「アギャッス!」
待ってましたとばかりに出てくるコライドン、シング、ドーちゃん、ツムヅム、ヒナ、ハルクララ、ゲッコウガ。ゲッコウガが咎めるような視線を向けてくるがそっぽを向いて無視する。わかっているよ、だけどこればっかりはやめるわけにはいかないんだ。
「ほら、ゆっくり味わうんだぞ」
「アギャアス!」
そう言って自分のポケモンたちも繰り出して私のポケモンたちも一緒にサンドイッチを与えて行くペパー。するとコライドンが吠えて身震いする。新たな力を思い出したのだろうか。そしてマフィティフを繰り出すペパー。相変わらず弱々しい。本当によくなるんだろうか。
「それじゃマフィティフも…今食べさせてやる。最高に減気が出るぞ。俺とアイアール、それにラウラがうんと頑張って集めたんだ。効かなきゃ嘘さ」
そう言ってサンドイッチを千切って分けて与えるペパー。もしゃもしゃとゆっくり食べて行くマフィティフを固唾を飲んで見守る。
「…また昔みたいにさ。いっぱい、いーっぱい、ボール遊びしよう。それにもうお前にだけ無茶はさせない。俺たちにはもう仲間がいる。お前も守ってみせるからさ。……元気になってくれよ。それだけでいいから」
「ペパー…」
「アギャ…」
「ゲッコ!」
私も、コライドンも、ポケモンたちも見守る中で。何かに気付いたゲッコウガが舌を伸ばして転がしたマフィティフの入っていたモンスターボールが、マフィティフの下に転がって行く。
「バフッ…ワフッ!」
「え……」
すると吠えたかと思えばモンスターボールを咥えこんでペパーに駆け寄るマフィティフ。
「ああっ……!」
「バウッ!」
「うん……うん!」
ペパーも駆け寄り、膝から崩れ落ちながらも這いずって近づくと、マフィティフがモンスターボールを口から落とし、受け取るペパーは涙ぐんで抱き着く。よかった、本当に効果はあったんだ。その後、数分にわたり抱擁し続けたペパーに、頃合いを見て話しかける。
「よかったね、ペパー」
「ああ、ありがとうアイアール!お前とラウラのおかげだ!」
「…うん。それでなんだけど。合流したら私が手渡すから、ラウラの分のサンドイッチもらえるかな?」
「ああ、もちろんだ。ちゃんと渡してやってくれよな!」
ペパーからサンドイッチを受け取る。…これで、ラウラはラウラのままだ。すると電話がかかってきた。このタイミング、オーリム博士かな?
《ロトロトロトロト……「ハロー、アイアール。ラウラ……はいないようだな。こちらオーリム」》
「…!」
「アギャア!」
名乗ったオーリム博士に反応するペパーとコライドン。ペパーは電話を聞くのは初めて、だっけ?
《「コライドンが戦う力以外すべてを取り戻したようだな。ライド状態で壁に捕まれば「がけのぼり」移動も可能になった様だ。アイアールに任せて間違いはなかった」》
「ケッ、何様だよ……」
《「その声は……ペパー。そこにいるのか?」》
「……」
「いますよ、博士」
悪態を吐きながらも話しかけられたら黙ってしまったペパーに代わって博士の言葉に頷く。
《「ずっと……ずっと連絡を取りたかった。君以外に研究所に入れる人間がいなくてな。協力者は得たがこればかりはどうしようもなくてね」》
「はえ?」
「……はあ?」
こ、これが久々の親子の会話……?なんというか、淡白すぎると言うか合理的と言うか……少しだけ、お父さんを思い出してしまうな……。
《「アイアールと共にコサジの小道の灯台にある研究所に行ってくれ。君達が目的地に辿り着いたらまた連絡する」》
そう言って電話は切れてしまった。いくらなんでも白状すぎないだろうか。マフィティフのことなんて気付いてもいなかったのだろうか。
「コサジの小道の灯台って……ペパーと初めて出会った?」
「……ああ。知ってるかもだけど、アイツさ……俺の母ちゃんだ」
「うん、知ってる」
「昔っから研究が忙しくていつも家にいなくてさ。声聞いたのなんて数年ぶりだ。なのにアイツ、息子パシらせる気マンマンちゃんか!?……マジふざけんな、だよな」
「…うん、わかるよ。私も親で色々あったから…」
私の父親なんてもっとひどい。拘置所で出会うなり、お前がいなければよかっただなんて言われるよりはオーリム博士はましだと思う。
「…お前とコライドンは行くんだよな?」
「…そのつもり」
まだジムが残ってるけど、気になるし。それに、罪悪感を忘れられるかもしれない。
「腹ん中グツグツだけど仕方ねえからついてってやるよ。今のお前は放っておけないしな」
「何の話?」
「俺の気が変わらねえうちにさっさと行くぞ!」
「バゥフ!」
「う、うん…」
マフィティフに押されてポケモンたちみんなで外に出る、その間際。
「…………本当にアンタなのか?」
ペパーがそう言っていたのが印象に残った。
ユウリをエスプリことメロコに連れ去られた後、駆けつけたイヌガヤさんがネルケもといクラベル校長の知り合いでオレンジアカデミーの前校長だったり、オルティガもいじめられていた過去があったり、一年半前にスター団がいじめっ子に立ち向かう事件が起きたがそれを以前の教頭がもみ消し職員が一部を除いて総入れ替えしていたり、ある生徒がスター団全ての責任を負って引き換えに仲間たちの処分の免除をお願いして来てそれが留学したという形をとったなどが判明したりした、その後。
「…メロコやビワが裏切っていたとする。お前はどうする?オルティガ」
「俺は信じない。あいつらは俺の宝物だ。例え裏切っていたとしても…何か理由があると思う」
「俺もそう思うよ。…ビワが心配だ、俺はチーム・カーフのアジトにカチこむ。じゃあな!」
「あ、待てラウラ!」
ジャックに乗って真っ直ぐ東を目指す。アイアールと合流は後だ。スター団がヤバいのは間違いない、こっちを優先しよう。
地味にアイアールの父親のことも明かしていくスタイル。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。