ポケットモンスター蟲スカーレット   作:放仮ごdz

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どうも、ぼんやりとしか考えてなかった経緯を書くのが意外とすらすらできて驚いている放仮ごです。

今回はアローラにて。楽しんでいただけると幸いです。


VSルナアーラⅠ

 遠路はるばるアローラ地方アーカラ島カンタイシティへとやってきたダフネ、グレイ、ユウリ、ジュリの四人。ライドポケモンのケンタロスに乗り移動することにして、グレイの先導でカンタイシティの道路を走っていた。

 

 

「しかし暑いね……さすが南国、ガラルとは大違い。それに、なみのりやそらをとぶの移動のための使用が法律で禁止されているアローラ地方はライドポケモンで移動するんだね。レンタルがあってよかった」

 

「アローラに住んでたことがあるヨハルも呼べばよかったですかね。ヴァイスの看病をしているから遠慮しましたけど。それで、目的地はそのなんとかの祭壇なんです?」

 

「日輪の祭壇だよダフネ。あれ、でもポニ島じゃなかったっけ」

 

「それは後だ。目的地は空間研究所。そこでウルトラホールを研究しているバーネット博士に用がある。まさか、無数に存在する異世界を片っ端から探すつもりだったのか?」

 

「「「……」」」

 

「そうか、お前らが馬鹿だとよくわかった」

 

 

 グレイの皮肉にぐうの音もでない女性陣トリオ。実際そのつもりだったのだから何も反論できなかった。そうこうしているうちに空間研究所に辿り着き、ユウリが一度電話してから代表であるユウリを先頭に入る面々。

 

 

「いらっしゃい、よく来たね!ガラルのチャンピオン、ユウリさん!連絡をもらった時は驚いたよ!」

 

「あ、さんづけはよしてください、年下なので…」

 

「バーネット博士だ、本物だあ…」

 

「ジュリさん、今は自重してください」

 

 

 何時もの如く限界化するジュリに慣れた様子でダフネがツッコミを入れるのを横目に、ユウリが説明しようとして支離滅裂なことを言いだしたことに溜め息を吐いてグレイが前に出る。

 

 

「ユウリに代わって俺から要件を伝えます。ユウリの……えっと、妻…夫?とにかく大事な人であるジムリーダー、ラウラが行方不明になったのはご存知ですか?」

 

「ああ、聞いてるよ!心配だねえ…ここに来たってことは、なにか進展が?」

 

「はい。俺達はラウラがいなくなった場所でコスモウムを発見。状況から、ラウラはコスモッグの出したウルトラホールでこの世界から消えたんだと推理しました」

 

「コスモウムだって!?リーリエのほしぐもちゃんの他にも個体がいることは知ってたけど…なるほど、だからここに来たんだね?」

 

「はい、なにか手がかりはないでしょうか。ジュリ」

 

「うん」

 

 

 グレイに話を振られて頷いたジュリが一応捕まえてきたコスモウムをダークボールから繰り出す。それを見て興味深そうに顎に手をやるバーネット博士。

 

 

「…ミヅキの手持ちになったほしぐもちゃん…ソルガレオや別個体のコスモッグを研究させてもらってるんだけどね…ガラルにもいただなんて興味深いわ。ちょっと生体組織をもらうわね。痛くないから」

 

 

 小型の機械を取り出してそっと触れてサンプルを手に入れたバーネット博士は、すぐさま奥の機械に小型の機械から取り出したプレパラートをセット。キーボードを操作して画面に何やら波形の様なものを映し出す。

 

 

「コスモウム及びコスモッグ、ソルガレオが生み出すウルトラホールはね。個体ごとに微妙な相違点があるの。特にウルトラホールを作りだすエネルギーには独自の波形があるのね。これはウルトラホールで可視化される。上がこのコスモウムの、下がソルガレオや別個体のコスモッグの波形よ。違うでしょう?」

 

「たしかに…?」

 

「波形が違うってことは……つまり、辿れる?」

 

「コスモウムはリーリエやエーテル財団の研究者曰く、コスモッグが力を使い果たしてしまい休眠状態になった状態。つまりそれだけのエネルギーを使っているということになるわ。このコスモウムがどれだけの生物を異世界に飛ばしたか分からないけど、エネルギーは徐々に薄れて行く。だから濃い波形のものを捜せば辿りつける可能性は高いわ。……コスモウムを進化させてウルトラワープライドするつもりなのよね?

 

「…うるとらわーぷらいど?」

 

 

 確信を持ったバーネット博士の問いかけに、オウム返しで首をかしげるユウリ。慌ててグレイが説明を入れる。

 

 

「ウルトラワープライド、ソルガレオに乗ってウルトラホール内を移動することだ。……この世界USだったのか…

 

あれって無印SMにはないんだっけ?でもその割にネクロズマ見ないけど……さすがに危険だからかな?

 

少なくともレジギガスを止めた時には連れて来てなかったはずだぞ

 

じゃあゲーム通りの世界じゃないとか?

 

「そこ、二人だけにわかる会話しないでください」

 

「ラウラと同じでなんかあるの隠す気ないよね二人とも」

 

 

 こそこそと話すジュリとグレイにツッコむダフネとユウリ。そんな姿に笑いながらも、バーネット博士は金庫を開いて中から二つの笛を取り出した。それぞれ太陽と月が模られている。

 

 

「ソルガレオに進化するためには太陽の笛と月の笛が必要なんだけど……ここに、二つを解析してエーテル財団との協力の元に作成したレプリカがあるわ。本物は今、ミヅキとリーリエが持ってるのだけど……急ぎならこれを使えば、成功するかもしれないわね」

 

「そりゃ好都合だ…なにせ博士の話通りなら時間が無いからな」

 

「既にラウラさんが失踪してから数ヶ月は経っていますしね」

 

「うん、賭ける価値はあるね!」

 

「グレイとジュリがそう言うなら……お借りします」

 

 

 ユウリが代表して笛のレプリカ二つをバーネット博士から受け取り、ジュリがコスモウムをボールに戻す。

 

 

「成果があったら聞かせてね。念のためにミヅキとリーリエに連絡を入れておくわ」

 

「あ、ミヅキには私がもうしてます。でも忙しいらしくて…」

 

「ダーリンを始めとして色んな挑戦者からチャンピオンの座を防衛しないといけないからね…」

 

 

 そうしてバーネット博士と別れた一行はライドポケモンであるリザードンを呼び出して日輪の祭壇があるポニ島に…行く前に、異世界に行くための準備をすることにした。

 

 

「金が同じかはわからないが持っていって損はあるまい。記憶を失っている可能性があるから辿りつけたとしても探すのに長時間かかる可能性があるからな」

 

「着替えもいるね。あとカップ麺とかの食料も」

 

「そう言えばユウリさん、仕事はいいんですか?」

 

「溜まってた有給全部使った」

 

「お、おう…凄い覚悟ですね」

 

 

 問いかけに即答するユウリにちょっと引くダフネ。そうこうしているうちに準備を終えてポニ島にやってきた一行は、険しい道を辿ってなんとか祭壇まで辿り着くことに成功した。もう既に夜となり月光が眩く輝いて四人を照らす。

 

 

「なんですかあのジャラランガ…すごく強かったんですけど…」

 

「ヌシポケモンだね。ユウリさんがいなかったら勝てる気がしなかった…」

 

「キュレムとかいれば話は別なんだがな」

 

「キュレムもケルディオも赤いゲノセクトも国際警察に確保されたから取り戻せなかったんだよね……いやまだグレイを信用した訳じゃないけど」

 

「泣けるぜ…」

 

 

 そんなことをぼやきながら長い長い階段を登り切り、日輪の祭壇の頂上までやってきた四人。コスモウムを中央に置いて、ダフネが太陽の笛を。ジュリが月の笛を奏で始める。そしてコスモウムが輝き、現れたのは……。

 

 

「マヒナペーア!!」

 

「…あれ?ルナアーラ?」

 

「…なんでだ?」

 

 

 ゴースト使いであるジュリが捕まえたせいか、ソルガレオではなくルナアーラへと進化を遂げた、太古の時代から月の使者として崇められ人々から「月を誘いし獣」と呼ばれていた、月夜を思わせる身体と月の形をした翼を大きく広げて咆哮を上げた。

 

 

「えっと…ソルガレオじゃないけどウルトラワープライドできるの?」

 

「ああ、大丈夫だ。ジュリ、指示を」

 

「えっと…ごめん、いきなり目覚めさせて。でもお兄ちゃんを捜す手伝いをしてほしいの!ウルトラホールを開いて、ルナアーラ!」

 

 

 ジュリがそう指示すると、ルナアーラは頷いて翼を掲げ、祭壇に亀裂を生み出した。そして地に(こうべ)を垂れると背中をジュリ達に向け、促した。

 

 

「乗れってこと…?」

 

「ジュリさんは信用されたみたいですね、よかった」

 

「恐らく臆病な性格なんだろうがジュリに捕まって心境が変わったりしたんだろうか…?」

 

「よし、行こう!」

 

 

 ユウリの号令に、頷く三人はそうして旅立ったのだった。




コスモウムがルナアーラに進化したのはジュリがおや故とかじゃなくて、単に「ルナアーラに進化する異世界の個体のコスモッグ」だったからです。

バーネット博士登場。調べたらSMが初出じゃないことにちょっと驚いた。口調はポケスペのを参照にしてますが多分だいぶ違うけど気にしないでください…。

次回、そしてパルデアへ。楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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